NHLとNHLPAの対話開始に関する最新情報をお届けします!

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はじめに

 NHLのコミッショナー、ゲイリー・ベットマンがいろいろと動いているようです。

 NHLとNHL選手協会が2025年初頭に新たな労働協約について交渉を始める見込みであったり、サラリーキャップの増加やプレシーズンの調整、チーム数の拡張についての考えなど、ホッケーファンとしては、目を逸らせない内容が盛りだくさんです!

 2025年に開催される4カ国対決のロースター提出日についても、気になるところ。アイスホッケー大国カナダ、フィンランド、スウェーデン、そしてアメリカの選手たちが激突するこのトーナメントのことを頭の隅に置きながら、新シーズン開幕は間もなくです!

讃岐猫
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引用元:nhl.com(NHL公式)「NHL, NHLPA expected to begin talks on new CBA in early 2025

新しい労働協約は重要

 NHLとNHL選手協会は、2025年初頭に新しい労働協約についての交渉を始める見込みです。

 「年が明けた後に、おそらく選手協会とのさらなる話し合いを始めると思います」と、火曜日(10月1日)、NHLコミッショナーのゲイリー・ベットマンはニューヨークのウェスティン・ホテルで行われたNHL理事会で述べました。

 「早ければ(2024年)11月には始められる可能性があると言っていましたが、皆まだやるべき宿題があります。とはいえ、選手協会は秋のツアー中1ですから、(宿題といっても)大したことではありません。ただ、タイミング的には、おそらくこれ(2025年初頭)が最も現実的だと思います。

サラリー・キャップに新チーム拡張

 また、コミッショナーのベットマンは、来シーズン(2025-26)のNHLサラリーキャップが約9250万ドル(約138億7500万円)になる見込みで、今シーズン(2024-25)の8800万ドル(約132億円)から450万ドル(約67億5000万円)の増加となりますが、「かなり暫定的なものです」と警告しました。

 プレシーズン・ゲームの試合数を減らし、レギュラーシーズン・ゲームの試合数を増やす可能性について尋ねられたベットマンは、それは「考慮すべき項目のリストに載っています」と答えました。

 また、ベットマンは、(チーム数)拡張の話題は会議で「一切出なかった」と述べましたが、「私たちに興味を示している場所はいくつかある」とも付け加えました。

 NHLは過去7年間でベガス・ゴールデンナイツとシアトル・クラーケンを新たに加えました。ベガスは2023年にスタンレー杯を制覇し、それはリーグ入り6シーズン目でのことでした。

 また、クラーケンは2022-23シーズンにスタンレー杯プレーオフに進出し、2021-22シーズンから40ポイントも向上しました。

 「今すぐに拡張する必要は感じていません」とベットマンは述べました。「私たちは歴史上最も成功したシーズンを終えたばかりです。集団交渉を進める必要がありますし、カナダでの新しいメディア契約2もあります。

 もし何か(新規チームを立ち上げようとする動き)が現れて、すべての条件を満たし、意味があると感じれば考慮するかもしれませんが、今はそういう状況ではありません。」

讃岐猫
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株式や経営権のお話も

 理事会はまた、オタワ・セネタースのオーナーであるマイケル・アンドラウアー3が、ジョージ・アーモヤン4からチームの12%の株式を追加購入することを承認し、タンパベイ・ライトニングの支配権が、オーナーのジェフ・ビニック5からダグ・オストロバー6率いるグループに3年間で譲渡することを承認しました。

来年早々の代表戦に出たい選手は、怪我に気をつけて!

 また、2025年の4カ国対抗戦のロースターの提出日も会議で議論されました。カナダ、フィンランド、スウェーデン、アメリカのNHL選手が参加するこのトーナメントは、ボストンのTDガーデンとモントリオールのベル・センターで2月12日から20日まで開催されます。

 「私たちの合意書の日付は12月2日です」とNHLの副コミッショナー、ビル・デイリーは述べました。

 「数日早めることができるかもしれないと思っています。しかしながら、4か国対抗戦にかかわるゼネラルマネージャーの何人かは、実際に日程を遅らせたいと考えていることも理解していますが、それは実現しないと思います。

 選手協会ができるだけ早く計画を立てられるようにしたいと強く望んでいる、と私たちは考えているからです。発表のための期間は、おそらく11月29日から12月2日になると思います」。

 デイリーはまた、以前に選出された選手に怪我が発生した場合、チームはロースターの調整を行うことができるとも述べました。

 「2月12日までの不慮の怪我に対しては、選手を交代させることができます。その際、怪我で交代出場する選手を事前に指名しておくこともできます」とデイリーは言いました。

 「もし誰かがシーズンを終えてしまうような大怪我を負った場合、その代わりの選手を早めに指名することができます」。

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引用元:rawcharge.com(RAW CHARGE=2009年スタートのタンパベイ・ライトニング情報サイト)「NHL Board of Governors approves sale of Tampa Bay Lightning to Doug Ostrover

オーナー交代しても、しばらくは今まで通り?

 火曜日(10月1日)、エリオット・フリードマンは、NHLの理事会がタンパベイ・ライトニングをダグ・オストロバーとそのオーナーグループに売却することを承認したと報じました。

 この承認は単なる形式的なものであり、現在のオーナーであるジェフ・ビニックが今後数年にわたって関与する予定のため、クラブの日々の運営には影響しません。

 フリードマンはまた、この売却に関するクラブの評価額が18億ドル(約2700億円)であると述べており、これは1990年代初頭に7(チームが)プレーを開始した際、多くの人々が長続きしないと考えていたフランチャイズにとっては、かなり良い金額です。

 8月、このニュースが最初に報じられた際に話したように、取引が最終確定した後でも、オストローバーがすぐに引き継ぐわけではありません。現時点では、取引がいつ完了するかについてのタイムテーブルさえないようです。

 理事会の承認は必要なステップですが、何かを加速させるものではありません。ビニックは引き続き小切手に署名し、これまで通りホッケー関連の業務はホッケー専門家に任せるつもりです。

 Sportnet(カナダのスポーツ専門テレビネットワーク)の(記者)エリック・エンゲルスによると、オストローバーと彼のビジネス・パートナーであるマーク・リプシュルツ8が、チームの54%の株式を取得し、3年以内に60%まで増加する可能性があると報じています。

ハリケーンのピンチを救え!

 ビニックは、組織の慈善事業担当部門を通じて地域社会に還元し続けており、最近、ライトニングの財団(特に子どもや家族に対する教育、健康、ウェルネスの促進を目指している)がハリケーン・ヘレンの救援活動に200万ドル(約3億円)を寄付することが発表されました。

 また、(ライトニングの選手である)ビクターとサンナ・ヘドマン夫妻も、嵐の後に地域社会を助けるため、自身の資金から15万ドル(約2250万円)を寄付することを約束しました。

コミッショナーのツイート・スレッドから

 フリードマンのツイート・スレッドから、他の注目すべき項目は以下の通りです:

 リーグは理事会に対し、新しい労働協約について、NHLPAと年明けのある時期に話し合いを始めると伝えました。現在の契約は2025-26シーズン終了後に満了する予定です。

 新シーズンのサラリーキャップについて、上限の予想額は9250万ドルです。

 サラリーキャップについて言えば、新シーズンのコロンバスのキャップ下限額9が規定以下になる例外を認められました。現時点で、約140万ドルほどキャップの下限額を下回っていると見込まれていますが、ベテラン・フォワードを獲得することで、現在の総額にサラリー追加の可能性があります。

 アーロン・ポーツライン(「The Athletic」などのメディアで、ブルージャケッツ担当)の追加報告によると、故ジョニー・ゴードローに支払われた200万ドルの契約金はキャップ総額に含まれることになります(これで140万ドル以内に収まりました)。

 リーグは、ブルージャケッツが 「合理的な時間 」でサラリーの基準を超えることを期待し、10月7日のキャップ適合期限(選手の給与総額が設定されたキャップの上限内に収まっていることを報告)を免除しました。

 現時点で、チーム拡張に関する追加の議論はありません。

まとめ

 NHLと選手協会の交渉が2025年初頭に予定されていることは、ホッケー界にとって大きなニュースです。新たな労働協約がどのように選手やファンに影響を与えるのか、ロックアウトの経験を知るファンとしては、興味深いものです。

 プレシーズン・ゲームを調整して、レギュラー・シーズンの試合数を増やすというのは、やや疑問です。そんなにプレマッチの数が多いとも思えませんし…。また、新規チーム設立は無さそうですが、移転した新生ユタの成功いかんによっては変化するかもしれません。

 2025年2月に予定されている4カ国対決のロースターは、12月2日までに提出される見込みなので、誰が選ばれるのかを予想しながら、いよいよ開幕する新シーズンを楽しむのも一興です。トーナメントに向けた準備が進む中、各国の選手たちの活躍が待ち遠しいですね!

讃岐猫
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【註釈】

  1. シーズン開始前の時期に選手たちを集めて行われるイベント。このツアーでは、選手たちに対して最新のリーグ情報やルールの変更、選手の権利についての教育が行われる。

     また、選手たちが連携を深めたり、コミュニケーションを図るための機会にもなっている。選手が自身のキャリアや契約に関する情報を得る場でもある。
    ↩︎
  2. プライム・マンデー・ナイト・ホッケーのこと。2024/25および2025/26 NHLシーズンにおいて、レギュラーシーズンの月曜日夜の試合を、カナダ全土で英語による独占配信が決定している。
    ↩︎
  3. オタワ・セネタースの新オーナー。カナダの企業家であり、主に不動産やホスピタリティ業界で活躍。2023年にチームを購入し、オーナーシップ・グループを率いる。

     新スタジアム建設計画を推進し、オタワ市内での立地選定や設計に関する意見を発信し続けている。今回の株式追加購入により、オーナーシップ・グループ内での発言権がより強くなることを意味する。
    ↩︎
  4. アームコ社(金属製品製造)の創設者であり、カナダの企業家。特に不動産やエンターテインメント業界に関与。オタワ・セネタースのオーナー・グループの一人であり、チームの新スタジアム建設計画や経営戦略の見直しに携わっている。
    ↩︎
  5. 現タンパベイ・ライトニングのオーナーで、チームを2010年に購入。彼は、ハーバード大学卒業後、ウォール街で投資銀行業務を行い、その後、投資ファンドを設立。金融業界での成功を収める。

     チームの競争力を高めるため、彼はさまざまな取り組みを行い、その結果、ライトニングは数回のプレーオフ出場を果たし、2020年と2021年にはスタンレーカップを制覇するに至る。
    ↩︎
  6. 不動産開発および資産管理において多くの成功を収めており、複数の企業での経営経験を持つ。ライトニングのオーナーシップグループの一員であり、チームの本拠地アメリア・アレーナに関連する新しい開発や改善プロジェクトについて言及しており、施設の改善によりファンの試合体験の向上を訴えている。
    ↩︎
  7. タンパベイ・ライトニングは1992年にNHL新規加入チーム。初期はチームの成績が期待に応えられないことが多く、プレーオフ進出は難しい時期が続いた。若手選手を多く起用しながらも、経験不足やチームの結束力の欠如が原因である。

     しかし、ファン層拡大の努力の影響で地域コミュニティとのつながりはすぐに強まり、厳しい成績でもファンのサポートは徐々に厚くなり、特に地元でのイベントやプロモーション活動を通じて、熱心な支持者を獲得していく。

     現在もそうだが、初期からドラフト巧者で、チームの象徴となる選手が徐々に頭角を現し始め、1994年のドラフトで獲得したダン・ラドツキーや、1995年のブレッド・ハルのような選手たちが、成功に向けた礎を築く存在となっていく。そして、1995-96シーズンに初めてプレーオフに進出することとなる。
    ↩︎
  8. スカウティングや選手開発、コンサルティングなど、ホッケー界における豊富な経験を持ち、選手やチームへのアドバイスを提供している。彼の専門知識は、選手の育成やトレード戦略に役立っており、チーム内だけでなく、業界内での信頼を得ている。
    ↩︎
  9. サラリーキャップの下限額を設定する理由はいくつかある。これを設けることで、各チームが最低限の支出を行うことを義務づけ、資金力のあるチームとそうでないチームの競争を均等にする。これにより、リーグ全体の競争力が高まることとなる。

     次に、選手が最低限の報酬を得られるようになり、選手の待遇を確保できる。これにより、才能のある選手がリーグで適切に評価される環境を整えられる。また、チームが無理な支出を行わないようになり、リーグ全体の経済的健全性を保つこととなる。これにより、チームの運営が持続可能なものにもなる。

     2024年6月9日、NHLとNHLPAは、2024-25シーズンのサラリー上限が8800万ドルに設定されたと発表した。下限は6500万ドル(約97億5000万円)で、中間点は7,650万ドル(約114億7500万円)となっている。 ↩︎
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