はじめに
ドラフトの中継をご覧になった方はお分かりと思いますが、ナッシュビル・プレデターズのホーム・アリーナに、全32チームのフロントが一同に会した図は圧巻でした。
そこで、ドラフト指名権を巡る駆け引きが行われたと同時に、選手のトレードや新コーチング・スタッフに関する密談が行われたであろうことは容易に想像できます。
当日の主役、ドラフト指名選手に対する「本当の評判」も囁かれたことでしょう。辛口のESPN.comのライター達は、それをいくつかピックアップし、記事にまとめたのが今回のもの。
全体1位指名のコナー・ベダード、そして全体7位指名、我らがフライヤーズの誇る新星マトヴェイ・ミチコフが今回の主役です。
「ミチコフがフル出場したら、新人王当確!」
の記事がネットにも、You Tubeにも流れてるにゃ。
でも、KHLとの契約が残っているから、
2023-24シーズンにはいないんだよね…。
引用元:ESPN.com「Overheard at the NHL draft: Bedard predictions, Cup picks」。
※上記引用元にはドラフト指名選手以外の話題もあるのですが、今回は上記2人の話題に限定させていただきましたm(_ _)m。
全32チームが集まったら、そりゃいろいろ話すよね
2023年のNHLドラフトは、全体1位でコナー・ベダードを指名したシカゴ・ブラックホークスにとって極めて重要な時期でしたが、しかし、その時期の動向は、「シカゴのフランチャイズの新しい顔の戴冠式」だけにとどまらなかったのです。
指名権の使用、(指名権の)トレード、選手間のトレードなど、各チームはその週の間に何らかの改善を行いました。
しかし、すべての取引に加えて、すべてのNHLチームには、イベントのフロントスタッフが(ドラフト会場に)常駐しており、NHLの取材クルーも多くの話題の詳細を知るため、そこにいるのです。
(話題とは)2023-24シーズンのスタンレー・カップ優勝候補、注目すべきコーチ達、1年目のベダードによって、ブラックホークスはどこまで強化されるのか、などです。
以下は、ライアン・S・クラーク、クリステン・シルトン、グレッグ・ウィシンスキーの3人が、ナッシュビルで多忙な週をすごす幹部との会話から得た詳細を紹介します。
神童・ベダードはどこまでやれるのだろうか
コナー・ベダードは、最初のシーズンで、どのような影響を与えるでしょうか?
あと何試合で、彼はシカゴ・ブラックホークスの勝利に貢献できるでしょうか?来シーズン、彼はいくつのゴールとポイントを獲得しますか?
シドニー・クロスビー(センター、35歳。現在、ピッツバーグ・ペンギンズ所属)やコナー・マクデイビッド(センター、26歳。現在、エドモントン・オイラーズ所属)より良いルーキーイヤーを過ごせますか?そして、彼はツイッターも修正できますか?
この最後の質問は明らかに突飛なものですが、それは、ベダードのような世代を代表する才能とみなされる選手が、しばしば外野から非現実的ともいえる期待を、公平に、あるいは不公平に背負わされることを説明するためにあります。
では、ベダードに対する現実的な期待は何ですか?
あるアマチュア担当スカウトはESPNの取材に対し、「私が思うに、ブラックホークスにとって最も危険なのは、全体1位で指名された彼への期待だ」とし、「彼は非常に才能があり、その地位(全体1位)に値する以上の存在だと思う。疑問の余地はありません。
しかし、NHLでプレーすることはまだ難しいです。ウェスタン・ホッケー・リーグとは違いますから。でも、それは飛躍しようとしているどの若い世代にも当てはまります」と述べました。
ベダードはあまり上背のある選手じゃなく、
ホッケー選手としたら、華奢なタイプなんだにゃ。
でも、非常にクレバーな選手だとドラフト前から言われてて、
それを活かすタイプになると思うよ。
体力と気力がどこまで保つか
ある幹部は、ベダードがすぐにトップラインで出場時間を稼ぎ出すエリート、インパクトプレーヤーになると信じていると語っています。彼らの疑問は、ベダードが6泊で4試合を行うNHLのスケジュールに適応するのに、どれくらい時間がかかるかということです。
「統計的な話をしているとしたら、彼に何を期待していますか?」、その幹部は言いました、「一晩に18分プレーして、25ゴール、50ポイントの男になれるかって?彼ならできると思うね。すぐにできると思う。
ただ、チームが負けたときにどう対処するか、という自分の成績以外の項目が問題なんじゃないかな。もし(シカゴが)良いチームでなかったとしたら?もしチームが最下位で、3月に〈意味のない試合〉をしていたら?彼はそれにどう対処しているだろうか。
(チームの成績は)選手の成長を促し、成熟するための一部になるんだ。今はそれを語る時期ではないかもしれませんが、将来的にはそうかもしれないよ」。
アマチュア担当スカウトは、ベダードを成功させるため、ブラックホークスのすべき最良の方法の1つは、経験豊富なサポートキャストで彼を囲むことであると強調しました。
ベダードがブラックホークスと契約する前に、その一部は始まっており、テイラー・ホール(左ウィング、31歳。ボストン・ブルーインズからシカゴへ移籍)とニック・フォリニョ(左ウィング、35歳。ホールと同じ)の権利をトレードで獲得し、後者は1年間の延長契約を結んでいます。
目指すはジャック・ヒューズ?
「シカゴが、彼の周りにもっといい選手やリーグで経験を積んだ選手を配置できれば、彼の移籍を助け、成功のレベルを上げるだろう」とアマチュア担当スカウトは語りました。
「しかし、もし彼を狼の群れに放り込み、同時に大勢の若手と一緒に足慣らしをさせるとしたら、どうだろう?成功は難しくなるだろうね」。
アマチュア担当スカウトが指摘した点の一つは、5フィート10インチ(約178センチ)のベダードは、彼のキャリアの中で最も大きく、強く、最も成熟した競争相手と対戦するということでした。
それは別の質問につながっていきます:彼のルーキーイヤーが、ジャック・ヒューズ(センター、22歳。現在、ニュージャージー・デビルズ所属)と同じようなものになるかもしれない、ということを意味しているのでしょうか?
「ええ、確かに。彼はジャック・ヒューズよりも頑丈で、どちらかというと痩せ型の男だ」とアマチュア担当スカウトは語りました。「みんなが〈ああ、ジャック・ヒューズは成長不足だ〉と言ってるのを聞いた覚えがあるよ。
決して体格がいいわけでもないのに、ジャック・ヒューズは多くの選手達と対等にプレーしているのにね。2人とも頭がいいし、プレーの仕方をよく理解している。ベダードがヒューズのようになるには、時間かかるんじゃないかな。1試合や5試合、10試合じゃ無理だろう。
高校からジュニア・レベル(U-18代表クラス)へ飛躍する選手たちと同じように、30試合くらいかな。クリスマスの頃のジュニア選手は、9月とはずいぶん違って見えるかもしれないよ」—クラーク
まだ17歳、あっという間に体が大きくなって、
見違えるような選手になると思うにゃ。
2023-24シーズン終盤に出てきてくれれば、
チームとしてはありがたいんじゃないかな。
全体1位より2位指名が話題に
ベダード以外の選手で、誰がドラフトクラスで最高の選手になれるかについて、意見が分かれます
NHLドラフト自体と同様、誰が1位かを議論する人はいませんでした。誰が2位になるか、ドラフトで2番目に優れた選手は誰か、それが議論を呼んだのです。
アナハイム・ダックスが指名する2番手になる可能性がある選手の話になると、レオ・カールソン、アダム・ファンティリ、マトヴェイ・ミチコフ、ウィル・スミスなどの名前が挙がりました。
ダックスはカールソンを指名し、ファンティリはコロンバス・ブルージャケッツの3位指名となっています。スミスはサンノゼ・シャークス指名で4位となり、ドラフトで最もミステリアスな選手と見られていたミチコフはフィラデルフィア・フライヤーズに7位で指名されました。
では、ベダード以外の選手で、クラス最高だったのは誰だと幹部は言うのでしょうか。
ある幹部は「いくつかのリストやドラフトのシミュレーションを見た限りで、カールソンは過小評価されている選手だと思ったね」と語りました。「彼はこのドラフトで2番目に良い選手だと思う。ホッケーのセンスがあり、頭が良く、氷の上をよく見ている。
派手ではないが、安定してプレーができる。彼の出た試合を見ると、あまり穴を感じなかった。私もファンティリを大好きだが、もし彼らをランク付けするとしたら、ファンティリよりもカールソンを優先するね」。
本物はロシアでプレーしている
別の幹部は、純粋な才能の観点から、答えはミチコフだと述べました。
2人目の幹部は、ミチコフの才能のレベルと、過去2年間の彼の実績がロシアでの記録更新を可能にしたと述べています。
「彼の仕事はゴールを決めることだ。だから、純粋な潜在的能力の観点から言えば、彼には、ほとんどの選手が持っていないような違いを生み出す選手になるチャンスがある、と思うんだ」と述べました。
では、もっと上位で指名される可能性があったにもかかわらず、ミチコフが7位になった理由について、2人目の幹部が何と言ったのでしょうか。
「どの組織も、リスクの計算方法が違うんだ」と2人目の幹部は説明しました。「他の組織が何を重視しているのか分からないので、やりがいはあるね。
結局のところ、選手の才能を評価し、リスクについても、(他の組織と差をつけるために)いろいろと別の角度から見なきゃいけないのさ。その選手を7位で獲得しても、それ以上の選手を7位で獲得することはできないよ」。—クラーク
ドラフト中継でも、通訳を通してのインタビューだったとはいえ、
にこやかな他の選手と違って、かなり緊張した様子だったにゃ。
でも、ガッチリした体格でパワーありそう。
評価は真っ二つ
ドラフト指名選手中、(少なくともトップ10選手の中から選ぶと)最も評価が二極化した選手は、マトヴェイ・ミチコフだったに違いありません。
私の調査した一握りの経営陣は、フィラデルフィアが全体で7番目に指名した候補について、信じられないほど肯定的なもの(ミチコフが話題を独り占めし、今年のドラフトクラスのスターになるかもしれない、等の意見)から、あまり熱心でないもの(疑問符が多すぎて、これほどの高い指名順を彼に使うのは気が引ける、等の意見)まで、さまざまな意見を持っていました。
この移籍がフィラデルフィアにとって何を意味するのか、あるメトロポリタン・ディビジョンの幹部は、それについて選手自身よりも重視しています。
ミチコフがKHLで2025-26シーズンまで契約していることを考えると、フライヤーズは何年も彼をラインナップに加えないかもしれません。それでもフィリーは、最高の選手を(少なくとも彼らの目には)選ぶことから引き下がりませんでした。
賛成派と反対派
「フロントが貪欲で焦ってくると、再建はいつも失敗するものだ。私たちはそれを何千回も見てきたよ」と述べています。
「もし(フィラデルフィアが)これ(再建)をとてもゆっくりとやってくれたら、ミチコフの件を考えればやってくれそうなことだが、そうであれば、焦って再建を行うよりも、実際に良くなる可能性の高まることがわかるだろう。その点で、彼らにとって正しい動きだ」と述べました。
反対派の立場では、
別のチーム幹部は「私ならやめるように忠告しただろう」と述べています。「その選手は才能がありますか。はい。可能性はありますか。もちろん。
しかし、もしトップ8内で指名するのであれば、その(有望な)選手に対する信頼度は限りなく100%に近いものでなければならない。いろいろな理由で、そこに(7位に)ミチコフを置きはしなかっただろう」。—シルトン
まとめ
愛するフライヤーズの最上位指名選手であることを差し引いても、ミチコフのプレーは、若手有望株のレベルに留まらないパワーと積極性を持っていると思います。今のフライヤーズに足りないのはまさにそれであって、彼の早めの合流を期待しています。
にしても、他のチーム関係者は辛口ですね。多少のやっかみがあるとはいえ、ベダードにしても、ミチコフにしても、その弱点をチクチクと突いてきます。とはいえ、さすが長年NHLに関わった人達の意見だけあって、否定できない説得力を持っています。
この若き2人の運命や、いかに。じっくり見守っていきましょう。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!