NHLスタンレーカップ勝利へ、守備的スペシャル・チームへの影響は?

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はじめに

 北米4大スポーツが日本のプロ・スポーツと決定的に違うのは、レギュラー・シーズンが「プレーオフに向けての予選」と見られているところです。よって、レギュラー・シーズンでのデータが、必ずしもプレーオフにそのまま受け継がれる訳ではなさそうです。

 今回は、アイスホッケーの試合で重要な要素となるパワープレー、ペナルティ・キリングの数値が両方高い方がいいのか、片方だけでいいのか、そして両方優れていなくてもいいのか、を考察します。

讃岐猫
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引用元:Yardbarker.com「Special teams have never been less important in building a Stanley Cup winner

スタンレーカップ優勝チームの特徴を分析しよう!

 NHLのトレードデッドラインまでに補強候補選手を獲得するのは、スタンレーカップ決勝に向けて、「レシピに欠かせない材料の買い物リスト」をチェックすればできてしまうほど、簡単ではありません。

 しかし、もしそうだったらどうでしょうか?

 過去数年間、デイリー・フェイスオフ1で、過去10シーズンのNHLをケーススタディの対象として使用し、スタンレーカップの優勝者の間で最も共通する特徴のリストを作成しました。私は7つを思いつきました。

 そしてリストは出来上がり、スタンレーカップへの「材料・必要成分シリーズ」が誕生しました。

 これまでのところ、チームの平均体重、トップ10のスコアラーが少なくとも1人いること、トップ10のゴールキーパーがいること、強力な分析力があることの相関要因を調査してきました。次に、ヘルメットをかぶって(?)、ペナルティキルの重要性について掘り下げます。

ペナルティ・キル成功率は影響度高いのか?

スタンレーカップに必要成分#5:ペナルティ・キリングの効率

 一般的なペナルティ・キリング用のスペシャル・チーム(守備能力の高い選手中心で構成された特別の5人)ではなく、ペナルティ・キリングのみに焦点を当てたことに注意してください。なぜパワープレーを軽視するのでしょうか?

 さて、最初にスタンレーカップの7つの重要な相関要因のリストを起草したとき、(リンク内で)支配的になれるパワープレーとプレーオフでの成功の間に関連性を見出すことができませんでした。

 (自チームの選手が)ペナルティ・ボックスに入れられたとき、(チームへの)ダメージを最小限に抑えることのほうが、パワープレーで相手にシュートを浴びせかけることよりも、はるかに重要なのです。

讃岐猫
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過去10年間のデータを見てみよう!

 とはいえ、私が1年前に実験を行ったとき、ペナルティ・キリングの相関関係さえも下降傾向にありました。10年間のチャンピオン・チームのサンプル・データを1年前倒しした場合、どうなるか見てみましょう。

シーズン チャンピオン ペナルティキル成功率
2013-14 ロサンゼルス  83.1%(11位)
2014-15 シカゴ     83.4%(10位)
2015-16 ピッツバーグ  84.4%(5位)
2016-17 ピッツバーグ  79.8%(20位)
2017-18 ワシントン   80.3%(15位)
2018-19 セントルイス  81.5%(9位)
2019-20 タンパベイ   81.4%(14位)
2020-21 タンパベイ   84.2%(4位)
2021-22 コロラド州   79.7%(15位)
2022-23 ベガス     77.4%(19位)

スタンレーカップとペナルティキルの相関関係:公平に見て弱体化

 おっと。今、試合中の守備への考え方が変わっていることを目の当たりにしています。過去7シーズンで5回、最終的にチャンピオンになったチームのペナルティキルは、レギュラーシーズン中にトップ10に入ることができませんでした。

 とはいえ、過去10シーズンでペナルティキルの順位において、ベガスはNHL上位半分にすら入らなかった2番目のチャンピオン・チームとなりました。スタンレーカップのチャンピオンは、PKを弱点としてプレーオフに臨むことはめったにありません。

 そして、本当に悪いペナルティキルというものは、依然として死の宣告なのです。PKランキングにおいて、NHLの下位3分の1にあるチームがスタンレーカップを獲得したのは、32年前のピッツバーグ・ペンギンズで、22チーム中15位でした(あまりランク下位だとダメ)。

 より重要なことは、チームが実際のポストシーズンで重要な場面で、物事を引き締める必要があるということでしょうか?いいえ。ゴールデンナイツは昨年のプレーオフで71.7%のPK成功率を記録し、16チーム中12位でした。

 その前年のコロラドは16チーム中7位のPK成功率を記録し、まずまずでした。

プレーオフ進出を目指すチームは、やっぱり良い成績じゃないと…

 現在の一般的な傾向では、(普段の)5人対5人のプレーの方が、(守備的な)スペシャルチームよりもスタンレーカップの成功を予測する要因になると言われています。とはいえ、パワープレーは相関関係として再び上昇傾向にあります。

 過去6チームのチャンピオンのうち、パワープレーがトップ5だったのは1チームだけでしたが、過去6チームのうち5チームはパワープレーでトップ10内でした。

 しかし、うまくPKをできないチームがまだ上位進出を望めないこともわかっているので、3月17日までの下位11クラブを見て、2023-24シーズンのリーダーボードがどうなるか見てみましょう。

ペナルティキル成功率の低いチーム、2023-24 NHLシーズン

22.シカゴ・ブラックホークス、77.7%
23.コロンバス・ブルージャケッツ、77.7%
24.トロント・メープルリーフス、76.8%
25.ナッシュビル・プレデターズ、76.3%
26.アリゾナ・コヨーテズ、76.0%
27.モントリオール・カナディアンズ、75.4%
28.ミネソタ・ワイルド、74.3%
29.サンノゼ・シャークス、74.2%
30.オタワ・セネターズ、73.5%
31.アナハイム・ダックス、73.1%
32.ニューヨーク・アイランダーズ、71.8%

 ほとんどの場合、PKリーダーボードの下位は、NHLドラフト抽選の指名順上位(=レギュラー・シーズン下位)のように見えますよね?下位にはシャークス、ブラックホークス、ダックスなどがひしめいています。

讃岐猫
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プレーオフ出ても大丈夫?要注意の3チーム

 しかし、プレーオフ進出を懸けている2チーム、リーフスとプレデターズは下位3分の1に沈んでいます。特にリーフスは、一昨年プレーオフを逃したプレデターズよりも期待値が高いだけに、懸念すべき数値です。

 リーフスGMブラッド・トレリビングによって、トレード・デッドラインまでに加わったコナー・デュワーは、今シーズンのリーグで最高のペナルティキリング・フォワードの一人であり、おそらく彼はチームをアップさせることができるでしょう。

 プレーオフ進出を懸けたアイルズ(アイランダーズ)は、パトリック・ロイがヘッドコーチに就任して以来、ほとんどの分野で改善されていますが、PKが彼らの悩みの種であることに変わりはない。

 NHL史上14チーム目、過去38年間で3チーム目となる、シーズン中のペナルティキル成功率が72パーセントを下回る勢いです。

まとめ

  最新のシーズン状況だと、トロントとナッシュビルは「データなんか関係ないぜ!」と言わんばかりに勝利を重ねているので、もうこの2チームは割り切っちゃっていて、「このままで行こう!」と試合のリズム重視なのかもしれません。

 この分析シリーズ、ユニークな記事なんですけど、全部お届けすると、クライマックスを迎えている本チャンのリーグ戦が後回しになってしまうので、今回と次回のみにさせていただきます。でも、こういうデータものは勉強になりますね。

讃岐猫
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【註釈】

  1. NHLスターティング・ゴールキーパー、ラインコンビネーション、NHLニュース、オピニオン、社説等の情報源。 ↩︎
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