はじめに
前回の記事「NHLスタンレーカップ勝利へ、守備的スペシャル・チームへの影響は?」の続編です。今回は守備とくれば、攻撃でしょう!ということで、スーパースター級のスコアラーがいないと、カップを頭上に掲げられないのか?を考えていきます。
派手な点取りプレーヤーがいれば、「戦術○○○(←選手名)」で、その選手に頼れば何とかしてくれるってパターンは当然あります。しかし、昨シーズンのチャンピオン、ベガス・ゴールデンナイツはそうでないチームでした。
ベガスのようなチームがベストなのか、はたまたそうでないのか、
みなさんはどう思われるかにゃ?アイスホッケーは5人でやるスポーツだから、
エースに集中させて、後の4人は守るってやり方も考えられなくはないが…。
引用元:Daily Faceoff.com「More often than not, you need a superstar scorer to win a Stanley Cup」
重視すべきは、スーパースター級のスコアラーか
パート1では、最近のシーズンの成功と非常に強い相関関係がある、チームの(選手の)体重について調べました(今回は取り上げていません(^人^))。次は、(チームに)エリート・スコアラーを持つことの重要性を評価します。最後(スタンレーカップ決勝)まで行くのに(スコアラーは)必要ですか?
昨シーズンのベガス・ゴールデンナイツはそうではありませんでした。しかし、彼らは異常だったのでしょうか?
ベガス・ゴールデンナイツは、本当に「異色なチーム」だったのか
スタンレーカップ成分#2:トップ10スコアラー
スタンレーカップのプレーオフでチームが敗退した際、「延長戦で相手を倒すために、ゲームブレーカーが必要だった」と言ったことが何度あったでしょうか。
チャンピオンは守備の規律とハートとゴールテンディングを必要としますが、あくまでも、ゲームの目的は他のチームよりも多くのゴールを決めることです。
したがって、スタンレーカップの脅威には、シドニー・クロスビー、パトリック・ケイン、ニキータ・クチェロフなど、決定的な瞬間に持っていけるエリート・スコアラーが必要であるのは当然のことです。
しかし、2022-23シーズンのゴールデンナイツは、レギュラーシーズンのポイント・ランキング75位以内に1人しか入っていません:ジャック・アイシェルは66試合で64ポイント、74位でした。
それでも、エドモントン・オイラーズ、ダラス・スターズ、フロリダ・パンサーズという、少なくとも1人は100ポイントを出したスコアラーを擁するチームを3チーム連続で撃退し、初優勝を果たしました。
ベガスは驚異的な得点力で勝利を収めました。しかし、歴史的に見ても、意のままに試合を支配できるスター選手がいれば、カップ戦で優勝する可能性は高いのでしょうか?
昨シーズンのベガスは、4〜5人のゴールテンダーを取っ替え引っ替え起用していたように、
総合力で勝負というか、総動員で闘っていたイメージあるにゃ。
そうやって、チーム全体の底上げをしていく方法も効果抜群だと思うんだけど…。
やっぱりトップ・スコアラーが1人いた方が…
過去10回の優勝チームのうち、NHLのレギュラーシーズン、ポイント・ランキングトップ10入りした選手が少なくとも1人はいたことを検証してみましょう。
「トップ10スコアラー」を定義するパラメータ:(a)チームがスタンレーカップで優勝した年に、ポイント部門でトップ10に入った選手。
または(b)1試合あたりの平均ポイントに基づいて、怪我がなければ、トップ10に入っていた可能性が高い選手で、プレーオフに間に合うように復帰した選手。後者はアスタリスクでマークされています。
シーズン チャンピオン トップ10のスコアラー
2013-14 ロサンゼルス 0
2014-15 シカゴ 1(ケイン*)
2015-16 ピッツバーグ 2(クロスビー、マルキン*)
2016-17 ピッツバーグ 2(クロスビー、マルキン*)
2017-18 ワシントン 0
2018-19 セントルイス 0
2019-20 タンパベイ 1(クチェロフ)
2020-21 タンパベイ 1(クチェロフ*)
2021-22 コロラド 1(マッキノン*)
2022-23 ベガス 0
スタンレーカップの相関:強い
昨シーズン、ベガスがその傾向に逆らうまで、スタンレーカップ優勝8チームのうち6チームが、少なくとも1人はトップ10スコアラーがいました。キャピタルズのアレックス・オベチキンは2017-18シーズンに11位だったので、ほぼ8チーム中7チームと言ってもいいのです。
したがって、委員会による評価を見ると、ベガスの成功が1年あったからといって、それが勝利への正しい道筋であると示している訳ではありません。
1試合で確実に1ポイント以上マークする選手がいれば…
2023-24シーズンのNHLのゴール・ランキングについて、40試合以上プレイした場合、1試合あたりのポイントでリストを並べ替えるとどうなるでしょうか?
2023-24シーズンのゴール・リーダー、1試合あたりのポイント(最低40試合出場)
1.ネイサン・マッキノン、COL、1.71
2.コナー・マクダビッド、EDM、1.69
3.ニキータ・クチェロフ、TB、1.67
4.デビッド・パストルナック、BOS、1.40
5.アルテミ・パナリン、NYR、1.34
6.ミッコ・ランタネン、COL、1.33
7.ウィリアム・ナイランダー、TOR、1.31
8.レオン・ドライサイトル、EDM、1.30
9.J.T.ミラー、VAN、1.29
10.オーストン・マシューズ、TOR、1.27
リストに載っているすべての選手がプレーオフ進出を争うだけでなく、アバランチ、オイラーズ、メープルリーフスの3つの進出候補チームは、トップ10に複数の選手が入っています。
ゴールデンナイツは再びトップ10外から中を覗き込んでいます(誰も入っていない)。1試合あたりのポイント獲得でmこのチームのトップは、1.09で22位にランクされたアイチェルです。
昨シーズン、ハリケーンズがゲームブレーカーを欠いていると非難しました。今年の1試合あたりのポイント王は20位のセバスチャン・アホですが、注目すべきは、トレード・デッドラインで獲得したジェイク・グンツェル(ピッツバーグ・ペンギンズから移籍)がトップ30に名を連ねていることです。
ウィニペグ・ジェッツ、デトロイト・レッドウィングス、ロサンゼルス・キングスといったプレーオフ進出候補には目立った欠点があります。今シーズン、いずれも1試合あたり1ポイント以上を挙げた選手がいないこと(平均1.00以下の選手ばかり)です。
まとめ
ウィニペグ・デトロイト・ロサンゼルスの3チーム、どちらかというと、攻撃力の高いチームと思っていました。今回のデータを見る限り、飛び抜けた点取り屋無しでも、どうにか勝ち点を稼げるんだな、ということが分かります。
ただ、ここ一番で勝ちたい時、絶対的エースがいないと、ちょっと白星どうかな?って感じになるチームでもあるのでしょう。
記事の冒頭、この分析シリーズは「チームの選手の体重」についても言及していると書いたのですが、正直、関係あんのかな…という気がしないでもないです。こういうデータ物はお遊び的な部分もあるので、「まあ、そういう見方もあるんだ」位の感じで捉えてくださいね。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!