はじめに
NHLに第33番目となる新チーム誕生の動きが高まっています🏒本拠地候補として浮上しているのが、テキサス州のヒューストンとオースティンです。
今回主導するのは、119億ドル(約1兆7000億円)の純資産を持つ大富豪ダン・フリードキン氏です✨12月の最終決定に向け、なぜ今回の誘致が過去最大級のチャンスと言えるのか、その背景や進捗状況を詳しく解説していきます!
参照記事:Houston Chronicle「Why Houston’s bid for an NHL expansion team is different behind Dan Friedkin’s ‘persistent approach’」
ヒューストンに待望のNHLチーム誕生か?過去最大のチャンス到来!
ヒューストンに待望のNHLチームをもたらすキーマンは、現在沈黙を守っています🤫
しかし、億万長者のダン・フリードキン氏が、NHLの第33番目のフランチャイズの本拠地をヒューストンにするかオースティンにするかを決める中で、何十年も続いてきたヒューストンのNHLチーム誘致の歴史において、今回の取り組みが過去のものとは比べものにならないほど順調に進展しています。
これまでアリーナ問題やオーナー不足(より正確には「存在しなかったこと」)、政治的対立などが重なり、ヒューストンは北米でNHLチームがない最大の都市でした。
ヒューストンでは1994年創設の新しいエアロズがAHLなどで活動し、2013年までプロホッケーが存在していたのです。
※ヒューストンが全米第4位の巨大都市でありながら、NHLのチームを獲得・保持できなかった歴史的要因
1. アリーナ問題(アリーナの利権・契約と独占条項)
トヨタ・センターの運営権と収益分配:
ヒューストンにある主要アリーナ「トヨタ・センター」は、NBAヒューストン・ロケッツの運営企業(並びにその歴代オーナー)が管理権および運用権を握っている。
NHLチームが他オーナーの手でこのアリーナに入居しようとしても、収益性(スイートルーム売上、アリーナ内の飲食・物販収益、駐車料金など)の分配において、主たるテナントであるロケッツ側に有利な条件が設定されていた。
そのため、NHLチームの単独オーナーとして独立した採算を合わせることが極めて難しかった。
競合アリーナ建設の法的制限:
トヨタ・センターの開設に際し、市およびロケッツ側が結んだ借地・建設契約には「ダウンタウン近郊において、同様の多目的競合アリーナの建設制限・独占権」に関する条項が含まれていた。このため、別のオーナーが「自前のNHL用アリーナを市内に新設する」という選択肢を取ることが事実上困難であった。
マイナーリーグ(エアロズ)の撤退劇:
2013年までAHLの「ヒューストン・エアロズ」が、トヨタ・センターをホームとして活動していた。しかし、当時のロケッツのオーナー(レスリー・アレキサンダー)から提示された賃貸料の不当な引き上げ(一説には従来の数倍規模)に応じきれず、チームはアイオワ州へ移転を余儀なくされた。
この「賃貸料問題によるエアロズの追い出し」が、ヒューストンからプロホッケーの灯を消した象徴的な出来事となった。
2. オーナー不足
他者の参入を許さない「ロケッツ・オーナーの独占方針」:
ここでいう「存在しなかった」とは、単に資産家が居なかったという意味ではない。「NHLチームを取得してトヨタ・センターで自ら運営する意向を持った資産家」が事実上、ロケッツの歴代オーナー(レスリー・アレキサンダー、および2017年以降のティルマン・フェルティータ)のみに限定されていた状態を指す。
外部オーナーの排除と買収の不成立:
1990年代後半、レスリー・アレキサンダーはNHLエドモントン・オイラーズの買収・ヒューストン移転を試みたが、不成立に終わった。それ以降、アレキサンダーは「自身がNHLチームを所有しない限り、他人が所有するNHLチームを自身のアリーナ(トヨタ・センター)でプレイさせる気はない」という極めて強硬な姿勢を貫いた。
結果として、外部の裕福な実業家がNHLチームをヒューストンに誘致しようとしても、使用できる適切なアリーナが存在しない(貸してもらえない)ため、参入主体として成立しえない状況が長年続いた。
3. 政治的対立(自治体・公共資金・市民投票を巡る対立)
新アリーナ建設を巡る市議会と市民の反発:
1990年代、当時の旧ホームアリーナ(ザ・サミット)の老朽化と利権を巡り、ロケッツ側と市幹部・行政との間で激しい対立が生じた。1999年には新アリーナ建設のための公金投入(ホテル税やレンタカー税の充当)を問う住民投票が行われたが、一度は否決された。
税金投入に対する反感とスポーツインフラ優先順位:
ヒューストンでは、NFLのテキサンズのための新スタジアム(NRGスタジアム)や、MLBのアストロズのための球場建設においても、膨大な公共資金が投入されており、「なぜ億万長者のオーナーのために市民の税金でさらに別の室内アリーナを建てるのか」という政治的・市民的反発が非常に強かった。
市議会での政争や公金使用を巡る合意形成の難航が、ホッケー専用または両用アリーナの迅速な整備・NHL誘致に向けた、一体となった動きを長年にわたり阻害した。
しかし今、ヒューストンを拠点とするフリードキン・グループの会長兼CEOであるフリードキン氏が主導し、状況は大きく変わりつつあります。彼はイタリア・セリエAのサッカークラブASローマや、イングランド・プレミアリーグのエヴァートン、さらにガルフ・ステーツ・トヨタなどを傘下に持つ人物です。
※ガルフ・ステーツ・トヨタ(Gulf States Toyota Distributors, Inc. / GST)
1. 概要とビジネスモデル
全米に2社しかない「トヨタ独立系代理店」:
ガルフ・ステーツ・トヨタ(GST)は、トヨタ自動車(Toyota Motor Sales, U.S.A.)からフランチャイズ権を取得し、特定地域におけるトヨタ車および純正部品・アクセサリの流通・卸売・マーケティングを一手に担う民間代理店である。
通常、米国における自動車販売は自動車メーカーの直営・直轄子会社が全米のディーラーネットワークへ供給するが、歴史的経緯から米国には例外的に2社のみ独立系ディストリビューターが存在する。GSTはそのうちの1社である。
管轄エリア:
テキサス州、オクラホマ州、アーカンソー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州の米国南部5州を担当している。同エリア内の150社以上のトヨタ加盟ディーラーネットワークへ車両や部品を供給している。
2. フリードキン・グループとの関係
同グループの核となる巨大中核事業:
GSTは、フリードキン氏が率いる多国籍企業グループ「ザ・フリードキン・グループ(The Friedkin Group)」の、最大の収益源および中核資産である。同グループの年間売上高(80億~110億ドル規模)の大部分を、GSTの自動車流通事業が叩き出している。
3. 設立の歴史と規模感
創業者と設立の経緯:
1969年、フリードキン氏の父である実業家・レーサーのトーマス・H・フリードキン(Tom Friedkin)氏によって、テキサス州ヒューストンで設立された。伝説的レーサーのキャロル・シェルビー(Carroll Shelby)氏からトヨタの流通権に関する情報を提供されたトーマス氏が日本へ飛び、交渉の末にディストリビューター契約を獲得したとされる。
巨大な全米民営企業:
ヒューストンのエナジー・コリドー地区に、広大な本社キャンパスおよび大型車両加工センター(Vehicle Processing Center)を構える。米フォーブス誌が発表する「アメリカの巨大非上場企業ランキング(America’s Largest Private Companies)」でも常に上位にランクインする、全米有数の非公開大手企業である。
現在、フリードキン氏がテキサス州に2つ目のNHLチームを誕生させる独占的な権利を持ち、本拠地の候補地として、ヒューストンとオースティンの2都市が審査されています🏒最終決定は12月に下される見込みとなっており、長年の悲願達成に向けて大きな期待が高まっています!
※フリードキン氏が、新設フランチャイズ獲得に関して「独占的な権利」を有している背景と理由
1. NHL機構(ボード・オブ・ガバナーズ)との正式な協定締結
契約の合意:
2026年6月、NHLのコミッショナーおよび理事会は、フリードキン氏傘下のスポーツ事業プラットフォーム「パーシュート・スポーツ(Pursuit Sports)」との間で、テキサス州(ヒューストンまたはオースティン)への新チーム設置に関する評価・交渉の「独占的合意」を結んだことを公式発表した。
他投資家・他都市の排除:
この合意により、NHL機構はテキサス州における第2の新チーム創設に関して、一定期間(6か月間の本格評価期間など)、フリードキン氏以外の投資家グループや競合する買収提案を受け付けない契約上のフレームワークを確立した。
2. 巨額の投資・財政能力(約35億ドルのプロジェクト規模)
破格の資本力:
フリードキン氏の資産規模(総資産約110億ドル超)に加え、新チーム獲得に伴う拡張手数料(Expansion Fee:推定20億ドル規模)および新アリーナ建設費用を含めた「総額約35億ドル(約5,000億円超)」の巨大投資を、自己単独(あるいは自グループ主体)でまかなえる極めて稀有な財力と意志を有している。
アリーナ問題の完全自力解決:
ヒューストンおよびオースティン双方において最大の問題であった「ホッケー適合型アリーナの不在」に対し、自前で新アリーナを建設するスキームを提示したことで、過去の利権対立(既存アリーナの賃料問題等)を完全に回避できる公算が立った。
3. 2年以上に及ぶ個別交渉と信頼関係の構築
長期にわたる水面下の直接交渉:
NHLとフリードキン陣営は、公表される前の約2年間にわたり協議を重ねてきた。他都市(アトランタやアリゾナなど)の拡大構想と比較しても、フリードキン氏との交渉が最も具体的かつ進展した段階にあったため、優先的・独占的な権利が与えられるに至った。
欧州スポーツクラブ運営の実績(トラックレコード):
すでにイタリア・セリエAの「ASローマ」や英プレミアリーグの「エヴァートンFC」などの有名スポーツクラブを所有・運営しており、大規模スポーツ事業のプロフェッショナルな運営主体としてNHL機構から極めて高い信用を獲得している。
過去の候補者とは一線を画すフリードキンの「規格外の財力と本気度」
NHLコミッショナーのゲイリー・ベットマンが、テキサスでの拡張計画の検討を発表してから約2か月が経過していますが、フリードキン家のスポーツ関連資産を管理する会社、Pursuit Sportsの広報担当者は、交渉がどの程度進んでいるのか尋ねられた際、コメントを控えています。
※注釈:Pursuit Sportsについて
フリードキン・グループが所有するプロスポーツ関連資産を、一元的に管理・運営するために設立した専門プラットフォーム(スポーツ持株会社)である。
組織の概要と設立経緯:2025年7月に正式発足が発表された。最高経営責任者(CEO)には元フェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)役員のデイブ・ビーストン(Dave Beeston)が就任し、一族のトップであるダン・フリードキンが会長を務めている。
主な所有資産(スポーツクラブ):
エヴァートンFC(Everton F.C.):英プレミアリーグ所属。2024年12月に買収。
ASローマ(A.S. Roma):伊セリエA所属。2020年8月に買収。
ASカンヌ(A.S. Cannes):仏サッカークラブ。2023年6月に買収。
北米スポーツへの進出の動き:欧州サッカークラブを中心としたマルチクラブ・オーナーシップを展開する一方で、本拠地であるテキサス州ヒューストンでのNHL参入計画や、NBAボストン・セルティックスの買収入札への参加など、北米主要プロスポーツリーグへの進出・事業拡大を精力的に模索している。
しかし、ベットマンの長年の右腕であるNHL副コミッショナーのビル・デイリーは、フリードキンが過去の誘致候補者とは異なる状況をもたらしていると語り、彼らに強い期待を寄せています💬
フォーブスによれば、119億ドル(約1兆7000億円)という巨額の純資産を持つフリードキン氏の存在は、拡張計画の大きな助けとなっています。
ヒューストン・クロニクル紙に対し、デイリーは、ヒューストンでのチーム設立における最大の鍵を「適切な競技会場の確保」だと指摘します🏢
フリードキン・グループは、チームにふさわしい施設を見つけ整備する意思を明確に持っており、この課題に真正面から取り組む初の存在となっています。
さらに同氏は、これまでもヒューストン進出に関心を示す候補者は複数いたものの、フリードキン家は誰よりも強い熱意を持って取り組んでいると評価しています🔥彼らの準備姿勢や提案内容に対して、リーグ側も大きな信頼を寄せているのです。🏒
こちらは1970年代中盤に存在したヒューストン・エアロズの映像。もし、33番目のチームが誕生したら、どんなチーム名になるんだろ。
2029-30シーズンの参入を目指す今後のスケジュール
ベットマンは、拡張費用と新アリーナ建設費の総額を35億ドルと示しています💰デイリーは詳細については明らかにしなかったものの、「アリーナ候補地についてはいくつかの案がある」とし、順調に進めば、拡張チームは2029-30シーズンから参入する見通しです。
来月にはフリードキン・グループからさらに具体的な説明が行われる予定ですが、9月下旬の理事会(Board of Governors)でのプレゼンテーションは時期尚早とされています🗓️
また、NHLがヒューストンとオースティンを審査する際の役割について、デイリーは、単なる「助言と承認」という範囲を少し超えた「より積極的な関与」だと表現しました。ただし、両都市にNHL関係者が常駐して調査を行っているわけではありません。
【讃岐猫🐱の深堀りコラム】35億ドル市場と「2029-30シーズン参入」の現実味――リーグ主導型テキサス開拓の舞台裏
NHLの第33番目のフランチャイズ獲得を目指す、ダン・フリードキン率いるフリードキン・グループの参入計画において、副コミッショナーのビル・デイリーが示唆した「2029-30シーズンからの参入」というタイムラインは、北米スポーツビジネスの専門家やメディアの間で概ね「極めて現実的かつ計画的」と評価されている。
願望ではなく、新アリーナ建設を含む包括的な都市開発プロセスを逆算した設定だからである。
35億ドル(約5,000億円以上)という前代未聞の総額(拡張費用+新アリーナ建設費)が示される中、北米有力ホッケーメディアの解説者が着目しているのは、リーグ側が従来の「公募・選定」方式を捨て、特定の投資家グループとの「直接・一括交渉(ワンオフ型)」へシフトした点だ。
かつてのラスベガス(ベガス・ゴールデンナイツ)やシアトル(シアトル・クラーケン)の参入プロセスでは、複数の都市やオーナー候補が招致合戦を繰り広げた。しかし今回のテキサス進出において、NHLはフリードキン・グループに対して独占的な調査・交渉権限限を与えている。
デイリー副コミッショナーが語った「助言と承認を超えた積極的な関与」という表現について、スポーツジャーナリストらは「リーグ自らが収益の最大化を目指し、地政学的なマーケット開拓を主導している証拠」と分析する。
全米第6位の巨大メディア市場を誇るヒューストンと、急成長を遂げるテック都市オースティンの双方を比較審査するアプローチは、単に既存アリーナへの居抜き入居を狙うのではなく、新アリーナ建設を前提とした土地選定や市当局との交渉に、NHL本部のノウハウを直接注入していることを意味する。
新アリーナ建設にかかる平均的な期間は、土地買収から開業まで約3~4年を要する。2026年後半に予定されている最終選定決定を経て、着工へ向かうスケジュールを鑑みれば、2029-30シーズン開幕というタイムラインはロジスティクス上、完璧に合致する。
9月の理事会でのプレゼンを見送り、さらなる精査期間を置く慎重な姿勢も、参入時期の遅れを意味するのではなく、35億ドル規模の事業を破綻させないための、綿密なデューデリジェンス(適格性評価)プロセスの一環であるとの見方が有力だ。
かつてマイナーリーグのエアロズ撤退以来、プロホッケーの真空地帯となっていたヒューストン、あるいは新鋭のオースティンへの進出は、ダラス・スターズとのテキサス・ダービーを生み出し、サンベルト市場におけるNHLの収益構造をさらに強固なものとするはずだ。
2029-30シーズンの氷上に新たな歴史が刻まれる可能性は、極めて高いと言える。
出典:
Daily Faceoff, “Gary Bettman: $3.5 billion for investment fee, arena build if Houston or Austin NHL expansion happens“, June 23, 2026
NHL.com, “NHL exploring Texas expansion opportunities in Houston, Austin“, June 23, 2026
KERA News / Texas Standard, “Will Houston or Austin land the NHL’s next team?“, August 20, 2026
リーグ関係者は長年にわたり両都市を訪れており、どちらも馴染みのある市場です⛸️しかし、最終決定まで残り4か月となった現在でも、解決すべき疑問はまだ多く残されています。

なんか土壇場で「チームを増やすの、やーめた!」って、誰かが言いそうな予感するんだよにゃ。どんな世界にでも妬み嫉みはあるもんで。莫大な資産を持つフリードキン・グループの足を単独で引っ張るのは難しいけど、資産家達がグループを組んだらどうなるだろう。あるいは有ること無いことゴシップネタを撒き散らして、世間の印象を悪くするって方法もある。逆に言えば、そんな競争が生まれても旨味を感じるくらい、NHLに資産投入の価値ありと見てくれればいいんだけど。
ヒューストンか、それともオースティンか?双方の動向と本命のゆくえ
ヒューストンがNHL拡張の本命なのでしょうか?🎙️7月下旬、デイリーは、ボストンを拠点に活動するベテラン記者ジミー・マーフィーと、元NHLコーチ兼ゼネラルマネージャーで長年テレビ解説者を務めるピエール・マグワイアが司会を務める「The Sick Podcast」に出演しました。
注釈:The Sick Podcastについて
1. 概要
モントリオールを拠点とするスポーツメディアネットワーク「Sick Media Network」が運営・配信している、北米のスポーツ専門ポッドキャスト番組(ならびに同ネットワーク内の番組群)である。NHLやNFL、NBAなどの最新ニュースやチーム分析、内部情報、業界関係者のインタビューを中心にコンテンツを提供している。
2. ピエール・マグワイアとジミー・マーフィーの番組
引用された記事内で言及されているのは、同ネットワーク内で両名が司会を務める番組『The Sick Podcast – The Eye Test』である。
ピエール・マグワイア(Pierre McGuire):元NHLヘッドコーチ、ゼネラルマネージャー(GM)、スカウトとしての豊富な現場経験を持ち、長年にわたりNBCなどの大手ネットワークでテレビ解説者(アナリスト)を務めたホッケー界の重鎮。
ジミー・マーフィー(Jimmy Murphy):ボストン・ブルーインズやNHL全般、NCAAなどを20年以上にわたって取材してきた、ボストン拠点のベテラン・ホッケー記者・ジャーナリスト。
3. 番組の特徴と専門性
NHLの球団幹部、現役・元選手、スカウト、有名ジャーナリストなどをゲストに招き、戦術面や組織運営、移籍市場、さらにはヒューストンなどにおける「NHLの拡張(エクスパンション)計画」といったリーグ全体の情勢について、深掘りした論議を展開する点に強みがある。
公式のテレビ放送では扱えないような内部事情や専門的な知見(Eye Test:現場の目による評価)を、ライブ配信やアーカイブで届けるメディアとして、ホッケーファンの間で定着している。
The Sick Podcast – The Eye Test
このYouTubeチャンネルは、元NHLコーチのピエール・マグワイアと記者のジミー・マーフィーが司会を務める『The Sick Podcast – The Eye Test』の公式配信プラットフォームであり、ホッケー界の著名ゲストを招いたインタビューや最新情勢の分析動画を直接視聴できるため、選定した。
リーグのオーナー陣は主にヒューストンでの新チーム設立に関心を持っている、と明かしています。一方で、急速に成長する魅力的な都市オースティンも評価対象として考慮されていると語りました。
本命かどうかについて明確な明言は避けたものの、リーグはフリードキン・グループと話し合い、「現在の状況をどのように見ているのかを理解する必要がある」と答えています。そう言いながらも、フリードキン・グループと最初に接触した際、議論の中心はヒューストンだったとしています🤝
テキサス州は広大であり、NHLチームを受け入れる能力を持つ都市はいくつもあります。リーグにとって何が最善かを考慮しながら、各市場のメリット・デメリットを個別に判断していく姿勢を示しました。
一方、オースティンでの動きも着実に進んでいます🏢今週、Pursuit Sportsがオースティンでオフィスを借り、市当局者との協議を開始したと報じられました。これはフリードキン・グループが一方に偏らず、両市場の調査を慎重かつ精力的に進めている証拠と言えます。
どちらの都市が選ばれるにしても、テキサス州へのチーム進出は、ホッケー界にとって大きな転機となります✨
市場規模、選手人気、地理的要因……ヒューストン優勢を示す決定的根拠
ヒューストンは、NHLの需要に合致するさまざまな要素を持つため、有力候補に見えます📺全米第6位のメガTV市場(オースティンは第32位)であり、1993年の移転以来、ポツンと存在していたダラス・スターズにとって待望の地理的ライバルとなります。
注釈:「全米第6位のメガTV市場(オースティンは第32位)」について
1. 「TV市場」の定義
米国における「TV市場」とは、調査会社ニールセン(Nielsen)が設定する地域単位「DMA(Designated Market Area:特定市場地域)」の世帯規模順位を指す。市の人口ではなく、その都市圏でテレビ放送を視聴可能な「テレビ保有世帯数」を基準にランキング化されている。
プロスポーツリーグが新規参入(拡張)や球団移転を検討する際、地元の放映権料収入やスポンサー収入を大きく左右する指標として最重要視される。
2. 順位の背景と数字の比較
ヒューストン(全米第6位):ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、ダラス・フォートワース、フィラデルフィアに次ぐ巨大家庭数(約280万世帯)を抱えるメガ市場である。北米4大プロスポーツのうち、NFL(テキサンズ)、MLB(アストロズ)、NBA(ロケッツ)がすでに定着しており、NHLだけが存在しない全米最大の未開拓市場となっている。
オースティン(全米第32~34位):テキサス州の州都であり、近年IT企業の進出等で人口急増を見せているものの、テレビ市場規模としては約100万世帯レベルの中規模市場にとどまる。
3. NHL拡張論脈における意味
テキサス州内でのNHL参入候補地を比較する際、市場規模の差は放映権ビジネスにおいて決定的となる。記事内では「オースティン等と比較しても、全米トップクラスの放送視聴者を一気に獲得できるヒューストンこそが、リーグや放映権パートナーにとって商業的価値の高い本命候補である」という論拠として提示されている。
昨季『The Athletic』がリーグ全体の選手を対象に実施したアンケートでも、圧倒的多数が新チーム設立先としてヒューストンを選びました🏒州所得税がない点も選手人気の要因とみられますが、現場からも強い支持を集めています。
ヒューストンでは、マイナーリーグのエアロズが2013年にアイオワ州デモインへ移転して以来、プロチームが不在となっています。しかし、長年ホッケー界に携わる関係者の間でも、同地への進出を支持する声で意見がほぼ一致しています🤝
注釈:マイナーリーグのエアロズについて
1. 概要と球団史
「ヒューストン・エアロズ(Houston Aeros)」は、かつてテキサス州ヒューストンを拠点に活動していたプロアイスホッケーチームである。
歴史的には2つの時代に大別される。
初代(1972年~1978年):NHLのライバルリーグであったWHA(ワールド・ホッケー・アソシエーション)に所属。アイスホッケー界の伝説的選手ゴディ・ハウ(Gordie Howe)らが在籍し、2度の優勝を果たすなど人気を博した。
2代目(1994年~2013年):引用部分が指しているのはこちらのマイナーリーグ・チームである。1994年にIHL(国際ホッケーリーグ)の拡張チームとして発足し、2001年のIHL解散に伴い、NHLの傘下マイナーリーグであるAHL(アメリカン・ホッケー・リーグ)へ移籍した。
2. チームの位置付けと実績
AHL加入以降は、NHLミネソタ・ワイルドの最主要下部組織(トップファーム/育成指名選手がプレーするチーム)として機能した。
1999年にIHLでターナー・カップ(リーグ優勝)を獲得したほか、2003年にはAHLで最高峰の栄誉とされるカルダー・カップ優勝を達成している。観客動員数もAHL内で上位(1試合平均6,000~7,000人規模)に位置し、地元ヒューストンで着実なファンベースを築いていた。
3. 2013年の移転経緯
2013年にアイオワ州デモインへ移転し「アイオワ・ワイルド(Iowa Wild)」へと改称されたことで、ヒューストンから撤退した。
移転の主因は成績不振や集客不足ではなく、ホームアリーナである「トヨタ・センター」の賃貸契約(リース契約)更新を巡る条件不一致である。アリーナの管理権限を持つNBAヒューストン・ロケッツ側(当時の所有者レス・アレキサンダー)から大幅な賃料引き上げなどを求められた結果、親会社であるミネソタ・ワイルド側が契約更新を断念し、移転を決定した。
4. 文脈上の意味
エアロズが去った2013年以降、全米第6位のTV市場規模を持つヒューストンには、プロアイスホッケーチームが1つも存在しない状態(空白地帯)が続いている。しかし、エアロズ時代の動員実績や潜在的なファン層の存在から、「ヒューストンはマイナーリーグで十分なホッケー需要を証明していたため、NHLのチームを置いても十分に成功する」という主張の根拠として言及されている。
元NHLチーム社長、ゼネラルマネージャー、コーチを務め、カナダで長年テレビ解説者として活動してきたダグ・マクリーン氏も「単純に、非常に理にかなっていると思います。素晴らしい市場ですし、テレビ市場としても大きい。私が聞いている限りでは、彼らはこの計画を支える非常によく組織されたグループのようです。
これはあくまで私自身の意見ですが、チームを置く場所として理想的だと思います。もし選択肢があるなら、彼らがヒューストンを選ばないということは考えにくいですね」と語ります👍強力な経営組織と優れた条件が揃う同市は、まさに本命と言える存在です!
まとめ
テキサス州へのNHL進出計画は、2029-30シーズンの参入に向けて着々と審査が進められています🗓️成長著しいオースティンも魅力的ですが、市場規模や現場からの支持を考えるとヒューストンが有力視されています。
しかし、検討すべき要素はこれだけではありません。後編では「オースティンかヒューストンか」という市場比較のほか、既存スポーツとの競合など、さらに踏み込んだ分析を取り上げます🏒ぜひ次回の記事もあわせてお読みください!

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

