NHLコミッショナーに質問してみよう!ユニークな答え連発!?

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はじめに 

 12月もあっという間に半分が過ぎてしまい、年賀状やら大掃除やらで、「師走」とは言わないまでも「師が早歩き」といった感じです。今年はNHLだけでなく、NFLやNBAもよく見たし、その反面、日本のスポーツ事情に疎すぎるくらい疎かったです^^;。 

 NFLはそろそろレギュラー・シーズンのクライマックスを迎えようとしていますが、NHLはまだまだどうなるか予想もつきません。そんな中、NHLのコミッショナーが、いくつかユニークな発言をしてくれています。どれも奥歯に物が挟まったような言い回しでした。 

 32チームもあるのに、まだチーム数を増やすのか?ホーム・アリーナ移転チームは、アリゾナ以外に出てくるのか?海外のリーグからNHLに参加するチーム?NBAのように、シーズン中にカップ戦をやる?どれも実現しなさそうな、いや、しそうな雰囲気です。 

讃岐猫
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引用元:NHL.com「 Bettman talks Stadium Series concert, international play on ESPN’s ‘SportsCenter’ 」。

NHLの試合でコンサート?

 NHLコミッショナーのゲイリー・ベットマンは、12月12日(火曜日)、ESPNのスタジオで、いくつかのテーマ、特にアリーナ、エクスパンション(チーム数の拡張)、シーズン中のトーナメントについて話しました。

 ベットマンはまた、水曜日にABCの「グッド・モーニング・アメリカ1」で行われる発表を予告しています。

 (来年)2月17日、ニュージャージー州イースト・ラザフォードのメットライフ・スタジアムで行われる2024年海軍連邦信用組合NHLスタジアム・シリーズ2で、フィラデルフィア・フライヤーズがニュージャージー・デビルズと対戦前、コンサートが開催されるようです。

 シカゴ・ブラックホークスvs.エドモントン・オイラーズの中継の最初の休憩時間中、ベットマンは、「『グッド・モーニング・アメリカ』にチャンネルを合わせれば、それが誰なのか(アーティスト名)について、アナウンスが表示されるだろう」と語りました。

 「今は言わないよ」。

讃岐猫
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NHLのどのチームがホーム移転を考えているのか?

 火曜日のESPNで最もニュースになったのは、デトロイト・レッドウィングスvs.セントルイス・ブルーズ戦の2回目の休憩中、「#AsktheCommish」(コミッショナーに聞いてみよう!くらいの意味)コーナーで放送されたものです。

 セントルイスについて、ファンがX(旧Twitterとして知られていた)を介して、チームがホームタウンを移転するのではないか、と質問しました。

 このファンは、アリゾナ州テンピのマレット・アリーナで一時的にプレーしていて、フェニックス地区で新天地を探しているアリゾナ・コヨーテズについて言及しています。

 ベットマンは、ワシントンのキャピタル・ワン・アリーナでプレーするワシントン・キャピタルズを例に挙げ、(今はそこでプレーしているが、)バージニア州アレクサンドリアが別の選択肢(新しいホームタウン)となるかもしれない、と言いました。

 「誰も動かないよ」とベットマンは語っています。「今の(各チームの)フランチャイズ所在地が気に入っている。ワシントンが既存のアリーナから34マイル離れたバージニアに来るよう頼まれている、という噂のあることは知っている。それだけさ。

 それは新しいテクノロジーや新しい体験、そして非常に特別なものを取り入れた、新時代の信じられないほど先進的なファン体験をする、素晴らしい機会になるかもしれないね」。

 あるファンから、この10年間で、さらにチーム数拡大の可能性について質問がありました。ベガス・ゴールデンナイツは2017-18シーズン、シアトル・クラーケンは2021-22シーズンからプレーを開始しています。

 「アトランタ、ケベックシティ、ヒューストン、ソルトレイクシティなどの場所から、多くの関心が寄せられています」とベットマンは語りました。「それは、私たちの重視していることではないよ。今の32チームはいいところにいると思う。今いる場所が気に入っているんだ。

 何事にも〈絶対に〉とは言えないよ。最終的には(NHL理事会の)決定なんだ。しかし、少なくとも現時点では、チーム拡大プロセスの途中ではないし、それを開始することに興味もないよ」。

讃岐猫
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シーズン中のトーナメント実施は考えているが…

 『スポーツセンター4』で、NBAが今シーズンにスタートさせたような、シーズン中のトーナメントをNHLが検討するかどうか、ベットマンは尋ねられました。

 「他のリーグがやっていることの長所と短所について、コメントするつもりはないね」とベットマンは語っています。「我々はレギュラーシーズン(の方式を)を気に入っている。

NBAのような方式じゃない

 各チームは、今でもプレーオフに出場しているような気分で戦っている。しかし、将来を見据えて、我々がシーズン中に(トーナメントを)行うとなると、少し他と異なるかもしれないが、ベスト・オン・ベスト5の国際大会になるかもしれない」。

 「最終的には、隔年でオリンピックやワールドカップを開催するところまで行きたい。なぜなら、我々には国際競技の素晴らしい伝統があり、選手たちは自分の国を代表することが大好きだからね。

 私はこう考えているんだ、我々にとってレギュラーシーズンを少し変えるということは、そのような形を取るべきであり、レギュラーシーズンをいじくり回すつもりはない」。

 レッドウィングスvs.ブルーズの放送の最初の休憩時間中、ベットマンは、NHLはおそらく来シーズン、2026年のミラノ・コルチナ五輪を目標に「4カ国招待」を、その2年後にワールドカップをそれぞれ開催し、さらにそのサイクルを続けるだろうと語りました。

 「それをシーズン中に行うつもりであり、それが我々のシーズン中のトーナメントとなるだろう」とベットマンは語っています。

 12月5日、シアトルで開催されたNHL理事会で、同氏は来シーズンのトーナメント参加国はカナダ、フィンランド、スウェーデン、米国の4カ国になると示唆しましたが、最終確認はしませんでした。

讃岐猫
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他国のプロ・チームがNHLに参加?

 ESPNのアナリストで、元NHLディフェンスマンのP.K.スバン6は、NHLの国際的な拡大について尋ねています。

 「我々のスケジュールに基づくと、それは現実的ではない」とベットマンは語りました。「(NFLのように)週に1回プレーするのであれば、チームをヨーロッパに行き来させることができる。

 しかし、我々にとってより大きな問題は、北米の4つの主要なスポーツの中で、NHLが最も国際的に拠点を置いており、特に最も身近に感じている地域・北欧には、既存のスポーツ・ホッケー・インフラが存在することです。

 我々がやって来て彼らと戦ったとしても、7スウェーデン・リーグやフィンランド・リーグなどのリーグがどれほど喜んでくれるかはわからない」。

 NHLは「NHLグローバル・シリーズ」として海外で(NHLのチーム同士が)対戦し、(各国の)試合のレベル向上に貢献しています。

 「我々はスウェーデン、フィンランド、チェコなどの場所で、世界クラスの選手の育成を奨励し続けたいと考えている。そのため、当面は(国際的な拡大が)確実に起こるとは考えていない」とベットマンは語りました。

 「ホッケーを世界中で成長させるために協力したい、と考えています。それぞれの国で非常に強い既存のリーグと戦いたくはないんだ」。

まとめ

 アイスホッケーの場合、五輪やW杯が通常形態(具体的に言えば、KHLを擁するロシアの参加)で開催されないと、一般へのアピール度がぐっと下がります。見通しのつかない現状を打破するべく、NHLに他国リーグのチームを加えるという、何とも微妙な案が出たのでしょう。

 もう一つ別な展開として、シーズン中に他国とのカップ戦を入れていく案ですが、サッカーの代表戦がヒントになっているのかもしれません。NHLの姿勢として、「国対国」がやりたく仕方ない本音が透けて見えてくるのです。

 ならば、70年代のソ連(当時)vs.カナダのような国対抗の交流戦7試合とか、サッカーのように「クラブW杯」実施の方向性を探るのも可能です。そうなれば、日本の現行3チームだって、世界の強豪と戦うのも夢ではなくなります。コミッショナー、どう?

讃岐猫
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【註釈】

  1. 1975年11月3日からABCで放送されている朝の報道・情報番組。ニューヨーク・タイムズスクエアにあるタイムズスクエア・スタジオからの生放送。日本のNHKが放送権を持っており、たまに同番組の映像が使用されている。
    ↩︎
  2. 昨年度の同シリーズについては、こちら→
    ↩︎
  3. NBAワシントン・ウィザーズのオーナー、テッド・レオンシスが、チームをワシントンD.C.からバージニア州アレクサンドリアに移転する計画を立てていることを正式発表。

     アレクサンドリアのポトマックヤードに、新アリーナを含めたエンターテインメント・エリアを建設する計画であり、バージニア州議員らは賛成票を投じ、今後は地方当局などの承認が必要と報じられている。

     新アリーナ完成後、2028年にウィザーズおよびワシントン・キャピタルズをアレクサンドリアに移転予定。このエリアには新アリーナ、ウィザーズの練習施設、レオンシス率いるモニュメンタルスポーツネットワークのメディアスタジオ、eスポーツ施設等が新設される。

     レオンシスは、現在のキャピタルワンアリーナを改修するために6億ドルの公的資金を集めているが、ワシントンD.C.はチームを留めることに努めており、アリーナ改修プロジェクトのための資金5億ドルをモニュメンタルスポーツ社に融資する法案を発表している。
    ↩︎
  4. 1979年9月7日、ESPNの開局と同時に放送開始。MLB・NBA・NFL・NHLの最新情報や、アメリカ国内外のスポーツ情報を放送。1日につき12回放送されており、情報も速い。

     同番組のCMには有名スポーツ選手が数多く参加しており、NHLからは、デトロイト・レッドウィングスのレジェンド、ゴーディ・ハウが最初に出演している。日本では、J Sportsが放送していたが、2011年9月終了。
    ↩︎
  5. 可能な限り最もエリートレベルのプレーヤーが参加する競技を表す用語です。通常、これはプロ選手の出場が認められ、主要なプロアイスホッケーリーグ、特に北米に本拠を置くナショナルホッケーリーグ(NHL)のスケジュールと重ならない時期に開催される国際男子トーナメントを指す。
    ↩︎
  6. こちらを参照のこと→
    ↩︎
  7. スウェーデンやフィンランドのプロ・リーグのチームが、NHLに参戦するのでは?という憶測が流れている。詳細はこちら→

     アイスホッケーのW杯及び五輪が従来の形式で行えない現状を鑑み、NHLに他国のチームを新規加入させて、その欠落感を補うのが、この憶測の主旨のようである。

     日本のプロ・ホッケー・リーグに韓国のチームが参加し、「アジア・ホッケー・リーグ」として活動している状況に似ている。 ↩︎
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