NHL史上最も悪名高い?スタンレーカップ損害事件!?

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はじめに

 日本時間5月13日(月)・午前中の時点で、NHLプレーオフ、第2ラウンド勝ち抜けに王手をかけているのは、イースタン・カンファレンスの2チーム、フロリダ・パンサーズとニューヨーク・レンジャーズ。どちらも3勝1敗となっています。

 このまま行けば、昨シーズンと今シーズンの最多勝利チームの激突となります。昨年同様、パンサーズにやられるのか、ボストン・ブルーインズ。アイランダーズに続き、ニューヨーク勢に一泡吹かせるか、カロライナ・ハリケーンズといった感じで、巻き返しに期待です。

 さて、今回は栄誉あるスタンレーカップにまつわるお話を。レプリカのカップを自宅や故郷に持ち帰ってもいいため、悲しいかな、「うっかりカップを壊しちゃった話」「カップにお酒や食べ物を入れちゃった話」なんかが出てくるのです。

讃岐猫
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引用元:sportskeeda.com「5 instances when NHL’s Stanley Cup was damaged

はしゃぎ過ぎて、カップを傷つけてはダメ!

 スタンレーカップは、スポーツで最も有名なトロフィーの1つです。そのユニークな形と大きさは、NFLのヴィンス・ロンバルディ・トロフィー1やFIFAワールドカップのジュール・リメ・トロフィー2など、他の有名なトロフィーの中でも際立っています。

 ロード・スタンレーズ・カップ3(スタンレー卿のカップ)は、毎年、プレーオフ・ラウンドを4回勝ち、そのシーズンのチャンピオンになったチームに授与されます。祝賀会は当然のことながら感動的なものですが、選手たちが調子に乗ってしまうこともあります。

 では、お祝いが少し行き過ぎ、スタンレーカップが損傷してしまった5つの例を探ってみましょう。

カップをへこませた映像あり!

スタンレーカップは5回損傷している

1:2022年 コロラド・アバランチ

 コロラド・アバランチはタンパベイ・ライトニングを破り、2001年以来となるカップを獲得し、素晴らしいプレーオフを締めくくりました。

 しかし、お祝いが始まったばかりの頃、アブスのフォワード、ニコラ・オーブ・クーベル(現在ワシントン・キャピタルズ所属、右ウィング、27歳)が、スタンレーカップを持って写真を撮ろうとして、カップをへこませています。

 試合後のお祝い中に、カップが氷の上で損傷したのは初めてのことでした4

これが決定的な瞬間だ。
讃岐猫
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カップ落とすと、大々的にニュースで取り上げられる…

2:2011年 ボストン・ブルーインズ

 2011年のボストン・ブルーインズはバンクーバー・カナックスを破り、(1971年以来)約40年ぶり、久しぶりにスタンレーカップを制覇しています。

 伝統の一環として、ブルーインズの選手たちはカップを故郷に持ち帰り、地元のコミュニティと一緒に祝いました(これは現在も行われている。ただし、この際に使用されるカップはレプリカ)。

 しかし、カップがテーブルから落ちて破損するというアクシデントが起き、ある一人の選手、マイケル・ライダー5が巻き込まれています。

これまた決定的な瞬間だ。

いくら馬や競馬が好きだからといっても…

3:1994年 ニューヨーク・レンジャーズ

 ニューヨーク・レンジャーズは50年にわたる呪いを解き、マーク・メシエ6のリーダーシップの下でロード・スタンレーズ・カップを獲得しました。

 しかし、コミカルな事件の見出しを飾ったのは、エド(エディ)・オルチック7でした。オルチックはカップをベルモントパーク競馬場8に運び、ケンタッキー・ダービーの優勝馬ゴーフォージン9に餌を与えようとしたのです。

 そう、オルチックは競走馬に餌をやるのにカップを使ったのです!

 カップは、サラブレッドに噛みつかれたときに破損しました。

オルチックはプロの競馬評論家なんです。
讃岐猫
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壊したら、大スターであろうと修理だ!

4:1987年 エドモントン・オイラーズ

 エドモントン・オイラーズの王朝が本格的に始動する中、マーク・メシエはスタンレー・カップを地元のバーに持ち込み、忠実なファンたちと祝杯をあげています。様々なファンがカップを使って飲んだので、それはへこんでしまいました。

 ホッケーの殿堂に戻す前に、メシエはカップを復元しなければならない程だったのです。

カップの持ち方を教えるメシエ。落とし方ではないようです。

「犬にご飯をあげて、何が悪いんですか?」

5:1980年 ニューヨーク・アイランダーズ

 王朝といえば、1980年代初頭にニューヨーク・アイランダーズがホッケーを支配しました。王朝の最も象徴的な選手の1人が、クラーク・ギリーズ10でした。

 ギリーズのカップとのつながりは、氷上での英雄的な行動にとどまりません。

 (カップに対し)困惑し、考え込ませるような行動を取ったのです、なんとギリーズはみんなの憧れのトロフィーを使って、犬に餌をやってしまいました11彼はカップにドッグフードを入れ、愛犬家の仲間に振る舞ったのです。

犬好きが高じて、ギリーズはこんなビデオ作っちゃいました。

 しかし、ロード・スタンレーズカップでペットに餌をやったのは、ギリーズだけではありませんでした。

 2014年、ロサンゼルス・キングスのアンゼ・コピターは、愛犬のガストルに(カップで)餌を与え、一緒に朝食をとってキングスの優勝を祝いました12

まとめ

 コピターの愛犬家ぶりも凄まじく、インスタやFacebookをはじめ、SNS媒体はほとんど犬の写真で埋め尽くされています。残念ながら、キングスは第1ラウンドでオイラーズに惨敗してしまいましたが、きっとコピターは犬との時間で癒やされていることでしょう。

 レプリカとはいえ、優勝カップを自宅に持って帰っていい、という慣習?伝統?は、おおらかな北米らしいやり方で、あちこちにカップが「出現」することにより、NHLでの優勝の意義が多くの人々に知れ渡るのはいいことだと思います。

 だからといって、落っことしたり、それに食べ物等を入れて、一時的とはいえ汚してしまうのはどうかな、と思います。今シーズン、決勝でどのチームがカップを頭上に掲げるのか。メシエのビデオにあったように持ち方があるそうなので、落とさないように正しく持ちましょう!

讃岐猫
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【註釈】

  1. NFLの年間優勝決定戦であるスーパーボウルの勝者に贈られるトロフィー。

     1967年、AFLとNFLの各優勝チームが戦うワールド・チャンピオンシップ・ゲームから採用されたカップで、その名の由来は第1・2回優勝チームであるグリーンベイ・パッカーズ監督、ヴィンス・ロンバルディにある。 ↩︎
  2. ご存知サッカー、FIFAワールドカップの優勝トロフィー。ワールドカップの創始者とも言うべき当時のFIFA会長ジュール・リメが寄贈したため、その名を冠することとなった。
    ↩︎
  3. 1893年、カナダ総督のスタンレー卿フレデリック・アーサーが、カナダのアマチュア中、最も好成績を残したチームに銀のボウルを贈ったのが最初とされる。プロであるNHL優勝チームに贈られるようになったのは、1926年から。
    ↩︎
  4. これが災いしたのかどうか分からないが、2022年7月13日、フリーエージェントでトロント・メープルリーフスに移籍している(1年契約、100万ドル)。
    ↩︎
  5. カナダ、ニューファンドランド・ラブラドール州出身。44歳。現役時のポジションは右ウィング。同州出身の選手では、当時、史上2人目のカップ獲得者と言われた(現在は3人)。

     なお、当時のビデオを見ると、誰かが落としたのではなく、ライダー自身がテーブルにカップを置こうとして、誤って落としたように見えるのだが…。
    ↩︎
  6. カナダ、アルバータ州出身。63歳。現役時のポジションはセンター/左ウィング。エドモントン・オイラーズのキャプテンとして、何度もカップを獲得。しかし、チームのコスト削減策に遭い、1991年レンジャーズへ移籍。

     2シーズンの雌伏の時を経て、1993-94シーズン、キャプテンとなったメシエ自らの決勝ゴールでバンクーバー・カナックスを破り、54年ぶりにチームへカップをもたらしたのである。
    ↩︎
  7. 過去に、このブログでオルチックの略歴について触れている。詳細はこちら→

     1992年、トレードでニューヨーク・レンジャーズへ移籍。1994年1月3日、フロリダ・パンサーズ戦で親指を負傷し、1993-94シーズンの大部分を欠場。プレーオフには1試合(カンファレンス・ファイナル第6戦)のみに出場。翌シーズン中、ウィニペグ・ジェッツへ移籍。
    ↩︎
  8. 1905年5月4日開業。現在はスタンド老朽化のため、2023年秋〜2026年春まで閉鎖中。アメリカ財界の有力者オーガスト・ベルモント2世が発起人となり、1902年から建設に着手。

     父であり、アメリカン・ジョッキー・クラブの初代会長オーガスト・ベルモント1世の名が由来。アメリカ三冠競走最終戦・ベルモントステークス(1867年創設)をはじめ、多くのレースが開催されてきた。
    ↩︎
  9. 1994年5月7日、120番目のケンタッキー・ダービー優勝馬。その2年前の9月13日、ベルモントパーク競馬場で行われたレースがデビュー戦(結果は5着)。1995年5月、調教中のケガで引退。生涯成績は19戦で5勝。
    ↩︎
  10. カナダ、サスカチュワン州出身。2022年死去、享年67歳。現役時のポジションは左ウィング。アイランダーズ時代の背番号9は永久欠番。1979-80シーズンからチームの黄金時代が始まるが、ギリーズはその前のシーズンまでキャプテンを務めていた。

     しかし、人望がなかったわけでなく、積極的にチームを陰ながら支える役割を務め、チームの4連覇に貢献している。
    ↩︎
  11. 1980年、アイランダーズ初のスタンレー・カップで優勝後、その伝統に従い、チームの一員であるギリーズはスタンレー・カップを24時間持ち歩けることとなった。その時、愛犬のジャーマン・シェパードにカップを使って餌を食べさせている。

     批評家たちから叩かれたギリーズは、「なぜ、だめなんですか?彼は良い犬です」と応えたという。
    ↩︎
  12. これはネット・ニュースで、大きく取り上げられている。詳細はこちら(X〈旧Twitter〉にアップされた映像あり)→↩︎
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