はじめに
「負けた、負けた、こらえきれずに負けたっけ〜」と、思わず恨み節の一つでも歌いたくなるくらい負け続けた2023-24シーズンのサンノゼ・シャークス。昨シーズン終了後、まさかの残留となった前監督デイビッド・クインを、流石に今年は切り捨てました。
新監督は前政権のアシスタント・コーチ、ライアン・ワルソフスキー。ファンとしては一抹の不安を覚えますが、36歳の若さが斬新なチーム改革をしてくれると、今は期待しておきます。外部招聘で一から作り直しより、内部昇格の方が手間かからないと判断したのでしょう。
ドラフト1位指名権を持っているシャークスは、マックリン・セレブリーニ(ボストン大学)指名間違いなしと言われていますが、現有の若手有望株との融合も新監督に託されています。果たして、どんな人物なのでしょうか。
最年少監督をチョイスしたということは、
チーム全体が育成モードに入っている証なんだろうにゃ。
つまり、すぐに結果を求めていないってわけだ。
ただ、23-24シーズンのように「勝った日がない」状態だと、
それが撤回されるような気もするが…。
引用元:ESPN.com「New coach Ryan Warsofsky says Sharks in need of ‘some new light’」
サンノゼに新指揮官参上!
ライアン・ワルソフスキー1は、デイビッド・クイン(前監督)の下でアシスタントを務め、エクスパンション・チームとして加入以降、過去2シーズンにわたり、サンノゼ・シャークスの行ってきた最悪のホッケーを見るため、最前列の席に座っていました。
先週、NHLで現在最年少のコーチとして採用された36歳の彼は、シャークスのゼネラルマネージャーであるマイク・グリアの望むフランチャイズの優勝争い再参戦、
及びドラフト全体1位の指名候補マックリン・セレブリーニ(ボストン大学)率いる、若手選手達の活躍を監督する任務に就くことになります。
新監督の談話
「チームは本当に大変な2年間を過ごしたばかりだ。私はチームが何を必要としているか分かっている」とワルソフスキーは、月曜日、マスコミに紹介された記者会見で言いました。「チームは少しボロボロな状態にあると言えるね。新しい光が必要なんだ。
エネルギーが必要なのさ。ポジティブさも必要だね。今、我々はチームの未来にいくつかの希望を抱いているよ。マイクがリストアップしてくれた若手有望株がドラフトで指名され、このフランチャイズは実にエキサイティングな章に入ったんじゃないかな。
彼らの育成をし始めているしね。そして、今またドラフトが近づいてきている。だから、チームにとって、エキサイティングな時代が待っているのは間違いない」。
トレードで主力全員放出
サンノゼが2019年にウェスタン・カンファレンス決勝に進出して以来、そうしたエキサイティングな時間は欠けていたように思います。
サンノゼは5シーズン連続でプレーオフ進出を逃しており、グリアが再建に向けて実を結ぶと思われる解体作業を開始したため、過去2シーズンは最下位に沈んでいます。
グリアは、エリック・カールソン(ピッツバーグ・ペンギンズ)、ブレント・バーンズ(カロライナ・ハリケーンズ)、トーマス・ハートル(ベガス・ゴールデンナイツ)、ティモ・マイヤー(ニュージャージー・デビルズ)などのスターであり、
ベテラン選手をトレードで放出して、GM就任当初、手薄だった若手有望株の選手層補充に努めていました。
先月のドラフト抽選で1位指名権を手に入れ、才能ある若手選手が何人もいるグループへ、また新たな才能を加わえることになりそうです。
ワルソフスキーの手腕や、いかに
ワルソフスキーが若い選手とコミュニケーションを取り、関係を築く能力と、サンノゼに加わる前にAHLで成功した監督として彼らを育てた経験から、グリアは、若いグループを率いるのに最適であると信じていました。
「彼は素晴らしいコミュニケーターであり、それは重要なことになるだろう」とグリアは言っています。「ここには若い選手達のグループがある。若い選手たちとつながり、話し、絆を深めることは非常に重要になるだろう。
これは、我々が次のステップに進む上で大きな部分を占めると思う。彼は我々の考えているすべての条件を満たしているんだよ」。
ワルソフスキーは以前、AHLで2シーズンにわたって、シカゴ・ウルブズ2のヘッドコーチを務めていました。
2021-22シーズン、50勝16敗・5延長敗け・5シュートアウト敗けの成績で、ウルブズをAHLのレギュラーシーズン最高記録に導き、2022年のカルダーカップを制覇しています。
サンノゼでは、そのような成功経験が欠けているのです。
何から何までダメダメだけど、一筋の光が…
シャークスはクインの2シーズンで41勝98敗25延長敗けと、NHLワーストの成績を残し、このうち昨シーズンはリーグワーストの47ポイントでした。
今シーズンのサンノゼの19勝は、1992-93シーズン、エクスパンション・チームとしてのフランチャイズの2年目以来、フルシーズンで最も少なかったのです。
シャークスは時折競争力を失くしているように見える時があり、シャークスは18試合で6失点以上を喫し、シーズン序盤に10失点を喫した試合(11月2日、対バンクーバー・カナックス、1-10。11月4日、対ピッツバーグ・ペンギンズ、2-10)もありました。
「いくつかの変化が起こるだろう」とワルソフスキーは言っています。「はっきり言って、数字は素晴らしくなかったし、分析も上手くできなかった。我々は変化を起こさなければならない。何が起きているのかを、プレイヤーが把握できるようなシステムが必要だ。
彼らはシステムを理解している。…パックを持ったらどうすればいいかわかっているし、そうでないときはどうすれば取り戻せるかもわかっている」。
サンノゼは過去5シーズン、NHLで最悪の成績を収めており、氷上での貧弱なプレーに嫌気がさしたファンで、シャーク・タンク(ホーム・アリーナ=SAPアリーナのこと)を埋めるのに苦労しています。
シャークスがドラフトの指名順抽選で第1位に当選したとたん、ファンの関心は変わり始めました。
チーム社長のジョナサン・ベッチャーによると、シーズン・チケットの更新率は2016年にチームがスタンレーカップに出場して以来最高であり、新規販売も記録的なペースで推移していると述べています。
チームはドラフト・ウォッチ・パーティーの完売を目標にしており、過去最高を記録した時と比べて、2倍の参加者が集まる可能性もある、とベッチャーは述べました。
「1位指名が我々に決まったことで、フランチャイズの雰囲気が大きく変わったのは明らかだ」とベッチャーは言っています。
全体1位指名権を取ったからといって、
すぐにチームが強くなるわけじゃないんだけどにゃ。
それは今シーズンのシカゴ・ブラックホークスと
コナー・ベダードを見ていれば、分かるはず。
ベダードは期待通りだったのに、チームは反比例して、
またも低空飛行だったので。
また、ベテラン放出の噂…
グリアは、昨シーズンは怪我でわずか6試合の出場にとどまったキャプテンのローガン・クートゥア(センター、35歳。2009-10シーズン以来、シャークス一筋)をトレードしようとしているという噂をシャットダウンすることで記者会見の最後を締めくくりました。
「それは全くの嘘だ」とグリアは言っています。「我々が若い選手をここに連れてきて、若いチームを作っているのをずっと見ていると、彼はまさに若い選手の周りにいてもらわないと困る人物なんだよ。彼は我々にとってキャプテンだ。
彼は厳しい1年を過ごしたが、我々は最も重要な人として彼を愛しているけど、彼はホッケー選手でもあるからね」。
まとめ
クートゥア放出は既定路線っぽいですね、GMの談話を見る限り。シーズン・チケットの売れ行きがいいとなれば、今シーズン、使えそうな若手で勝ちを拾っていくパターンを取り、取りあえず最下位じゃなかったら、いいかなとソロバンを弾くことでしょう。
怪我で使えるかどうかわからないベテランは、サラリーキャップのこともありますから、いい職場が見つかれば、さっさと売りに出すはずです。場合によっては、今年のドラフト指名権と交換して、さらなる若手強化路線へと踏み切る場合もあります。
とはいえ、現場監督の采配がどんなものか、これが一番重要なことに変わりありません。最年少監督は若手選手との距離を縮めていくことから始めると思いますが、それだけで勝てないのが、NHLの厳しいところ。ドラフトだけでなく、トレーニング・キャンプにも注目です。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- 米国インディアナ州出身、36歳。現役時のポジションはディフェンス。NHLでのプレー経験はなく、下部リーグでも1シーズンしかプロとしてプレーしていない。2012年からプロのコーチとなり、2022年、シャークスのアシスタント・コーチに就任。
ディフェンスとペナルティキルを担当し、ディフェンスのエリック・カールソンが22-23シーズンにジェームズ・ノリス記念トロフィー(最優秀ディフェンス選手賞)を獲得したのも、ワルソフスキーのコーチングによるものとされている。
↩︎ - AHLセントラル・ディビジョン所属。カロライナ・ハリケーンズの下部組織チームである。ワルソフスキーがシャークスへ移籍後、成績は芳しくなく、昨シーズンのセントラル・ディビジョン6位、今シーズンは7位と順位を下げている。 ↩︎