オリンピック村で過密日程に挑むNHL選手たちのリアルな奮闘記

アイスホッケー各国代表情報

はじめに

 NHLのスター選手たちが12年ぶりに冬季オリンピックへ🏒✨

 2026年ミラノ・コルティナ大会では、自国の代表として氷上に立つ夢の舞台が待っています😊。ただし、建設遅延や移動の長さ、共同生活など、NHLの快適環境とは異なる現実も…。短期間の集中戦で最高のパフォーマンスを発揮するため、選手たちは柔軟な対応力が求められます!

参照記事:insidethegames.biz1Bettman on Milano Cortina: “They know our concerns”

🏒12年ぶりにNHL選手が冬季五輪へ!

 NHLのスター選手たちが、ついに12年ぶりに冬季オリンピックの舞台に帰ってきます✨それに向けて、準備を進めている最中です😊。

 2026年のミラノ・コルティナ・ダンペッツォ大会では、北米のトッププレーヤーたちが再び国の代表として氷上に立つことが決まりました🏒。ファンにとっても待ちに待った瞬間ですね😊!

 ただ、順風満帆というわけではありません。開催国イタリアでは、重要な数か月を前に、会場建設の遅れや大会運営の準備不足など、いくつかの課題が浮上しています。

 NHLコミッショナーのゲイリー・ベットマンも、メイン会場「ミラノ・サンタジュリア・アリーナ」の建設遅延2について懸念を示しており、開会式を控えたイタリアはオリンピック開幕に向けて注目が集まっています。

🇨🇦カナダ代表の「覚悟」と現実

 8月末、カナダ代表候補の選手たちが集まったオリエンテーションキャンプでは、チームの責任者であるジェニファー・ハイル氏3が、選手たちにこう警告しました。「オリンピックに行っても、完璧だとは思わないでください」

 この言葉は『The Athletic』紙が報じたものです。会場にいた選手の中には、この瞬間に初めて知った者もいました。彼女のこの言葉には、NHLとオリンピックの環境の違いがはっきり表れています。

 オリンピックでの生活は、NHLのように整った施設や快適なスケジュール管理は、オリンピックでは期待できません。移動は多く、セキュリティは厳しく、スケジュールはびっしり🧳、それらに耐えなければならないのです。そんな“非日常”に、選手たちは慣れていく必要があります。

 それでも、7月にNHLと選手会(NHLPA)が労使協定の延長に4年間合意4したことで、ついに待望の取り決めが成立しました。これにより、2026年の冬季オリンピックにNHLスター選手が復帰することが正式に決まったのです😊!

 ソチ大会以来となる男子アイスホッケーの舞台では、彼らは再び自国のユニフォームに袖を通すことになります😊。8競技・16種目で約2,900人のアスリートが参加する予定。完璧な環境とは言えない中で、リソースの分配やロジスティクスの優先順位が試され5、個々の快適さよりも全体の運営が重視されることになります。

ミラノ・コルティナ・ダンペッツォ大会のメダルは、こんな感じです。シンプルですね。

🧳オリンピック村でのリアルな生活🏠

 普段から整った環境に慣れているNHL選手たちにとって、オリンピックでの生活は現実を突きつけられるものになりそうです。ミラノのオリンピック村では、NHLのスター選手たちもフィギュアスケーターたちと同じ宿舎で生活します🏠

 選手たちは施設の規則に従い、アルコール禁止を含むルールを守らなければならず、部屋も共同で使用することが必須です。こうした環境は、数十年前のNHLでは一般的でしたが、現在の労使協定(CBA)ではベテラン選手は個室などの優遇を受けており、こうした「合宿型の生活」は久しぶりとなります🧳。

 選手たちは「寝室の快適さが改善される」と伝えられていますが、これは実際には“贅沢より機能性を優先する”という遠回しな表現だと関係者は語っています。また、セキュリティチェックでの混雑に注意するよう警告6され、「見つけたバナナは全部確保しておけ」と半ば冗談めかして助言されたとも、ハイルが夏の発言で明かしています。

 NHLでは試合後、ロッカールームにプロテインシェイクが用意されていますが、オリンピックでは自ら準備と計画を立てる必要があります。選手にとって、これまでとはまったく異なる環境での適応力が求められることになるのです。

 だがオリンピックでは、それが標準のスタイルとして復活することになります。リーグ、NHL選手会(NHLPA)、そして国際アイスホッケー連盟(IIHF)が国際オリンピック委員会(IOC)を代表して結んだ合意では、選手たちはオリンピック村に滞在することが明記されているからです。

 形式的にはホテル宿泊も禁止されてはいませんが、関係筋によると、その選択をする選手はほとんどいないということです。

 理由は明白です。スケジュールが極めてタイトで、移動時間も長ければ長いほど、チームとしてまとまりを保つことが可能になるからに他なりません。そのメリットも大きいのです。

 大会では男子アイスホッケーの競技がわずか12日間7で行われます⏰短期間での集中戦では、タイミングの良い昼寝や時間通りのバス移動⏰、スムーズなリンクアクセスなど、細かい工夫が勝敗に直結するのです✨。

🚍会場と移動の課題🚍

 試合会場もまた、選手たちのテンポを大きく左右する要素となります。ホッケー・カナダの会長兼CEOであるキャサリン・ヘンダーソン氏の説明によると、男子の多くの試合は、選手村からバスで10〜15分ほどの「サンタジュリア・アリーナ」で行われますが、一部の試合は「ミラノ・ロー・アリーナ」で実施され、(“順調な日でも”)片道で約45分の移動が必要とのことです🚌

 大会運営側はオリンピック専用の交通レーンを設けない方針のため、実際には朝の練習と夜の試合の間で、移動だけで3時間以上かかることもあります。

 さらに不安材料となっているのが、メイン会場の「ミラノ・サンタジュリア・アリーナ」の建設遅延です。水曜日、NHLコミッショナーのゲイリー・ベットマン氏も懸念を表明しています。これは、AP通信が伝えた「1万6000席のアリーナで予定されていたテストイベントが中止8になった」という報道を受けたものでした。

讃岐猫
讃岐猫

 ベットマンはニューヨークでの取材でこう述べています。「この2年間、進捗を心配してきた。2つのリンクのうち、特にメイン会場に関してはだ。しかし、それはIOCの責任だ。我々は招待客の立場だが、懸念は伝えてあり、競技の観点から一流の施設を提供してもらえると期待している😊」。

 とはいえ、ベットマン氏は前向きな見方も示しています😊。彼は火曜日に「オリンピックにNHL選手が戻ることは、たとえ北米のシーズンを約3週間中断することになっても、アスリートにとって素晴らしい決断だ😊」と語りました。

 多くの選手🇨🇦にとって、今回が初のオリンピック参加になるのです🏒2018年と2022年の大会9にはNHL選手が参加しておらず、1998年から2014年までの間に5回行われた“シーズン中断と五輪派遣”の流れが一時途絶えていたからです。

🇨🇦選手の前向きな反応😊と大会準備の現状

 避けられない物流面での混乱が予想されるにもかかわらず、選手たち🇨🇦からの反応はおおむね前向きです😊✨。やはり、自国を代表して世界最大の冬の舞台に立てることは、何にも代えがたい魅力があります。

 しかし、大会の準備は順風満帆とは言えません。

 夏の終わりには、イタリア🇮🇹でオリンピック施設の入札汚職疑惑が捜査10され、特に選手村の建設計画が注目されました。家宅捜索や逮捕、現金押収などが相次ぎ、開幕まで7か月を切った段階で国民の不安は高まっています。また、他の会場でも遅れが発生しています。

 コルティナ・ダンペッツォのボブスレー🏂、リュージュ、スケルトン用トラックは、長年トラブルが続いていましたが、国際連盟による厳格なテストを経てようやく暫定承認されました。
そのため、代替案として考えられていたアメリカ・レークプラシッドでの開催案11は事実上消滅しています。

ボブスレーやスケルトンが無事に行われますように…。

 大会運営の要となるサンタジュリア・アリーナは、こうした状況の中でますます重要性を増しています。

 一方で、ミラノ・ロー・アリーナは交通や警備の面で「大会運営能力を試す会場」として、あるいは選手たちのスケジュールに試練をもたらす「ストレステスト会場」となりそうです。専用レーンがないため、通勤ラッシュや厳重なセキュリティが重なれば、競技スケジュール全体に支障をきたす恐れがあるのです。

🏂選手たちが適応すべきオリンピック環境

 ヘンダーソンによれば、通常の世界選手権や国内大会では、すべてが選手の最高パフォーマンス🏂を引き出すために設計されています😊。しかし、オリンピックでは数千人規模のアスリートを受け入れることが優先されるため、日常の小さな調整が欠かせません。

 これにより、フィギュアスケーターやスノーボーダー、そしてトップレベルのディフェンスマンまで、すべての競技者に影響が出ます。

 NHLでは、移動スケジュール、氷上の練習時間、食事、休養などが分単位で管理され、五つ星ホテルでの滞在も当たり前です🏨😊しかしオリンピックには、こうした“完璧な環境”🏠はなく、独自のルールと秩序があり、各国代表団、選手自身はその枠組みの中で臨機応変に対応していくことが求められるのです。

まとめ

 冬季オリンピックでは、選手村での共同生活や長い移動、過密スケジュールなど、NHLでは経験できない現実が待っています🏠⏰それでも、仲間と支え合いながら日々の調整をこなし、最高のパフォーマンスを目指す姿勢が求められます。

 準備や環境の違いに柔軟に対応することが、メダル獲得😊や充実した大会体験につながるのです✨

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. インサイド・ザ・ゲームズ・ビズは、オリンピック、パラリンピック、コモンウェルスゲームズなど、国際的なスポーツイベントに特化したニュースサイト。2005年にイギリスのスポーツジャーナリスト、ダンカン・マッケイ氏によって設立され、当初は「insidethegames.com」として運営されていたが、2009年に現在の「insidethegames.biz」に改名。

     2023年11月、サイトはVox Europe Investment Holding Ltdに売却され、編集体制が刷新された。その後、2024年5月にはドバイに拠点を置くITG Media DMCCに運営が移管。これにより、国際ボクシング協会(IBA)の報道など、特定の団体に関する報道が強化されている。

     insidethegames.bizは、オリンピック運動に関する独立したニュース源として、特に日本の読者にも注目されている。日本語の翻訳記事も一部提供されており、英語が苦手な方でもアクセスしやすい構成となっている。公式サイトでは、最新のスポーツニュースやインタビュー記事が掲載されており、国際的なスポーツイベントの動向を把握するのに役立つ。
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  2. ミラノの新設メイン会場「サンタジュリア・アリーナ」は大会用の16,000席規模の多目的アリーナとして建設が進められているものの、工事の遅れによって当初予定されていた“テストイベント”が中止されるなど準備に影が差していると報じられている。

     これにより、参加の決まったNHL選手たちが、未検証のリンクで競技を行う可能性を懸念する声も出ている。コミッショナーのゲイリー・ベットマンも進捗に「懸念」を示し、最終的な責任はIOCにあるとしたうえで、競技面で一流の施設が提供されることを期待すると述べている。

     こうした遅延は、そもそも設計・施工を担うプロジェクト側や関連する公共入札を巡る問題とも絡んでおり、ミラノの一部プロジェクトや選手村を対象に行われている入札・契約に関する調査や捜査が大会準備の不透明感を強めている。

     一方、設計は著名建築家の計画に基づき建設業者による作業が進んでいるとされ、関係者は完成に向けて調整を続けていると伝えられている。これらの事情が大会の運営スケジュールや選手の準備にどのように影響するかは、今後の工事進捗と関係当局の対応を注視する必要がある。
    ↩︎
  3. Jennifer Heilは、1983年、カナダ出身のモーグル(フリースタイルスキー種目)選手で、2006年トリノ五輪ではカナダ代表として同国初の金メダルを獲得し、2010年バンクーバー五輪では銀メダルを獲得した実績を持つ。

     彼女はワールドカップで通算25勝を挙げ、世界選手権でも優勝を重ね、競技界で高い評価を得てきた。現役引退後はスポーツ界のサポート組織「B2ten(ビー・トゥー・テン)」を共同設立し、次世代アスリートの育成や競技環境改善に取り組んでいる。

     また、モントリオール大学で経営学と政治学を学び、ヘルスケア関連のスタートアップに関わるなど、スポーツと社会活動の両面で活躍。
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  4. 2025年6月27日、NHLとNHL選手会(NHLPA)は、現行の2013年版CBAをさらに4年間延長することで合意した。この延長により、新協定は2026年9月15日から始まり、2030年9月15日まで有効。

     この新協定では、従来82試合だったレギュラーシーズンが84試合に拡大され、プレシーズン(シーズン前の練習試合)は6試合から4試合に縮小される変更が導入される。また、選手の契約面では、既存クラブとの再契約は最長7年、新規加入での契約は最大6年とする制限が設けられ、以前可能だった“繰延給料(deferred salary)”のオプションも排除。

     さらに、この協定では「フルタイム予備ゴールキーパー(Emergency Backup Goalie:EBUG)」ポジションを正式な常勤役割とする導入も含まれており、従来のようにアマチュア選手が緊急的に招集される方式は変わる見込み。

     この変更により、メディア契約、スポンサー対応、収益配分、チーム運営方針などあらゆる事業面で関係者に安定性と予見性がもたらされると、関係者は述べている。

     さらに、この延長合意と同時に、2026年の冬季オリンピック(ミラノ・コルティナ大会)にNHL選手を参加させる枠組みが協定内に盛り込まれており、IIHFおよびIOCとの関係性を前提に、NHL選手のオリンピック出場を制度的に保証する方針も明記。

     これらの変更は、選手・球団双方にとって制度面の明確化と運営の安定化を図ると同時に、NHL選手の国際競技参加を可能にする制度基盤を整えるものである。
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  5. まず大会は北イタリアの広範囲に競技会場を分散させており、その結果、選手・役員・機材・メディアの移動手配が通常の大会より遥かに複雑になる。

     会場間の長距離移動や複数拠点での同時運営は、バスや鉄道の輸送能力、時刻調整、輸送の優先順位(どの競技・関係者をいつ優先して運ぶか)を細かく決める必要を生み、これが運営資源(車両、運転手、人員、セキュリティ配置など)の配分を厳しく逼迫する。

     次に「会場の準備」と「検証(テスト)」の優先付けが重要。新設や改修された競技施設は、本番前にテストイベントで運営面を検証するのが通例ですが、工事遅延や検査の遅れがあると、リンクや観客動線、トイレや売店など“会場内のサービス全体”を十分に試せないまま本番を迎えるリスクが出る。

     これに対し、限られた人員・資金・時間の中で「どの施設を優先的に完成・検査するか」を決める必要があり、判断次第で一部競技や利用者の利便性に差が出る。

     また、人員管理や安全対策も優先順位の課題。大規模なイベントではセキュリティや医療チーム、ボランティア配置が不可欠だが、複数地域にまたがる開催ではこれらを効果的に分配するための調整が増え、ストライキや入札・契約問題が起きると人的リソースや資金の確保がさらに難しくなる。近年の入札捜査や交通機関のストライキなどは、まさにこうした脆弱性を浮き彫りにしている。

     最後に、持続可能性やコスト抑制の観点から「既存施設の活用」を優先する一方で、選手の利便性や“個々の快適さ”は二次的に扱われやすくなる。つまり、限られた輸送・宿泊・人員を「競技実施の確保」「安全性」「放送・観客動線」といった“大会全体が回るための機能”へ優先配分することで、個別の要求(個室の確保や短い移動時間など)が後回しになる——これが「個々の快適さが主目的でない」と言われる意味。
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  6. オリンピックのような大規模大会では、すべての競技会場や折返し地点、選手村やメディアセンターなどには入場・通過時に厳格なセキュリティチェックが設けられる。これらのチェックポイントには金属探知機、荷物検査、身分確認、警備員の手荷物検査など複数の段階が存在し、参加者・関係者が集中する時間帯には、どうしても行列や滞留が発生しやすくなる。

     実際、国際オリンピック大会の運営マニュアルでも、各エリアへの入退場に余裕を持たせ、警備混雑を見越したスケジュール設計が強く求められている(例:パリ2024においても複数のゾーンで警備チェックによる遅延への対策が議論されていた)。

     また、ミラノ・コルティナ2026大会では会場が広範囲に分散しており、複数の競技場や大会関連施設を往来する関係者や選手が一定の集中時間帯に同じルートを通ることが予想されている。こうした構造もチェックポイント混雑を加速させる要因。
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  7. 男子アイスホッケーは2026年2月11日〜22日に実施される予定。

     大会は12チームが参加し、まず3つのグループ(各4チーム)による予選ラウンド(2月11~15日)が行われる。予選通過の方式として、各グループの勝者と、最も成績の良い2位チームが準々決勝へ直接進出。残る8チームは予選プレーオフを介して準々決勝進出を争う。

     準々決勝は2月18日、その後準決勝、銅メダル決定戦、そして金メダル決戦が2月22日に行われる予定で、最終日の幕引きとして金メダル戦が実施される。なお、予選最終日は2月15日であり、準々決勝の間には予選プレーオフ(2月17日)が挟まれる。
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  8. ミラノ・サンタジュリア・アリーナのテストイベント中止を伝えたAP通信の報道は、運営側が「当初12月に予定していたメイン会場(報道では1万6,000席とされる)での主要テスト興行をより小さな会場に移す決定を下した」ことを伝えている。

     運営側は新たな代替テスト日程をまだ設定しておらず、このままでは大会本番直前までメインアリーナで公式に“氷上運営”が試されない可能性があるとAPは指摘した。

     報道は中止の直接的な理由を「工事進捗の遅れ」に求めており、関係者は景観や内装だけでなく、観客動線・設備・氷面の品質といった運営面を本番前に検証する機会が失われることを懸念している。

     こうした背景から、NHLコミッショナーのゲイリー・ベットマンが進捗に対する不安を表明したことや、競技氷面が正式に“テスト済み”でないままNHL選手が大会を迎えるリスクが報じられている。

     なお、各報道で示される会場の収容人数には差があり(APは約1万6,000席と報じる一方で大会公式情報では約1万4,000席とされる資料も存在)、数値の扱いには注意が必要。現在は運営側と関係当局が完成スケジュールの調整と代替措置を模索している段階。
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  9. 2018年のピョンチャン大会では、NHLがIOCと交わした契約条件(選手の旅行費・保険費用・宿泊費などを誰が負担するか)をめぐって合意に至らなかったことが主な理由。IOCはそれまで生じていた費用を負担していたものの、2018年にはそれを継続しない方針を示し、NHL側はそれを拒否。

     また、リーグとしてシーズン途中の中断を嫌い、選手の怪我リスクや中断による経済損失も懸念材料となっていた。

     2022年北京大会に関しては、当初NHL、NHLPA、IIHF間で参加合意がなされていたものの、COVID-19の感染拡大によるリーグ日程への深刻な混乱が決定要因。2021年末時点で50試合以上が延期され、シーズン運営に支障が出る中で、オリンピック中断を受け入れる余裕がなくなったため、最終的にNHL選手の派遣を取りやめる判断が下された。
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  10. ミラノ検察は、オリンピック関連の公共工事契約、とりわけ選手村建設プロジェクトに絡む入札の不正疑惑を2024年中頃から本格的に調べ始めた。最初の捜査着手は、数字や契約書類を調査することからで、特にデジタルサービス契約(券売システム、情報プラットフォームなど)の入札過程に疑問が持たれていた。

     次第に捜査範囲は拡大し、ミラノ市役所、オリンピック運営財団、建築許可を扱う都市計画部門など複数の行政機関が対象となり、「許可を迅速化するための便宜供与」「入札プロセスの操作」「開発業者と行政担当者の近しい関係性」の可能性が焦点に。

     中でも選手村に関しては、土地開発、建築許可、割り当てられる建設契約額、ゼネコン選定の透明性などが注目され、検察は少なくとも70人以上を捜査対象として挙げている。なかにはミラノ市長や都市開発の責任者も関与を疑われ、これを巡って逮捕状の発付、家宅捜索、資金押収などが実施された。

     さらに、同疑惑は単なる行政的な不正を越え、暴力・威圧手段を用いた「マフィア的手法」による契約支配や脅迫、地元利権の収奪といった犯罪性を帯びたものへと拡大しており、コルティナ地域では建設関連業務を巡る暴力沙汰・脅迫事件も捜査対象の一端とされている。

     現在、この捜査はいくつもの別個のルート(公共調達調査、都市計画調査、組織犯罪関連調査)が並行して進められており、最終的な立件や結論はまだ先送りの状態。とはいえ、こうした不透明さと疑念は、選手村・インフラ整備・信頼性という観点から五輪準備全体に大きな影を落としている。
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  11. ミラノ・コルティナ大会でコルティナのスライディング(ボブスレー/リュージュ/スケルトン)トラックが大幅改修中だったため、万一認証が間に合わない場合の「代替地」としてアメリカのレークプラシッドが検討された。

     理由は単純で、世界に使える近代的なスライディングトラックが極めて限られており、コルティナの再改修は工事の遅れや技術検査の不確実性を抱えていたから。

     IOCはコルティナ側に厳格な事前認証(プレホモロゲーション)を求め、もし合格しなければ代替開催を速やかに実行できる場所を確保する必要があり、既存の国際基準を満たす施設を持つレークプラシッドが「プランB」に指名された。

     レークプラシッドは過去に冬季五輪を開催した実績があり、滑走施設(Mount Van Hoevenberg)や運営ノウハウが整っていること、かつ短期間で受け入れ可能な体制を整えやすい点が評価されている。

     さらに、代替地を設定する判断は費用や環境面の議論があるコルティナ改修計画へのリスクヘッジでもあり、国際連盟による厳しいテストが成功したことで最終的にレークプラシッド案は「作動待機(スタンバイ)」の段階にとどまった。
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