はじめに
クリスマス・シーズンを前にして、「このままの調子で行けば、プレーオフは間違いないな」とほくそ笑むチームと、「クリスマスを境に心機一転、新しいチームに生まれ変わるぞ!」と意気込むチームに分かれてきます。
辛口コメントで鳴らすESPN.comが、「尻に火が点いて、今にも燃え尽きそうな監督(ヘッドコーチ)」「ん?ちょっと煙出てるかなと思ってる監督」「わしゃ安泰じゃろ、ワッハッハ!な監督」等の項目で、全チームの監督さんを分類しています。
「え!そこまでチーム内がゴタゴタしてるの?」ってチームも出てきますよ。
絶不調なチームがいくつか出てくるけど、
不調の原因はチームそれぞれで違うんだにゃ。
引用元:ESPN.com「NHL coaching hot seat index: Gerard Gallant in trouble? 」。
今シーズン、「途中解雇」が意外と少ない?
いくつかの例外を除いて、NHLのコーチは最終的に解雇されるために雇われます。それは人生の輪、世界のあり方です。それは(全ての人に)理解されており、単に「いつ(解雇されるか)」の問題です。
チームは一般的に、ベンチ裏での修正をためらわないものです。昨シーズン、NHLは今ぐらいの時期に4回のコーチ変更を行いました。2019-20年は12月10日までに4回のコーチ変更がありました。
「(解雇の)決定は米国の感謝祭の時期になされるものだが、必ずしも実行されるとは限りません。実行期間は感謝祭の4週間後です」と、PBIスポーツのコーチを代表するスポーツエージェントのニール・グラスバーグは述べました。
※ PBIスポーツ =PBI Sports & Entertainmentのこと。すべてのチーム・スポーツのプロ・コーチ、NCAAコーチ、フロント・オフィスの管理者、およびエンターテイメント・アーティストの様々な代理業務を行う。
しかし、12月6日まで、NHLは今シーズンのコーチ変更をまだ目にしていませんでした。これは、オフシーズンに12チームが新しいヘッドコーチを指名し、多くの監督交代が行われたことに起因しています。
監督の座が燃え上がっているのは、この人達だ!
しかし、シーズンが進むにつれて、一部の監督の尻に火が点いて熱くなっています。
これは、NHLの全32チームのコーチング・ホットシートの温度チェックです。契約情報はCapFriendlyとNHLの情報源から提供されています。
※CapFriendly=NHLのビジネス面を専門とするカナダのホッケー・ウェブサイト。このサイトには、サラリーキャップ・データベース内のNHLプレーヤーとコーチの契約情報、およびNHL労働協約の特定の側面に関する説明がなされている。
燃え上がっている(今にも燃え尽きそう)
ブルース・ブードロー, バンクーバー・カナックス
ダラス・イーキンス、アナハイム・ダックス
ジェラルド・ギャラント、ニューヨーク・レンジャーズ
D.J.スミス、オタワ・セネターズ
レンジャーズとセネタースは、シーズン開幕前、
結構期待されてたにゃ。どうしちゃった?
ブルース・ブードロー(67歳): バンクーバー・カナックス
私は、今シーズン解雇される可能性があると感じた最初のコーチについて、いくつかの情報源に連絡を取りました。全員が 「ブルース・ブードロー」 という1人の名前を答えました。
その理由を理解するのは難しくありません。月曜夜に行われたモントリオール・カナディアンズ戦で大逆転勝利を収めたにもかかわらず、バンクーバーはシーズン最大の失望の一つとなっています。カナックスの勝率は.481で、NHLで3番目に悪いディフェンス・チームです。
それは氷の上のことです。氷の外では、アイスホッケー事業の社長であるジム・ラザフォードは、チームの構造や選手の説明責任を批判する一方で、ブードロー支持を表明することは拒否しています。
ラザフォードは、チーム運営においてブードローを好んでいるわけではなく、契約上の義務として、彼がまだヘッドコーチであることを示唆しました。
オーナーのフランチェスコ・アクイリーニがブードローを監督として雇い、今シーズンのオプションを与えてから、ラザフォードをホッケー事業の責任者として雇ったことを思い出してもらいたいものです。
NHLの情報筋は「(解雇は)時間の問題だ」と述べました。
ジェラルド・ギャラント(59歳):ニューヨーク・レンジャーズ
昨年のポストシーズンで、イースタン・カンファレンス・ファイナルにレンジャーズが進出するのを見ている人にとって、2022-23シーズンにチームに戻ってきた才能ある選手達のことを考えても、ギャラントがこのセクションにいることはショックだったかもしれません。
27試合を通して、レンジャーズは勝率.537を獲得しています。
今週のブルース戦で、アレクシス・ラフレニエール(左ウィング、21歳)とカーポ・カッコ(右ウィング、21歳)のペアに、ミカ・ジバネジャド(センター、29歳)を組ませるなど、ギャラントのライン・ジャグリング(操縦術)は結果を出すことができているにもかかわらず、彼の監督の座は熱を帯びています。
ギャラントの個人的な説明責任の欠如も非難されています。
レンジャーズは難問です。分析してみると、彼らは昨シーズンよりも優れた5対5で戦えるチームになっています。しかし、チームのスター選手たちはずっと姿を見せておらず、プレーオフ進出の鍵を握る若いサポート役の選手たちは期待外れでした。
それに加えて、イゴール・シェスターキン(ゴールテンダー、26歳)が素晴らしいプレーをしていますが、ヴェジーナ・トロフィー(シーズンにおいて最高のゴールキーパーに与えられる)には値しません。
ギャラントはレンジャーズのコーチとして2シーズン目を迎え、2024-25年まで契約しています。論理的に考えれば彼は安全です。ジェームス・ドーランの所有するチームでは、その論理が通用しないことがあるのですが。
※ジェームス・ドーラン=マディソンスクエアガーデン・スポーツとマディソンスクエアガーデン・エンターテイメントの会長兼CEO、MSGネットワークの会長を務める。ニューヨーク・ニックスとニューヨーク・レンジャーズ、およびMSGを含む地域のスポーツネットワークの日常業務も監督。
チームの采配などに口を出すことで有名。日本にも、そんな会長さんがいますが…。
「ギャラントが解任されると思いますか?いいえ、それはありません。(GMのクリス・)ドルーリーはドーランにホッケーに関する道理を説き、理解させられると思います」とNHL関係者は述べました。
※クリス・ドルーリー=プロ・アイスホッケーのエグゼクティブであり、レンジャーズの元選手。昨年5月5日から、ニューヨーク・レンジャーズの社長兼ゼネラルマネージャーに就任。
GMが立場的に上であるはずの会長を諌めるなんて、
できるのかにゃ。
D.J.スミス(45歳):オタワ・セネターズ
レンジャーズが失望しているのと同じように、セネターズについても多くの人が失望しています。負傷も影響していますが、24試合での得点率.438はイースタン・カンファレンスで2番目に低いものです。
クロード・ジルー(右ウィング、34歳)とアレックス・デブリンカット(右ウィング、24歳)の両フロント選手を獲得するという、オフシーズンの大盤振る舞いのおかげで、オタワはプレーオフに進出できると考えていたからです。
スミスは来シーズンまで契約しており、2024-25シーズンのチームオプションが付いています。問題を複雑にしているのは、セネターズが売りに出されているという事実です。これはスミスだけでなく、彼を雇ったGMピエール・ドリオンに影響を与える可能性があります。
私たちがD.J.スミスなら、万が一に備えてオフィスにデッドプールのポスターを飾ります…。
※デッドプール=アメリカの出版社マーベルコミックが刊行する漫画雑誌、またそこに登場する主人公。超回復能力や不死の能力を持つフリーの傭兵。「X-MEN」シリーズなど多くの作品に登場する。2016年、ライアン・レイノルズ主演で映画化。
ダラス・イーキンス(55歳):アナハイム・ダックス
イーキンスの処遇については、新GMのパット・ファーベーク(元選手で、1999年、ダラス・スターズで、スタンレーカップ・リングを獲得)がコーチ業を引き継いでおり、今季が契約最終年となっています。
ファーベークは、シーズン終了後にコーチ陣を評価すると何度も発言しています。
「20試合を見て、『私たちはどこにいるのか』と尋ねるのは難しいです」ファーベークは彼のポッドキャストで言いました。
「20歳の選手がマイナー・リーグでプレーしているのを見てみると、信じられないかもしれませんが、その中には、1月になってから本領を発揮する選手もいるようです。選手達にとって、チーム事情を理解するのは難しいことです。
ここでは若い選手たちと同じようなプロセスを踏んでもらうために、コーチ陣と選手たちに少し時間を与えています。それは、彼らに物事を理解するための滑走路を与えるためです」。
ダックスの現状と、GMがベンチ裏に自分の部下を置きたがるという由緒ある伝統を考えれば、イーキンスが今シーズン終了後に復帰するとは考えにくいです。
問題は、新監督がアナハイムの若い選手たちとよりよい関係を築くために、そして前述のような滑走路を与えるために、シーズン中にファーベークがイーキンスに代わって監督になるかどうかということです。
ここはGMが現監督に取って代わろうとしている…。
チームがたくさんあると、それぞれ事情が全然違うんだにゃ。
まとめ
今回は、ESPN.comの記事で「最もヤバい」とされてる監督のみピックアップしました。次にヤバいかも…とされているのが、セイバーズ、ブルージャケッツ、キャピタルズ、メープルリーフスの4チームの監督。
メープルリーフスはそうでもないような気がするのですが、それ以外は確かに…。
我らがフライヤーズのトルトレラ監督は就任したばかりということもあり、しばらく様子見と分析されてます。
クラーケンのハクストール監督は今のところ大丈夫だが、以前から言われているゴールテンディングの部分で足を引っ張られると、一気に落ちてしまうと予想されています。
悲しいのはコヨーテズ。そもそもGMがコヨーテズに期待していない、他チームに勝てるだけの競争力を持たせてない、つまり問題外。だから、監督の座も安泰というなんとも悲しいオチでした。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!