はじめに
「ナッシュビル・プレデターズの新GMにいろいろ質問しよう!」の後編です。前回の記事中にあった、下部組織でもあるミルウォーキー・アドミラルズやロシアのチームでプレーしている、ドラフト1巡目指名の若手選手を紹介していきます。
次に、GM交代に伴い、プレデターズは監督も交代しました。若手育成で定評のあるジョン・ハインズの後任として、NHLでのプレー経験も豊富なアンドリュー・ブルネットが、来季の指揮を取ります。監督交代について、新GMの胸中やいかに。
ここ一番でチャンスを逃し、プレーオフ進出とならなかったプレデターズ。その無念を晴らすために、トップ・リーグでプレーし、選手の健康管理も得意なブルネットをチョイスしたのでしょう。勝ち続けられるチームへの階段を一歩上がろうとしているのかもしれません。
下部組織で育ってきている若手が、どんな活躍を見せてくれるか。
6人全員の才能が一気に花開いたら、新GMもニンマリだろうにゃ。
引用元:NHL.com「Trotz talks making exciting contender with Predators in Q&A with NHL.com」。
来季、期待の若手は5人!
※前回の記事で、新GMは「ミルウォーキーで活躍するドラフト1巡目指名の若手選手は6人」と言っていたが、どうやら勘違いのようで、実際は「5人」である。
しかし、今年のドラフト1位指名選手がそのままミルウォーキーでプレーするとも考えられるので、「6人」でも間違いではない。
(1)ヨアキム・ケメル
2022年ドラフト一巡目指名(全体17位)フィンランド、ユヴァスキュラ出身、19歳。180cm/78kg。ポジションは右ウィング。前所属はJYPユヴァスキュラ(フィンランド・SM-liiga)。今季ミルウォーキーで14試合出場、6ゴール・7アシスト。
(2)フョードル・スベチコフ
2021年ドラフト一巡目指名(全体19位)ロシア、トリヤッチ出身、20歳。185cm/90kg。ポジションはセンター。現所属はスパルタク・モスクワ(KHL)。今季は27試合出場、2ゴール・2アシスト。シーズン中、下部組織チームでもプレー。
今年5月にプレデターズとのエントリー契約を締結したため、来季復帰予定。
(3)ザカリー・ルールー
2021年ドラフト一巡目指名(全体27位)カナダ、モントリオール出身、20歳。180cm/89kg。ポジションは左ウィング。現所属はハリファックス・ムースヘッズ(QMJHL)。今季は33試合出場、21ゴール・21アシスト。
(4)ヤロスラフ・アスカロフ
2020年ドラフト一巡目指名(全体11位)ロシア、オムスク出身、21歳。191cm/82kg。ポジションはゴールテンダー。前所属はSKAサンクトペテルブルク(KHL)。今季ミルウォーキーで48試合出場、26勝16敗。プレデターズで1試合に出場し1敗。
(5)フィリップ・トマシーノ
2019年ドラフト一巡目指名(全体24位)カナダ、オンタリオ出身、21歳。183cm/81kg。ポジションはセンター。前所属はシカゴ・ウルブズ(AHL)。今季ミルウォーキーで38試合出場、12ゴール・20アシスト。プレデターズで31試合出場、5ゴール・13アシスト。
ガッツリ指名権を使います!
(問)これだけのドラフト資金を自由に使えるのですから、取引の見通しをどの程度と考えていますか。
「そうは言っても、いつでもドラフト指名権を売り払って、もっと高価な物買うことだってできるさ。それは少し難しいけど、いずれにしても我々は理念を変えたんだ。先ほども言ったように、私はスカウト達に挑戦させているんだ。
これからの2つのドラフトで、4人の最上級な選手達が必要だと伝えてある。繰り返しになるが、私が言ったように、堅実じゃないかもしれないけど、莫大な利益が上がる方を選択しろってことさ」。
ドラフトまで1週間を切って、プレデターズに大きなトレードの動きはないにゃ。
若手発掘の上手いチーム、思う存分指名権を使いそうだ!
新監督登場!
(問)最近、ジョン・ハインズの後任としてアンドリュー・ブルネットが監督に就任しました。それは、あなたの言う、いわゆる哲学の変化と関係がありますか?
※ジョン・ハインズ=米国、ロードアイランド州ウォリック出身、48歳。大学時代にプレーしていたが、NHLでの選手歴は無し。2003年以降の6シーズン、USAホッケーのナショナル・チーム育成プログラムのヘッドコーチを務める。
その後、AHLのチームを経て、2015年からニュージャージー・デビルズ、2020年からプレデターズの監督を務める。
※アンドリュー・ブルネット=カナダ、オンタリオ州バレーイースト出身、49歳。現役時代のポジションは左ウィング。2002〜2009年にかけて、怪我で欠場することなく509試合連続出場の記録を持つ(ミネソタ・ワイルド、コロラド・アバランチ所属)。
2021年10月、フロリダ・パンサーズの暫定監督就任はあったが、正式なオファーを受けてからの就任は、今回が初。
「アンドリュー・ブルネットを採用した理由の一つは、彼が今まで以上に攻撃的な考え方を持っているからだ。私たちはナッシュビルの考え方を変えようとしているし、少なくともプレー方法に対する認識を変えようとしている。
私は今でも守備力を信じているが、チーム・バランスも信じているし、より高いレベルの選手をドラフトしている。
(我々のチームによって)トップ9(今シーズンのカンファレンスにおいて、ナッシュビルより上位の9チーム)が痛手を負う、という理想形を作れればいいと思っているよ」。
トレードでバッサリとベテランを切り、
攻撃的に動ける若手選手へシフト・チェンジ中だにゃ。
新監督が彼らにどんな戦術を伝えるのか、楽しみ。
監督交代時の心中
(問)コーチ経験者として、最初の決断の1つがコーチングの変更であったことは、どれくらい難しかったでしょうか。
「いいかい、今季のチームは試練の中で見事な仕事をしてくれた。トレード締め切り時、多くの重要なピースを交換したけど、最終週までプレーオフ進出を争っていた。組織に新しさが必要だと思っただけさ。
だから、コーチング・スタッフにはすべてを検討するつもりだと伝えたんだ。私はオーナーに会いに行ったし、ファンのところへ行ったし、選手のところへも行った。
そして、もし適切な人を見つけ、適切な人がそこにいて、適切な人だと感じたら、変化が起こるかもしれないと言ったんだ。良いことに、すべてのスタッフの契約があと1年残っていた。
私は同じ立場にいたしね。あと1年残っていなかったら、もっと違った結果になっていたかもしれないよ。戻ってくるかどうか、心配されるのは嫌なものさ。
しかし、私はチームの皆に言ったし、誰に対しても話しても言ってきた、だから今、君にも言っておくよ。もし適切な人を見つけられなかったとしても、ジョン・ハインズはとてもいいコーチだから、私はそのままでいいと安心しきっていたんだ。
ただ、そう感じていたんだけど、チームに変更を加えようとしたとき、違う考え方を求めていたことに気づいた。そうするうちに、この人だと思ったんだ。アンドリューとは長い付き合いになるね。
彼が選手とどのように関わっているかを知っているよ、特に熟練した選手たちと。そこで、調査をしてみて、結局、私は変化が必要だと感じた。今、ナッシュビルは新鮮味に溢れていると思うよ」。
ドラフトに向けて
(問)最後に、今月後半にナッシュビルでドラフトが開催されます。最も楽しみにしていることは何ですか?
「(前GM)デビッド・ポイルの壮行会かな。彼はあらゆる称賛を受けるに値するし、それは彼にとって素晴らしい新たな旅立ちになるだろう。このフランチャイズは彼なしでは成り立たなかったよ」。
※デビッド・ポイル=「はじめに」掲載の前回記事、参照。
まとめ
最後は、取材記者を煙に巻いた感じでしょうか。ドラフトまで手の内を明かさないつもりでしょう。隠し玉のためにじっとしているのか、あるいは、ドラフト当日、他チームの動向をにらみながら、豊富な指名権を武器に、ドンドン意中の選手を指名していくのか。
GMも監督も決まり、これからはトレードもやっていかないといけません。この前のトレード・デッドラインで大きく動いたチームの一つなので、ひょっとすると、動きなしかもしれませんが…。ここは、監督の考え方次第ですね。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!