はじめに
オフシーズンに入ったNHL、公式サイトを見ると、ドラフト全体1位コナー・ベダードをウェルカムするシカゴの様子が報じられています。ドラフト中継でも、全体1位指名発表を一目見ようと、パブリック・ビューイングに集まったシカゴ・ファンの喜びぶりが印象的でした。
人の出入りは、ドラフトだけではありません。この時期、FA選手の大移動も開始され、連日、ベダードのニュースに負けないくらいの情報の洪水です。特に再建中のチームにとって、金をかけずに獲得できるFA選手は、まさに砂漠のオアシスです。いくつあっても足りないくらい。
今回は我が愛するチーム、フィラデルフィア・フライヤーズのFA選手獲得状況の一部をウォッチしてみました。
ドラフト戦略はおしなべて高評価だったフライヤーズ、
FA選手に関してはどうなんだろにゃ?
控え選手に重点を置いているようだが…。
引用元:NHL.com「Transaction Analysis: Flyers Sign Three Free Agents」。
NHL.com「Transaction Analysis: Staal Adds Experience to Rebuilding Flyers」。
※こちらは部分引用。
7月1日、契約交渉解禁!
NHLの契約交渉シーズン初日、フライヤーズは3人の無制限フリーエージェントと契約しました:センターのライアン・ポーリング、ベテラン・ウインガーのガーネット・ハサウェイ、センターのレット・ガードナーです。
チーム再建中における今回の契約は、チームのボトムシックス(第3&第4ライン)・チェックを強化し、全体的な選手層を厚くすることを目的としています。
ハサウェイに特別に求められているのは、ロッカールームのリーダー・グループに、ベテランの新キャラクターとして加わってほしいという要素もあります。
ピッツバーグからライアン・ポーリング!
ポーリングは140万ドル(日本円で約2億円)の単年契約を結びました。スピードのある24歳のセンター(6フィート2インチ=188センチ、196ポンド=89キロ)は、開幕戦の夜、フライヤーズの4番目のラインにおけるセンターの座を争うことになります。
元々は2017年のNHLエントリードラフトの第1巡目(全体25位)で、モントリオール・カナディアンズにドラフト指名されたポーリングは、これまでハブスとピッツバーグ・ペンギンズに所属し、NHL128試合でユニフォームに袖を通しています。
ミネソタ出身の彼は、これまでのNHLでのキャリアにおいて、NHLレベルのポイント(20ゴール、16アシスト)はあまり記録していませんが、守備では責任感を持ってプレーする選手です。
キャリア中、ポーリングは平均11:40 TOI(Time on ice)を、5対5における個人コルシ(1試合におけるシュート試行の割合)は約49%をそれぞれ記録しました。
少なくとも統計的に見て、彼はフェイスオフの段階 (45.8%) でチームに弾みをもたらしませんが、キャリアにおいて、相手からパックを取り戻すテイクアウェイと、相手にチャージされ手パックを失うギブアウェイの割合が57%対36%となっています。
昨シーズンは53試合で41本のシュートを防ぎました。ポーリングは、シーズン中に合計129分のペナルティキリングを記録しています。
制限付きフリーエージェントの資格を与えるという、ピッツバーグからのオファーを拒否したため、ポーリングは無制限フリーエージェントとなりました。
守備に自信を持ってる選手という感じかにゃ。
センターだから、それなりにシュートも打てるみたいだし、
チームがピンチの時も切り抜けてくれそう。
ボストンからガーネット・ハサウェイ!
ベテランのウインガー、ハサウェイ (31歳) は平均237万5000ドル (AAV=平均年俸) で2年間の契約を結んでいます。
フライヤーズのファンがよく知っているように、ハサウェイはチームに対し煽情的な存在感を発揮し、これまでの457試合のNHLキャリアにおいて、NHLで最も効果的な第4ライン・プレーヤーの一人でした。
相手を威嚇する唸り声をあげながら、攻撃的にプレーするヒッターで、シュートブロックとペナルティ・キリングを得意とするハサウェイは、4シーズンで2桁ゴールを記録しています。
ブラウン大学出身の彼は、リンク外では人望も厚く尊敬されている選手ですが、氷上ではしばしば対戦相手を激怒させていました。
後述のマーク・スタールと共に、
チームの屋台骨を支えてくれそうなベテランだにゃ。
ロッカールームの雰囲気を変えたいと言ってる監督のニーズにも合いそうだ。
まずは第4ラインの整備から
まだ実力未知数の選手にとってはより有利な条件で、負傷者が出た場合に備えての追加招集として、フライヤーズはガードナーと775,000ドルのAAVで2年間の契約を結んでいます。
立派な体格(6フィート3インチ=191センチ、210ポンド=95キロ)のセンターは、2022-23シーズン、テキサス・スターズ(AHL)で2ウェイ(攻守両方をこなす選手)を経験しました。27歳の彼は、ダラス・スターズでNHL通算40試合に出場しています。
これらの契約はいずれも、2022-23シーズンのフライヤーズの順位ポイント合計に劇的な影響を与えるという意味では、大きな影響を及ぼす可能性は低いものです。
しかし、昨シーズン、全休したショーン・クチュリエ(センター、30歳)とキャム・アトキンソン(右ウィング、34歳)の怪我からの復帰と相俟って、この新戦力は、ジョン・トルトレラ監督の大局的な目標である「説明責任を果たすチーム」に合致しています。
※ここから「Transaction Analysis: Staal Adds Experience to Rebuilding Flyers」。
フロリダから大物ディフェンスマン!
フィラデルフィア・フライヤーズの再建が進む中、チームは7月1日にガーネット・ハサウェイと2年契約を結び、前線にベテランのリーダーシップを加えました。
その2日後、チームは無制限フリーエージェントのディフェンスマン、マーク・スタールと110万ドルの単年契約を結び、ブルーライン(守備陣)にも同様のことをしています。
ハサウェイ同様、スタールに期待される貢献は、氷上での役割と同じくらい、組織の若手選手たちへの無形の資産であり、模範となるリーダーシップです。
スタールとはこんな選手
36歳のスタールは、NHLのレギュラーシーズン1,101試合の経験(通算52ゴール、229ポイント、ペナルティ・ミニッツ523分)とスタンレーカップのプレーオフ128試合のキャリアを、チームにもたらすでしょう。
スタールは16シーズンの選手生活で、相手のシュートを1,404本(60分あたり3.8本)ブロックし、1,612本(60分あたり4.36本)のシュートを放った一方で、試合あたりの平均氷上でのプレイ時間は20分7秒でした。
イーブン・ストレングス(ペナルティなどで、リンク上が4対4や3対3になっている場合)では、キャリア通算プラス50となっています。6フィート4インチ(193センチ)、208ポンド(94キロ)のスタールは、常にリンク周辺の壁やネット付近の密集した場所で強さを発揮します。
昔ながらの守備的ディフェンス・スタイルに回帰したようなスタールは、ホッケー選手としてのキャリア歩数計に多くの走行距離を刻んできました。彼はもはや、ニューヨーク・レンジャーズで全盛期を過ごした時のような、上位のシャットダウン・ディフェンダーではありません。
それにもかかわらず、スタールは昨シーズン、スタンレーカップ決勝に進出したフロリダ・パンサーズで効果的に最後までプレーしています。
スタールはプレーオフ21試合に出場し、アイスタイム平均18分12秒を、レギュラーシーズン82試合すべてに出場して、平均20分52秒をそれぞれ記録しています。
動き回って、
1人で相手の攻撃の芽を摘みに行くタイプのディフェンダーかにゃ。
ここ数年の不振で意気消沈気味のチームに、
後方から喝を入れてくれそうな選手だ。
新GMもビックリの移籍オッケー
フライヤーズのゼネラルマネージャー、ダニー・ブリエールは、ジョン・トルトレラ監督の下、ニューヨークで5シーズンプレーしたスタールは、イワン・プロボロフ(ディフェンス、26歳)のトレード(6月6日、コロンバス・ブルージャケッツへ)とそれに続く引き抜きが予想された後、フライヤーズが当初考えていたブルーラインの”穴埋め”候補選手の一人ではなかった、と月曜日に述べました。
ブリエールによると、現在再建中のフライヤーズとの契約に、スタールが興味を持つと思わなかったからだと言っています。
「マルク・スタールのような選手が、ここへ来ることに興味を持つなんて思ってもいなかったので、相互に関心があると知ったときはかなり興奮したよ」とブリエールは語りました。
「トーツ(トルトレラの愛称)のもとでプレーし、トーツがどんな人間であるかを理解し、そのメッセージを伝えてくれるような選手を加えるのは、あまりに理にかなっていると思う。
彼は一生懸命プレーするんじゃないかな。彼はフロリダでやっていたように、仲間をプッシュし、どんどんプレーしようとするだろう、それは素晴らしいことだよね」と述べました。
まとめ
トルトレラの意思が選手に伝わったとは言い難い今シーズン、トルトレラ監督指揮下でプレーした経験を持つスタールは、その仲介役も託されていると思われます。
ただ、年齢的に、フルシーズン行けるかどうかは難しいかもしれません。スタールの他に、もう1、2人、そういう役目のできる選手が必要ではないでしょうか。
FA選手獲得がこれでおしまいかどうか、チーム全体を総とっかえしないといけないくらい、フライヤーズは落ち込んでますから、終わりとは思えませんが…。まだまだ大物選手は残っていますので、今度は観客動員を増やすスター選手の獲得を期待します。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!