さらば、ブルーインズのキャプテン!「最高の状態で引退したかった」

アイスホッケー名選手

はじめに 

 制限なしのフリー・エージェント選手は、「制限あり」の場合と違い、ベテラン多めなのですが、中にはオファー無しと諦めたり、体力の限界を感じた結果、引退を決断する選手もいます。

 記録的勝利で、レギュラー・シーズン無敵を誇ったボストン・ブルーインズのキャプテン、パトリス・バージェロンもその1人です。

 記事中にもありますが、深刻なレベルの脳震盪をはじめとする数々の怪我に遭いながらも、それをはねのけ、「ミスター・ブルーインズ」としてチームを牽引した姿は、多くのファンの胸に残ることでしょう。今回は、彼の引退についてです。

讃岐猫
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引用元:ESPN.com「Patrice Bergeron on retirement: Wanted to leave ‘on top of my game’」。

偉大なるキャプテン、遂に引退発表!

 多分、彼はマラソンを走るでしょう。そして、おそらくコーチにはならないでしょう。今のところ、パトリス・バージェロン(センター、38歳)は「家族のためのUberドライバー」であることに満足しており、かなり良い気分のようです。

 引退を発表した翌日の水曜日、TDガーデン(ブルーインズのホーム・アリーナ)で行われた記者会見で「20年間、素晴らしい道のりだったが、同時にホッケーは多くのプレッシャーとストレスをもたらすものなんだ」と語りました。

 「だから、家族のために、少しだけUberのドライバーになれて、リラックスできるのは素晴らしい変化だ」。

 最後のシーズン、ホッケー界最高のチームで第一線のセンターを務め、まもなく殿堂入りするバージェロンは、7月25日・火曜日、来シーズンはチームに復帰しないと発表しています。

試合に向けての準備が…

 彼のスキルが落ちていたわけではありません:リーグトップのフォワードとして、2年連続でセルケ・トロフィーを受賞—通算では6回–、そしてブルーインズをNHL史上最多勝、最多ポイントに導きました。しかし、試合への意欲はあったのです。

セルケ・トロフィー=フォワードで、ゲームの守備部分で最も優れたスキルを示した選手に贈られる賞。バージェロンは2021-22シーズン、そして22-23シーズンと2年連続受賞。通算6回受賞は歴代単独トップである。

 「今は、だいぶ時間がかかるようになってしまった。用具をつけて、氷の上に飛び乗ることができなくなったんだ」と語りました。

 その名もレストラン「レジェンズ」で行われた記者会見に、オーナーやフロント関係者も出席した中で、バージェロンは「私はできる限り高いレベルでゲームをプレイしたかったし、自分の出るゲームで頂点に立ちたいと感じていた」と記者団に語っています。

レジェンズ=TDガーデンのレベル3にある、会員専用のプライベートレストランおよびバー。ブルーインズとセルティックスのシーズンチケット所有者および会員権を購入した、ゲームプラン所有者のみが利用可能。

 「今がその時(引退)だと思ったんだ」。

 バージェロンは、2003年ドラフト2巡目に彼を指名したブルーインズで、19シーズン、427ゴール、613アシストを記録しました。

 プレーオフでは50ゴールと78ポイントを追加し、ブルーインズをスタンレーカップ決勝に3度導き、バンクーバーとの第7戦(2011)では2ゴール(うち1ゴールはショートハンド=自チームが1人少ない状態)を記録しています。

 ケベック市郊外のフランス語圏出身で、カナダ代表として2度のオリンピック(2010、2014)に出場し金メダルを獲得しました。

讃岐猫
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チーム社長の談話

 ブルーインズのカム・ニーリー社長は、前主将を称える計画はまだ何も立てていないとしながらも、彼の背番号37を永久欠番にすることは「簡単だ」と語っています。

カム・ニーリー=カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州コモックス出身、58歳。現役時のポジションは右ウィング。1993-94シーズン、44試合目で50ゴールを決め、ウェイン・グレツキー以来の少ない試合数での50ゴール達成者となる。

 「そのための時間を見つけるよ」とニーリーは述べました。

 フロントやコーチ陣も新キャプテンについて話し合っています。メンバー中、ブラッド・マルシャン(左ウィング、35歳)は最も長く在籍しており、ズデノ・チャラの退団に伴い、バージェロンがキャプテンに昇格した2020年以降、副キャプテンの「A」を着用しています。

ズデノ・チャラ=詳細はこちら→

 (チャラが昨年のボストンマラソンに出場したことで、彼は決して自分を律するのをやめたわけではない、とバージェロンは指摘しました。)

チャラが昨年のボストンマラソンに出場=ホイト財団(1989年設立の非営利団体。米国の障がいのある若者支援を目的とする)トーマス・E・スミス財団(麻痺に罹患した人々や麻痺とともに生きる人々の生活を、財政的および精神的支援を目的とする)支援のため、2023年のボストンマラソンに参加し、3時間38分23秒のタイムで完走。

 ニーリーによると、彼をはじめとするブルーインズの経営陣は、バージェロンに引退を撤回するよう説得しようとしたが、うまくいかなかったと言っています。

昨年夏にも考えていた引退

 「いつも繰り返されるテーマは、その時が来ればわかるということでした。そして、実際にそう感じたんだ」とバージェロンは言いました。「私はとても直感的な人間です。いつも自分の本能や心の声に耳を傾けているような感じがしますし、前に進む時が来たような気もしました。

 残念ながら、いつまでもプレーできて、これ(引退)をする必要がなかったらいいのにと思います。しかし、ご承知のように、最終的には先に進まなければなりません。体は時々何かを教えてくれるのです」。

讃岐猫
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 38歳のバージェロンは、ブルーインズを2011年のスタンレーカップ優勝と他の2度のファイナル進出に導きました。昨年夏に引退を考えましたが、1年契約で復帰し、ボストンがNHL史上最高の成績でプレジデンツトロフィーを獲得するのに貢献しています。

 しかし、プレーオフ1回戦で敗れた後、彼はその思考プロセスをもう一度繰り返しました。

今シーズンのブルーインズについては、こちら→

 「傷が浅いうちは、理性的な判断ができないね。物事をよく考えるか、少なくとも自分の中で思い浮かべる時間を作る必要がある、と、私はそう感じたんだよ」とバージェロンは述べています。

 「私の中では、そう、早い段階で戻ってきたいと思う部分があったね。…一歩引いて、ホッケー選手として、そして一人の人間として、幸運にも経験し、生きてこられたすべてのことに気づいたとき、とても幸運で感謝の気持ちになったんだ」と述べました。

脳震盪の苦難も乗り越えた!

 バージェロンは自身のキャリアのハイライトを回想することに、あまり時間を割きませんでした。

 しかし、自身の成長を証明した「ある瞬間」について尋ねられると、2007-08シーズン、脳震盪のために10試合しか出られませんでしたが、彼はこの試合をさらに評価するようになっていたのです。

2007-08シーズン、脳震盪=開幕から10試合で3ゴール・4アシストを記録した後、10月27日、フィラデルフィア・フライヤーズのディフェンスマン、ランディ・ジョーンズの後ろからのチェックを受け、バージェロンは頭を打ち、エンドボードに激突した後、意識を失った。

 マサチューセッツ総合病院に運ばれ、鼻の骨折とグレード3の脳震盪と診断される。ジョーンズはNHLから2試合の出場停止処分となった。11月8日、バージェロンは初めて公の場で発言し、法的措置は取らないと述べ、ジョーンズが謝罪の連絡を取ろうとしてきたと述べている。

 シーズン全欠の決定は、この時でなく、翌年1月19日である。当初考えていたものより、回復状況が思わしくなかったためである。バージェロンは、その後も何度かリンク上で脳震盪に見舞われている。

 「物事が起こるのには理由があります」と彼は言いました。「あの瞬間を変えたいとは思うけれど、同時に、あの瞬間が私を強くしてくれたし、プレーできることのありがたみと感謝に気づかせてくれたのを忘れてはならないね。

 脳震盪のせいで、かなり長い間、私の心は離れていたから、暗くて寒い冬の日や真夏の日でも、いつもやってる練習やトレーニング、そしてもちろん試合に出られることを感謝するようにしているよ。だから、とても勉強になったんだ」。

讃岐猫
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同僚からの賛辞

 バージェロンの引退について、ボストンのロッカールームやリーグ全体から賛辞が送られました。

 ブルーインズのディフェンスマン、チャーリー・マカヴォイ(ディフェンス、25歳)は、チームの投稿した動画の中で「バージェロンがここで構築したものは特別です」と語っています。

 「できる限りのことをすると約束するよ。彼への愛情でいっぱいだ。私たちはずっと友達でいられると思うし、彼と、彼のすばらしい家族による次の章での幸運を祈っているよ」。

まとめ 

 偉大な先輩を見習い、バージェロンはマラソンに励むのかどうか、できれば、体に負担をかけてほしくない気がします。少し休んだ後、類まれなキャプテンシーを活かし、コーチ業でのリンク帰還を希望してるファンも多いと思います。

 来シーズンのブルーインズがどうなるか。精神的支柱がいない上に、今回のプレーオフでの惨敗後遺症が残っていなければいいのですが。チーム関係者の「もう1シーズン、現役で」って気持ちも分からなくはないです。こればかりは仕方ないですね。

 偉大なるキャプテン、今までありがとう! 

讃岐猫
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