NHLスター選手ダウティとコピターが行う、キングスのチーム作りについて

現役スター選手紹介

はじめに 

 日本ではプロ野球もJリーグもほぼ閉幕し、来季に向け、どのチームもコーチ人事の刷新や選手の入れ替えを行っています。その中には、若い選手に自分の経験を伝え、「思い残すこと無し!」と引退していく選手も多いでしょう。 

 引退せずともコーチ兼任となったり、あるいは大ベテランとして周囲から言われずとも、自然に次世代を育てようと指導する選手もいるはずです。それは日本だけでなく、遠く離れたNHLでも同様です。 

 まして、他のスポーツにやや押され気味のNHLとしては、新たなスターを生み出し、彼らがリーグを活性化させてくれることを願うのは当然のことであり、心あるベテラン選手が育成に勤しむのもまた自然の成り行きです。 

 今回はL.A.キングスの大ベテラン=ドリュー・ダウティとアンゼ・コピターの物語です。チームはパシフィック・ディヴィジョンの2位につけ、絶好調で首位を快走するベガス・ゴールデンナイツを懸命に追走中。 

 ダウティは試合に出たり出なかったりですが、年長のコピターは全試合出場と頑張っています。2人ともここぞという時のアシストで、チームに勝利をもたらす存在と言っていいでしょう。 

 そんな2人の若き日、彼らに「ホッケーとは」「チームとは」そして「人生とは」を教えた師匠がいたようです。 

讃岐猫
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今回は長くなるので、

前後編2回に分けてお届けするにゃ。

引用元:ESPN.com「‘They make you feel like you belong’: How Drew Doughty and Anze Kopitar have shaped the Kings」。

2人にとっての恩人達 

 将来を見据えるには、ドリュー・ダウティ(ディフェンス、32歳)とアンゼ・コピター(センター、35歳)は過去を振り返る必要があります。その時、NHLに入ったばかりの自分達を指導してくれた人たちの名前を、彼らは並べ始めるはずです。  

 ロブ・ブレイク(現・キングスGM)もその一人です。ダスティン・ブラウン(キングス、スタンレーカップ優勝時の右ウィンガー、キャプテン)もそうです。 

 他にはマット・グリーン(優勝時の副キャプテン)、ディーン・ロンバルディ(優勝時のGM)、マティアス・ノーストローム(2001~2007年まで、チーム史上初、非北米生まれのキャプテン)、ジャレット・ストール(優勝時のセンター)も同様です。  

 ダウティは2008年のNHLドラフト全体2位、コピターは2005年の11位で指名され、フランチャイズに加入し、2人が10代の有望株から脱却できたのは、彼らの指導のおかげだ。  

 2011-12から2013-14の3シーズンで2度のスタンレーカップ優勝を果たしたロサンゼルス・キングスの立役者に、2人がなったのも同様です。

現在の2人と若手との接点 

 来月33歳になるダウティと35歳のコピターにとって、勝利は依然として優先事項です。今だけでなく、現役時代が終わり、キングスのアリーナの垂木に背番号がぶら下がった後でも。  

 だからこそ、2人のベテランは、自分たちが学んだことを新しい世代のキングスに伝え、自分たちが入団したときよりも良い状態で組織を去ることができるようにと願っているのです。  

 「やろうとしているのは、知識を伝えること」とコピターは言いました。「それなら、すべての選手が同じでないことを理解する必要があるよね。すべてのリーダーが同じようにリードするわけでもないし。  

 できるだけ、教える場にとどまるよう心がけて、自分のやり方でやっているんだ。…たとえば、僕は普段、またはほとんどの場合、ロッカールームで一番うるさい人じゃない。しかし、(他の選手に)何かを言わなきゃならない時もあるからね」 。  

 そのような「教育の時間」はいつでも訪れます。試合中にベンチで、ダウティが若い選手を励ますような言葉をかけてくれることもあります。  

 または練習後のロッカールームで。チームメイトとレストランで食事をする時、またはコピターが自宅で食事会を主催する夜に、アドバイスを送ることができます。  

 監督やチームのエグゼクティブ、ベテラン選手が語る「カルチャー」とは、こういうことなのです。しかし、その文化を築くには時間がかかります。 

讃岐猫
讃岐猫

人に物を教えるのは、なかなか難しいことだにゃ。

タイミングってものもあるし。

具体的に2人はどんな教育を受けてきたか 

ダウティとロンバルディ 

 コピターとダウティがキングスに加わった時、すなわちコピターが2006-07シーズンに、ダウティが2008-09シーズンに加わった時、組織は6年間のプレーオフ不出場の真っ只中にありました。  

 ダウティは、上記2つのカップタイトル獲得の立役者であるキングスのゼネラルマネージャー、ロンバルディから教育を受けたと言います。 

 ロンバルディはダウティにリーダーであることの意味を教え、ダウティの行動が周囲の人々にどのような影響を与えたのかを理解する手助けをしました。  

 ダウティはユースホッケーとメジャージュニアでチームキャプテンを務めた経験があります。しかし、彼のアプローチは、ホッケーをしながら楽しむ方にシフトしていきました。  

 NHLでのキャリアをスタートさせた3試合で、ダウティはすでにアイスタイムでチーム内をリードしていましたが、ロンバルディの功績は、そのような観点からも評価されているのです。 

 「このレベルになった時、僕の資質がチーム全体へ効果あるなんて気づいてなかったけど、(ロンバルディは)今の自分へと成長する手助けをしてくれたんだ」とダウティは語りました。「リーダーになるなんてこと、あまり考えていなかっただけだよ。 

 自分のリーダーシップを発揮するために、他の人を尊敬することもなかったし。…僕が年をとるまで気づかなかったことの1つは、『チームのみんながあなたを見ている』ということ。僕は『なぜ彼らは僕を見ているのかな』と思っていたけどね」。

ダウティとグリーン 

 グリーンがダウティに与えた影響は非常に重要であり、ダウティは今でもアドバイスを求めて彼のところに行くと言いました。 

 ダウティはルーキーシーズンにグリーンと一緒に暮らし、グリーンは自分にとって兄弟か父親のような存在であり、今でもそうであると語りました。 

 ダウティは、いつも素直に聞いていたわけではないことを認めています。例えば、グリーンはダウティに常にトレーニングするように言っていました。それに対し、ダウティは渋い顔をしていました。 

 少なくとも、年を取ってから、高いパフォーマンスを発揮するために、努力が必要だということに気づくまではそうでした。 

 おそらく、ダウティがグリーンから学んだ最大の教訓は、チーム全体を把握することの意味を理解した点だろう。 

 「彼がいつも教えてくれたのは、キングスは君のチームだが、君がみんなにプレッシャーをかけなければ、他の誰がその役目をやってくれるんだい?ってことだ」とダウティは言いました。 

 「彼は『君がこれをやらなければならない』と言い、僕は『なぜ他の人に頼まないのか』と聞いたものさ。『なぜ、僕でなければならないの?』ってね。すると、彼はこう言ったんだ、『これは君の仕事であり責任だからだよ』と。 

 その議論をしたのは、ほんの3、4年前のことかな。今では、それが成長に必要な一部であることに気付いている」。

讃岐猫
讃岐猫

リーダーの資質を持っていると思われ、

大事に育てられたダウティは、幸せ者だにゃ。

教育上、ダウティとコピターが気を付けていること 

 ここまでは、「先輩からアドバイスを聞く」という事柄についてです。それをもとに行動する・しないは、また別の話です。では、ダウティとコピターは若いチームメイトにどのような影響を与えたのでしょうか? 

 まず第一に、誰もがチームメイトから歓迎されるように努力したこと。コピターは19歳になって、ブレイクなど将来殿堂入りする選手の周りにいた時のことを思い出しました。彼は(先輩達に)良い印象を与えようとする心と、同時にそんな心を抑えることの重要性を知っています。 

まとめ 

 今回の記事内容は、アイスホッケーやNHLに限らず、全てのスポーツに関わるものだと思います。 

 日本では、最終的に「スポーツ=厳しい練習&根性」の図式第一のようなところがあって、選手個々のメンタルとの向き合い方が二の次、三の次になっているように思います(徐々に改善されてきてはいますが)。 

 もちろん、練習は必要なのですが、その練習に選手を取り組ませるというか、向かわせる時の心構え、これをどう養っていくかが問題なのです。改めて、スポーツとメンタルの関係性について、深く考えさせられました。

讃岐猫
讃岐猫

後編もよろしく!

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

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