NHL拡張チームの参加費は20億ドル?新CBA内容も発表

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はじめに

 NHLドラフトの盛り上がりの裏側で、実はリーグの未来を左右する重要な話し合いが進められていました。拡張チームの参加費はなんと20億ドル、さらに新しいCBA(労使協定)では試合数の増加や契約ルールの見直しも。ワールドカップ・オブ・ホッケーの開催準備も本格始動し、NHLは新たな局面に突入しつつあります。

 NHLドラフトの裏側で、こんな大事なことが話し合われていたなんて驚きですね!

参照記事:The News‑Times1An 84-game season is among the changes coming to the NHL as part of the new labor deal

労使協定延長!NHLが新たな時代へ!

 NHLが大きな変化を迎えようとしています!現在の労使協定(CBA)2が延長される見込みで、その内容が注目を集めています。その一環として、なんと、シーズンが84試合に増えるんです😲!

 この新しい取り決めは、早ければNHLドラフトの1巡目が行われる6月27日・金曜日に発表されるかもしれません。

 関係者2人がAP通信に語ったところによると、今年2月の「4カ国対抗戦」で2028年にホッケーのワールドカップ3を共催することに合意した後、リーグとNHL選手会(NHLPA)4は春から本格的に交渉を進めてきており、すでに大筋で合意が取れているとのこと。

 この他に、選手が結べる契約期間の最大年数を短縮すること、そして初めてプレーオフにサラリーキャップを導入することが含まれています。収益が毎年記録を更新しており、今後数年でサラリーキャップも飛躍的に増加する見通しの中、NHLコミッショナーのゲイリー・ベットマンと選手会のマーティ・ウォルシュ専務理事は、迅速な合意に前向きな姿勢を示していました。

 しかも、今回は過去のような大きな対立もなく、スムーズに話が進んでいるようです😊

 2030年までの延長は、2012–13シーズンのロックアウト5以来の長期的な労使平和をスポーツ界にもたらすことになります。当時のロックアウトではシーズンが48試合に短縮されました。

 このロックアウトは、2004-05シーズンの全シーズン中止に次ぐ規模の労働争議でしたが、最悪の事態は回避され、その後のリーグの財政安定に繋がりました。

シーズンが84試合に!プレシーズンは縮小予定📅

 現在のレギュラーシーズンは82試合ですが、2026-27シーズンから84試合に拡大されます。これにより、リーグ全体では1,344試合が行われることに。さすがにちょっと多すぎる?と思うかもしれませんが、実はその分、プレシーズンの試合が減る予定なんです。各チーム、プレシーズンは4試合に抑えられる見込みです👍

 また、追加される2試合は同じディビジョン内で行われるため、ライバル対決がより増えることになります🔥現在はローテーション制のため、一部のディビジョン内の対戦が年間3試合にとどまっているケースもあります。トロント vs ボストン、ダラス vs コロラド、ワシントン vs ピッツバーグなど、ファンにとってはたまらない対戦が毎年4試合ずつ見られるようになるんです!

 この不均衡は解消される予定で、なおかつNHLが84試合制を採用するのは今回が初めてではありません。1992-93と1993-94のシーズンでは、各チームが中立地での試合を2つ追加する形で試験的に実施されていました。今回の新ルールは、その時とは違い、より意味のある対戦に重きを置いているのがポイントです💡

契約年数も変わる!長期契約がちょっと短くなる📄✂️

 今回の新しい協定では、選手が結べる契約年数も見直されます。これまで(2013年以降)、自分のチームと再契約する場合は最大8年6、他チームに移籍する場合は最大7年の契約が可能でしたが、新ルールではそれぞれ1年短くなります。つまり、自チームと再契約は最大7年、他チームと契約する場合は最大6年までになります。

 トップ選手たちは怪我のリスクもあって、なるべく長期の安定した契約を望む傾向があります。ゼネラルマネージャーたちも、有力選手を長くチームに引き留めたい気持ちは同じ。

 実際、ネイサン・マキノン(コロラド)、セバスチャン・アホ(カロライナ)、レオン・ドライザイトル(エドモントン)、ユッシ・サロス(ナッシュビル)、トラヴィス・コネクニー(フィラデルフィア)、マシュー・バルザル(N.Y. アイランダーズ)、そして最近ではミッコ・ランタネン(ダラス)など、多くのスター選手が8年契約を結んできました。

 しかし、今後3年間でサラリーキャップが大幅に上昇することを受けて、契約に対する考え方が変わり始め、短期契約の選択肢も増えています。昨夏、トロントのオーストン・マシューズがたった4年の契約延長を選んだこと7も話題に。エドモントンのコナー・マクデイビッドも、同様の選択をする可能性があります🤔💬

ついにプレーオフにもサラリーキャップ導入!💰🚫

 これまで、NHLではプレーオフ中にサラリーキャップの制限が適用されていませんでした。つまり、現在のルールでは、長期負傷者リスト(LTIR)に入っている選手の年俸分だけ、チームはサラリーキャップを超えることが可能です。

 そのため、過去10年間で、スタンレーカップの有力候補チームは長期負傷者リストを活用して、レギュラーシーズンを全休または一部欠場した選手を、プレーオフ開始時に復帰させる手法が何度も使われてきました。

 フロリダがマシュー・カチャックを復帰させて2連覇を果たした例や、ベガスがマーク・ストーンで同様の手を使った例などが有名です。他にも、タンパベイはニキータ・クチェロフ、シカゴはパトリック・ケインで同様の戦略を取りました。

長期負傷者リストの悪用?について、以前、このブログで取り上げました!

 このやり方には「不公平な抜け道だ」という批判されており、タレントを蓄積した上で、プレーオフではさらに選手を追加できる手段と見なされてきました。

 2021年にカロライナがタンパに敗れた時、ダギー・ハミルトンは「我々は、1800万ドルもキャップを超えたチームに負けた」と皮肉なコメントをし、話題になりました。タンパベイはその年連覇を達成し、選手たちはそのセリフが書かれたTシャツを着て祝勝会に登場するという“挑発”も😂

ハミルトン、怒りの記者会見!最初はシーズンを振り返ったり、同僚を褒めたりしていたんですが、8分過ぎから怒りのコメント連発!

 ですが、今回の新ルールでこうした抜け道は封じられる予定です。ただし、具体的にどう運用されるかについてはまだ不明な点もあります。

参照記事:SportsPro8Future NHL expansion team to cost ‘US$2bn’ as new CBA agreement nears

NHLに新展開?拡張チームの参加費は20億ドル!?💰🏒

 NHLに、また新たなチームが加わるかもしれません!とはいえ、すぐにではありませんが、その準備は少しずつ進んでいるようです。

 今週行われたNHL理事会の会議では、将来的な拡張に関する話題が取り上げられ、もし新しいチームが加わるとしたら、その参加費はなんと20億ドル(約3,200億円)を設定する方針だと報告されました😲

 これは、NHLとNHL選手会(NHLPA)が新たな労使協定(CBA)の締結に向けて進展している中での情報です。既存のチームオーナーたちに対して、将来的な参加費の可能性について説明があったとSportico9は伝えています。

 これとは別に、チームを保有するグループ(新規参加チームのこと)は、新しいアリーナの建設に10億ドル(約1,600億円)をかける必要もあるかもしれません。かなりの投資額ですね…!

 会議では、6つの所有グループ(新規参加したいチームが6つもある?)が候補として話し合われたそうですが、この件について会議後に質問されたNHLのベットマン・コミッショナーは「現在、正式な申請はなく、拡張を進める予定もない」と記者団に発言。とはいえ、水面下では着実に準備が進んでいるのかもしれません🤔

過去のチーム拡張との比較📊

 ちなみに、2018年に加入した最新チーム「シアトル・クラーケン」は、12月に当時6億5,000万ドル(約941億7200万円)の拡張料を支払ってNHL入りしています。そこからたった数年で、参加費は3倍以上の額に…。また、2023年にタンパベイ・ライトニングの株式の過半数が売却されたときには、18億ドル(約2607億8400万円)の価値がつきました。

 NHLチームへの投資熱は高まっており、Forbes10によると現在のフランチャイズ平均価値は19億ドルとも言われています。つまり、20億ドル(約2987億7600万円)の参加費もそれほど非現実的ではないのかもしれませんね💸

新しいCBAがNHLをさらに変える📃✨

 NHLは現在、NHL選手会と新しい4年間の労使協定(CBA)の最終調整を進めており、これがまとまれば、リーグはさらに安定した運営が可能になる見込みであり、拡張について本格的に検討を進める可能性があります。この新CBAは2030年9月に満了予定です。

 ESPNによると、新しいCBAでは、レギュラーシーズンが82試合から84試合に拡大される一方で、プレシーズンの試合数は減少する予定です。また、選手契約の最大期間が7年に制限され、将来的な報酬を後払いとする繰り延べ(後払い)も禁止になります📉

【追記】繰り延べ(後払い)とは?

NHL選手が受け取る報酬の「繰り延べ(後払い)」には、主に2つの仕組みがある。

エスクロー制度:
 これは、労使協定(CBA)により、リーグの収益(HRR)をオーナーと選手で50対50で分配するための制度。選手は給与の一部が一時的に預けられ、シーズン終了後に実際のHRRが確定すると精算される。

 もし選手の給与総額がHRRの50%を超えていれば、預けた金額の一部または全額がオーナーに支払われるため、選手が契約額より少ない額を受け取る場合も。最近では、エスクローの徴収が一時的に0%になったと報じられ、選手にとっては良いニュース。

繰り延べ報酬(Deferred Salary):
 これは個々の選手契約で、給与の一部を契約終了後に支払うというもの。チームがサラリーキャップの柔軟性を高める目的で利用されることがあったが、最新の労使協定の延長合意により、全面的に廃止される方向にあると報じられている。

 さらに、この協定では、選手とチームオーナーの間でホッケー関連収入を50対50で分配することが明記されており、プレーオフ期間中にもサラリーキャップが確実に遵守されるよう、より厳格な監視体制も導入されると伝えられています。

 このCBAが正式に承認されれば、過去20年間で3度も起こったロックアウトのような混乱を防ぎ、NHLにとって安定と成長の土台となりそうです🔐

リーグ本体と選手会の合同記者会見。昔はチャンチャンバラバラでお互いそっぽを向いていたもんね。ベットマンはまあ、上手くやってる人だと思います。

国際大会の開催地はどこに?🌍🏒

 さらに今週、NHLとNHLPAは2028年2月に開催される「ワールドカップ・オブ・ホッケー」の開催地選定プロセスをスタートさせたと発表しました!

 この大会は8カ国が参加し、12日間にわたって開催されます。ヨーロッパや北米、その他の国際都市にも開催提案が呼びかけられており、NHL基準を満たすアリーナがあればどの都市でも立候補可能です。リーグおよびNHLPAは特定の都市に対して積極的にアプローチを行う方針ですが、連絡を受けていない都市も自ら立候補することができます。

 選定は「Playfly Sports11」が担当し、最終的な開催地の決定は2026年第1四半期に行われる予定です🗓️

 前回のワールドカップ・オブ・ホッケーは2016年にカナダのトロントで開催されましたが、その後はNHLとNHLPAの間の労使問題や2022年の冬季オリンピックとのスケジュールの兼ね合いで、開催が見送られてきました。

 とはいえ、国際アイスホッケーは近年再び注目を集めており、今年初めに開催された「4カ国対抗戦(4 Nations Face-Off)」では、大きな視聴率と観客動員を記録するなど、ファンの関心は高まっています📈🏒

 ベットマン・コミッショナーも「ワールドカップ・オブ・ホッケーは、国際ホッケーの最高峰を披露する場であり、私たちは2028年大会に向けた開催都市選定プロセスを始められることに大きな期待を抱いている。

 この大会は、開催都市にとって真にグローバルな舞台に立てる貴重な機会であると同時に、経済的・文化的にも大きなメリットをもたらすだろう」とコメントしています。

讃岐猫
讃岐猫

まとめ

 NHLは新たな拡張やCBAの改定、さらには国際大会の開催準備など、大きな転換期を迎えています。今後の動き次第でリーグの形やファンの楽しみ方も変わっていくはず。最新情報から目が離せませんね!

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. 米コネチカット州ダンバリーを拠点とする地域紙「The News-Times」の公式サイトで、Hearst Communicationsが運営。中立的な報道姿勢で、地域ニュースを中心に信頼性のある情報を提供している。
    NHLが大きく変わる!84試合制導入と新たなルールとは?🏒✨
    ↩︎
  2. リーグ(チームオーナー)と選手会(NHLPA)の間で結ばれる、選手たちの雇用条件やリーグ運営に関するルールのこと。

     主な内容は以下の通り。
    サラリーキャップ制: 各チームが選手に支払う年俸総額の上限。リーグ全体の収益(HRR)に基づいて毎年変動する。
    フリーエージェント(FA)権: 選手が一定の条件を満たすと、他チームと自由に契約交渉できる権利。
    契約期間の制限: 選手の契約期間には上限が設けられている。
    収益分配: 収益が高いチームが低いチームに資金を分配し、リーグ全体の競争力を保つ仕組み。

     過去には、この協定を巡って2004-05シーズンにはリーグ史上初となる全シーズン中止という大きなロックアウトも発生した。NHLの労使協定は、リーグの財政安定と選手の権利保護のバランスを取りながら、常に進化し続けている。
    ↩︎
  3. 2028年2月に開催が予定されているアイスホッケー・ワールドカップは、NHLとNHL選手会が共同で主催する国際大会である。

     これは、IIHF(国際アイスホッケー連盟)が主催する世界選手権とは異なり、NHLのトップ選手が参加する「ベスト・オン・ベスト」の大会として注目されている。

     主なポイントは以下の通り。
    開催時期: 2028年2月
    主催: NHLとNHL選手会
    参加チーム数: 少なくとも8チーム
    開催地: 北米とヨーロッパの複数都市を予定

     過去には1996年、2004年、2016年にも開催されており、NHLのスター選手たちが国の威信をかけて戦う姿は、アイスホッケーファンにとって見逃せないイベントとなる。
    ↩︎
  4. NHLの選手全員を代表する労働組合です。1967年に設立され、選手の権利と労働条件を守るために活動している。

     主な役割は以下の通り。
    労使協定(CBA)の交渉: リーグと選手の間のルール(給与、契約、FA権など)を決める大切な合意を交渉。この交渉は過去にロックアウト(リーグ閉鎖)の原因になったこともある。
    選手代理人の監督: 選手が契約する代理人が適切に活動しているかをチェック。
    選手の支援: 給与調停のサポートや、キャリア後の生活支援プログラムなども提供。
    ↩︎
  5. リーグと選手会(NHLPA)の間で、主に収益分配率を巡る交渉が決裂したことで発生した労働争議。

    期間: 2012年9月15日から2013年1月6日まで約113日間続いた。
    原因: リーグ側が選手の収益分配率を大幅に削減しようとしたことに対し、選手会が反発。
    影響: シーズン開幕が大幅に遅れ、レギュラーシーズンは従来の82試合から48試合に短縮。
    結果: 最終的に、収益分配率を50対50とすることで合意し、シーズンは再開。
    ↩︎
  6. 選手にとっては安定を、チームにとっては主力確保を意味するが、年齢によるパフォーマンス低下やサラリーキャップの圧迫、戦略の柔軟性低下などのリスクも伴う。
    ↩︎
  7. マシューズが4年契約を選んだのは、将来のサラリーキャップ上昇に柔軟に対応し、自身の価値を再評価しやすくするため。また、チームとのバランスや契約への注目を最小限に抑え、タイトル獲得に集中する狙いもある。 ↩︎
  8. スポーツビジネスに特化したイギリス発の専門メディアで、業界関係者向けにスポンサーシップや放送、テクノロジー分野の最新動向を発信している。信頼性の高いB2B情報源として知られている。
    ↩︎
  9. Penske Media(PMC)が2020年に立ち上げた、スポーツビジネス専門のデジタルメディア。業界ニュース、データ分析、施設・技術・スポンサー契約といった深掘り情報を、著名記者による記事やポッドキャスト、ニュースレター、イベントなど多様な形で提供している。対象はスポーツ業界のプロフェッショナルや経営層で、B2B領域に特化した信頼性の高い情報源。
    ↩︎
  10. アメリカ発の国際的な経済誌であり、そのウェブサイト「Forbes.com」でも広く知られるメディア企業。特に有名なのは、毎年発表される独自のランキングである。

    世界長者番付: 世界の富豪の資産額ランキング
    スポーツ選手の年収ランキング など

     ビジネス、金融、テクノロジーといった幅広い分野を扱い、日本では「Forbes JAPAN」として展開されている。成功者のストーリーや経済動向を知る上で、世界中で参考にされているメディア。
    ↩︎
  11. アメリカに拠点を置く、急成長中のスポーツメディア・マーケティング・テクノロジー企業。2020年設立と新しいながらも、スポーツ業界で大きな存在感を示している。

     主な事業は以下の通りです。
    大学スポーツのマーケティング権管理: 多くの大学のアスレチック部門の放映権やスポンサーシップなどを扱っている。
    デジタル・ファンエンゲージメント: ファンとのつながりを深めるためのデジタルプラットフォームやデータ分析を提供。
    グローバルパートナーシップ: 企業とスポーツチーム・イベントを結びつけるコンサルティングも手掛ける。

     プロスポーツから大学、高校まで、幅広いレベルでスポーツマーケティングを手掛け、データとテクノロジーを駆使してファンとブランドを繋ぐことを得意とする。 ↩︎
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