GMの判断が衰退を招く?NHL4チームのうち、クビになるのは誰? 

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はじめに

 2024-25 NHLシーズンの幕開けが近づいてくると、「あのチーム、新たな挑戦に意欲を見せてるけど、何か空回りしていませんか?」と思わせるチームも少なくありません。これらのチームが直面している問題の多くは、監督の責任と言われがちですが、果たしてそうでしょうか?

 奥さん、忘れちゃいませんか?管理職、GM(ゼネラルマネージャー)の存在を。ある時は選手や監督に寄り添い、ある時は冷たく突き放し、優勝すれば自分の手柄と言い、下位に低迷すればさっさと逃げてしまう役職ですね。責任が有るような無いような存在。

 本記事では、特に注目すべき4人のNHLチームGMに焦点を当て、その役割とチームの成績の関連性を探ります。彼らの管理手法や過去の決断が、チームの未来にどのような影響を及ぼしているのかを掘り下げてみましょう。

讃岐猫
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引用元:novacapsfans.com(NoVa Caps)「Thin Ice: Four NHL Executives Entering The 2024-25 Season On The Hot Seat

衰退するチームの原因はGM?

 2024-25 NHLシーズンが近づくにつれ、いくつかのチームは上昇傾向を見せ続けていますが、昨シーズンが終了してから逆の方向に進んでいるチームもあります。

 その中には、年齢や内部問題により衰退する可能性のあるチームもあれば、一貫して不十分な選手管理や資産運営が原因で下降しているチームもあります。そのような状況の中で、これから仕事を探すことになるかもしれない人たちがいます。

 NoVa Caps1は、今シーズンのスタートにあたり、ホットシートに座っている可能性が高い4人のNHL GMを選びました。

 候補者の基準:この投稿では、この春にポストシーズン進出を目指しているものの、大きな後退が予想されるチームのGMやコーチを取り上げます。

 これらのチームには、一定期間にわたって疑問視されるような決定を行ってきたGMやコーチがいます(ピッツバーグ・ペンギンズのマイク・サリバン監督などのように、今シーズンのチームへの期待が低いために名前が含まれない場合もあります)。

若手選手リストの評価が最悪…

GMルー・ラモリーロ(ニューヨーク・アイランダーズ)

 ニューヨーク・アイランダーズは、ここ10年間ずっとポストシーズン進出をぎりぎりで狙っているチームであり、今年のドラフトで20位指名した(左ウイングのコール・アイゼルマン)は、2019年以来の上位指名でした。

 ラモリーロが結んだ契約(2021年に右ウイングのカイル・パルミエリに対して4年、500万ドルのキャップヒット; センターのジャン=ガブリエル・パジョに対して6年、500万ドルのキャップヒット)は、チームにとってうまくいっていません。

 彼はまた、4年前にトップ・ペアリングのディフェンスマンであるデヴォン・トウズを(コロラド・アバランチへ)トレードで放出した際、ニューヨークにとって何の役にも立たなかった2つの駒(2021年と2022年の2巡目のドラフト指名権)を手に入れました。

 今年初め、The Athleticは、アイランダーズの将来期待される若手選手のリストをリーグで最悪2と評価しました。


 アイランダーズは2024スタンレーカッププレーオフに出場したチームの中で最も少ない39勝を挙げただけであり、このオフシーズンに大きな改善は見られませんでした。これはラモリーロがアイランドでの在任中に一貫して見られるパターンです。

 右ウイングのアンソニー・デュクレア(タンパベイ・ライトニングから移籍)の加入はチームの攻撃力向上に貢献するはずですが、特にワシントン・キャピタルズやニュージャージー・デビルズのようなメトロポリタン・ディビジョンのチームが積極的にロースターの再編成を行った後では、目立った効果は期待できません。

 アイランダーズはそろそろ方向性を決め、その方針に従う必要があり、ラモリーロがそれを実行できるかはまだ示されていません。

プレーオフ第1ラウンド敗退後の記者会見。監督と傷の舐め合い?してます↓。

あの拡張ドラフトは失敗だったのか?

GMロン・フランシス(シアトル・クラーケン)

 フランシスの雇用保障を疑問視し始める時期が来たかもしれません。なぜなら、7月1日、30歳のセンター、チャンドラー・スティーブンソンと7年・総額625万ドルという高額な契約を結んだことが、先月、The Athleticによって3NHLで2番目に悪い契約と評価されたのです。

 クラーケンにとって、これまでマスコミに注目されてきたフリーエージェントの補強が、どれも成功しなかった後に、スティーブンソンの契約は結ばれたものだからです。

 具体的には、ゴールテンダーのフィリップ・グルバウアー(2021年に6年契約、500万ドルキャップヒット)、クリス・ドライジャー(2021年に3年、350万ドルキャップヒット)、ディフェンスマンのジェイミー・オレクシアク(2021年に5年、460万ドルキャップヒット)、

左ウイングのアンドレ・ブルコフスキー(2022年に5年、550万ドルキャップヒット)、そしてディフェンスマンのブライアン・デュムラン(2023年に2年、315万ドルキャップヒット)などがいずれも失敗に終わりました。

 デュムランはシアトルと契約してわずか1年後にアナハイム・ダックスにトレードされ、クラーケンは2026年の4巡目指名権を得ました。

 さらに、フランシスの拡張ドラフト戦略で4コスト削減を試みた結果、シアトルはNHLで(ポイント獲得率)24位に位置し、107勝112敗27延長負け(.490のポイント獲得率)の成績で、最初の3シーズンのうち2シーズンは5割未満の成績に終わっています。

FA戦術は大失敗かも

 フランシスは、ニキータ・ザドロフ、J.T.コンファー、マックス・ドミ、ウラジスラフ・ナメスニコフ、フランク・ヴァトラノ、オリー・マッタ、ヤコフ・トレニン、エフゲニー・ダドノフ、ジェームズ・ヴァン・リアムスダイク、ヤクブ・ヴォラチェック、シェーン・ゴスティスベール、

エヴァン・ロドリゲス、ジェイコブ・ミドルトン、アレックス・キローン、オンドレイ・パラット、ロス・コルトン、ニック・ジェンセン、コナー・シェリー、ディラン・デメロなど、多くの選手をフリーで放出するという大きなミスを犯しました。

 シアトルの(チーム創設時)拡張ドラフトで選ばれた選手(ケイル・フルーリー、コール・リンド、アレックス・トゥルー、カーセン・トワリンスキー、デニス・チョロウスキー、ギャヴィン・ベイルーサー、ジョン・クエンビル)は、

シアトルの最初のシーズン以来、NHLでまともな出場機会を得ることはほとんどありませんでした。

フランシスの拡張ドラフト戦略については、賛成意見もあるのです↓。

契約買い取りの悪影響

GMビル・ゲリン(ミネソタ・ワイルド)

 ザック・パリースとライアン・スーターの契約買い取りは、3年後のミネソタ・ワイルドのロースター管理に大きな影響を及ぼしました。今シーズンのデッド・サラリーキャップは1,470万ドルを超える見込みです。

スーターの契約買い取りについては、以前ブログでも記事にしました↓。

 この影響で、2年前にケビン・フィアラと別れることを余儀なくされましたが、フィアラとのトレードで左ウイングのリアム・オーグレン(20歳。スウェーデンのリーグSHLからリコール)とディフェンスマンのブロック・ファーバー(22歳。2020年ドラフトでロスアンゼルス・キングスに指名されていたが、ミネソタ大学でプレー)を獲得し、その決断はミネソタにとってかなり良い結果をもたらしました。

 とはいえ、ゲリンは再度(トレード等)やり直す機会があれば、より良いポジションに身を置きたい(ホットシートに座りたくない)と考えています。

 ワイルドは、数年にわたり続いているファーストライン・センターの不足を解決できていません。

 ミネソタはオフシーズンに大きな改善を施さず、ヤコフ・トレニン(コロラド・アバランチから獲得。センター、27歳)が唯一の大きな補強となりました。

 前シーズンはポストシーズン進出に11ポイント及ばず、セントラルディビジョンですぐ上の順位のセントルイス・ブルースに5ポイント差で終わっています。

 ニューヨークと同様に、ファーバー、キリル・カプリソフ、ジョエル・エリクスソン・エク、マット・ボルディ、マルコ・ロッシ、マッツ・ズッカレロなどの中核メンバーがいるため、完全な再建が必要なほどの悪化はしていません。

向かって右側がGM。2年前の記者会見でもキャップ・スペースに悩んでました…↓。

問題児デュボワとの契約が、トレード戦略を狂わせた?

GMロブ・ブレイク(ロサンゼルス・キングス)

 ロサンゼルス・キングスは昨年、スタンレーカップの優勝候補として上昇気流にあると思われましたが、ガブリエル・ビラルディ、5ラスムス・クパリ、アレックス・イアファロ、そして2巡目指名権をウィニペグ・ジェッツにトレードし、ピエール=リュック・デュボワを獲得しました。

 デュボワは8年契約で、キャップヒットは850万ドルでしたが、キングスがこのトレードを行ってからわずか1年で6ワシントン・キャピタルズにトレードされました。デュボワは33歳のゴールテンダー、ダーシー・クエンパーと交換されました。

 クエンパーはキャップヒットが3年間で525万ドルで、キャピタルズで90試合出場し、セーブ率.899、平均失点3.09を記録しましたが、昨シーズンには先発ゴールテンダーの座を失いました。

 さらに、ブレイクは今夏、サード・ペアリングのディフェンスマン、ジョエル・エドムンドソンに対して4年契約(キャップヒット380万ドル)を結びましたが、昨年トレードしたディフェンスマン、ショーン・ダージ(ユタ・ホッケークラブ)とショーン・ウォーカー(フィラデルフィア・フライヤーズ&コロラド・アバランチ=23-24シーズン、新シーズンよりカロライナ・ハリケーンズ)は新しいチームで成功を収めました。

 ブレイクはドラフトを通じて若い才能(ビラルディ、クイントン・バイフィールド、ブランド・クラーク)を集めるという素晴らしい仕事をしましたし、トレバー・ムーアの獲得も成功しました。

 しかし、過去1年でその良い仕事の多くを台無しにしてしまい、パシフィック・ディビジョンでのロサンゼルスの優勝争いへの望みを妨げてしまいました。

讃岐猫
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まとめ

 ルー・ラモリーロの選手管理の問題、ロン・フランシスの拡張ドラフト戦略の失敗、ビル・ゲリンの契約買い取りの悪影響、ロブ・ブレイクのトレード戦略の問題など、それぞれのGMが直面している課題は、チームのパフォーマンスに直接的な影響を及ぼしていることが分かりましたね。

 これらの要因を分析することで、今後のチーム再建の手法やGMの役割の見直しが必要であることが明らかとなりました。ただし、4人が4人とも下手な手を打っているわけでなく、悪魔のサラリーキャップ制度が、彼ら本来の能力に制限をかけていることも見逃してはなりません。

 選手やGMの背後に立つチーム・オーナーがその辺りの事情を理解し、賢明な決断をしてくれれば、変なシコリとか残らないんですけどね。なかなかそうならなくて、抉れまくるのがもどかしい所なのです。

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. アイスホッケーのニュースと分析を提供するオンライン・メディア・サイト。特にワシントン・キャピタルズに関する記事が多く、チームの最新情報、選手のパフォーマンス、トレード、ドラフト、試合のレビューなどをカバーしている。
    ↩︎
  2. トレードや退団により、昨年のランキングでトップ5に入っていた3人の若手有望株を失った後、アイランダーズの若手選手リストは、もともと限られたポテンシャルしか持っていなかったが、今ではその不足が顕著に表れていると言われている。

     アイランダーズは、今年のランキング下位に位置する他のいくつかのチームと異なり、リーグ内でトップ100レベルの若手選手のいない唯一のチームである可能性が高い。詳しくはこちら→
    ↩︎
  3. 同サイトで、スティーブンソンのサラリーは220万ドル × 7年を理想的としている。彼がベガスで活躍できたのは、マーク・ストーンと常に一緒にプレーしていたからであり、ストーンほど優れた選手のいないシアトルでは活躍できないとしている。

     現時点では、スティーブンソンは平均的なミドルシックスセンターで、彼の攻撃力の多くは相手に跳ね返されてしまうと評価を下されている。つまり、スティーブンソンは、ラインメイトのストーン不在でも、自らの力でプレーを推進できる選手であることを示さなければならない。詳しくはこちら→
    ↩︎
  4. フランシスは、2021年。チーム創設時の拡張ドラフトで独自の戦略を採用し、コスト管理に重きを置き、長期契約や高額な年俸を持つ選手を避ける傾向があった。これにより、サラリーキャップに余裕を設け、将来、自由に使える方を選択したことになる。

     また、拡張ドラフトで選ばれた選手の中には、比較的短期または低額の契約を持つ選手が多かったのも特色である。将来的に成長する可能性がある若手選手を選ぶことで、長期的なチームの建設に繋げようとしたのは言うまでもない。つまり、育成型チームが目標だったのである。

     拡張ドラフトの際、フランシスは各チームの弱点や不要な契約を見極め、これを利用してコストを抑える選手を選んだとも言われている。

     取引や交渉によって、拡張ドラフトで獲得した選手をトレードに出し、他チームと交換条件を結ぶことで、より有利な条件(具体的に言えばドラフト指名権)を引き出す戦略も採用した。今は育成重視と割り切って考えるか否かで、フランシスの方法論への見方は変わる。
    ↩︎
  5. 大型トレードで獲得された後、ビラルディは制限付きフリーエージェントとして343万7500ドルのキャップヒットを伴う2年契約を締結。

     センターで24歳のビラルディにとって、ウィニペグでの最初のシーズンは脾臓肥大や捻挫などの怪我で台無しになったが、レギュラーシーズン47試合で22ゴール、36ポイントを記録。ジェッツがコロラド・アバランチに敗退した第1ラウンドの5試合で4アシストの活躍を見せた。
    ↩︎
  6. デュボアは1試合平均15分42秒(キングスのフォワードの中で8位)しか出場せず、パワープレーでは2分7秒(6位)しか出場しなかった。

     これは、ロサンゼルスのセンター陣がアンゼ・コピタル、クイントン・バイフィールド、フィリップ・ダノーの3人だったため、デュボアがそれほど多くの出場機会を得られなかったことを示している。わざわざデュボアを獲得する必要があったかどうかは疑問。 ↩︎
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