はじめに
NHL公式サイトに登場したよだれモン企画、過去のドラフトの歴史を振り返り、(ドラフト60周年にちなみ)史上最高のドラフト指名選手60人選出の第9弾です。間隔が空いてばかりで、毎度まいど本当に申し訳ございません。
前回の記事はこちら→☆。
今回は20~14位までで、全体1位指名が7人中2人いて、しかも共に現役続行中というのがユニーク。後の5人はドラフト下位指名、3桁順位が多いのも要注目です。2023年のドラフト下位指名選手の中から、彼らと同様のスターが生まれるかもしれませんね。
相変わらずフォワードの選手が多いのは、仕方ないかもにゃ。
試合を決めるゴールとか、印象に残りやすいプレーをする確率は、
フォワードの方が高いから。
引用元:「60 Diamonds: Greatest picks from 60 NHL Drafts, Nos. 20-1」。
今のNHLの代名詞的スーパースター!
20.コナー・マクデイビッド F(フォワード) (384)
指名順:エドモントン・オイラーズ 第1巡目(全体1位) 2015年
マクデイビッドのまばゆいばかりのスキルのおかげで、オイラーズが2015年NHLドラフト1位で彼を指名することを躊躇ないものとし、26歳の彼は8シーズンの間にリーグ史上最も攻撃的な才能を持つ選手の一人に成長しました。
今シーズンの彼の153ポイント(64ゴール、89アシスト)は、1995-96シーズン、マリオ・ルミューの記録した161ポイント以来の最多のものとなっています。3シーズン連続、5度目のリーグ得点王となるアート・ロス・トロフィーも獲得しました。
また、2016-17、2020-21シーズンにはNHL最優秀選手としてハート・トロフィーを獲得し、今シーズン(22–23)も最終候補に残っています。
※今シーズンも最終候補に残っています=他の最終候補はマシュー・トカチュク(フロリダ・パンサーズ)、デイヴィッド・パストルナック(ボストン・ブルーインズ)。最終的に、マクデイビッドが賞を獲得した。
入団の経由以上に、成績でインパクトを残した男
19.セルゲイ・フェドロフ F (395)
指名順:デトロイト・レッドウィングス 第4巡目(全体74位) 1989年
レッドウィングスがフェドロフを指名した時、彼はNHL以外で最も才能のある選手の一人でしたが、時代の流れのため、いつNHLでプレーできるのか、またプレーできるのかも分かりませんでした。
その代わり、フェドロフは1990年に亡命し、リーグ史上最高の二刀流選手の1人に成長しました。
4年目の1993-94シーズン、120ポイント(56ゴール、64アシスト)でNHL2位となり、リーグ最高のディフェンシブ・フォワードとして、ハートトロフィーとセルケトロフィーを獲得しています。
彼は1995-96シーズンに再びセルケを獲得し、守備が非常に優れていたため、時折ディフェンスマンとして起用されました。
フェドロフはレッドウィングスのスタンレーカップ優勝に3度(1997、1998、2002)貢献し、2009年に引退したとき、全ロシア出身選手のゴール(483)、アシスト(696)、ポイント(1,179)、試合出場(1,248)でトップに立っていたのです。
2015年にはホッケーの殿堂入りを果たしました。
「1989年のNHLドラフトでフェドロフを指名した時、レッドウィングスはリスクを冒しています。ソ連から彼を脱出させることができる保証なんてありませんでした。
しかし、チームは彼の亡命を助け、ホテルの裏口から待機中の車までこっそり連れ出し、ジェット機で彼を連れ去ったのです。4巡目指名選手はホッケーの殿堂入り、ハートトロフィーを勝ち取り、3回のスタンレーカップ3回優勝者となりました。–ニコラス・J・コトソニカ、コラムニスト
NHLの続く限り、フェドロフ国外脱出の一件は語り継がれていくんだろうにゃ。
フライヤーズのロシア人選手移籍の件は、このブログでも書いたけど、
ホント穏便にNHLへ来てもらいたいところ。
メジャー殿堂入り選手と一緒に指名された男
18.リュック・ロビタイユ F (427)
指名順:ロサンゼルス・キングス 第9巡目(全体171位) 1984年
キングスはロビタイユにどれほどの価値を見出したのでしょうか。彼らは4巡目(全体69位)でもう一人の左打ちフォワードを指名しましたが、これはマサチューセッツ州の高校生で野球選手のキャリアを選んだトム・グラビンとなります。
※トム・グラビン=通算305勝を誇るメジャー・リーグを代表するサウスポー。長年在籍していたアトランタ・ブレーブス時代の背番号47は永久欠番。登板数682のうち、救援登板はゼロ。これは長いメジャーの歴史の中で、グラビンのみである。
ロビタイユはNHLでの19シーズンのうち14シーズンをロサンゼルスでプレーし、557ゴールでチーム歴代1位となりました。1992-93シーズンの63ゴールを含め、50ゴールを3シーズン記録しています。
2006年に引退した時の668ゴール、1,394ポイントは、左ウィングとしてNHL史上最多でした。ロビタイユは2009年にホッケーの殿堂入りを果たしています。
「とりあえず」210位で指名されたところ…
17.ヘンリック・ゼッターバーグ F (430)
指名順:デトロイト・レッドウィングス 第7巡目(全体210位) 1999年
レッド・ウィングスのスカウトは、フィンランドで開催された大会で別の選手に注目していたところ、ゼッターバーグがひときわ目を引き、1999年のNHLドラフト後半に彼を指名しました。
このチャンスが功を奏し、ゼッターバーグはNHLでの15シーズンのキャリアの中で4度、30ゴール以上を挙げる傑出したツーウェイセンターに成長します。
2007-08シーズン、レギュラーシーズン75試合で92ポイント(43ゴール、49アシスト)を記録し、ペンギンズとの決勝戦・第6試合でカップを決定づけるゴールを決めた後、スタンレーカップ・プレーオフの最優秀選手としてコン・スマイス・トロフィーを獲得しました。
順位210位って、「とりあえず取っておこうか」的ノリで指名した感じかもにゃ。
ツーウェイセンターはなかなか育てるの難しいから、ホント指名して良かったなぁ、
ってフロントは思ってるかも。
下部リーグの掘り出し物
16.ブレット・ハル F (445)
指名順:カルガリー・フレームス 第6巡目(全体117位) 1984年
1983-84シーズン、ブリティッシュ・コロンビア・ホッケー・リーグのペンティプトンで56試合に出場して105ゴールを挙げたにもかかわらず、ハルがNHLのスコアラーになれると確信していたスカウトはほとんどいませんでした。
※ブリティッシュ・コロンビア・ホッケー・リーグ=ホッケーカナダ(カナダのアイスホッケーとアイススレッジホッケーの全国運営団体)傘下のリーグであったが、2023年に脱退が決定(2021年に脱退申請)。
これにより、カナダの16歳と17歳の選手の採用機会の改善と、アメリカ人や北米以外の選手からの関心の向上を目指すべく、CJHL(カナダ・ジュニア・ホッケーリーグ)から独立した形でリーグ運営を進めることとなる。
5チームでの19シーズンで歴代5位となる741ゴールを記録し、すべての否定論者が間違っていることを証明してみせたのです。
これには30ゴールのシーズンが13回、50ゴール以上が5回、および3回連続の70ゴールのシーズン(1990-92)が含まれ、1990-91シーズン、セントルイス・ブルースでの86ゴールがキャリアハイでした。
同じシーズンにハート・トロフィーを獲得し、1999年にはダラス・スターズ、2002年にはレッドウィングスでスタンレー・カップを獲得しています。2009年にはホッケーの殿堂入りを果たしました。
最高のディフェンスは「指名4番目」にいた
15.レイ・ボーク D(ディフェンス) (451)
指名順:ボストン・ブルーインズ 第1巡目(全体8位) 1979年
ボークは1979年のNHLドラフトで4番目に選ばれたディフェンスマンでしたが、NHL史上トップクラスのポジションの選手より先に選ばれた3人の名前を挙げるのは難しいでしょう(1位のロブ・ラメージ、6位のクレイグ・ハーツバーグ、7位のキース・ブラウン)。
※ロブ・ラメージ=カナダ、オンタリオ州バイロン出身、64歳。現役時のポジションはディフェンス。カルガリー・フレームス、最初のスタンレーカップ優勝に貢献直後、なぜかトロント・メープルリーフスへトレード。しかし、トロントではキャプテンを務める。
※クレイグ・ハーツバーグ=カナダ、オンタリオ州ストラトフォード出身、64歳。現役時のポジションはディフェンス。現在、コロンバス・ブルージャケッツでアマチュアスカウトとディフェンス開発コーチを務める。ミネソタ・ノーススターズで7年間キャンプテン。
※キース・ブラウン=カナダ、ニューファンドランド州コーナーブルック出身、64歳。現役時のポジションはディフェンス。当初、ボストン・ブルーインズはブラウン指名で決定していたが、シカゴ・ブラックホークスが先に指名したため、ボークに代えたと言われている。
ボークは当時のNHL新人ディフェンスマンのシーズン最多ポイントとなる65ポイント(17ゴール、48アシスト)を記録し、1979-80シーズン、NHL新人王としてカルダー・トロフィーを獲得しました。彼はまた、NHLのファーストチーム・オールスターにも13回選ばれています。
ノリス・トロフィーを5回(1986-88、1989-91、1993-94)獲得し、ゴール(410)、アシスト(1,169)、ポイント(1,579)でNHLディフェンスの中で歴代1位です。
2001年、コロラド・アバランチのスタンレーカップ優勝に貢献して22シーズンのキャリアを締めくくり、2004年にはホッケーの殿堂入りを果たしました。
バークの成績がすごいのは当然として、
彼の指名前、ディフェンスマンが3人も指名されていて面白いにゃ。
でも、みんな大成していないけど、それなりに活躍した選手なんだけどね。
幻の2004-05シーズンの後、飛び出した新人!
14.シドニー・クロスビー F (466)
指名順:ピッツバーグ・ペンギンズ 第1巡目(全体1位) 2005年
キャンセルされた2004-05シーズンの後、リーグがプレーを再開する中、クロスビーは大きな期待を背負ってNHL入りしました。しかし、NHLの18シーズンを通して、彼はそれらの期待を上回ることに成功しています。
クロスビーはペンギンズのスタンレー・カップ優勝に3回(2009、2016、2017)貢献し、マリオ・ルミュー(1991、1992)とバーニー・ペアレント(1974、1975)と共に、コン・スマイス・トロフィーを連続獲得(2016、2017)した唯一の現役選手となりました。
※バーニー・ペアレント=カナダ、ケベック州モントリオール出身、現役児のポジションはゴールテンダー。1973-74、1974-75シーズン、フライヤーズに2つのスタンレーカップをもたらす活躍をし、ヴェジナトロフィーとコン・スマイストロフィーを連続で獲得している。
クロスビーはハート・トロフィーを2回(2006-07、2013-14)獲得し、ゴール数ではNHLを2回リードし(2006-07、2013-14)、2023年4月8日、35歳のクロスビーはNHL史上15番目の1,500ポイントを達成しています。
ラシュモア山に刻まれる日が来るかも
「NHLのドラフトの歴史を振り返ってみて、クロスビー以上に、NHL入団前の信じられないほどの誇大広告に応えてきた選手を見つけてみましょう。誰も誇大広告以上のものは持っておらず、誰もそれ以上のことはしていません。彼は自分で試合を作り動かせる次世代の選手でした。
ペンギンズは2005年のドラフト抽選で彼を獲得し、クロスビーは突然、NHL版ラシュモア山のマリオ・レミューの足跡をたどることになるのです。
※ラシュモア山=米国、サウスダコタ州にあり、同山に彫られたラシュモア山国立記念碑、4人の大統領(ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、セオドア・ルーズベルト、エイブラハム・リンカーン)の胸像で有名。
そして2004-05シーズン中止を余儀なくされ、リーグが全ての業務停止から抜け出した状況下で、クロスビーはそれを実行しなければなりませんでした。当時、クロスビーは18歳にしてNHLの新人です。そのすべての重さは彼を押しつぶしたかもしれません。
代わりに、それは彼をやる気にさせました。
2004-05シーズンにストやったなんて、もう20年近く前の話になるんだにゃ。
どんな選手でも気持ちの立て直しに大変だったのに、
さすが大物、クロスビーはそれをプラスに転じ、後世に名を残す選手となったわけだ。
5人目になるかもしれない
今、チームは、NHLのラシュモア山にクロスビーのための場所を掘らなければなりません。彼は間違いなく、ウェイン・グレツキー、ゴーディー・ハウ、ボビー・オー、レミューと並んで、NHLゲームの歴史の中で最も偉大な5人のプレーヤーの1人です。
本当に議論することはほとんどありません。スタンレーカップを3回、コン・スマイス・トロフィー、ハート・トロフィー、リーグ得点王のロケット・リチャード・トロフィー、アート・ロス・トロフィーをそれぞれ2回受賞するなど、全てのことを複数回行っています。
レギュラーシーズン1,190試合で1,502ポイント(550ゴール、952アシスト)、プレーオフ180試合で201ポイント(71ゴール、130アシスト)を記録しています。8月7日に36歳になりますが、彼は今でも世界最高の選手の1人です」。–ダン・ローゼン、シニアライター
まとめ
ロビタイユのところで名前の出たトム・グラビンも、ある意味、「NHLの歴史に名を残した選手」です。同じ年に北米4大スポーツのうち、2つから指名を受けるなんて、映画にでもなりそうな夢物語です。トムの左利きシュートも見たかったと思うファンは多いでしょう。
メジャーの殿堂入りしたグラビンよりも下位で指名されたロビタイユも、ホッケーの殿堂入りしているわけで、キングスのスカウトは2人の「プロとしての素質」を見抜いていたことになります。その慧眼に感服するしかなさそうです。
今回取り上げた名選手の多くは、どちらかと言えば、「埋もれていた逸材」でした。それを指名する・しないで相当議論したと思うんですけど、その辺の裏話みたいなのを、フロント・スタッフから聞いてみたいですね。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!