フライヤーズ守護神ヴラダーの覚醒!NHL主要7チームMVP評価

現役スター選手紹介

はじめに

 NHL 2025-26シーズンも佳境に入り、各チームの命運が鮮明になりつつあります。かつての栄光を取り戻すべく孤軍奮闘するベテラン、期待を背負いながらも苦境に立たされる若手、そしてリーグの未来を担う超新星――。

 本記事は、主要7チームにスポットを当て、各チームを象徴する「MVP」と、残念ながら「期待外れ」に終わっている選手を徹底分析するシリーズ第3弾。現場の記者の視点を交え、数値の裏側にあるドラマを深掘りしていきましょう。🏒

参照記事:The Athletic「Every NHL team’s MVP and most disappointing player in the 2025-26 regular season

東地区の再起と苦悩

 まず注目すべきは、ニューヨーク・レンジャーズの背番号93、ミカ・ジバネジャドの劇的な復活劇です。昨シーズンは1試合平均得点が過去7年間で最低を記録し、本人もメンタル面の不調を公言するなど暗い影を落としていました。

 しかし今季、32歳のベテランセンターは見事にその壁を打ち破りました。現在チームトップの76ポイントを叩き出し、攻撃陣で唯一安定した脅威となってチームを牽引しています。

 一方で、大きな誤算となったのがJ.T.ミラーです。クリス・ドゥルーリーGMは昨年、ミラーをトレードで獲得し即座にキャプテンに指名しました。彼の「気性の激しさ」を、チームをよりタフにするための燃料にしようと賭けたのです。

 しかし、個人のスタッツもチームのアイデンティティ形成も、現時点では期待を大きく裏切る結果となっています。主将としての重責が、逆に裏目に出た形と言わざるを得ません。

 北に目を転じると、オタワ・セネタースではドイツが生んだ至宝、ティム・シュテュッツレが圧巻のパフォーマンスを披露しています。特筆すべきは、単なる華やかなゴールゲッターからの脱却です。守備ゾーンでの献身、ペナルティキルでの貢献、さらには弱点だったフェイスオフ勝率の改善と、攻守両面で責任を果たしています。

 彼の成長こそが、オタワをプレーオフ圏内へと押し上げる原動力です。

 対照的に、ゴールテンダー陣は深刻な事態に陥っています。特に若きレーヴィ・メリライネンは大きな壁に突き当たりました。期待値を超えるセーブ数(GSAE)は、20試合以上出場のゴールテンダーの中でワースト2位となる「-17.3」。

 メンタルヘルスの問題を抱え、期待を下回る正守護神ライナス・ウルマークの穴を埋めるには至らず、自信喪失からAHLへの降格を余儀なくされました。オタワの命運は、この守備の崩壊をどう食い止めるかにかかっています。🚨

ペンシルベニアの両雄と、北カリフォルニアの光芒

 フィラデルフィア・フライヤーズの快進撃を支えるのは、守護神ダン・ヴラダーの想定外の躍進です。昨夏、2年670万ドルで契約した際は、サミュエル・エルソンのバックアップと目されていました。しかし、昨季リーグワーストの失点に泣いたチームを救ったのは彼でした。

 開幕から正ゴールテンダーの座を奪取し、現在チームをプレーオフ争いに踏みとどまらせている最大の功労者となっています。

 対照的に、ベテランのガーネット・ハサウェイは苦境に立たされています。フィジカルな強みと貴重な得点源として期待されながら、今季は63試合でわずか1ゴール・2アシスト。最近では出場登録枠からも外れるなど、かつての勝負強さが影を潜めています。

 ピッツバーグ・ペンギンズでは、北欧の魔術師エリック・カールソンが完全復活を遂げました。過去2シーズンの不調を払拭し、今季はディフェンスながら66ポイントをマーク。数字以上に、あらゆる局面でチームを支配する「最高の状態」にあります。

 一方で、期待の新星ヴィレ・コイヴネンはプロの壁に阻まれました。シドニー・クロズビーの隣で開幕を迎えましたが、チェックの激しさに対応できずパックを失う場面が散見され、大半をAHLで過ごすことに。36試合で2ゴールと、持ち味を発揮できずに終わっています。

 サンノゼ・シャークスの希望は、10代として歴史的なシーズンを送るマックリン・セレブリーニです。彼がいなければ最下位独走もあり得たでしょう。ハート・トロフィー候補にも名が挙がる超新星は、チームをプレーオフへ導く原動力となっています。

 一方で、23歳のウィリアム・エクルンドは足踏み状態です。コアプレーヤーとしての期待を背負いながら、昨季の勢いを伸ばせず苦しんできました。ようやく最近になって復調の兆しを見せていますが、真の主力への脱皮が待たれます。🌟

サンノゼ・シャークスvs.ナッシュビル・プレデターズ戦のハイライト映像。シャークス、せっかく勝ったのに、残念ながらもうひと伸び足らず…。

讃岐猫
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岐路に立つ新興勢力と中西部の盾

 シアトル・クラーケンの今季MVP選出は、苦渋の決断となりました。本来はゴールテンダー陣が候補ですが、ジョーイ・ダコードは46先発に留まり、セーブ率もバックアップを下回るなど決め手を欠きました。

 結果、消去法で選ばれたのがマティ・ベニアーズです。攻守両面(ツーウェイ)でのスタッツは立派ですが、新人王を獲得した頃の圧倒的な輝きを完全に取り戻すには至っていません。

 さらに深刻なのはシェーン・ライトの停滞です。44ポイントを挙げた昨季から飛躍が期待されましたが、今季は30ポイントに届かないペース。自身の役割への不満も報じられており、創設から5年、スター選手の育成に苦しむフランチャイズの現状を露呈しています。

ロスアンゼルス・キングスvs.シアトル・クラーケン戦のハイライト映像。キングスのプレーオフ枠ギリギリ滑り込みセーフを見せつけられた、クラーケンの選手達…。

【讃岐猫🐱の深掘りコラム】航路を見失った深海の怪物:育成の袋小路とシェーン・ライトの岐路

 2026年4月、創設から5年目を迎えたシアトル・クラーケンの現状は、エクスパンション・チームが直面する「第2フェーズ」の難局を象徴している。初期のプレーオフ進出という成功体験の代償として、現在のクラーケンはスター候補の停滞と、一貫性を欠くロースター構築のツケを払わされている。

 その中心にいるのが、かつての「期待の星」マティ・ベニアーズである。2025-26シーズン、ベニアーズは全78試合に出場して19ゴール、28アシスト、計47ポイントという、トップセンターとしては物足りない数字に留まった。

 新人王獲得時の爆発力は影を潜め、現在の年俸714万ドルという高額契約に見合う支配力を示せていない。現地メディアの間では、ベニアーズが「エリートセンター」ではなく、優秀な「補完的ツーウェイ・プレーヤー」として成長のピークを迎えてしまったのではないかという懸念が現実味を帯びている。

 さらに深刻なのは、2022年ドラフト4位指名のシェーン・ライトを巡る混迷である。昨季の44ポイントからの飛躍が確実視されていた今季、ライトは72試合に出場して11ゴール、15アシスト、26ポイントと、キャリアワーストに近い低迷を露呈した。

 特筆すべきは、その出場時間の減少と役割の不明確さである。平均出場時間は13分49秒に止まり、パワープレーのセカンドユニットからも外れる場面が目立った。3月のトレードデディライン直前には、トップ6の即戦力獲得に向けた「トレードチップ」として名前が挙がった事実は、チーム側がすでに彼を不可侵のコアと見なしていない証左である。

 クラーケンの育成システムには、若手を過度に守ろうとするあまり、重要な成長期にトップラインでの「実戦経験」を積ませる機会を奪っているという批判がつきまとっている。

 ライアン・ウィンタートンやバークリー・カットンといった新たな才能が芽生えつつある一方で、フランチャイズの顔となるべきライトの停滞は、シアトルが「強豪」へ脱皮するための決定的なブレーキとなっている。

 2026年オフ、クラーケンはライトとの心中か、あるいは彼を放出して抜本的な再建を図るかという、球団史上最も重い決断を迫られることになる。

出典:

NHL.com, “Full Kraken Roster At Last: Analysis of Player Development and Injuries“, January 16, 2026.

Hockey-Reference.com, “2025-26 Seattle Kraken Roster and Statistics“, April 13, 2026.

 対照的にセントルイス・ブルースでは、新加入のフィリップ・ブロバーグが守備の要へと進化を遂げました。ロバート・トーマスやディラン・ホロウェイ、ジミー・スナッゲルドらも活躍しましたが、怪我や不調で波がありました。

 その点、ブロバーグは全試合で安定感を発揮。チームトップの平均出場時間23分27秒を誇り、相手エースを封じるシャットダウン能力に加え、パワープレーでも貢献するなど不可欠な存在となりました。

 一方で、看板選手のジョーダン・カイルーは厳しい立場にあります。パベル・ブチュネビッチと共に極度の不振に陥り、過去3季連続で30ゴールを記録した得点力は今季わずか17ゴールに激減。健康な状態でスクラッチ(出場登録外)も経験するなど、かつてのエースは出口の見えないトンネルの中にいます。🛡️

まとめ〜ポストシーズンに向けた展望

 今季の各チームの動向は、個人の復活や躍進がチームの運命を左右することを改めて示しました。ジバネジャドらの再起やセレブリーニの登場はリーグを活気づける一方、期待された若手の停滞や主将の不振は、プレーオフ争いにおける致命的な誤算となっています。

 守護神の安定感と次世代の成熟が、ポストシーズンの成否を握る決定打となるでしょう。栄光へ向けた氷上のチェスゲームは、戦略と意地が火花を散らす真のクライマックスへと突入します。🏒

讃岐猫
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