はじめに
2023年11月に就任したスティーブ・ステイオス新GMが、オタワ・セネターズ再建に向けて着実に動いています。NHL各チームのGM、それぞれ個性的ですよ。その中でも彼の一手一手には独自の戦略が光ります。
本記事では、注目の5つのトレードを振り返りながら、ステイオス流の再建術に迫ります!
参照記事:The Hockey News.com「Steve Staios’ Top Five Trades (So Far) As Ottawa Senators GM」
🏒新GMスティーブ・ステイオスの再建術!オタワ・セネターズのトレード5選✨
2023年11月1日、オタワ・セネターズの新たなGMにスティーブ・ステイオス1が就任しました(史上9人目、ホッケー運営部門代表も兼任)。オーナーのマイケル・アンドラウアー2と共に、彼らがチームの運営を始めてからわずか数週間で、前任のピエール・ドリアン体制に満足しておらず、見切りをつける判断を下したことでも話題になりました。
シーズン開幕から波乱続き。クラブは2023–24シーズンをサラリーキャップの上限ギリギリで迎え、開幕戦では登録人数を満たせず一人欠いた状態でスタート😓。さらに、シェーン・ピントのギャンブル規定違反3による41試合の出場停止、そしてエフゲニー・ダダノフのトレードに関する不手際4により、ドラフト1巡目指名権まで没収されるという苦しい立ち上がりでした。
なかなか厳しい最初の1ヶ月でした。「第一印象がすべて」とよく言われますが、その中でもステイオスは慎重な姿勢を貫き、重大な変更を加える前に8ヶ月間にわたってロースターを観察・評価していきます。
その間に彼が行った唯一のトレードは、2024年のトレード期限(3月7日)に、契約満了間近のウィンガー、ウラジーミル・タラセンコ(現在、ミネソタ・ワイルドに所属)を放出したものでした。見返りは3巡目指名権2つ。タラセンコにはトレード拒否条項があったため、彼(タラセンコ)自身がフロリダ・パンサーズへの移籍を仲介5する形になりました。
チームの将来計画に含まれていなかった選手に対して、ステイオスは得られるものを得るしかなかったのです。
もし過去2回のオフシーズンの傾向が何かを示しているとすれば、セネターズは(FA解禁の)7月2日過ぎから翌年3月6日のトレード期限前日までの間、一切トレードを行わなかったので、今後も静かな期間が続き、コテージやゴルフを楽しむ時間が増えそうです。
ステイオスGMも8日前にほぼそれを認めており、セネターズは「今夏のNHL選手補強はほぼ終了した」と語っています(しかし、それ以外の期間では補強作業をしている)。そこで今回、ステイオスがこの「再建案件(フィクサーアッパー)」に取り組み始めてから、着実に進めてきた再建の成果を振り返り、代表的な5つのトレードを振り返ってみましょう!🔥
🥅トレード①:ゴールテンダー補強で大勝利⁉️(2024年6月24日)
まず紹介するのは、2023年のヴェジナ・トロフィー(最優秀ゴールテンダー)受賞ゴーリー、リーヌス・ウルマークを獲得した大型トレード!ボストン・ブルーインズからウルマークを引き抜き、その代わりにユーナス・コルピサロ、マーク・カステリック、そして2024年1巡目指名権(25位)を放出しました。
驚きなのは、ウルマークを取っただけではなく、ステイオスがブルーインズに対してコルピサロの“重たい”契約(残り4年・総額1600万ドル)まで引き取らせたることにも成功。セネターズ側はその一部、400万ドルを負担することに合意しましたが、それでも価値と潜在的インパクトを考えれば、これはステイオスのベストトレード6と言えます💥。
ただ、ウルマークはその後、シーズンを通してケガに悩まされ、安定感に欠けるパフォーマンス7となったのも事実…。それでも、今季から始まる4年契約(年平均825万ドル)で再起を図ることに期待がかかります!
💬トレード評価:A
→ 高年俸選手の処理と即戦力の獲得を同時に成功させた、文句なしの好トレードですね!
🔄トレード②:ノリス放出、英断か⁉️(2025年3月7日)
ファンの間で大きな話題となったこのトレード。長年チームの核として期待され、ファンに愛されていたジョシュ・ノリスと、若手ディフェンスのジェイコブ・バーナード=ドッカーをバッファロー・セイバーズへ放出。その見返りとして、ディラン・コーゼンズ、デニス・ギルバート、そして2026年の2巡目指名権を獲得しました。
ノリスは長年、オタワの未来を担う重要な存在とされてきましたが、度重なるケガによってその評価は変わっていきました。彼の契約は今後5年間、年平均795万ドルとなっており、ここ数シーズンの成績では、その金額に見合う活躍とは言いがたかったのです😢。
一方のコーゼンズにも同様のことは言えます。彼の契約(年平均710万ドル)も同期間続きますが、やや調子を落としているものの、耐久性があり、起用しやすいのが魅力。
どちらの選手も本来の調子を取り戻す必要がありますが、肩のケガで頻繁に戦列を離れるノリスに対し、安定してプレーできるコーゼンズは比較的健康を維持しており、どちらが“安全な選択”かといえば、やはり後者。セネターズとしては、チームの再編成を進めるうえで、このタイミングでの判断は賢かったと言えそうです✨
うん、これは記事通り最良の戦力補強。ちなみに、このYouTubeチャンネル、目まぐるしく変わる移籍情報に迅速に対応していて重宝してます。
💬トレード評価:A → 感情的には寂しいですが、冷静な戦力整理としては◎な一手!
🧊トレード③:ジョーダン・スペンスを格安でGET!(2025年6月28日)
続いては、ロサンゼルス・キングスからジョーダン・スペンスを獲得したトレードです。このディフェンスマンを手に入れるために支払ったのは、2025年の3巡目指名権(67位)と2026年の6巡目指名権のみ。ほぼタダ同然で使えるNHL選手を獲得できたという事実だけで、この取引は「勝ち」と言えます。
しかも驚くのが、ステイオスはたった2つ指名順位を下げるだけ8で67位の指名権を手に入れたという点。つまり、実質的にスペンスの獲得には6巡目指名権1つ分のコストしかかかっていないということなんです💡
スぺンスはトレーニングキャンプで右利きディフェンスの既存戦力(ニック・イェンセン、アルテム・ズーブ、ニコラス・マティンパロ)、さらに元1巡目指名のカーター・ヤケムチャックとラッシー・トムソンと競争することになる予定。
今後の彼の影響力は未知数ですが、仮にレギュラーを掴めなかったとしても、これだけのコストなら「得しかない」と言えるでしょう😄右サイドの選手層を厚くするうえで見事な補強でした。
💬トレード評価:B+ → 手堅い補強で、ディフェンスの厚みがアップ!
🐟トレード④:ゼッテルルンドに期待!“筋肉系”フォワード参上💪(2025年3月7日)
同じ日に行われたもう一つのトレードも注目ポイントです。ファビアン・ゼッテルルンド、トリステン・ロビンズ、そして4巡目指名権を獲得。対価としてザック・オスタプチュク、ノア・グレゴール、2025年の2巡目指名権を譲渡した形で、サンノゼ・シャークスとの間で成立しました。
このトレードの主役は、なんといってもステイオスが復調を期待している選手の一人であるゼッテルルンド。2シーズン前にはシャークスでチーム最多の24ゴールを記録するなど、攻撃力には定評がある選手です🔥。
今季もそれに近いペースで進んでいましたが、オタワ加入後は調子を崩し、最初の15試合でゴールゼロという結果に終わっています。最終的には、そのまま20試合でわずか5ポイント(2ゴール・3アシスト)という成績に終わりました…。
それでも、年425万ドルの3年契約を結んだことで、チームからの信頼は感じられます。とはいえ、彼はまだ25歳で、基礎的なスタッツ(アドバンスド・スタッツ)は堅実💪。
スコアに表れない部分——プレッシャーのかけ方や、チャンスの創出能力、フィジカルの強さなど、基礎的なデータではむしろ良い数字を残しています。また、オタワが放出した選手や指名権を考えると、大きなリスクとは言えません。
ちなみに、おまけとして—もし今冬、「もしザンボニ9(製氷車)が壊れたら、筋肉隆々のゼッテルルンドが担いでリンクから運び出せる」という冗談まで出るほどのマッチョぶり😂!それも一種の「見えない価値」かもしれません。そういうユニークな要素も、チームにとっての“良い雰囲気づくり”になるのかも?

ゼッテルルンドは元々実力のある選手、新チームでの戸惑いがなくなれば、爆発的に活躍する選手だと思うにゃ。チームもその辺を理解してるからこそ契約延長したんだろう。セネターズの補強の方法論って「補強の期間を短めに設定して、そこで最良の選択をする」というタイパ重視なのかな。
💬トレード評価:B+ → 数字以上に“可能性”と“フィジカル”が光る!これからの巻き返しに期待✨
⚖️トレード⑤:チックラン放出でチームバランスを整える(2024年7月1日)
最後にご紹介するのは、ヤコブ・チックランのトレード。彼をワシントン・キャピタルズに放出し、代わりにニック・イェンセンと2026年の3巡目指名権を獲得しました。
2023-24シーズン終了時点で、チックランはオタワとの契約延長に消極的な姿勢を示していました。仮に両者が延長に合意したとしても、左利きのパックを動かせるディフェンスマンが3人(チックラン、ジェイク・サンダーソン、トーマス・シャボット)もいる中で、それぞれが800万ドル超の年俸となると、チーム編成として理想的とは言えません。
ワシントンはまさにそのタイプを必要としており、最終的にチックランに対して年900万ドルの8年契約を提示。一方のセネターズは、左サイドに有望株が揃うため、右利きの守備型ディフェンスマンが喉から手が出るほど欲しかったのです。
そこでイェンセンが登場。派手さはないものの、安定した守備力でチームにフィット。さらに彼のおかげでシャボットも近年で最も安定したシーズンを送る助けにもなったと言われています。
ただし、純粋に能力で比べると、イェンセンがチックランより上とは言い難いのが正直なところ。そのため、セネターズは3巡目指名権を追加で渡す必要がありました。やや残念。
5選の中では、ちょっと疑問符かなぁ。ジャーニーマンになりつつあるチックランですが、使えないから出されるんじゃなくて、本当に使えるから引く手数多の選手。勿体無い。
💬トレード評価:B
→ チームバランスを重視した現実的な決断。これもまた再建の一歩です!
以上が、スティーブ・ステイオスGMのこれまでの主要なトレード5選でした。この秋のシーズンで、これらのトレードがどう結果に結びつくか、今からワクワクが止まりませんね!🍁🏒
まとめ
ステイオスGMが着実に進めてきた再建は、冷静な判断と的確な補強によって少しずつ形になりつつあります。派手さはなくとも、長期的な視点に立った動きには一貫性があり、今後の展開にも注目が集まります。次の一手も楽しみですね。

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- カナダ・オンタリオ州出身の元NHL選手であり、現在はホッケー界の幹部としても知られている。1993年にセントルイス・ブルースからドラフト指名され、その後エドモントン・オイラーズをはじめ複数のチームでプレーし、堅実なディフェンスとリーダーシップで評価を受けた。
通算1000試合以上に出場し、2006年にはスタンレーカップ・ファイナルにも出場している。引退後はジュニアチームのGMを経て、現在はオタワ・セネターズのホッケー部門代表を務めており、プレーヤーとしても幹部としてもカナダ・ホッケー界に大きな影響を与えている。
↩︎ - フランス生まれでカナダ育ちの実業家であり、医療物流会社アンドラウアー・ヘルスケア・グループの創業者である。ホッケー界でも活動しており、AHLのハミルトン・ブルドッグスの筆頭株主やモントリオール・カナディアンズの少数株主を務めた。
2023年にはオタワ・セネターズの筆頭オーナー兼経営責任者となり、NHL球団の経営に深く関与している。私生活では妻ルーシーと三人の子どもがおり、夫婦共にビジネスで成功を収めている。
↩︎ - 彼が実際にNHLの試合に賭けを行った証拠はなく、詳細な違反内容は公開されていないものの、自身の行動に責任を認め謝罪している。ピントはオタワ・セネターズ所属の若手フォワードであり、今回の処分はシーズン開幕前のフリーエージェント期間に適用された。NHLはこの事件を契機に選手へのギャンブル教育を強化し、規定違反の防止に努めている。
↩︎ - セネターズは2021年にエフゲニー・ダドノフのトレードで、契約に含まれる「10チームノートレード条項(NTC)」を相手チームに通知しなかったため、トレードが無効となる事態を招いた。
この結果、2023年にNHLから2024年から2026年のいずれかの年の1巡目ドラフト指名権を剥奪される処分を受けた。また、この問題をめぐり当時のゼネラルマネージャーが解任され、新オーナーのマイケル・アンドラウアーは過失を認めてリーグの処分を受け入れている。
↩︎ - タラセンコの契約はまもなく満了を迎える状況であり、彼には契約に「ノームーブメント条項(移籍先制限権)」が付いていたため、自らが希望するチームとのトレード交渉を進める権利を持っていた。
オタワ・セネターズの新GMスティーブ・ステイオスは、チームの将来計画にタラセンコを組み込んでいなかったため、トレードに際しては選択肢が限られており、できるだけ良い条件を引き出すことが求められた。
しかし、条項の影響で自由にトレードを進められず、結果的にフロリダ・パンサーズへの移籍を受け入れざるを得なかったのである。このため、ステイオスGMは「チームの計画外の選手に対して得られる条件を最大限活用しなければならなかった」とされる。
↩︎ - 特筆すべきは、セネターズがコルピサロとの4年総額1600万ドルの契約を引き取ってもらうようブルーインズに説得した点。だがその代償として年額400万ドルを支払い続けるのではなく、チームはこの契約の25%(4年総額1600万ドルの契約の内、400万ドル)を保持することに成功している。
この交渉術により、ブルーインズは長期契約を抱えるゴールテンダーを負担するリスクを取ってくれる一方で、セネターズは過剰なキャップ負担を抑えつつ、強力なセーブ力を得ることに成功している。
このように、ステイオスはヴェジナ受賞者の獲得において価値の高い素材を手放すだけでなく、複雑な契約構造を利用しながらリスクを抑え、将来を見据えた選手獲得を実現したのである。
↩︎ - 2024-25シーズン、44試合25勝14敗、平均失点2.72、セーブ率.910。平均失点とセーブ率は、キャリア中、どちらもワースト2位。ボストン・ブルーインズ時代のジェレミー・スウェイマンとのタンデムから独立したにもかかわらず、成績の向上とはならなかった。
↩︎ - セネターズがもともと持っていたより高い順位のドラフト指名権を、他チームとの取引で2つだけ下げる(=スライドダウン)代わりに、その見返りとして#67の指名権を追加で得た、という交渉内容を指す。
スペンスの獲得にかかった代償として、表面的には67位(3巡目)+6巡目指名権を支払っているように見えるが、その67位指名権はわずか2つ順位を下げるだけで得られた“ボーナス”的な資産であるため、実際のコストと見なせるのは6巡目指名権だけである、ということになる。
↩︎ - アイスホッケーやスケート競技において、氷面を滑らかに整備するための特殊車両であり、正式にはアイスリサーフェイサーと呼ばれるが、一般には発明者フランク・ザンボニの名を冠して広く知られている。
リンク上をゆっくりと走行しながら、表面の荒れた氷を削り取り、その上に温水を薄く撒いて再凍結させることで、滑らかで光沢のある氷を再生させる構造となっている。NHLなどのプロリーグでは、各ピリオド間にこのザンボニでの整氷作業が必ず行われており、試合の品質維持に欠かせない存在である。
北米ではその象徴的な姿からホッケー文化の一部として親しまれており、玩具や音楽などにも取り上げられるなど、単なる機械以上の意味を持っている。 ↩︎