大型補強のレッドウィングス、またフォワードの大物を一本釣り!

現役スター選手紹介

はじめに

 条件有り・無しに関わらず、フリー・エージェント(FA)選手の移籍話が、ネット上を賑わせていて、「あの選手が動くんだ、次のシーズン、どんなケミストリーを生み出すんだろう」と想像を逞しくしている毎日です。

 そして、先日、ビッグなトレードが決着し、ファンを驚かせています。ちょうど昨年の今頃、シカゴ・ブラックホークスからオタワ・セネタースに移籍したアレックス・デブリンカット(右/左ウィング、25歳)が、今年、何とデトロイトの地に到着することになったのです。

 元々資金力が豊富なレッドウィングスが、ここ数年の不振を一気に打破するため、大型補強を敢行していたとはいえ、「チームに馴染んでないようだけど、さすがにもう1年いるでしょ」と思われていたデブリンカットを釣り上げるとは想定外でした。

讃岐猫
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記事にも出てくるけど、ドラフト指名権、しかも1巡目指名権がかなり動くみたいだにゃ。デトロイト、かなり本気と見た。

引用元:ESPN.com「Red Wings land DeBrincat, agree to 4-year, $31.5M contract」。

大物選手が動きます!

 アレックス・デブリンカットの事件について、7月9日(日曜日)、オタワ・セネタースが、デトロイト・レッドウィングスに、2度の40ゴールを記録した得点王をトレードすることで決着しました。

 その見返りとして、レッドウィングスはフォワードのドミニク・クバリク(左ウィング、27歳)、若手有望株のディフェンスマン、ドノバン・セブランゴ(21歳。今シーズンはAHLのグランド・ラッピズ・グリフィンズとECHLのトレド・ウォールアイに所属)、条件付き1巡目指名権と2024年の4巡目指名権をセネタースに送っています。

 レッドウィングスがトレードを発表した直後、チームはデブリンカットと契約を結び、サラリーキャップのヒットは787万5000ドル(日本円で約11億2千万円)、総額3150万ドル(約44億9千万円、4年契約の総額)になったと発表しました。

サラリーキャップのヒット=選手の1人分の給料のうち、チーム・サラリーに含まれる金額のこと。ベース・サラリー+サイン・ボーナスを契約年数で割ったものがキャップヒットになるので、デブリンカットの場合、一応計算としては合っている。

 ただし、選手のサラリーの計算というのは、NHLを含め、サラリーキャップ制を採用する北米四大スポーツにおいて、非常にややこしい。

 そこで、後述のCapFriendlyのように、各チームのサラリーキャップ残高や各選手のサラリーを推定するサイトが出てきて、一般にも分かりやすく伝えているのである。

 セネタースによると、1巡目指名権の基本条件は、レッドウィングスが2024年の1巡目指名権を送るか、あるいは3月にタイラー・バートゥッツィ(左ウィング、28歳。来シーズンからトロント・メープルリーフスでプレー)のトレードで獲得した、ボストン・ブルーインズの2024年の1巡目指名権を送るかのいずれかを選択できることになっています。

 ただし、ブルーインズの2024年の1巡目指名権がトップ10内である場合、ブルーインズは指名権を保持し、2025年の1位指名権をレッドウィングスに譲渡できるようになっています。

 その後、レッドウィングスは、そのドラフト指名権または実際の2024年の1巡目指名権をセネタースに送ることができます。

1年ごとに移籍?

 オタワがデブリンカットから手を引くのは、セネタースがシカゴ・ブラックホークスから彼を獲得してから1年と2日後のことです。

 オタワは2022年のNHLドラフト7位指名権(最終的に、それは若手有望株のディフェンスマン、ケビン・コルチンスキー〈20歳。現在、WHLのシアトル・サンダーバーズに所属〉となった)と2022年の2巡目指名権(同じく若手フォワード、ポール・ルドウィンスキー〈センター、19歳。現在、OHLのキングストン・オンタリオに所属〉となった)、さらに2024年の3巡目指名権との交換でデブリンカットを獲得しています。

 デブリンカットのセネタース離脱は噂されていましたが、セネタースのゼネラルマネージャーであるピエール・ドリオンは、NHLドラフトで記者団に対し、クラブは可能な限り最良のトレードを見つけるために移籍を急いでいるわけではないと述べ、これを認めました。

 デブリンカットを獲得したことで、レッドウィングスは25歳のウィンガーを手に入れたことになります。彼はすでに2度の40ゴールスコアラーであり、NHLでの6シーズンでそれぞれ50ポイント以上を記録しています。

 セネタースでの1年間、デブリンカットは27ゴール、66ポイントを記録して終わりました。デブリンカットが20ゴール以上を記録したのは5度目で、3シーズン連続となります。

 彼の加入は、レッドウィングスにとって活発なオフシーズンにおける最新の動きでもあります。

讃岐猫
讃岐猫

25歳とまさにこれからの選手なのに、オタワはよく手放す気になったにゃ。勝算はあるのだろうか。それ以前に、ブラックホークスが彼をキープしていたら、今頃…。

デトロイト、サラリー・キャップに余裕あり!

 エドモントン・オイラーズとのトレードでFWクリム・コスティン(センター、24歳)を獲得し、FWカイラー・ヤマモト(右ウィング、24歳)も獲得しようとしたのが始まりでした。

 デトロイトはヤマモトまで買い占めようとしましたが、2023-24シーズンには44万3334ドル(約6300万円)、2024-25シーズンにはさらに53万3334ドル(約7600万円)かかるため、最終的にヤマモトは地元シアトル・クラーケンと契約することになります。

地元シアトル・クラーケンと契約=7月11日現在、NHL公式HPではデトロイト所属選手となっている。

 サラリーキャップ・スペースを武器に、レッドウィングスは、フリーエージェントでロスターのいくつかの部分を強化しました。

 ディフェンスのシェイン・ゴスティスベヒア(30歳。カロライナ・ハリケーンズから移籍)とジャスティン・ホール(31歳。トロント・メープルリーフスから移籍)と契約し、さらにゴールキーパーのジェームズ・ライマー(35歳。サンノゼ・シャークスから移籍)と契約しています。

 また、クリスチャン・フィッシャー(右ウィング、26歳。アリゾナ・コヨーテズから移籍)やダニエル・スプロング(右ウィング、26歳。シアトル・クラーケンから移籍)といったフォワードと契約した後、このフリーエージェント・クラスでは大物の一人である、センターのJ.T.コンファー(登録では左ウィング、28歳。コロラド・アバランチから移籍)と5年契約(年俸510万ドル、約7億3千万円)を結びました。

 CapFriendlyは、レッドウィングスに1353万7000ドル(約19億2千万円)の空きがあり、デトロイト郊外のミシガン州ファーミントンヒルで育ったデブリンカット獲得の可能性が出てきた、と予想したのです。

一気にプレーオフ圏内だ!

 レッドウィングスにデブリンカットが加入したことで、ディラン・ラーキン(センター、26歳)、デビッド・ペロン(左ウィング、35歳)、アンドリュー・コップ(センター、29歳)、ロビー・ファブリ(センター、27歳)、ルーカス・レイモンド(左ウィング、21歳)、コンファー、コスティン、スプロングらを擁する仮想トップ9のフォワードグループに、フィッシャーもポジション争いに加わる可能性が出てきています。

 これにより、7年間のプレーオフ干ばつ(不出場。これは、1970-71シーズンから1976-77シーズンまで続いたフランチャイズ史上最長タイ記録)を断ち切ろうとしているレッドウィングスが、ロスターに更に追加を求めた場合、予想されるキャップ・スペース(の余裕)は816万2,000ドル(約11億6千万円)となります。

 レッドウィングスは翌シーズン(1977-78)にプレーオフに進出しましたが、その後は何年もポストシーズンに進出できませんでした。

 昨シーズン、レッドウィングスはイースタン・カンファレンス最後のワイルドカード圏内から12ポイント差でフィニッシュしています。

 レッドウィングスとワイルドカードの最終スポットに挟まれたチームのひとつが、セネタースでした。

讃岐猫
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デトロイトとしては、「目の上のたんこぶ」であるオタワから選手を引き抜き、戦力低下も狙ってたのかにゃ。いずれにせよ、フォワード陣はぐっと強化された感があるな。

セネタースの新戦力について

 デブリンカットの獲得は、昨オフシーズン、セネタースの行ったいくつかの動きのうちの1つであり、彼らが潜在的にプレーオフ出場権に挑戦できる、という確信を生み出したものです。

 11月、シーズン序盤の7連敗が波乱の展開への道を切り開いたことで、これらの期待はショックを受けてしまいました。セネタースは、最終的にフロリダ・パンサーズに6ポイント差をつけられて、シーズンを終了し、フロリダは最後のワイルドカード枠を獲得したのです。

 それはスタンレーカップ決勝に進出するより以前のことであり、フロリダは決勝でベガス・ゴールデンナイツに敗れました。

 クバリクの加入により、セネタースはデブリンカットの役割を果たすために使える、トップ6のフォワードを獲得したことになります。27歳の彼は、昨シーズン、20ゴール・45ポイントを記録し、4シーズン連続で15ゴール以上を記録しています。

 クバリクの45ポイントは、それまでの自己ベストにあと一歩届きませんでした。

 彼は、ブレイディ・トカチュク(左ウィング、23歳)、クロード・ジルー(右ウィング、35歳)、ティム・スタッツル(左ウィング、21歳)、ドレイク・バサーソン(右ウィング、23歳)らを含むグループで、トップ6の座に挑戦します。

 セブランゴについては、2020年、レッドウィングスから3位指名を受け、昨シーズン、(下部組織の)AHLとECHLの間を行き来し、62試合で合計5ゴール、19ポイントを記録しました。

まとめ

 ワイルドカード枠争いで、パンサーズに滑り込みセーフを許したのが、よっぽど悔しかったのなら、セネタースはデブリンカット残留に向けて心血を注ぐべきだったかもしれません。それを許さないくらい、選手とチーム間が冷え切っていたと考えられます。

 クバリクは27歳と最も脂の乗り切った時期の選手、でも、デブリンカットのような「チームの顔」の一人になれるかどうかとなると、やや心許ない気もします。オタワのフォワード陣はスター性も実績も申し分ない面々が揃ってるだけに、そこで大化けするか、萎縮してしまうか。

 ラインの組み合わせで選手の質がガラッと変わるのが、アイスホッケーの面白いところ。クバリクの飛躍に期待しましょう。

讃岐猫
讃岐猫

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

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