NHL各チーム、オフシーズンの過ごし方を考える(パート6)

NHLチーム紹介

はじめに 

 この記事がアップされている頃には、2023年ドラフト1巡目指名は終了しています。まだご存知ない方もいらっしゃるでしょうから、明日の2〜7巡目指名終了以降、いろいろ感想を述べていきたいと思います。それにしても、大画面で生中継を見たかった…。 

 さて、「オフシーズンの過ごし方を考える」も回を重ねて6回目。少し内容の古い記事になっていますが、今後、各チームが「オフシーズンの闘い」をどう切り抜けていくのか、それを見ていく上での一つの目安になるかと思います。 

 今回は、エドモントン・オイラーズとシアトル・クラーケン、どちらも先日行われたアワードで栄誉ある受賞者を出したチーム。それでも内情はかなり大変みたいです。 

讃岐猫
讃岐猫

クラーケンの躍進ぶりは目を見張るものがあったにゃ。

ベガスvs.シアトルという、

新興チーム同士の決勝も夢じゃなかったくらい。

引用元:ESPN.com「Keys to the offseason for NHL teams, including free agency plans」。

第2ラウンドで敗退チームを分析する! 

5月14日:エドモントン・オイラーズ 

ゴールデンナイツと6試合戦い、敗退 

2023-24シーズンの予想キャップスペース:2,862,500ドル(日本円で約4億1千万円) 

2023年のドラフト指名:2位、5位、6位、7位

チームの持ち味を引っ込めたのが敗因 

何が悪かったのですか? 

 シーズン通して一貫性のなかったことは、第2ラウンドで、オイラーズの何が間違っていたかを説明する最も簡潔な方法かもしれません。 

 ゴールデンナイツに勝利したことで、オイラーズは得点力の高さを示すだけにとどまりませんでした。レギュラーシーズンで10ゴール以上を決めた選手が数人いるチームに対し、得点チャンスを限定する守備的なアプローチを行ったのです。 

 しかし、ゴールデンナイツに敗れた試合、第4戦と第6戦の両方で、ゴールテンダーのスチュアート・スキナー(24歳)がゴールから引っ張り出される中、オイラーズの守備の決まり事がどんなものか試されてしまったのです。 

 オイラーズが敗退するまでの3試合、レオン・ドライザイトル(センター、27歳)とコナー・マクデイビッド(センター、26歳)以外の選手で得点を挙げたのはウォーレン・フォゲール(左ウィング、27歳)だけという事実によって、自分達の元の攻撃的アプローチへ戻すことは、さらに困難になってしまいました。 

若手ディフェンスマンの契約をどうするか 

オフシーズンの鍵 

 オイラーズは来季に向けて1000万ドル(約14億4千万円)を準備していますが、予想されるキャップ・スペースは300万ドル(約4億3千万円)に満たず、制限付きフリーエージェント(FA)のディフェンスマン、エバン・ブシャール(ディフェンス、23歳)と新たな契約を結ぶ必要があります。 

 そう、カップ戦の優勝候補の一角を占めるクラブにとって、これは難しい状況のひとつです。 

 ブシャールが出発点です。マティアス・エクホルム(ディフェンス、33歳)のエドモントン移籍(ナッシュビル・プレデターズから)に関する一連の取引で、タイソン・バリー(ディフェンス、31歳)が別の方向(ナッシュビル)へ向かいました。 

 その結果、ブシャールはNHLで最も危険なパワープレーのクォーターバック(アメフト等の司令塔のポジション)も務めるトップ・ペアのオプションとなったのです。 

 入れ替え後のレギュラー・シーズンとプレーオフを合わせて、彼は29試合で34ポイントを記録しています。ブシャールのような若いディフェンスは、報酬を受け取るだけでなく、2度目の契約で長期契約を結んでいます;この先に、一筋縄でいかない道があるかもしれません。 

センターだらけ? 

 オイラーズがサラリーキャップの範囲内で競争できる1つの方法は、チームに有利な契約でプレーする、才能のある選手を見つけることです。 

 それがクリム・コスティン(センター、24歳)、ライアン・マクロード(センター、23歳)、ブシャールをとても価値のあるものにした理由です。しかし、3人すべてが保留中の制限付きフリーエージェントとして新しい契約を必要としています。 

 一方、ニック・ビュグスタッド(センター、30歳)、マティアス・ヤンマーク(センター、30歳)、デレク・ライアン(センター、36歳)などのトレード期限までに獲得したフリーエージェントは、オイラーズのキャップ管理を助けたという事実によって価値が高まり、無制限のフリーエージェントを保留しています。 

 それらのうち、誰かが戻ってきますか? 

讃岐猫
讃岐猫

それにしても、センターの選手が多過ぎるにゃあ。

無制限FAの3人はまず移籍でしょう。

他のポジションがレベル以上できるんなら、話は別だけど…。

バランスの良い補強を! 

2023-24シーズンの現実的な期待 

 いくつかのおなじみの警告を除けば、オイラーズが再びカップ戦のトップ候補になることは間違いありません。第1は、2022年、アバランチが優勝したウェスタン・カンファレンスの風景であり、ゴールデンナイツ、クラーケン、キングス、スターズは来季も強くなるでしょう。 

 第2に、そして最も重要なのは、オイラーズもまた、高額契約のエリート選手をバランスよく放出し、安い契約の選手を見つけようとする狭間にいることです。 

 そのバランスを取ること–そしておそらくはより安定したゴールキーピングを得ること–が、1年後の彼らの運命を大きく左右するでしょう。 

5月15日:シアトル・クラーケン 

スターズと7試合戦い、敗退 

2023-24シーズンの予想キャップスペース:18,334,257ドル(約26億4千万円) 

2023年のドラフト指名:1位、2位、2位(TOR)、2位(WPG)、3位、4位(COL)、5位、6位、6位(WSH)、7位 

※TOR=トロント・メープルリーフス、COL=コロラド・アバランチ、WPG=ウィニペグ・ジェッツ、WSH=ワシントン・キャピタルズ。 

それぞれのチームから指名権を獲得。 

まずはディフェンスの強化か

何が悪かったのですか? 

 一貫性を見つけることは、決して問題ではありませんでした。その一貫性を生かす方法を見つけることが、ダラス・スターズに敗れた2回戦で、クラーケンの直面した最大の課題となりました。 

 第1ラウンドでコロラド・アバランチを逆転した2ウェイ(攻撃と守備のバランス)の信頼性は、スターズ戦になると維持するのが難しくなりました。 

 クラーケンが2勝1敗でリードしたシリーズ最初の3試合で十分な決定機を見つけましたが、しかし、最大のカギは失点を防ぐことだったのです:彼らはスターズを1試合あたり3.3ゴールに抑えていました(ダラスは1試合あたり3.75ゴール)。 

 しかし、第4戦と第5戦で起きたことはある種の前触れでもあり、クラーケンはこれらの試合で合計11ゴールを許してしまうのです。 

讃岐猫
讃岐猫

今シーズン、ブルーインズの次に注目を集めたのは、

クラーケンだにゃ。シーズン終盤に近づくにつれ、

やや疲れが見えてきたけど、強さを維持できていたと思う。

 そして、ゴールテンディングの問題がありました。クラーケンは、レギュラー・シーズンのチーム・セーブ率で言えば、下から数えて10番目でした。 

 第1ラウンド、フィリップ・グルバウアー(31歳)の行ったすべてのこと(平均失点2.31、セーブ率.925)が、クラーケンのアバランチ逆転に貢献しています。 

 しかし、スターズ戦で、グルバウアーが平均失点3.78、セーブ率.865という成績で第7戦に臨んだことは、克服するにはあまりにも難しい課題のひとつでした。 

 第7戦では彼の活躍もありましたが、最終的にはジェイク・オッティンガー(24歳)がこのシリーズで優れたネットマインダーであることを証明したのです。 

オフシーズンの鍵 

 ウィル・ボーゲン(ディフェンス、26歳)とモーガン・ギーキー(センター、24歳)は、縁の下の力持ちから前線で毎晩活躍する選手に成長しました。 

 一方、ディフェンスマンのビンス・ダン(26歳)は、2022-23シーズンのNHLで最も過小評価された選手の一人だったかもしれません。 

 いずれも制限付きFAを保留しており、キャリアハイの14ゴールと64ポイントを記録したダンは、次の契約で最も高額になる可能性があると考えられています。 

 クラーケンGMのロン・フランシスと彼のスタッフを助けているのは、この夏、CapFriendly(NHLプレーヤーとコーチの契約内容がわかるサラリーキャップ・データベースのサイト)が1846万4000ドル(約26億6千万円)のキャップ・スペースを確保すると予測していることです。 

讃岐猫
讃岐猫

オイラーズと比べれば、

キャップ・スペースにやや余裕があるかにゃ。

若手の多いチーム、

その中の有望株の契約を進めるには充分だ。

思い切った若手へのチェンジを! 

 クラーケンは、ライアン・ドナート(センター、27歳)やカーソン・スーシー(ディフェンス、28歳)といった無制限フリーエージェント(FA)申請中の選手についても、ロースターに入れるかどうかの決定を迫られています。 

 しかし、クラーケンはそのギャップを埋めるために、どの時点で若手選手を起用し始めるのでしょうか? 

 もちろん、カルダー・トロフィー(シーズン新人王)のトップランナー、マティ・ベニアーズ(センター、20歳)が2年目のフルシーズンで何ができるかということから始まります。 

 タイ・カーティ(センター、21歳)の来季はどのようなものになるでしょうか。ライカー・エヴァンス(ディフェンス、21歳)はチームに入ってくるのでしょうか?そして、2022年の全体4位で指名されたシェーン・ライト(センター、19歳)への現実的な期待は? 

タイ・カーティ=2022年3月、ドラフト外で加入。前所属は、オンタリオ・ホッケー・リーグ(OHL)のスー・セント・マリー・グレイハウンド(3シーズンプレー)。今シーズンはAHLのコーチェラバレー・ファイアバーズでプレー。 

 プレーオフ時にクラーケンに呼び戻され、ウェスタン・カンファレンス1回戦・第5戦でデビュー。その試合で見事にゴールを決め、NHLデビュー戦でプレーオフゴールを決めた、NHL史上8人目の選手となる。 

ライカー・エヴァンス=2021年ドラフト全体35位。今シーズンはAHLのコーチェラバレー・ファイアバーズでプレー。AHLオールスターゲーム選出の際、新人ディフェンスマンの中でリーグ・トップの得票数を獲得した。 

シェーン・ライト=クラーケンでNHLデビュー済み。8試合、1ゴール・1アシスト。ケガが多く、出場時間が短いことから、その起用法は話題となったが、下部リーグでプレーさせつつコンディションを整え、随時NHLでプレーさせる方法論が採られた。 

 来季のスタートはNHLか、AHLか。非常に興味深い選手の一人である。 

2023-24シーズンの現実的な期待 

 彼らは1年目の抽選チーム(ドラフト指名順決定時、プレーオフに出場しない、シーズン下位チームは抽選に回る)から2年目にはプレーオフ・チームになりました。現時点では、3年目のクラーケンには何でも可能と思われます。 

 しかし、明らかなのは、2023-24シーズン、クラーケンがポスト・シーズンに復帰するだけでなく、地区優勝を争えるプレーオフ・チームであると示したことです。 

まとめ 

 シアトルも若手の有望株の多いチームで、NHLデビューを果たしている選手も多いです。記事にあるように、チーム創設時、エクスパンション・ドラフトで獲得した選手と若手を、どう適切に入れ替えていくか。ハクストル監督の腕の見せ所です。 

  シアトルはドラフト指名権を10も持っており、しかも、「2巡目指名権=3」は注目すべき点です。明日のドラフトで、これをそのまま使うのか、あるいは当日電撃トレードで他チームへ譲り、その分を有力選手獲得に使うのか。 

 明朝は2巡目指名から始まります。シアトルの動向に注目してみてくださいね。 

讃岐猫
讃岐猫

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

タイトルとURLをコピーしました