はじめに
いきなりですが、セントルイスの街をご存知でしょうか?ミズーリ州の中心都市であり、ブルースやジャズの聖地の一つとして知られています。ドラマ(かなり古いですが)のタイトルにもなった「ルート66」も主要道路として通っています。
そして、アイスホッケー&NHLファンには、セントルイス・ブルーズのホームタウンとしての認知度が高いでしょう。地味なチーム・カラーではありますが、着実なチーム作りでは定評があり、プレーオフでもそれなりの成績を挙げています。
ところが、つい先日、チームは、初のスタンレーカップ獲得をもたらしたクレイグ・ベルベ監督を解任するという荒療治に出ました。今回の記事はその内情でなく、解任された監督批判をしたスター選手が「口は災いの元」を実感した一件となっています。
このブログでも何度かセントルイスを取り上げたことあるんだにゃ。
堅実というか、石橋を叩きすぎる前に叩くのをやめてしまうようなチームって印象がある。
引用元:ESPN.com「Blues’ Jordan Kyrou, booed in win, sorry for Berube remarks」。
同「Blues GM Armstrong aims to ‘move forward’ after firing Berube」。
ブルーズの選手、前監督批判でブーイングされる!
木曜日の夜、セントルイスでファンからブーイングを受けた後、ブルーズのスター選手ジョーダン・カイロウ(センター、25歳)は、試合後のインタビューで、クレイグ・ベルベ1前監督に対するコメントについて感情をあらわにして謝罪しました。
25歳のカイロウは、オタワ・セネターズvs.ブルーズ戦の先発ラインナップで彼の名前が発表されたとき、ブーイングされています。試合中、パックに触れたときも時折ブーイングがありました。
「間違いなくそんな風に聞こえたね」とカイロウは言っています。「もちろん、ファンからブーイングを受けるのは単純なことじゃないよね、でも、彼らの言い分だって理解できる。それは確かに難しいことさ。
僕はここでプレーするのが大好きなんだ、ファンのためにプレーするのが大好きなんだよ」。
ブルーズがセネターズに4-2で勝利した試合は、2019年、初のスタンレーカップ優勝にフランチャイズを導いたベルベが、6シーズン後の火曜日の夜に解雇2されてから初めての試合となります。セントルイスは今シーズン、ベルベの下で13勝14敗1延長負け3でした。
試合前に前監督批判、SNSで拡散される
木曜日にベルベとの関係について聞かれたカイロウは、「コメントなんかないよ。彼はもう僕にとって監督でも何でもない4」と述べています。
一方、カイロウは暫定監督のドリュー・バニスター5を称賛し、チームにとって「新たなスタート」であり、「僕らの文化を少し取り戻す」チャンスだと述べました。
カイロウは、ブルーズvs.セネターズ戦の数時間前に、自分のコメントが広まっていることに気づいたと語っています。
「少しでも悪い意味に聞こえたら、謝るよ」と彼は言いました。「僕はここでの未来に集中し、選手たちの勝利のために何ができるかについて、今、集中しようとしているところだ」。
うーん、カイロウだけが責められるのは、なんか納得できないんだにゃ。
GMの話だと、ほとんどの選手が前監督の采配に不満を持っていたみたいだし。
後述するが、カイロウの成績がイマイチであることもブーイングに影響しているのかも。
ファンに対して涙の謝罪、前監督を称賛したが…
ベルベが自分のプレーや試合運びに仕上げをしてくれて、より完全なNHLプレーヤーへと導いてくれたことを、カイロウは認めています。
「もちろんチーフ(ベルべの選手時代からの愛称)を尊敬しているさ」と彼は言いました。「ここにいる間ずっと、僕にとっての監督と言えば彼だった。彼が成し遂げたこと全てを尊敬している。彼はカップを勝ち取ったんだよ、6知ってるだろ?
自分の将来についてどうすべきかに集中し、チームの勝利のために何ができるかに集中しようとしている。僕が本当に言いたかったのはそれだけさ」。
試合後の質問がスターをブーイングするブルーズ・ファンについて、になった時、カイロウは目を潤ませながら感極まって、立ち止まってまでして答えようとしました。
「正直なところ、今までプレーした中で最もタフな試合だったよ」と彼は言っています。「僕はここでプレーするのが大好きだ。ファンからブーイングを浴びせられるのはつらいよ」。
カイロウはオタワ戦でアシストを記録し、(プラス/マイナス評価)プラス3となっています。昨シーズン、彼は79試合でキャリアハイの37ゴールを記録しましたが、今シーズンは29試合でわずか5ゴールと、ブルーズにとって期待はずれの選手となっています。
暫定監督の談話
NHLコーチとして初勝利を挙げたバニスターは、試合後、カイロウの姿勢への支持を表明しました。
「彼は素晴らしい若手選手だ」とバニスターは言っています。「彼はチームメイトを、このチーム組織を、そしてファンのみんなをとても気にかけているよ。彼は今、自分のプレーに失望している。彼は自分のやっていることを通して自分の道を見つけようとしているんじゃないかな」。
「ジョーダンはそれを乗り越えなければならないし、我々はジョーダンの手を握ってやることもできない。ジョーダンは自分自身を掘り下げて、この状況を乗り越える方法を見つけなければならない」。
まとめ
バニスターはあくまでも「暫定」らしく、GMはベルベの後釜探しを始めているようです。下部リーグでのコーチ経験はありますが、NHLは初登場、まだ海のものとも山のものとも言えない、というのが、現時点でのバニスターへの評価でしょう。
カイロウにブーイングをしたファンは、カップをもたらしたベルベに敬意を払え!と言いたかったのでしょうか。自分(カイロウ)は監督の足を引っ張り続けたくせに、チーム不振の責任を監督におっかぶせて知らん顔という態度に、カチンときたのかもしれません。
チーム状況が安定しない時こそ心を落ち着けて、状況判断をすべきところなのに、カイロウはついつい感情的になってしまったようです。しっかり反省して、暫定監督を盛り上げていく意味でも、本来の調子を取り戻せるよう頑張ってほしいですね。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- カナダ・アルバータ州カラフー出身。58歳。現役時のポジションは左ウィング。ドラフト外でフィラデルフィア・フライヤーズに入団以降、17シーズンプレーし、1054試合に出場。ペナルティが多く、3149は史上7位。通算159ポイントは1000試合出場選手中、最低。
↩︎ - 12月13日、ブルーズがデトロイト・レッドウィングスに6-4で敗れた約2時間後、深夜にベルベと会い、ビール飲みながらの会食中に解雇宣告したとされている。宣告後、ベルベは納得していなかったと、GMダグ・アームストロングの弁。
↩︎ - セントラル・ディビジョンで6位、ディビジョンのトップにいるコロラド・アバランチと9ポイント差。ウェスタン・カンファレンスでは、16チーム中10位。
ブルーズは1試合あたりのゴール数(2.82)でNHLで26位にランクされ、リーグで2番目に悪いパワープレー成功率は8.4%(83-7)と得点力の低さが、チームにとってネックとなったようである。
↩︎ - GMによると、選手たちは、「クレイグ・ベルベをクビにすれば良くなるとは言わなかったが、今のゲームの進め方は十分ではない」と言っていたらしい。つまり、カイロウだけが不満を述べていた訳でないことになる。
↩︎ - アメリカン・ホッケー・リーグのスプリングフィールド・サンダーバーズ監督から抜擢。カナダ、オンタリオ州ベルビル出身。49歳。現役時のポジションはディフェンス。NHLよりもヨーロッパを主戦場とし、フィンランド、ロシア、ドイツ等のチームを渡り歩いた。
なお、バニスター就任と同時に、チーム・コンサルタントとして、2004年、タンパベイ・ライトニング優勝メンバーであり、コンスマイス・トロフィー(プレーオフ最優秀選手)を獲得しているブラッド・リチャーズを採用している。
↩︎ - 2018年11月20日、ベルベは暫定監督に就任し、38-19-6の脅威的な成績をあげ、ブルーズを2019年のスタンレーカップ・チャンピオンシップに導いている。監督としての通算成績は206-131-44。勝利数はチーム史上3位。ポストシーズン51試合で24勝。 ↩︎