はじめに
「NHLだけじゃなくて、KHL(ロシアのプロ・ホッケーリーグ)や下部組織のリーグも見たいなぁ」と毎年、心に誓うのですが、NHL32チームの動向を追いかけるだけで、あっという間に時間が過ぎてしまいますし、全部の配信を押さえるだけの資金力もないし…。
今回は、そのKHLへ移籍するNHL選手の記事からスタートします。その記事も含め、オムニバス方式で「移籍をめぐる悲喜こもごも」をお伝えしていきましょう。他国へ新天地を求める人もいれば、前所属チームとさんざモメた末、やっと別チームへ移れた人も。
そして、若手選手はサラリーに関する交渉の際、「どうも上手くいかないな」と思ったら、第三者に仲裁を依頼する権利を持っています。それを成功させた選手の例もお届けします。
仲裁のおかげで、大体の選手は要望通りに行くんだけど、
中にはそれすらも受け入れられない選手もいるんだにゃ。
その場合は、残念ながら移籍先を探さなきゃならない。
そこそこ活躍している選手なら、すぐ見つかるけど、そうじゃないと…。
引用元:SI.com「Former Ducks Forward Leaving NHL for KHL」
活躍の場を求め、KHLへ移籍!
2023-24レギュラーシーズン中、カロライナ・ハリケーンズでわずか1試合出場後、若きフォワード、マックス・コントワがNHLを離れ、ロシアのKHLに移籍することになりました。ディナモ・モスクワは、コントワが1年契約を結んだと発表しています。
コントワはここ数年、NHLで気分良くプレーできる時期がありませんでした。アナハイム・ダックスで5シーズンを過ごした後、彼はクオリファイング・オファー1を提示されず、2023年にフリーエージェントとなったのです。
フリーエージェントとして数ヶ月を過ごした後、コントワは2023-24シーズンを前に、ついにベガス・ゴールデンナイツからプロ・トライアウトのオファーを受けました。結局、ゴールデンナイツは彼の契約を解除し、再びフリーエージェントとなります。
NHLとの契約が成立していなかったため、コントワは最終的にアメリカン・ホッケーリーグのシカゴ・ウルブズと契約しました。その後、彼はハリケーンズと完全契約を結ぶこととなります。
コントワはハリケーンズでレギュラー・シーズンの1試合に出場し、1アシストを記録しました。ウルブズでの65試合で、彼は19ゴールと25アシスト、44ポイントを獲得しています。
プレーオフにも出てるし、チームのポイント王にも
スタンリーカップ・プレーオフで、ハリケーンズのイースタン・カンファレンス準決勝に進出した際、コントワはレンジャーズとの第2戦(延長戦・4-3でハリケーンズの負け)に出場しました。これは、コントワのキャリア唯一のNHLプレーオフ・ゲームです。
彼は(1試合のうち)9シフト出場し、プラス/マイナス評価は-1で、アイスタイムは6分強でした。
これらのいくつかのチームを渡り歩く前、コントワはダックスのドラフト2巡目(全体50位)に指名されています。攻撃面での有望株として注目され、アナハイムで210試合に出場しました。
キャリア211試合で、コントワは38ゴールと49アシストを記録し、合計87ポイントを記録しています。彼の最高の年は、彼の最高の年は、ダックスのポイント王に輝いた(パンデミックのために短縮された)2020-21シーズンでした。
55試合で彼は16ゴール、合計33ポイントを記録しています。
まだ25歳のコントワは、NHLのポテンシャルを持っているかもしれませんが、彼の価値を証明する必要があります。KHLで1年間キャリアを積むことで、2025-26シーズン、NHLに復帰する際にさらに力を発揮できるでしょう。
引用元:SI.com「Canucks Forward Explains Struggles With Former Team」
やっと外へ出られた…
バンクーバー・カナックスは、ジェイク・デブラスクとフリーエージェント契約を結び、フォワード・グループを強化しました。
デブラスクは最近、The Cam & Strick Podcast2に出演し、そこで彼は、オフシーズンのこと、そしてブルーインズでの日々がどのように終わったかについて語りました。
3人が話した最も興味深いトピックの1つは、デブラスクがフリーエージェントになる前に、ブルーインズを去ろうとしたことでした。デブラスクによると、彼はボストンでのキャリアの中で2回、ボストンからのトレードを要求したらしいのです。
「夏に(トレードを)要求したんだよ」と彼は言いました。「チームがどこに向かっているのか、ラインナップの中でどこでプレーできるのか、といったことばかり考えていた時、チームの形が見えてきてしまったんだ。
そして、その年はプレーオフで敗退して終わってしまったし、多分双方にとって新たなスタートを切る時が来たと思いました」。
何年も前からトレード志願
数シーズン前、デブラルスクはブルーインズで厳しい時期を過ごしました。2021年、チームはプレーオフ中に彼を負傷させ、その結果、彼は初めてトレードを要求しました。
この問題はその後数ヶ月で解決しましたが、2021-2022シーズンが始まっても、デブラスクはまだ不満でした。
だからこそ、彼は再びトレードを要求したのです。ただ今回は、その要求が公になり、メディアが大騒ぎしました3。ありがたいことに、彼のチームメイトは困難な時期に彼を支えてくれました。
「それが(メディアに)出てきたとき、とても不快だった」と彼は言っています。「翌日リンクに行き、部屋にいる選手たちと話をするのはとても居心地が悪かった。私があの状況から抜け出せた最大の理由は、あの場にいた仲間たちだった。
彼らは私の背中を押してくれたし、彼らはずっと私と一緒にいてくれた。皆と私は仲良かった。
彼らは、部屋でなぜ私が自分のキャリアにより適したものを見つけようとしているのかを理解し、NHLでのキャリアを長くし、何かにより良いチャンスを得ようとしていることを知っていました」。
今、デブラスクはブルーインズを後にし、カナックスで彼の価値を証明するチャンスを得ています。彼は19ゴール、40ポイントのレギュラーシーズンを終えていますが、プレーオフでは13試合で11ポイントと優れた成績を収めています。
彼はそれを7年・3850万ドルの契約に結びつけ、スタンレーカップに向けたカナックスの最新の取り組みの重要なピースとなることになりました。
最後、選手層の薄さが出て、
カナックスはスタンレーカップにたどり着けなかった訳だにゃ。
デブラスクは経験も豊富だし、
どんなシチュエーションでプレーさせても、それなりの結果を残す選手。
良い補強だと思うな。
引用元:SI.com「Hurricanes Avoid Arbitration With Young Forward」
サラリーを巡って、若手選手は仲裁要請可能
カロライナ・ハリケーンズは、最近サラリー仲裁を申請した2人の選手のうち、1人との仲裁をやめることになりました。ハリケーンズは、フォワードのジャック・ドルリーと2年間の契約を公式に締結しています。
※サラリー仲裁については、こちら↓。
ドルリーとハリケーンズは、仲裁公聴会に先立って合意に達しました。新しい契約は、年間平均172万5,000ドル、合計345万ドルです。
ドルリーは2023-24シーズンにNHLレベルで初のフルシーズンをプレーし、ハリケーンズの控えセンターとして74試合をプレーしました。その間に8ゴール19アシスト、合計27ポイントを記録しています。
114試合のキャリアの中で、ドルリーは12ゴールと25アシストで37ポイントを獲得しました。
「ジャックは昨シーズン、フォワードグループの重要な部分としての地位を固めるために、大きな一歩を踏み出したね」とハリケーンズのゼネラルマネージャー、エリック・タルスキーは言っています。
「彼はアイスリンクの両端で非常に勤勉に働き、あらゆる状況で頼りになる存在だ。我々はカロライナで彼の継続的な成長を見ることを楽しみにしているよ」。
※この映像、5月の時点で、チームに残りたい、でも契約が…と迷い中↓。
もう1人は、残念ながら放出か…
ハリケーンズは、2018年のNHLドラフトの2巡目(全体42位)でドルーリーを指名しました。彼は2021-22シーズンにデビューを果たしています。彼は2試合に出場し、各試合で1ゴールを決めました。
ドルリーがサインし、仲裁公聴会を必要としないため、ハリケーンズには解決すべきケースがまだ1つ残っており、その結果は(ドルリーと)異なる可能性があります。
ハリケーンズはまだフォワードのマーティン・ネカスとの契約を決定させていません。チームが彼を引き留めるのか、それともトレードで新しいチームを見つけるかどうかは不明です。
ドルリーと契約したことで、puckpedia.com(NHLサラリーキャップ、契約、選手の能力の数値化、怪我の最新情報を伝えるサイト)では、ハリケーンズでは1,390万ドルのサラリーキャップスペースを確保し、ロースターに21人の選手が名を連ねることになります。
まとめ
パンデミック、新型コロナの影響による変則的リーグ運営が、NHLに財政的ショックを与え、多くの選手のリズムに影を落としてしまいました。デブラスクの場合、それをモロに受けたパターンであり、選手生活の歯車が若干狂ってしまった感があります。
やっと出られた開放感からか、ポッドキャストとはいえ、彼は心情を告白しました。監督への不満が一番あったようですが、マスコミに個人情報をリークしたチームへの不信感も強かったようです。彼としては、じっくりチームと話をしたかったのでしょう。
マスコミが横槍を入れたことにより、上手くまとまりそうな話がこじれまくるのは、どうやら万国共通のようです。このオフシーズン、移籍を考えている選手はまだまだいます。できれば、そっとしておいて欲しいんですけどね。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- フリーエージェントの権利を得る選手に対し、所属チームが提示できる1年契約のオファー。
このオファーは、昨シーズン(23-24)の場合、ドラフト後の6月30日までに、チームは選手に提示義務を有しており、選手もそれまでの間に返答をしなければならない。
チームが選手のRFA(制限付きFA)ステータスを維持するためには(チームが交渉権を保持するためには)、オファーを提示しなければならず、提示しなかった場合(あるいは選手が拒否した場合)、その選手はUFA(無制限FA)となる。
↩︎ - 元NHL選手のキャム・ヤンセン(デビルズやブルースでプレー)と長年NHLレポーターを務め、オハイオ州立バック・アイスホッケーのOBであるアンディ・ストリックランドがホストを務めるホッケー・ポッドキャスト。
2019年9月スタート。ホッケー・ニュースと、選手へのインタビューが中心。
↩︎ - 2021年3月13日、デブラスクはCOVID-19プロトコルに置かれていた。プレーオフでワシントン・キャピタルズとの対戦中、それまで2ゴールを決めていた彼は第4戦から急に不調となっており、おそらくCOVID-19の影響ではないかと思われる。
2021-22シーズンに入り、うまくいっていないのか、デブラスクは11月29日にトレードを要求。年明けから調子を取り戻し、トレード要求について心変わりしたのではないか、との声も聞かれていた。しかし、彼の代理人は後に、彼はトレード要望を出していると述べている。
2022年NHLトレードの締め切り日である3月21日、デブラスクはブルーインズと2年間・800万ドルの契約延長にサイン。これは以前のトレード要求が取り消されたかどうか分からなかったため、ボストンからのトレードをよりスムーズに進めることを目的に、デブラスク側の仕組んだものと推測された。
しかし、トレードはされず、彼の要求は尊重されなかったことになる。2022年7月5日、デブラ直後に発表され、キャシディがデブラスクのトレード要求の原因であり、解雇後にそれを撤回したと言われた。
デブラスクは、オフシーズンの後半にそれについて尋ねられたとき、これらの噂を確認も否定もしなかった。 ↩︎