NHL開幕戦!コッターの粘り強い執念ゴールでカナックスが初勝利

アイスホッケー名勝負

はじめに

 NHLの新シーズンが開幕し、初日から熱狂的なドラマが繰り広げられました🏒

 本記事では、劇的な延長戦の末にエドモントン・オイラーズを下したバンクーバー・カナックスの激闘と、注目ルーキーのギャビン・マッケナが挑んだほろ苦いデビュー戦の2本をお届けします。

 指揮官マニー・マルホトラの戦術や選手たちの生々しい証言、スタッツに至るまで、試合の背景にある細かなドラマを網羅して詳しく分析・解説していきます✨

🏒 ポール・コッターが躍動!カナックスが開幕戦の名勝負でエドモントンを撃破

参照記事:The Athletic「How Paul Cotter, Canucks stunned Edmonton in opening-night classic」

 ニキータ・クチェロフ(昨シーズンのMVP、タンパベイ・ライトニング)が延長戦の決勝ゴールを決めたわけではありません。ロケット・リチャード賞の受賞者(昨シーズンの最多得点王、ネイサン・マッキノン、コロラド・アバランチ)でもないのです。

 しかし、この日の夜ばかりは、誰もがそう錯覚してしまっても無理はありませんでした✨

 火曜日の夜、ロジャーズ・プレイスで行われた衝撃的な開幕戦の名勝負。5-5の同点で迎えた延長戦で、バンクーバー・カナックスのフォワード、ポール・コッターが執念のプレーを見せます。攻撃を組み立てようとするエドモントン・オイラーズのディフェンス、ライアン・シェイに対し、しつこく強烈なプレッシャーをかけ続けました。

 まるで獲物に食らいつく犬のように、コッターは決して離れません🐶

 シェイがパックを体で隠しながら運ぼうとする中、コッターはゴール裏からサイドのハーフウォールまで追い回します。なおもコッターが泥臭く食らいつくと、ボード際で約15メートルにわたって激しく競り合った2人は、ついにともに足を滑らせて転倒してしまいました。シェイは反則をアピールしたものの、審判のホイッスルは鳴りません。

 すると、腹ばいになった姿勢のまま、コッターはそこからパックをマックス・サソンへと押し出しました!

 ザック・ハイマンにぴったりと追われていたサソンは、一瞬パックをキープすると、すぐさま素早いパスをコッターに返します。すでに立ち上がっていたコッターはシェイを振り切り、一気にゴール正面へ抜け出しました。そこにはオイラーズのGK、トリスタン・ジャリーしかいません。

 コッターはフォアハンドからバックハンド、再びフォアハンド、バックハンドとフェイントを繰り返し、最後はパックを浮かせてゴールに突き刺したのです。ゴール🥅!

 スコアボードは「6-5」を示しました。試合前には大きく不利と見られていたバンクーバーが、見事に開幕戦をものにしたのです🏆

 カナックスは、この夜の大半でエドモントンの猛攻を受けながらも勝利を掴みました。第3ピリオド終盤には、5-2と3点リードしていた試合を残り10分で追いつかれながら、それでも勝ち切ってみせました。

 新たにカナックスのヘッドコーチに就任したマニー・マルホトラにとっては、NHLの指揮官として記念すべき初勝利となりました👏

 そして、トレーニングキャンプの開始以来チームに漂っていた明るいムードも、途切れることなく続いていたのです✨

【讃岐猫🐱の深堀りコラム】波乱の開幕戦を制したカナックス:劇的勝利の裏に潜む戦術的勝因と課題

 2026-27シーズンの幕開けを飾る劇的な「6-5」のオーバータイム(OT)勝利は、バンクーバー・カナックスにとって、新体制の門出を象徴する一戦となった。戦前は圧倒的不利と目されていた敵地ロジャーズ・プレイスで、エドモントン・オイラーズを下したこの試合は、北米ホッケーメディアや解説陣の間で、戦術的成功と守備的課題の両面から大きな議論を呼んでいる。

 北米メディアがこの勝利において最も高く評価しているのは、マニー・マルホトラ新ヘッドコーチによるライン運用の冴えと泥臭いハードワークを愚直に遂行した、深みのあるフォワード陣の存在である。

 特に、前シーズン途中までウイング起用が中心と見られていたマックス・サソンをセンターに据え、敵地の「ラストチェンジ(後出しの交代権)」がない不利な条件下でありながら、相手のエースであるコナー・マクデイビッドのラインに対して、5対5の局面で66%以上の出場時間をマッチアップさせた采配は、現地でも絶賛を集めた。

 この大胆な戦術的封じ込めが、オイラーズの波状攻撃を寸前で喰い止める基盤となった。

 さらに、移籍後初出場でショートハンドゴールとOT決勝ゴールの2得点を挙げたポール・コッターの執念溢れるフォアチェックは、今季のカナックスが掲げる「アイデンティティの刷新」を象徴している。

 前シーズンまでニュージャージー・デビルズでプレーし、今オフにフリーエージェントで加入したコッターが、泥臭い競り合いから泥臭くパックを奪い切り、最後はトリスタン・ジャリーをかわして決めた決勝弾は、チームに根付く粘り強さを証明してみせた。

 一方で、第3ピリオドに5-2の3点リードを奪いながら、残り10分間で追いつかれた点については、ファンからも冷ややかな視線も注がれている。オイラーズのDFエバン・ブシャールにハットトリックを含む5ポイントを許し、試合全体で37本のシュートを打たれたディフェンス陣の脆さは見過ごせない。

 新指揮官マルホトラ自身も「チームは未だ発展途中」と認める通り、守護神ケビン・ランキネンの32セーブという活躍がなければ、大敗していてもおかしくない展開であった。

 それでもなお、敵地で強豪を下して掴んだ開幕星は、新体制のカナックスにとって、これ以上ない勢いをもたらす一勝である。運と不運が交錯する激闘を制したこの夜の「6-5」は、今シーズン、カナックスの直面する長い旅路の力強い第一歩となった。

出典:

・NHL.com, “Paul Cotter Nets OT Winner, Canucks Edge Oilers 6-5 in Thrilling Season-Opener”, 2026年9月30日(https://www.nhl.com/canucks/news/paul-cotter-nets-ot-winner-canucks-edge-oilers-6-5-in-thrilling-season-opener)

・TSN, “Cotter’s OT winner gives Malhotra’s Canucks win over Babcock’s Oilers in coaches’ debut”, 2026年9月30日(https://www.tsn.ca/nhl/article/cotters-ot-winner-gives-malhotras-canucks-win-over-babcocks-oilers-in-coaches-debut/)

・Today in BC, “Cotter nets winner as Canucks edge Edmonton Oilers 6-5 in OT thriller”, 2026年9月29日(https://todayinbc.com/2026/09/29/cotter-nets-winner-as-canucks-edge-edmonton-oilers-6-5-in-ot-thriller/)

5-2のリードから追いつかれた激闘や、新監督マニー・マルホトラの初勝利、そして何よりポール・コッターの執念溢れるゲームウィナー(延長決勝点)が収められた公式ハイライト動画です。

💬 ロッカールームでの祝福と朝のスケートで見せた「予兆」

 試合後、歓喜に沸くカナックスのロッカールームでは、チームメートのドリュー・オコナーが、2ゴールを決めたコッターを「ロケット・リチャード」と呼んでからかいました。

【注釈】ロケット・リチャード(Rocket Richard)

「ロケット・リチャード(Rocket Richard)」は、NHL史上最高の伝説的ゴールスナイパーと称される、元選手モーリス・リチャード(Maurice Richard、1921–2000)の愛称である。

 爆発的な加速力と強力なシュート、そしてゴールに対する並外れた執念から「ロケット」の異名で親しまれた。主な実績および文脈上の意味は以下の通りである。

  • 史上初の偉業を次々と達成した名選手 モントリオール・カナディアンズ一筋で活躍し、1944-45シーズンにNHL史上初となる「1シーズン50試合で50ゴール」を達成。さらにキャリア通算500ゴールを初めて突破した人物でもある。スタンレーカップ優勝を8回経験し、ホッケーの殿堂入りを果たしている。
  • 最多ゴール王の賞名「モーリス・“ロケット”・リチャード・トロフィー」 彼の偉業を称え、NHLでは1998-99シーズンより、レギュラーシーズンで年間最多ゴール数を記録した選手へ贈られる最多得点王タイトル(賞)として、「モーリス・“ロケット”・リチャード・トロフィー(Maurice “Rocket” Richard Trophy)」が創設された。現代のアイスホッケー界において「ロケット・リチャード」という言葉は、最高峰のゴールスナイパーを象徴する代名詞となっている。
  • 発言の文脈と意図 該当のブログ記事において、チームメートが2ゴールを決めたコッターを「ロケット・リチャード」と呼んだのは、「今日の君はまるで伝説のゴール王(あるいは最多ゴール得点王)のようだ」と、その決定力を称賛しつつ少し大げさに持ち上げて冷やかす、アイスホッケー界特有のジョークである。

 この日の午前中に行われたカナックスの自由参加スケートでも、コッターはクチェロフばりの「ノン・デク・デク」を披露していました。新加入のGK、リーヴァイ・メリライネンの股下を抜いてゴールを決めると、スティックをホルスター(刀における「鞘(さや)」のような役割を果たす)に収めるようなポーズを取り、センターアイスまで大げさなゴールセレブレーションを繰り広げていたのです。

【注釈】ノン・デク・デク(Non-deke deke / Fake deke / No-move deke)

 「ノン・デク・デク(またはフェイク・デク)」は、アイスホッケーのブレイクアウェイ(独走状態)やシュートアウト(ペナルティショット)で用いられる、フェイント技(フェイントの動作)の一種である。

 言葉の定義や背景、文脈上の意味は以下の通りである。

  • 用語の由来と仕組み アイスホッケーにおいて、スティック捌きでゴールキーパー(GK)を揺さぶる動作を「デク(Deke)」と呼ぶ。「ノン・デク・デク」は直訳すると、「フェイント(デク)をしないフェイント」を意味する。シューターがスティックを左右へ大きく振って「左右どちらかにかわして打つ」と見せかけながら、実際にはパックに触れずに通過させるテクニックである。
  • クチェロフの代名詞「ザ・クチェロフ(The Kucherov)」  この技を世界的に一躍有名にしたのが、タンパベイ・ライトニングに所属するスター選手ニキータ・クチェロフである。彼はオールスターゲームやレギュラーシーズンにおいて、身体とスティックだけを左右に大きく滑らせて「デク」の仕草を作り、GKがその動きにつられて反応・開脚した瞬間、触れていないパックがそのまままっすぐ滑ってGKの股下(ファイブホール)を抜けるというプレイを成功させた。そのため、ホッケー界ではこの「ノーショット(打たない)」によるフェイント技が「クチェロフ」あるいは「ノン・デク・デク」と呼ばれるようになった。
  • 文脈上の意味 記事内のコッターは、練習中のスケートでこのクチェロフの得意技を真似て見せた。スティック操作でGKの裏をかき、股下からゴールを流し込むという、極めて高度かつユーモラスなトリックプレイを成功させたことを表している。

 「新しいGKだと、まだああいうプレーを予想していないんですよね」と、朝のスケートでクチェロフをまねたことについてコッターは笑いながら話しました。「僕がああいうくだらないことをやるのに慣れてくれば、相手も分かってきます。だから、新しいGKが来たときは、2、3日はちょっと遊べるんですよ」😄

 朝のスケートで見せたコッターのゴールと大げさなセレブレーションは、ひときわ目を引きました。同じように印象的だったのが、リアム・エングレンのゴールです。

 フォワードとディフェンスが2対1の速攻から得点を競うドリルの最後、エングレンがこぼれ球を拾ってメリライネンを破ると、氷上に残っていた15人の選手全員が一斉に彼のもとへ駆け寄り、抱き合って喜びを爆発させました🙌

 火曜日、試合開始の数時間前には、このチームを取り巻く空気が、これまでとは明らかに違っていたのです。

 「みんながお互いを応援しているんだと思います」とサソンは語りました。「みんな、仲間がうまくやるのを見たいし、それぞれが得意なことを発揮してほしいと思っているんです」💬

 月曜の夜には、チーム全員でエドモントンの地元にあるスペイン料理店へ出かけ、タパス(前菜/小皿料理)を楽しみました。

 「タパスっていう料理の名前すら知りませんでした」とコッターは笑いました。「でも、最高でしたよ!」🍽️

 人生は短いものです。選手生活は、それよりさらに短いでしょう。そして、ホッケーは楽しいものであるべきなのです。たとえ、そう思えない時があるとしても。

🔄 激闘の舞台裏と指揮官マルホトラの手腕

 「今日はみんなで、この旅について話していました。マニーは、それが自分にとってどういう意味なのか、自分の言葉で話してくれたんです」と、火曜日の勝利後にコッターは振り返りました。

 「大きな視点で見れば、毎日が戦いです。競争があって、時間を守らなければならなくて、やるべきことを正しくやらなければならない。そういうことの積み重ねです……」

 「でも、その旅を楽しむことも忘れてはいけません。これから、素晴らしい出来事もあれば、嫌な出来事もある。恥ずかしい思いをすることもあれば、決して自慢できないような出来事もあるでしょう。それも全部、旅の一部なんです。すべてを受け入れて、楽しんでいかないといけないんですよ」💭

 火曜日の夜はカナックスにとって楽しい夜になりました。しかし、試合そのものは決して単純なものではなく、すべてがスムーズにうまくいったわけでもありません。

 第1ピリオドのバンクーバーは、守備が悪い意味で緩かったです。開始から10分ほどの間に、オイラーズに次々と決定機を許してしまいました。

 もしケビン・ランキネンが序盤から見せた好セーブがなければ、楽しい夜が始まる前にバンクーバーは試合を壊されていたかもしれません。その中には、リバウンドをコッターの前に素早く弾き出し、それを起点に先制のショートハンド・ゴールにつながる2対1の速攻を生み出したプレーもありました。

【讃岐猫🐱の深堀りコラム】ランキネンが救った「緩い守備」――カナックス守備陣に残る開幕戦の宿題

 この試合のバンクーバー守備を評価するうえで、最も重要なのは「5失点」という数字だけではない。むしろ問題は、第1ピリオドでオイラーズに試合の主導権を完全に握られながら、それをGKケビン・ランキネンの好守で何とか帳消しにした点にある。

 実際、開幕戦の第1ピリオドはシュート数でエドモントンが13対5と圧倒していた。The Hockey Writersのマシュー・ザトールは、バンクーバーが第1ピリオドで大きく押し込まれたことを認めつつも、オイラーズに決定的なオッドマン・ラッシュを次々と許したわけではなく、守備システムそのものが完全に崩壊していたわけではないと分析している。

 つまり、今回の「緩さ」は、構造的な守備崩壊というより、個々のミスやパック処理、ゾーンからの脱出に問題が集中したと見るべきである。

 ここが非常に興味深いところである。カナックスは2026-27シーズンからマニー・マルホトラ体制に入り、守備システムも変更している。キャンプ段階から「できるだけ自陣に長くとどまらず、速く攻める」ことを目指していた。そのため、守備ゾーンから素早くパックを出すことは単なる守備ではなく、攻撃への第一歩でもある。

 しかし開幕戦では、その出口でのミスが何度か起こり、結果としてオイラーズの攻撃を再び受ける場面につながったのである。

 そして、この「守備の緩さ」を数字で裏付けるのが、5対5の支配率である。Canucks Armyの分析では、バンクーバーの試合全体のCF%は37.93%、xGF%は29.03%、ハイディンジャー・チャンスの割合を示すHDCF%も38.1%にとどまった。

 つまり、スコアだけを見れば6-5で勝ったものの、5対5の内容では明確にエドモントン側が上回っていたのである。これは「守備が悪かった」という感覚を、かなり強く裏付ける数字である。

 ところが、ここでランキネンの存在が効いてくる。Canucks Armyによれば、エドモントンの総xGFは4.02であり、5失点したランキネンのGSAxはマイナス0.98だった。決して圧倒的な数字ではないが、5失点という結果だけから想像するほど悪くはない。

 しかもエドモントンのシュート量と攻撃力を考えれば、ランキネンが相当数の危険なチャンスを処理したことが分かる。比較対象となったトリスタン・ジャリーはGSAxがマイナス4.35であり、GKの差がこの試合の勝敗を左右したことは数字にも表れている。

 特に第1ピリオドは象徴的である。The Hockey Writersによれば、ランキネンは最初の20分で13本のシュートを受けながら12本を止めた。レオン・ドライザイトルのパワープレーでのワンタイマーを止めた直後、そのリバウンドがポール・コッターにつながり、逆にバンクーバーのショートハンド・ゴールへと変わった。

 この一連のプレーは単なる「好セーブ」ではない。守勢に回っていたチームを、一瞬で攻撃側へ転換させるセーブだったのである。

 さらに興味深いのは、第2ピリオド以降の守備である。Canucks Armyのゲーム分析では、ジェイミー・オレクシアクが重要なシュートブロックを見せ、終盤にもランキネンがドライザイトルの危険なチャンスを防いでいる。つまりバンクーバーは、試合を通じてずっと無秩序だったわけではない。

 危険な時間帯に身体を張って守る場面と、パック処理のミスから相手に流れを渡す場面が同居していたのである。

 その意味では、第3ピリオドの5-2から5-5への展開も「守備システムが完全に破綻した」と断定するのは早い。ポドコージンのゴールはゴール前での競り合いから生まれ、ブシャールの次のゴールは低確率のシュートが二重のスクリーンを抜けたものだった。終盤の同点ゴールもパワープレーである。

 もちろん5-2のリードを守れなかった以上、守備面に問題があったことは明白だが、5失点すべてを同じ種類の守備ミスとして扱うべきではない。

 むしろマルホトラにとって最大の課題は、「良い守備を60分間続けること」だろう。The Hockey Writersも、今回の守備について「システムは発展途上だが、土台には可能性がある」という評価をしている。

 特にマクデイビッド対策では、マックス・サソン、ドリュー・オコナー、リナス・カールソンのラインが5対5でマクデイビッドを22分51秒プレーさせながらシュートを1本も許さなかった。これはチーム全体が守備できないのではなく、機能した守備と機能しなかった守備の差が大きいチームだということを示している。

 そして、今季のバンクーバーを見るうえではGK事情も無視できない。正GKとして期待されるサッチャー・デムコは1月の股関節手術からの復帰途上で、ヘンリック・セディンは9月28日時点で「2027年が始まる前」を復帰目標としている。

 つまり開幕直後のバンクーバーは、少なくとも当面、ランキネンに大きな負担を背負わせる構図になっている。ランキネン自身は2025-26年から2029-30年までの5年総額2250万ドル、年平均450万ドルの契約を結んでおり、今季もチームの正GKとして重要な役割を担う立場である。

 さらに守備陣では、フィリップ・フロネクをめぐって、今夏にボストンがトレードを検討した可能性が報じられた一方、実際には移籍していない。フロネクは長期契約下にあり、ノームーブ条項も持つ。加えて、ゼーブ・ブイムとは2027-28年から始まる8年総額7504万ドルの大型契約を結んでいる。

 これは、バンクーバーが若い守備陣を中心に長期的な再建を進めていることを示す材料である。したがって今回の「緩さ」は、単にベテランDFを補強すれば解決する問題というより、若い守備陣に新システムを定着させる過程で生じる不安定さとして見る方が実態に近い。

 結論として、この開幕戦でランキネンが救ったのは、「大量シュート」ではない。バンクーバーが守備で主導権を握れなかった時間そのものを救ったのである。5対5のxGF%が29.03%という数字を見れば、6-5の勝利を「守備も十分機能した」と評価することはできない。

 一方で、マクデイビッドを封じたマッチアップや、危険な局面での身体を張った守備を見ると、マルホトラのシステムそのものを否定する材料にもならない。

 開幕戦から見えたカナックスの本当の課題は、守備能力の有無ではなく、守備を安定して再現できるかどうかである。そして、それができない夜にはランキネンがどこまで救えるのか――。デムコの復帰がまだ先である以上、このGKと守備陣の関係は、2026-27シーズン序盤のバンクーバーを読み解くうえで非常に重要なポイントになるのである。

出典リスト

  1. The Hockey Writers「4 Takeaways From Canucks’ Thrilling 6-5 Overtime Win Over the Oilers」2026年9月30日 記事本文
  2. Canucks Army「The Statsies: Max Sasson takes on Connor McDavid as Canucks beat Oilers in OT」2026年9月30日 記事本文
  3. Canucks Army「Instant Reaction: Cotter plays hero in wild 6-5 OT win vs. Oilers on opening night」2026年9月30日 記事本文
  4. Pacific North Hockey「Canucks Surprise Oilers; A Troubling Edmonton Microcosm」2026年9月30日 記事本文
  5. NHL.com「Canucks hope to have Demko back ‘before Christmas,’ Henrik Sedin says」2026年9月28日 記事本文
  6. Reuters「Canucks sign D Zeev Buium to 8-year, $75M contract」2026年9月5日 記事本文
  7. ClutchPoints / Yahoo Sports「NHL rumors: Did the Bruins try to acquire Canucks’ Filip Hronek this summer?」2026年9月19日 記事本文

 それでも、バンクーバーが先にリードを奪いました⚡

 エバン・ブシャールやバシリ・ポドコージンにゴールを許しても、バンクーバーはすぐさま反撃し、相手の流れに逆らうようなチャンスを作ってリードを奪い返しました。リードを手にすると、カナックスはその優位をさらに広げ、運も味方につけたのです。

 その中心で泥臭く身体を張っていたのが、サソンでした👏

 昨シーズン途中、当時のカナックスの首脳陣とコーチ陣は、サソンをセンターではなくフルタイムのウイングと判断していました。それにもかかわらず、この日はセンターとして起用され、しかも試合を通してコナー・マクデイビッドのラインと厳しくマッチアップさせられたのです!

 大胆でありながら効果的なゲームプランでした。しかも、最後の交代権を持たない状況で、マルホトラがマクデイビッドの5対5での出場時間の66%以上にサソンをぶつけたのは見事でした。

【注釈】最後の交代権を持たない状況(Last Change / アウェイチームの交代制約)

 NHLのルールにおいて、試合中にプレーが止まった際の選手交代(ラインチェンジ)で最後(後出し)に選手を交代できる権利を持たない状況、すなわちアウェイ(ビジター)チームの立場にある状態を指す。

 ルールの仕組み、戦略的影響、および文脈上の意味は以下の通りである。

  • 「最後の交代権(Last Change)」のルール構造
     アイスホッケーでは、審判がフェイスオフのために円陣へ入る際、まずアウェイチームが先に選手を出さなければならない。ホームチームはその配置を見てから、後出しで自チームの選手を選択・投入できる。この「後出しジャンケン」ができる権利を「ラスト・チェンジ(Last Change)」と呼び、ホームグラウンドのチームにのみ与えられている。アウェイチームは相手の交代を見てから対応を変更することができないため、「最後の交代権を持たない状況」となる。
  • マッチアップ(選手同士のかみ合わせ)における戦略的影響
     相手のスター選手を抑え込む際、ホームチームであれば、相手の出撃に合わせて最適な守備専門選手や主力ディフェンス陣を後出しでぶつける(マッチアップさせる)ことができる。しかし、アウェイチームは先に選手を氷上に送り出さなければならないため、相手監督がその裏をかいてエース選手を投入してくると、ミスマッチを作られやすくなる。
  • 文脈上の意味
     カナックス(アウェイ側)のマルホトラ監督は、本来なら相手(ホーム側)に主導権を握られ、エースのマクデイビッドから狙い通りの守備選手を回避されやすい不利な条件下にあった。それにもかかわらず、巧みなベンチワークと緻密なタイミング計算によって、狙い通りサソンをマクデイビッドの出場時間の3分の2以上にぶつけ続け、完璧に封じ込めてみせたという点が見事であると称賛されている。

 「彼(監督)は試合の流れを見ながらベンチを動かすのが本当にうまいんです」とサソンは語りました。「アボッツフォードにいた頃から、それをすごく重視していましたね。それをここでも続けています。どのラインを出して、どのラインと対戦させるかを明確に考えていて、僕たちはそれに沿ってプレーしているんです」💬

 カナックスは速攻から4ゴールを挙げました。これは、この夜の大半でオイラーズがどれほど試合の主導権を握っていたかを物語っています。

 スペシャルチームでも見事な結果を残しました🔥 ショートハンド・ゴールを1つ決め、第3ピリオドには重要なパワープレー・ゴールを奪って、リードを5-2まで広げたのです。

 結局、これらの追加点はすべて勝利のために必要なものでした。

⚖️ 疑惑の判定と劇的なフィナーレ

 最後は、ひどく運の悪い形でオイラーズにショートハンドの得点機を与えながらも、カナックスは何とか逃げ切りました。

 しかし、その判定には大きな疑問が残るものでした。

 エクホルムに倒されて氷上から立ち上がろうとしていたリンウス・カールソンが、マティアス・エクホルムのスティックに軽く触れてしまいます。しかも、そのスティックはすでにブレードの根元で完全に折れていたのです!

 それでも、反則を取られたのはカールソンでした。判定はスラッシング。エクホルムにはホールディングを取ることもできましたし、折れたスティックを使ったとして反則を取ることもできたはずです。

 しかし、実際に反則を宣告されたのはカールソンで、オイラーズはそのパワープレーのチャンスを生かし、試合終了まで1分を切ったところで同点に追いついてしまいました💦

【注釈】カールソンがスラッシングのペナルティを取られた状況について

 NHLの試合において、バンクーバー・カナックス所属のライナス・カールソンに対して、スラッシング(相手をスティックで叩く反則)が宣告された場面である。この判定には、現場やファンの間で物議を醸す複数の要素が重なっていた。状況の詳細は以下の通りである。

  1. 倒れた状態からの復帰動作  カールソンは、エドモントン・オイラーズのマティアス・エクホルムとの接触によって氷上に倒された。その後、急いで立ち上がろうとした際、手にしていたスティックがエクホルムのスティックに触れる形となった。
  2. 相手のスティックの破損状態  接触の際、エクホルムが持っていたスティックは、すでにブレードの根元付近で完全に折れている状態であった。強固な状態ではないスティックに触れたため、通常であれば反則とは取られないような軽微な接触(あるいは立ち上がる際の動作の一部)であっても、視覚的に「相手のスティックを叩き折った」かのような誤解をレフェリーに与えた可能性がある。
  3. 審判の見落としと判定の矛盾  NHLのルール(Rule 10.3)では、折れたスティックをそのまま保持してプレーに関与し続ける行為自体が、ペナルティ(マイナーペナルティ)の対象となる。エクホルム側が折れた道具を保持していた点、またカールソンを倒した際のホールディング(相手を掴んで不当に拘束する反則)が見逃された一方で、立ち上がろうとしたカールソン側にのみスラッシングが適用されたことが、大きな疑問を呼ぶ判定となった。

 結果として、このペナルティによりカナックス側が1人少ない「ショートハンド」の状態となり、オイラーズに試合終了間際の同点ゴールを許す決定的なきっかけとなった。

 「まあ、あれは取られるだろうとは思っていました。でも、あのスティックはその前に完全に折れていたんです」とカールソンは語りました。「僕はスティックを強く叩いていませんし、スラッシングの動作すらしていなかったと思います」

 「だから、ただ運が悪かったんです。でも、それでも勝つ方法を見つけたチームを本当に誇りに思いますよ。あの数分間は、自分が本当に、本当に申し訳なく感じていました。最悪の気分でしたから……だから、勝てて本当にうれしいです!」😭✨

 苦しみと安堵、幸運と不運、歓喜と落胆。クチェロフ、リチャード、そしてコッター。

 劇的な開幕戦の勝利。そしてマルホトラが、チームとしての完成度はまだ「発展途上」だと表現したパフォーマンス。

 それもすべて、旅の一部なのです✨

讃岐猫
讃岐猫

🏒 マッケナ、「少し緊張していた」と振り返る

参照記事:The Score「McKenna dealt with ‘a little bit of nerves’ in uneventful」

 トロント・メープルリーフスのルーキー、ギャビン・マッケナは火曜日、NHLデビュー戦を終え、自身のパフォーマンスを率直に振り返りました。

 「良くなかったです」

 トロントがモントリオール・カナディアンズに3-2で敗れた試合後、マッケナは記者団にそう語りました。

 「何度かターンオーバーもありました……。水曜日にもまた試合があるので、そこで立て直して気持ちを切り替えられるのはうれしいです。もちろん、モントリオールは本当にいいチームで、ほとんど時間もスペースも与えてくれませんでした」

 マッケナは、この大舞台の重圧が影響したことも認めました。

 「今夜は少し緊張していたのかもしれません」と彼は語ります。「あそこは本当にスピードが速いです」⚡

 マッケナの出場時間は15分19秒で、プラスマイナスはマイナス2。シュートは1本にとどまり、ターンオーバーは2回でした。

【讃岐猫🐱の深堀りコラム】「時間とスペースを奪われた」マッケナ――デビュー戦の数字以上に見えたNHLの洗礼

 ギャビン・マッケナのNHLデビューは、1本のシュート、無得点、マイナス2、15分19秒という数字だけを見れば、確かに目立つものではなかった。しかし、現地メディアの評価を詳しく追うと、「期待外れ」という見方では整理できない。むしろ、モントリオール・カナディアンズがマッケナに何をさせなかったのか、を見ることが重要である。

 The Hockey NewsのRyan Kennedyは、マッケナがモントリオールからかなり強い抵抗を受けたと評価している。一方で、パックを持った際には「非常に良いパス」を見せ、落ち着いてプレーし、パワープレー第2ユニットでも存在感を示したと指摘している。つまり、攻撃面の才能そのものが消えていたわけではないのである。

 ここで興味深いのが、マッケナ自身の「時間とスペース」という説明である。これは新人の感想として片付けるべきではない。マッケナはジュニア時代から、相手を引きつけてからパスを出す、速度変化で相手の守備をずらす、狭いスペースでプレーを成立させるタイプである。

 ところがNHLでは、パックを受ける前から相手の寄せが速く、受けてから次のプレーを考える時間も短い。彼の最大の武器を使うための「一瞬の余裕」そのものを削られたのである。

 実際、Puckalyticsの5対5データでは、マッケナの出場時間は12分40秒で、オンアイスのxGF%は27.57%にとどまった。これはデビュー戦のチーム内で攻撃面の主導権を握れなかったことを示す数字である。ただし、1試合、しかも12分40秒という極端に小さなサンプルであり、この数字から選手の実力そのものを判断することはできない。

 さらに個人のxG/60は0.80であり、シュートがわずか1本だったことを考えると、「まったく得点機会を作れなかった」というより、攻撃の最終段階までプレーを持っていくことができなかった試合と見る方が適切である。

 そして、マイナス2についても注意が必要である。NHL.comの公式ゲームリポートによれば、マッケナは2失点時に氷上にいたためマイナス2となったが、モントリオールの3得点すべてを彼の守備上のミスに結びつけるような記述はない。

 むしろThe Hockey Newsは、トロントの3失点すべてに何らかの形で関係したダレン・ラディッシュの問題の方を大きく取り上げている。したがって、マイナス2だけを根拠に、マッケナの守備責任を過大評価するのは適切ではない。

 一方で、課題がなかったわけでもない。マッケナ自身が認めた2度のターンオーバーは、NHLの「時間とスペース」の問題と直結している可能性が高い。大学では成功していたプレーを、NHLでは同じ速度・同じ距離感で実行すると相手にパックを奪われる。The Hockey Newsも、彼の守備面こそ今後の適応課題になると見ている。

 つまり、この試合で最も重要だったのは得点できなかったことではなく、「自分が持っている技術を、NHLの速度の中でどのタイミングで使うべきか」を体感したことである。

 また、マッケナを取り巻くチーム事情も無視できない。トロントは開幕直前にコロンバスとの大型トレードを成立させ、キリル・マルチェンコらを獲得する一方、マシュー・ナイズらを放出した。The Leafs Nationによれば、開幕戦には前年から新たに加わった選手が10人もいた。

 新監督ジム・ヒラーの初戦でもあり、チーム全体がまだ組み合わせや役割を固めている途中だったのである。マッケナだけが完成された環境の中で試されていたわけではない。

 契約面では、マッケナは7月3日に3年のエントリーレベル契約を締結しており、2028-29シーズン終了後までトロントが保有権を持つRFAである。したがって、現時点でデビュー戦を理由に契約更新や移籍市場を論じる段階ではない。

 むしろ注目すべきは、トロントが彼を長期的な戦力として見ながら、開幕直後からどのライン、どのパワープレーで成長させるかという運用面である。

 結論として、このデビュー戦は「マッケナがNHLでは通用しなかった試合」ではない。「マッケナが自分の武器をNHLの時間軸に合わせる必要があることを、非常に早い段階で突きつけられた試合」と見るべきである。

 本人が「良くなかった」と認めたことも重要だが、それ以上に「時間とスペースがない」という具体的な問題を自分で把握している点に意味がある。18歳のトップ指名選手にとって、この最初の壁をどう処理するかこそ、デビュー戦の1本のシュートやマイナス2よりも注目すべき部分である。

出典リスト

NHL.com「Canadiens hold off Maple Leafs in opener to spoil McKenna debut」2026年9月30日
記事URL(NHL.com)

The Leafs Nation「Gavin McKenna provides honest self-assessment of play in his NHL debut: ‘Wasn’t great’」2026年9月30日
記事URL(The Leafs Nation)

The Hockey News「’I’m Glad We’re Playing Again’: McKenna Ready To Push For More After Maple Leafs Debut」2026年9月30日
記事URL(The Hockey News)

Puckalytics「Gavin McKenna — Salary/Contract Information, News, Statistics, Analytics」2026年10月1日現在
選手データ(Puckalytics)

NHL.com「McKenna signs entry-level contract with Maple Leafs」2026年7月3日
契約発表(NHL.com)

 それでも、NHLで迎えた初めての試合という特別な経験を、マッケナはしっかりと胸に刻みました。

 「こんな一日を忘れるのは、かなり難しいですね」と彼は語りました。「ここに出てきて、ルーキーラップをやらせてもらって、ウォームアップ中にガラス越しに家族の姿を見て、選手紹介で自分の名前を呼ばれる……。全部が本当に特別なことです」❄️

 メープルリーフスは6月のNHLドラフトで、全体1位でマッケナを指名しました。高い技術を誇るウイングのマッケナは、昨シーズン、ペンシルベニア州立大学で35試合に出場し、51ポイントを記録しています。

 開幕から2試合連続となるバック・トゥ・バックの2試合目で、マッケナには早くも反撃のチャンスが訪れます🔥 水曜日、メープルリーフスはニューヨーク・アイランダーズと対戦します。

ドラフト1位として大きな注目を集めた、マッケナのデビュー戦(ルーキーラップや氷上でのプレー)の映像です。「まずまず」って感じでしたかね。

まとめ

 カナックスの勝利は、土壇場での失点や疑問の残る判定を乗り越え、泥臭く攻め続けた執念の結晶と言えます✨ サソンを相手エースのマクデイビッドへぶつけたマルホトラ監督の柔軟なベンチワークや、チーム全体の高い結束力が存分に発揮された一戦でした。

 一方、全体1位指名のマッケナも敗戦の中で課題と手応えを得ており、過酷な日程の中でいかに速やかに修正して適応していくかが、今後のチーム戦略における大きなポイントとなります🏒

讃岐猫
讃岐猫
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