はじめに
先のブログ記事「NHLメイプルリーフス、ジェッツはカップ戦進出?パストルナックの契約は?」の続編です。今回採り上げられた質問は「将来、アナハイム・ダックスはどうなるのか?」、
「ニューヨーク・レンジャーズのフォワード、アルテミ・パナリンは上位チームに通用しないのか?」、そして「オールスター出場選手を一人選べるとしたら、誰か?」の3本。
NHL.TVを見てても、ダックスは開発途中、チーム再建真っ只中のチームと感じます。徐々に進めている現在の若手への切り替えについて、NHL.comのライターがどう見ているのか、非常に興味深いです。
ファンからのパナリンについての指摘は、かなり手厳しいにゃ!
引用元:NHL.com「Mailbag: Stanley Cup window open for Maple Leafs, Jets; Pastrnak contract」。
将来、アナハイム・ダックスはどうなるのか?
問:アナハイム・ダックスは今プレーオフの枠に入っていません。もしかしたら、3~5年後、将来性のある若手選手が成熟した頃に、プレーオフで戦うようになるかもしれません。もしあなたがダックスのGMだったら、今後数年間のゲームプランはどうなるのでしょうか。
答:忍耐強い男・パット。ダックスのゼネラルマネージャー、パット・ファーベーク(58歳)をそう呼ぶべきでしょう。それが今の彼に必要なことなのです。辛抱強く、勤勉に、これが必要なことです。
ダックスが今プレーオフの枠に入っていないことについては、あなた(質問者)の言うことが100%正しいのですから。これは3~5年計画になりますね。
今、分かっていることは次の通りです。
ダックスの現状分析
ベテランが少ない
1.ダックスはフォワードのライアン・ストローム(あと4シーズン。センター、29歳)とフランク・バトラーノ(あと2シーズン。右ウィング、31歳)、ディフェンスのキャム・ファウラー(3シーズン。31歳)、ゴーリーのジョン・ギブソン(4シーズン。29歳)と来季以降契約したベテラン選手が4人だけなのがいいです。
新人フォワードのメイソン・マクタビッシュ(センター、19歳)は、3年間のエントリーレベル契約の最初のシーズンを迎えています。ストローム、バトラーノ、ファウラー、ギブソンは、このチーム再構築における重要なピースです。
※エントリーレベル契約=NHL所属チームと初契約を結んだ選手が対象(18歳以降)。ほとんど選手は翌シーズン、マイナー又はジュニアへ過ごすこととなり、一応、形式的に「解雇」となる。マイナー在籍中、他チームとの契約をさせないため、契約交渉禁止期間が設けられる。
期間は年齢とNHL出場試合数によって決定。18才の選手の場合、5年間あるいは160試合のどちらかを過ぎなければ、他チームとの契約は許されない。契約時の年齢が上がると期間が短縮される。
彼らは今、良い選手であり、周りのラインナップが成熟し、ダックスがポスト・シーズンを戦う準備ができたときにも、インパクトのあるプレーヤーであるはずです。もちろん、4人全員がチームの行く末を最後まで見ない可能性もありますが、それは時間の経過とともに対処されるでしょう。
どうFAをクリアするか
2.フォワードのトレバー・ゼグラス(センター、21歳)とトロイ・テリー(右ウィング、25歳)は今シーズン終了後に新たなサラリーを受けるでしょう。彼らはそれぞれ保留中の制限付きフリーエージェントであり、チームの将来の大きな部分を担っています。
ダックスはゼグラス、テリー、マクタビッシュ、ディフェンダーのジェイミー・ドライスデール(20歳)、そして最終的には他の数人を中心にシステムを構築していくことになります。
肩の手術のためにシーズンの残りの期間を欠場する可能性のあるドライスデールと、ケビン・シャテンカーク(ディフェンス、33歳)とドミトリー・クリコフ(ディフェンス、32歳)がUFA(Unrestricted Free Agent=無制限のフリー・エージェント)を保留しているため、今シーズン終了後にもう一人若いディフェンスマン獲得のための余地があります。
ダックスは、若い選手を対応できない状況に追い込むことなく、彼らによってロスターを回せるようになれば、それでチームはより良くなるのです。
サラリー・キャップの活用
3.ダックスは既に十分なキャップ・スペースを確保しており、シーズン終了後にはさらに多くのキャップ・スペースを使用できるようになります。テリーとゼグラスは次の契約で、それのいくらか食いつぶすので、チームは賢くならなければなりません。
しかし、来季以降にサラリー・キャップの上限が引き上げられる可能性が高いため、ダックスはこれから2つのオフシーズンで賢くキャップ制度を使い、再建プロセスを促進するのに有利な立場にあるチームなのです。
ニューヨーク・レンジャーズのアルテミ・パナリンは上位チームに通用しないのか?
問:アルテミ・パナリン(左ウィング、31歳)の5対5で出している数字は、まともな(プレーオフのポジションにある、と言ってもいい)チームに対した場合、どのようなものなのでしょうか。この1年間、彼がパワープレーをしていない限り、ノンファクター(非因子)だったような気がします。
私が間違っていることを証明してください。
答:「ノンファクター」の言葉は強すぎます。パナリンに関しては、その言葉は絶対に使いません。彼は常にニューヨーク・レンジャーズの「ファクター」です。このフォワードは、スティックにパックが付いている時、NHLで最も危険なプレーヤーの1人になります。
彼のビジョン、糸を引くようなパス能力、それは傑出しています。しかし、昨シーズンの開幕以来、より質の高い対戦相手に対して、ほぼ均等な力強さで、安定した得点のインパクトが与えられていないことについて、あなたが間違っていると証明することはできません。
ちょっと注目度が低い原因はこれかにゃ…。
数字で見るパナリン
昨シーズン、パナリンはプレーオフに進出した他の15チームに対して36試合で23のイーブン・ストレングス・ポイント(6ゴール、17アシスト)を獲得しました。
※イーブン・ストレングス・ポイント=「イーブン・ストレングス」氷上にいる選手の数が両チームとも偶数であるか、どちらのチームもフル・パワーではない状況をいう。この言葉は、通常、ペナルティが原因で、両方のチームが氷上で同数のプレーヤーを差し引いた場合を表すために使用される。
例えば4対4、または3対3のいずれかとなる。その際のゴール+アシストがポイントとなる。
今シーズン、負けた試合数より勝った試合数の方が多い相手(勝ち越している上位チーム)を基準にすると、パナリンは23試合で10のイーブン・ストレングス・ポイント(3ゴール、7アシスト)を獲得していることになります。
パナリンの昨シーズン開幕からのポイント数は、依然としてNHL11位(141;117試合33ゴール、108アシスト)、イーブン・ストレングス・ポイント数では16位タイ(86)です。今シーズン、彼がさらに力を発揮する必要があることに同意しますが、現在ダックスに在籍しているストロームと相性が良かったことを忘れてはなりません。
今シーズン前半を通して、彼はヴィンセント・トロチェック(センター、29歳。今シーズン、カロライナ・ハリケーンズから新加入)と同様の相性の良さを見つけようとしています。パナリンとトロチェックにとって簡単なことではありませんが、一緒にプレイする時間が長ければ長いほど、彼らはそれを理解するでしょう。
そして、率直に言って、彼が、ポイント・パー・ゲーム(Point Per Game=1試合の平均ポイント)の点で優れているのなら、本当に文句を言ったり心配したりする理由があるでしょうか?私は「ノー」と答えます。
オールスター出場選手を一人選べるとしたら、誰か?
問:個人的に1人の選手をオールスターゲームに出場させることができるとしたら、それは誰で、なぜですか。
答:ダックスのゼクラス。NHLは、可能な限り彼をアピールする必要があります。彼はスーパースターであり、彼の出るゲームはあらゆる年齢のファンに語りかけます。
かなり買ってるんだにゃ。今度、じっくり試合を見てみよう。
まとめ
シーズン開幕前、開幕直後と比べて、現在、パナリンへの注目度がやや低くなってるような気がします。チームの調子も良く、ディビジョンの首位をうかがえる位置に付けているにもかかわらず、です。
デビルズが序盤走ってましたし、ここにきてハリケーンズが奪首するという二強のつばぜり合いの展開が、一手に注目を引きつけたからでしょう。
3位・レンジャーズがディヴィジョンNo.1の得点力を持つ2位デビルズを抜くには、攻撃力を高めねばなりません。上位2チームに追いつき追い越せをするには、パナリンに今以上の活躍を期待されるのは当然です。ややハードルの高いミッションですが、シーズン後半戦の見どころの一つであることに間違いはありません。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!