タンパベイで内乱?若きブルーインズ戦士やランデスコグの最新情報!

NHLチーム紹介

はじめに 

 前回は、シーズン序盤でいろいろ出てきたデータを分析した内容となっていましたが、今回は、噂話・裏話に重点を置いたものになっています。個人的にも興味深いものばかりでしたが、オリジナル記事から厳選した3本をアップさせていただきました。 

 というか、ボストン・ブルーインズの新星、マシュー・ポイトラスを取り上げたかったのが、正直なところです。バージェロンとクレイチという2大巨頭が引退し、新たなスターを欲していたチーム事情を、あっという間に改善した19歳の若武者は躍動感に満ちています。 

 ベテラン総とっかえし過ぎて、チーム内がガタつくタンパベイ・ライトニング、大手術をしたガブリエル・ランデスコグの復帰を、痛々しいほど待ち続けるコロラド・アバランチ、それぞれのチーム事情がこんなにも違っていることに驚かされています。  

讃岐猫
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引用元:espn.com「Latest on Patrick Kane, Gabriel Landeskog and a young Bruin

ボストンに超新星現わる!

 NHLのシーズンが始まって2週間。6都市で6試合を取材した後、リンク周辺の会話から聞こえてきた最新の話題を紹介しましょう。 

ボストンでのポイトラス 

 今シーズンの最高の物語のひとつは、19歳のブルーインズのセンター、マシュー・ポイトラス1の台頭です。  

 ボストンはここ数年、センターのポジションについて、選手のドラフトと育成に苦戦しており、パトリス・バージェロンとデイビッド・クレイチの2人の引退で、より手薄になっています。ここでポイトラスが2022年のドラフト2巡目で指名されました。 

 ポイトラスの代理人であるジョン・ウォルターズは、真夏にこのティーンエイジャーと会いました。2人が車道で別れを告げると、ウォルターズは言いました:「ブルーインズはバージェロンとクレイチを失った。 

 君ならすぐチームに加わることもできるし、自分がどれだけ優れているか信じさえすればいい。ジュニアに戻される、なんて考えながら行っちゃいけないよ」。 

 ポイトラスの反応は?「ああ、そのつもりだよ」。 

 ポイトラスは静かな自信を持っています。 

 彼は、注目の的になるのは好きではないと私に言いましたが、ブラッド・マーシャン(左ウィング、35歳)がとてもフレンドリーで、一緒にいるのが面白いと特別に評価しており、チームが彼を受け入れていると感じさせました。それがブルーインズの文化なのです。 

宿題と課題に取り組んでる19歳 

 先週の試合前日、ウォルターズは、現在ボストンに住んでいるポイトラスのホテルに電話をかけ、何をしているのかと尋ねました。(彼がやっていたのは)宿題です。 

 ポイトラスは、ジュニアチーム(プロビデンス・ブルーインズのこと)で必要としている大学のコース(ボストン大学やブラウン大学と提携)に登録しています。ミクロ経済学を学んでいるのです。「嫌いだな」とポイトラスは私の前でそれを認めました。 

 彼はむしろプロのホッケー選手になりたがっています。 

 11月2日(木曜日)のトロント戦は、ポイトラスにとってNHL10回目の試合となりますが、この試合の内容こそ、ボストンがポイトラスをジュニアに送り返すか、あるいは今シーズン中、トップチームに残留するかを決めなければならないポイントとなります。 

 ブルーインズがこのような選択する立場に立たされたのは、バージェロンがルーキーだった頃から20年ぶりとなります。だから、チームはポイトラスに一日一日を大切にしようと言いました。 

 ポイトラスが落ち込むかもしれないとブルーインズが思うたびに、彼はレベルアップする方法を見つけるのです。 

 シーズン3戦目のサンノゼ戦、ポイトラスにとって、プロとしては最悪の試合でした。2試合後のダックス戦で2ゴールを決め、次のブラックホークス戦でもゴールを決めました。 

大暴れしたダックス戦の映像をどうぞ。

 ボストンはトロント戦までの3試合をホームで戦い、ポイトラスの将来を決定します。しかし、彼が深刻なレベルの落ち込み方でもしない限り、彼はチームにとどまっているかのように思えます–そして、その経済学を専攻するクラスから抜け出すことができるでしょう。 

讃岐猫
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コロラドのキャプテンはリハビリ中 

ランデスコグ復帰の可能性に関する最新情報 

 コロラド・アバランチは、開幕から6連勝、得失点差プラス15と、誰よりもスタンレー・カップを狙うにふさわしいチームです。しかし、シーズンを通して立ちはだかるのは、キャプテンのガブリエル・ランデスコグ(左ウィング、30歳)の不在です。 

 チームは「慎重ながらも楽観的」ですが、彼がプレーオフに復帰できるかどうかはまだ分かりません。先週、GMのクリス・マクファーランドは、私に「本当に未知の領域だ」と語りました。 

 30歳のフォワードは、2022年にアヴス(アバランチの愛称)がカップを獲得した日以来プレーしていません2昨シーズン、右膝のリハビリで開幕を欠場しましたが、復帰できるほどには回復しませんでした。 

 そこで5月、ランデスコグは彼のキャリアを救うために、膝軟骨移植という劇的な試みを選んだのです。 

難しい手術に挑む! 

 その手術から復帰したNHL選手はいません。偶然にも、シカゴ・ブルズのガード、ロンゾ・ボールは膝軟骨移植から復帰3した最初のNBA選手になろうとしています。 

 ボールはリハビリ中のランデスコグより約2ヶ月早く、選手とフロントは契約交渉を続けています。(ブルズのバスケットボール運用担当副社長のアルトゥラス・カルニソバスは、以前ナゲッツで働き、マクファーランドと関係があります)。 

 ランデスコグは、トロントでシーズンの大半をリハビリに費やしています。彼は時々デンバーに来るでしょうが、試合の準備をしなければならないチームメイトから、自分の治療ために、時間を奪うことは望んでいません。 

 妻がトロント出身のランデスコグは、オフシーズンに、トロントの自宅で治療に専念するためのより良い手助けがあるのです。 

讃岐猫
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リハビリは順調だが、再発の可能性もあり

 ランデスコグがストップ&スタートのような激しいスケーティングができるようになるまで、復帰の可能性は高まらない、とマクファーランドは語りました。それはまだ数ヶ月先の話です。

 マクファーランドによれば、ランデスコグはおそらく数か月後には快方に向かっているでしょうが、1度でも治療に後退があれば、手術をやり直さなければならなくなり、振り出しに戻るということです。

 そのため、アバランチはランデスコグの初期治療の報告について楽観的ですが(リハビリは非常に順調で、これまでのところ問題はありません)、チームはランデスコグのキャリアが危ういことを承知で、慎重なアプローチをとっています。

 ランデスコグとの契約は2029年までとなっており、「長期的にゲイブにとってベストなことをするつもりだ」とマクファーランドは述べました。

システム変更が災いの元?

タンパでトラブル?

 タンパベイ・ライトニングは、このオフシーズンに守備力の改善に重点を置きました。GMのジュリアン・ブリズボワは、スタンレーカップで優勝したとき、チームはトップ6かトップ8のディフェンシブチームだったと私に言いました。

 昨シーズンは道に迷い、得点チャンスを与えすぎたと感じたようです。そこで、ジョン・クーパー監督率いるタンパベイのコーチングスタッフは、システムを調整しました。

 また、ブリズボワがオフシーズンに行ったメンバー変更(カルビン・デ・ハーン〈ディフェンス、32歳。カロライナ・ハリケーンズより新加入〉、タイラー・モット〈センター、28歳。オタワ・セネターズより新加入〉、ルーク・グレンデニング〈センター、34歳。ダラス・スターズより新加入〉、コナー・シアリー〈左ウィング、31歳。ワシントン・キャピタルズより新加入〉、オースティン・ワトソン〈左ウィング、31歳。オタワ・セネターズより新加入〉を獲得)もそれを念頭に置いたものです。

 その一方で、スタンレーカップのために、チームは若手有望株やドラフト指名権をトレードしたことでピンチを感じています。2019年以降、ドラフト1巡目指名権を獲得したのはわずか1度だけで、2024年と2025年も1巡目指名権がありません。

讃岐猫
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選手層の薄さ以上に痛いのが、キャプテンの契約延長問題 

 クーパーの今年の(チームへの)メッセージはシンプルだった、ということです。プレーオフ1回戦で敗退し、5年ぶりの長いオフシーズンを過ごしたら、選手達は怒って腹を立てながら戻ってくるはずだからです。 

 タンパにはプライドを持ってプレーするグループがあり、12月までスターゴーリーであるアンドレイ・バシレフスキー(29歳)を失っていても耐えられるかもしれません。 

 しかし、チームは以前ほどバランスが取れていません。サラリーキャップが現状維持だったため、チームはこの夏、アレックス・キローン(左ウィング、34歳。アナハイム・ダックスへ移籍)、パット・マルーン(左ウィング、35歳。ミネソタ・ワイルドへ移籍)、コーリー・ペリー(右ウィング、38歳。シカゴ・ブラックホークスへ移籍)、ロス・コルトン(センター、27歳。コロラド・アバランチへ移籍)、イアン・コール(ディフェンス、34歳。バンクーバー・カナックスへ移籍)、ピエール=エドアール・ベルマーレ(左ウィング、38歳。シアトル・クラーケンへ移籍)といった何人かの強固な選手達に別れを告げざるを得ませんでした。 

 そして序盤の選手の負傷により、選手層の薄さが露呈してしまったのです。 

 UFA(条件付きフリーエージェント)の保留選手であるキャプテンのスティーブン・スタムコス(センター、33歳)が、この夏に契約オファーを受け取らなかったという事実は大きな話題となっています…しかし、当分の間、彼の将来についての答えは得られないかもしれません。 

 ブリズボワは、スタムコスと彼の代理人に対し、交渉はシーズン終了後まで待ち、その年の成り行きを見守ると伝えました。 

功労者を残すか、それとも切ってしまうのか 

 スタムコスは2016年にも交渉が難航し、最終的にフリーエージェント(FA)となる2日前に大型8年契約を結んでいます。スタムコスの友人2人と話をしたが、2人とも同じことを言っていました、「今回は(2016年と)違う気がする」。 

 また、スタムコスの元チームメイトの何人かとアウェイで話をしましたが、最終的には解決するだろうと考えており、誰もが少しの時間とスペースがあればいいと考えているようです。 

 スタムコスは明らかにライトニングに残りたいと考えています。しかし、彼は他の選手たちが大事にされるのを見てきており、自分にこれだけの価値があると満足できるだけの報酬を受け取りたいと考えています—ただ余ったお金を受け取るだけではありません。 

 ブリズボワは、スタムコスにタンパベイで引退してほしいが、その一方でカップ戦にも出場したいと語っていました。チームの現状を考えると、そこに隔たりを見ることができるのです。 

まとめ 

 生え抜きのスター選手には引退までいて欲しい反面(引退ビジネスで一儲けもあるし)、毎シーズン、プレーオフ進出のためには、チーム最大の功労者も切らなければならないのが、サラリーキャップの残酷面なのです。ブリズボワの頭痛の種が大きくなっているのが分かります。 

 そのジレンマがフロントと選手の間にすきま風を生み、気づいた時には、会話不足故に取り返しのつかない状態になるのは、プロスポーツによくあること。これまでタンパベイは「優良企業」だっただけに、今回の内乱は意外な展開でした。 

 移籍で獲得した選手に怪我人も多く、若手も伸び悩み気味のタンパベイ。このままズルズル落ちていくのか、開き直って、目先の試合をとにかく取りに行くのか。GMと監督がまずじっくり話すことから始めた方が良さそうです。  

讃岐猫
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ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

【註釈】

  1. カナダ、オンタリオ州エイジャックス出身。2022年ドラフトで、ボストンから2巡目・全体54位指名を受ける。それまではOHL(オンタリオ・ホッケー・リーグ)のグエルフ・ストームに2年間在籍し、総ポイント145を叩き出す。
    ↩︎
  2. 2021-22シーズン、当初は好調だったものの、3月初旬、慢性的な痛みに対処するため、ランデスコグが膝の手術を受けることを発表。5月初めまでに回復し、2022年のスタンレーカップ・プレーオフに復帰。カップを掲げることに貢献した。
    ↩︎
  3. 2022年1月20日、ボールが半月板断裂で3試合を欠場後、ブルズはボールが左膝の手術を受け、6〜8週間欠場することを発表。4月6日、リハビリ中に活動量を増やした際に痛みを感じたため、残りシーズンの出場も見送られた。
     
     欠場前、ボールは平均5リバウンド、5アシストを記録し、3Sシュート成功率が40%を超えた唯一のNBA選手だった。
     
     2023年2月21日、再発する不快感のため、ボールは2022-23シーズンの残りを欠場するとチームは発表。その約1ヶ月後、3月16日に左膝の軟骨移植を受けたのである。
     
     2023年6月、ブルズの副社長アルトゥラス・カルニソバスは、彼が2023-24シーズンにプレーできるとは考えていないと述べている。 ↩︎
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