浮き沈み激しいNHLセントルイス・ブルース、忍耐が最善の道⁉︎

NHLチーム紹介

はじめに 

 このブログを始めた頃、NHL32チームを満遍なく紹介しようと意気込んではいたのですが、いざ始めてみると、毎日ブログ更新できる訳ではないため、なかなか「手の行き届かないチーム」が出てきてしまいます。 

 それに、贔屓チーム(フライヤーズ、クラーケン、コヨーテズ)の動向がどうしても気になりますし。さらにさらにNHLだけでなく、KHLやAHLにも手を伸ばし始めておりまして…。これについては、また後日、何らかの形で記事にしたいと思ってます。 

 自分で自分の首を絞めてるようではありますが…。 

 さて、今回、このブログでほとんど話題にしなかったセントルイス・ブルースに注目します。今シーズン、非常にアップダウンの激しいチームで、キャプテンでもあるライアン・オライリーという中心選手がいながら、今一つまとまり切っていないように見えるのです。 

 記事に登場するのは、チームのGMであるダグ・アームストロング。GM歴が長く、それもあってか、彼独特のGM哲学がある人物です。「え?そんな感じでチーム作りしていいの?」と思わせるような発言も飛び出し、とても興味深い視点でNHLを捉えている人物とも言えます。 

讃岐猫
讃岐猫

NHL公式サイトでいろんなGMが出てくるけど、

目先に事に捉われないアームストロングは

本当にユニークだにゃ。

引用元:ESPN.com「Why patience may be the best course for the up-and-down Blues」。   

今シーズンのブルース、山あり谷あり 

 ダグ・アームストロングはセントルイス・ブルースを運営して12年目となり、NHLで2番目に長く在籍したゼネラル・マネージャーとなりました。彼は今シーズンのチームをどう評価すべきか迷っているが、一つ分かっていることがあります。 

 アームストロングは週末のESPNのインタビューで「プレーや結果において、これほど多様性のあるグループに入ったことはないね」と語りました。「私たちの前にある山は高く、谷は低い。そして、私たちはすぐに両方にたどり着きます」。 

 ブルースは今シーズン劇的なスタートを切りました。フランチャイズ記録となる8連敗(10月24日〜11月8日)に続いて7連勝(11月10日〜11月21日)したのです。この間、ブルースは、1点差からすぐに2点差、3点差となるような悪い癖を、いくつかファンに見せつけてしまいました。 

 また、この前の土曜日(11月26日)のように、4-1で第3ピリオドを迎えたセントルイスが、延長戦でフロリダを驚かせ、信じられないような逆転劇を演出したりもしています。 

ブルースに劇的な変化なし! 

 アームストロングは 「過去の我々のアイデンティティが何であったかは知っているし、このチームにアイデンティティがあるとはまだ思わない」 と語りました。 

 「それが、我々のチームのコーチが今抱えている苦労の1つです。シーズンが始まって4分の1を過ぎても、〈これぞ良いゲームだ〉と言えるようなものがまだ見つかっていないのです」。 

 平均年齢は28歳を超えており、ブルーズはNHLで8番目に高齢のメンバーを抱えています。そして、彼らは近いうちに大きな決断に直面するでしょう。 

 最も高給取りな2人の選手(キャプテンのライアン・オライリー〈センター、31歳〉とウインガーのウラジミール・タラセンコ〈右ウィング、30歳〉、合わせて750万ドル〈日本円で約10億円〉のサラリー・キャップ)は、どちらもこの夏に無制限のフリーエージェントとなりそうです。 

 しかし、競争の激しいセントラルディビジョンで、チームが勝率.500前後で推移しているにもかかわらず、今のところアームストロングは忍耐力を発揮しています。在職期間が長いと視野が広がるのか、アームストロングは嵐を乗り切る術を知っています。 

 幅広い会話の中で、ブルースのGMは、今シーズン、劇的な動きが起こりそうにない理由を説明しました-つまり、チームの計画の中に「再建」は当分含まれていないからだ、と。 

讃岐猫
讃岐猫

「再建」が含まれてないって、どういうことにゃ!?

クオーターマークで、パニックになるには早すぎる 

 2019年、スタンレーカップ・シーズンの頃のブルースに巻き戻します。1月、ブルースはリーグで最悪の成績を残し、すでにコーチの交代が行われており、マイク・ヨー(現・カナックスのアシスタント・コーチ、49歳)の後任としてクレイグ・ベルベ(現・ブルースのヘッドコーチ、56歳)が就任しました。 

 前年の夏、チームはオライリー、タイラー・ボザック(現・フリーエージェント、36歳)、パット・マルーン(現・タンパベイ・ライトニング、左ウィング、34歳)、デビッド・ペロン(現・デトロイト・レッドウィングス、左ウィング、34歳)といった複数の大型フリーエージェントを獲得しました。 

 アームストロングは「多くの評論家は我々がしっかりしたチーム、カップを争うチームだと思っていましたが、我々はそのようにプレーしていませんでした」と語りました。「我々は、風呂の水と一緒に赤ちゃんを放り出さないように注意したかったんだ。 

 いい選手にも悪い年はあるよ。キャリアの初期にボブ・ゲイニー(現・ブルースのチーム・コンサルタント、68歳)から学びました。選手が12年、16年のキャリアを積むとしても、すべてが記憶に残るわけじゃないだろ。悔しさからミスをしたくないんだ」。 

 クリスマス直前のウェスタン・カンファレンスのアウェイ戦で、変化が始まりました。「試合には勝てなかったけど、本当に良いプレーができるようになったんだ」とアームストロングは回想しています。 

 「(外から見ると)角を曲がったようには見えなかったけど、(チームの)中では角を曲がっているように感じていたね。1月にはジョーダン・ビニントン(ゴールテンダー、29歳)が現れ、その後、ストーリーブックのシーズンが始まったんだ」。 

ほとんどのノイズはただのノイズにすぎない 

 ブルースのどの選手も、キャプテンのオライリーを含め、トレードの噂に名前が挙がるのを見ているようです。アームストロングは笑い、ホワイトノイズと共に生きることを学んだと言っています。 

 「GMをやってみたいから、〈俺ならうまくやれるのに…〉と思いながら、でっち上げを言ってるだけさ」とアームストロングは語りました。 

 「どれだけのトレードが成立するかは分からない。毎日であろうと、土曜日の夜であろうと、テレビやラジオで放送されていても、人々にはやらなければならない仕事があることは知っているだろう。 

 それが私たちの生きる社会の現状であり、私たちは監督、選手、オーナーとしてそれを理解しなければなりません」と述べました。 

 オライリーについて具体的に尋ねられたとき、アームストロングは「結局のところ、彼は良い選手で、我々にとっても長い間良い選手でした。これから1、2カ月、少しずつでもチームを良くしていこうと言えば、彼はその大きな部分を担ってくれるはずです」と述べました。 

 トレード市場は、実はそれほど確実なものではありません。 

 「最後にシェイクアップ・トレードがあったのは、いつだったかさえ覚えてないよ」とアームストロングは言いました。「シーズン中にはやらないよ。そしてオフシーズンには…… 

 私にとって、それらは契約内容に基づく強制的なトレードか、チームの方向転換のためのトレードです。『人々の注目を集めたいからやる』というトレードじゃないよ」。 

 4年前にブルースがカップを獲得して以来、リーグのゼネラルマネージャーの約3分の2が新人となっています。(新人GMは)慣れていないと、フランチャイズ(チーム)を変えてしまうようなトレードに踏み切る可能性が低くなる、とアームストロングは言います。 

 また、(新人GM就任は)リスク回避の側面もあるようです。 

 アームストロングは「私も含めて、『サラリーキャップがあるからトレードは難しい』とマネージャーが言うのは簡単だと思う」と語りました。「実際のところ、こうしたトレードを昔のように行う意欲が(今のGMに)あるとは思えないよ。 

 トレードの期限とドラフトのせいで、トレードを行うということが季節的行事になってしまってるね。常にチームと話し合っているようですが、話すばかりで行動が伴わないような気がします」。 

讃岐猫
讃岐猫

言いたい奴には言わせておけ、

我が道を行く!タイプのGMなんだにゃ。

ブルースは改造や再建に意欲がない? 

 「リツール、リビルド、リワークなど、その意味は人それぞれですが、実際には、一歩踏み出すということなのです」とアームストロングは言いました。「私にとって、一歩下がって2つ前に進むことは、それがどのように見えるかについてのビジョンを持っています。 

 しかし、8歩下がって、5、6年の大部分でトップ5に入ろうとすると、7月には素晴らしいように聞こえますが、1月にはあまり面白くありません。 

 そして、毎年そのようなことをするならば、収益を維持し、ファンがそのチームを見に行きたいと思わせられるようになるには、特別な市場での活動が必要です。実際に、それを行ったチームの状況を見てください、ファンの動員は大幅に減少してしまいました。 

 そういうチームが元の路線に戻ったとき、チームはおそらく再び素晴らしいファンの皆さんを得るでしょうが、それは結局のところビジネスに過ぎず、私たちはまだチケットを販売できる製品を、氷の上に置き続けなければならないのです」 。 

  アームストロングは自分の作ったチームを誇りに思っており、自分の立てたビジョンがどうなるのかを見届けたいと思っています。 

 そして、彼がブルースの再建を試みなくてもいいと考える具体的な理由は、2巡目(2016年)でジョーダン・キロウ(センター、24歳)、1巡目(2017年)の20位でロバート・トーマス(センター、23歳)をドラフト指名したからです。 

 「2人ともゲームごとにポイントプレーヤーとなっています。彼らをもう一度ドラフトにかければ、おそらく両方ともトップ10に入るだろう」 とアームストロングは述べました。 

 「だから、私の考えでは、アマチュア担当のスカウト・スタッフが競争力のある選手をうまく獲得したので、再建をすることなく終わったということです。 

 優れたポイントプレーヤーではなく、攻撃的エリアをポジションとしている普通の選手を探していたら、どんどんリーグ戦に進出し、活躍しようとしている選手が出てきたわけですからね」。 

まとめ 

 FAを含めたトレードについて、アームストロングの姿勢は一貫して懐疑的であるようです。全然やらない訳ではなく、徹底的にチームのためになるトレードかどうかを吟味して、ちょっとでも疑問があれば手を出さない、慎重な姿勢を取り続けるGMではないでしょうか。 

 「アイスホッケーといえど、それはビジネス」と割り切っている発言が、そこかしこに出てきます。日本人の感覚だと、「冷たい人だな」とやや距離を置いてしまうかもしれませんが、厳格なサラリー・キャップ制がある限り、ビジネスライクな姿勢を放棄するのは、やはり危険です。 

 原石の魅力を持つ新人選手の発掘、アームストロングの興味はそこにあります。ドラフト前からキラ星の如くのスター選手ではなく、徹底的なスカウティングで、埋もれていても磨けば光る選手を指名する、それがブルースの姿勢です。 

 一見地味で目立たないドラフトの中身になりますが、手塩にかけて「おらが街のスター」を育て、彼らの総合的力で勝っていく…、これはこれで方法論の一つとしてアリでしょう。日本のプロ野球でも似たようなチームがありますね。 

讃岐猫
讃岐猫

草の根をかき分けて、隠れた逸材を探すスカウトに脱帽だにゃ。

後編に続くよ!ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

タイトルとURLをコピーしました