はじめに
5月8日(日本時間では9日)、遂に今年のドラフト上位指名順(16チーム分)が決定しました。
本番の6月28日・29日まで若干の間があるものの、「恐るべき17歳」コナー・ベダードを指名できるチームが「ほぼ」決まったことにより、他チームのフロント、そしてファンもドラフトへの意気込みも、グンとアップしたのではないでしょうか。
決定前、「アナハイムは若手に有望選手を多く抱えてるし、ベダードが入れば、数年後に面白いチームになるんじゃないかな」と思っていましたが、全く違うチームが1位指名権を獲得したため、今度はアナハイムの指名選手予想をしてみようか、といった興味も出てきています。
下位に行けば行くほど、1位指名権が取りやすくなるシステムとはいえ、
ダックスのフロントは大船に乗った気持ちでいたはずにゃ。
まさにトンビ(鷹?)が油揚げをさらっていったような感じ。
引用元:NHL.com「Blackhawks win No. 1 pick in 2023 NHL Draft in lottery」。
運命のくじ引きの結果…
5月8日(月曜日)、シカゴ・ブラックホークスは2023年のNHLドラフト指名順抽選会で勝利し(1巡目・1位指名権を獲得し)、そして、多くの人が「NHLの次の世代を担う才能」と信じている、ウェスタン・ホッケー・リーグ(WHL)のレジーナのセンター、コナー・ベダードをチームに加える機会を得ました。
アナハイム・ダックスが全体2位指名権、コロンバス・ブルージャケッツが全体3位指名権を選択しました。
11.5%の確率で、3番目に指名順1位(1巡目)を引き当てる可能性の高かったブラックホークスは、2007年のNHLドラフトで、フォワードのパトリック・ケイン(右ウィング、34歳)を指名して以来となる2度目の1位指名(権獲得)となります。
※11.5%の確率で、3番目に…=北米四大スポーツのドラフト予想サイト、Tankathonによると、ドラフト全体1位指名権(1巡目1位指名権)を引き当てる確率の最も高いチームは、アナハイム・ダックスで、25.5%とされていた。2位はコロンバス・ブルージャケッツの13.5%。
ブラックホークスの数字と合わせて考えても、ダックスの指名権獲得はほぼ間違いないと思われていたが、まさに大逆転での「指名権移動」である。
2023年のドラフトは、ナッシュビルのブリヂストン・アリーナで開催予定です。第1ラウンド(1巡目指名権)は6月28日、第2ラウンドから第7ラウンド(2~7巡目指名権)は6月29日に行われます。
ウェスタン・ホッケーリーグのレジーナでプレーする、17歳の右打のセンターは、2015年、コナー・マクデイビッド(センター、26歳)がエドモントン・オイラーズから1位で指名されて以来、最も圧倒的で偉大なる将来有望株の選手です。
ブラックホークスGM、喜びの弁
ブラックホークスのゼネラルマネージャー、カイル・デビッドソンは「カードがひっくり返って、ロゴが出てきたとき、私はただ『すごい』と思ったよ。 全体1位指名が持つ影響力を理解しているし、チームにとって適切な年に、全体1位指名権を行使できるんだと感じている」と述べました。
「願わくば、指名権が我々の手元にあることで、フランチャイズを変えることができればいいですし、都市を変え、チームの歴史の一時代すらも変えられればいいとも考えています」。
※カイル・デビッドソン=カナダ、オンタリオ州オタワ出身、34歳。2010年からブラックホークスのフロント入りし、数々の要職を歴任。2019年にアシスタントGM、そして2年後にGMへと昇格。
ドラフト指名権1巡目を獲得するため、そして彼好みのロースター構築のためには、チーム期待の若手であっても、トレードのコマに使うのが好き。2023年の上位指名を獲得するため、意図的にチームは負けたなどと言われるのも、手段を選ばない姿勢から言われたもの。
※なお、デビッドソンへのインタビューについて、本記事の最初のものには、「指名権が5位以内であれば、どれでも対処できる」という主旨の発言も掲載されていたが、現行のものからは削除されている。以下に、その内容を示す(もしかしたら、他の記事に移動してるかもしれない)。
デビッドソンは「どこを選んでも、素晴らしい選手を獲得できると思います」と語りました。「『チームの礎』となりうる選手を、手に入れることができるのではないでしょうか。
このドラフトについては、(全体指名順)1、2、3、4、5位のどれを選んでも、自分たちにとって、大きなピースになる選手を選ぶつもりだった、と今も強く感じています。
指名順発表の後半にさしかかり、ゆっくりと指名順を読み上げ始めたとき、トップ5以内のどこかで我々の順位が明らかになったとしても、我々はそれを利用できるわけであり、とても嬉しい気持ちになっていきました」。
「だから、1位指名権だけが正当だとは思わないんですよ。1位を獲得したのは確かにうれしいボーナスであり、サプライズです。しかし、何があっても、我々は何らかの形でチームに大きなピースを追加するつもりだったと思います」。
やり手のデビッドソンのこと、まず十中八九、
コナー・ベダードを指名すると思うにゃ。
もう彼の頭の中には、ベダード中心のチーム作りが始まっているかもしれない。
今回は16チームの指名順決定のみ
ニュージャージー州セコーカスにあるNHLネットワークのオフィスで行われた抽選には、2023年のスタンレーカップ・プレーオフに出場できなかった16チームが含まれていました。
※NHLネットワーク=NHLとNBCユニバーサルの合弁事業であり、米国のスポーツ専門のケーブルおよび衛星テレビネットワーク。2007年設立。NHL以外のプロおよび大学ホッケー・リーグの試合中継のほか、分析プログラム、特集番組、ドキュメンタリーなどのNHL関連コンテンツを放送。
これら既存の16チームの(1位指名権獲得)オッズは、レギュラーシーズンの順位の逆順に基づいています。
抽選で決定されたのは上位2つの指名権のみです。
アナハイムGMも黙っていない
シカゴは、1位指名権獲得の確率の最も高いアナハイム(18.5%)とコロンバス(13.5%)を上回りました。
ダックスは、ブラックホークスとブルージャケッツに1ポイント差で、今シーズンのNHLランキングで最下位(23-47-12)に終わっています。
「もし、シーズンが終わりに近づく3、4日前に、私たちが2位指名権を手に入れると言われたら、私は非常に興奮しただろう」とアナハイムGMパット・ファービークは言いました。
「明らかにコナー・ベダードが1位指名されるようだが、今の我々は欲しい選手を決定していて、選ぼうと思っているよ。それに対し、もし我々が(3位に)スライドしていたら、確実に他の誰かが指名するだろうから、我々は、その時のための指名選手を考えなければならなかったね」。
残りのチームは、順位表の終了順でスロットインされました。全体17位~32位の指名権は、スタンレーカップ・プレーオフの結果によって決定されます。
アナハイムのGMは「2位までなら何とかなる」と考えていて、
ベダード指名を諦めていない様子だにゃ。
確かにブラックホークスが方針を転換して、
別の選手を指名する可能性もないわけではない。
※全体17位~32位の指名権は…=プレーオフ進出チームの中には、トレードで指名権を手放しているチームも多く、それは1巡目指名に参加しないことを意味する。
逆に、セントルイス・ブルースのように、10位、29位、30位と3つも1巡目指名権を持つチームもある。今後の補強レース次第で、ブルースは29位、30位あたりを使って、他チームの選手や来年以降のドラフト指名権をトレードで獲得する可能性もある。
まだドラフト本番まで1ヶ月半もあり、予断を許さない。
※なお、本記事の最初のものには、「チームはレギュラーシーズンの順位に基づいて、どこまで順位を上げられるか、あるいは下げられるかを制限されていました」の一文があったが、現行のものからは削除されている。
削除文の意味するところを述べておく。例えば、レギュラー・シーズン最下位から数えて11番目のバンクーバー・カナックスまでは、「10位繰り上げルール」によって、かろうじて1位指名権獲得の可能性はある。
しかし、12番目のオタワ・セネタース以降の5チームは、このルールによって、2位指名権以降しか獲得できない。逆に最下位のダックスは、3位以下にはならないという制限が設けられており、有力選手を獲りやすいように抽選で優遇されている。
サンノゼ・シャークスが4位、モントリオール・カナディアンズが5位を、それぞれ選択しました。
NHLで30位に終わったシカゴ(26-49-7)は、1位指名権を使ってベダードを指名することができます。
上位3位以内で指名されそうな選手
コナー・ベダード
過去2年間、このドラフトの1位指名として狙われてきた17歳のフォワード(5フィート10=178センチ、185ポンド=84キロ)は、NHLセントラル・スカウトの発表した、BioSteel提供・北米スケーター最終ランキングで1位を獲得しています。
※BioSteel提供・北米スケーター最終ランキング=詳細はこちら→☆。
「1位指名権には大きな重みがあり、大きな意義があるのです」とデビッドソンは1位指名権について尋ねられたときに言いました。「No.1カードがひっくり返って、それが私たちのロゴだったとき、その重みがズシリと来ました。
というのも、カードをひっくり返す前の段階で考えこんで、『こうなるかもしれない』と思ってしまいがちなので、そこまで自分を追い込まないようにしていましたからね。だって、1位指名権獲得が実現しない可能性もありましたから」。
「2人目のベダード」
もしブラックホークスがベダードを指名すれば、彼はNHLフランチャイズでプレーする「2人目のベダード」となります。
コナーの大叔父であるディフェンスマンのジェームズ・ベダードは、1949年から51年まで、シカゴで22試合に出場して2ポイント(1ゴール、1アシスト)を挙げました。
※ジェームズ・ベダード=1927年生まれの大叔父は183センチ・82キロと記録に残っており、ベダードより身長は上回っていたが、やや細身か。51年にNHLを退いた後もホッケーを続け、彼もWHL中心に活躍。一時期、ヴァンクーバー・カナックスに在籍していた。
ベダードとはどんな選手なのか
右打ちのコナーは、レジーナでの57試合で143ポイント(71ゴール、72アシスト)を記録し、WHLをリードしました。
また、WHLプレーオフの第一ラウンドで、サスカトゥーンと7試合戦い敗れた(3勝4敗)レジーナにおいて、6つのマルチポイント・ゲームを含む20ポイント(10ゴール、10アシスト)を獲得しています。WHLプレーオフ・シリーズで10ゴール以上を記録した選手が出たのは、2012年以来です。
ESPNの取材に対し、ベダードは「より良くなりたいという僕の意志こそ非常に誇りに思っていることであり、試合に向けて練習をして上達しようとするのが大好きなんだ」と語り、「試合の中で、競争心とクリエイティブなことを好むのが僕の一番の持ち味です。
そんなプレーをするように心がけています。一般的にトレーニングへの意志というのは、より自分を良くするためのものであり、僕の好きなことなんです」としています。
ベダードは、2016年のNHLドラフトで1位指名されたトロント・メープルリーフスのセンター、オーストン・マシューズ(センター、25歳)を彷彿とさせるショットなど、試合中、すべての面で優れています。
ベダードは、1月に開催された2023年 IIHF世界ジュニア選手権でも、7試合でトーナメント・ベストの23ポイント(9ゴール、14アシスト)を記録して、カナダの金メダル獲得に貢献しました。これはカナダの選手として史上最多ポイントであり、WJC史上4番目に多い記録です。
ベダードは、まさに「恐るべき17歳」なんだにゃ。
しかも、真面目で練習好きと来ているから、各チームが欲しがるのも無理はない。
まとめ
アナハイムのGMが妙に自信たっぷりなのは、なぜなのでしょう。まさかブラックホークスがベダードを指名しない、という情報を入手しているとか。あるいはNFLのドラフトでもあったように、ドラフト指名権のトレードを行って、複数の有力選手を獲得しようとしているのか。
ベダード以外にも有望選手はたくさんいて、次回以降、特に注目すべき選手を数名ご紹介できると思います。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!