はじめに
NHLのルーキーとは、今のレギュラー・シーズンを席巻しているコナー・ベダードのような、直近のドラフト(2023年)指名選手だけでなく、それ以前のドラフトで指名され、下部リーグのチームで実績を挙げ、NHLのチームと契約して「ルーキー」となる場合もあります。
今回は、ドラフト指名時、スター候補生に最も近い1巡目・2巡目指名でなく、3巡目以降で指名された上に、ある意味「武者修行」をしてきた選手達を取り上げます。北米四大スポーツのどれを取っても、意外と大活躍するのは、そういう経験値の高い選手が多いです。
ピックアップされた5人は、派手な攻撃面だけでなく、若さと体力を活かして守備でも貢献している選手が揃っています。攻撃的になってきていると言われるNHLですが、若いうちは守備の大切さも学んでほしいですね。
このブログでもAHLに注目していて、記事にも挙げていきたいんだけど、
毎日、NHLでビックリするようなことが起きるんで、なかなかできないにゃ。
AHLには「原石」がいっぱい!青田買いしたい方はそちらも!
引用元:NHL.com「Rookie Watch: Top 5 selected in 3rd round or later」。
「ルーキー・ウォッチ」とは?
数人のルーキーがNHLに与えている影響は、2022-23シーズンの主要な物語の1つです。NHL.comでは毎週、「ルーキー・ウォッチ」のコーナーで、今シーズンのクラス(ルーキー全体を指す)に関連するトピックを取り上げます。
今週は、NHLドラフトの1巡目または2巡目で指名されなかった上位5人のルーキーを見てみましょう(アルファベット順にリスト作成):
下部組織で力をつけて、今シーズン、晴れ舞台へ!
パーベル・ドロフェエフ、F、ラスベガスゴールデンナイツ:
2019年のNHLドラフトの3巡目(全体79位)で指名されたドロフェエフ(身長6フィート1=約185センチ、体重194ポンド=約88キロ)は、13試合で6ポイント(2ゴール、4アシスト)とプラス3の評価を獲得しています。
ロシアのニジニ・タギル1生まれの23歳は、今シーズン、ラスベガスでは散発的に先発出場していますが、起用されたときには良いパフォーマンスを見せています。
彼はアメリカン・ホッケーリーグのヘンダーソン2で119試合に出場し82ポイント(45ゴール、37アシスト)を記録しました。
2022-23シーズンのゴールデンナイツでは18試合に出場し、9ポイント(7ゴール)とプラス5の評価を獲得しながら、パワープレーでも出場時間を稼いでいます。
選手層も厚く、今シーズンも好調なベガスの中で、出れば必ず爪痕を残す選手ってのは、
監督からすれば貴重な持ち駒なんだにゃ。
ベガスとしては、出場機会を求めて、他チームへ移籍されないようにしなきゃいけない。
ハーバード大からやってきた男
アレックス・ラフェリエール、F、ロサンゼルス・キングス:
ニュージャージー州チャタム3出身のラフェリエールは、ラインナップの下位6人以内(第3あるいは第4ライン)で活躍し、枠内シュート49本を放ち、26試合で3ゴール、2アシストを記録しています。
2020年NHLドラフトの3巡目指名選手(全体83位)である彼は、キングスのフォワード中、ヒット422本で3位、ブロックショット10本で5位タイ、テイクアウェイ8本で6位5となっています。
22歳の右ウイング(6フィート1インチ、205ポンド=約93キロ)は、ハーバード大学での2シーズンで69試合に出場し73ポイント(35ゴール、38アシスト)、+/-評価ではプラス26の評価を獲得し、4月9日、キングスと3年間のエントリーレベル契約6を結んでいます。
いつかはファースト・ラインへ昇格だ!
マーティン・ポスピシル、F、カルガリー・フレームズ:
2018年のNHLドラフトで4巡目指名(全体105位)された彼が、最も多くの功績を残しています。チャンスを最大限に活用し、センターのアダム・ルジツカと左ウイングのA.J.グリアとともにボトム6(第3あるいは第4ライン)の役割でファンのお気に入りとなりました。
ポスピシル(6フィート2インチ=約188センチ、173ポンド=約78キロ)は、19試合で平均12分32秒の出場時間ながら、6ポイント(3ゴール、3アシスト)を獲得し、ルーキー・フォワードの中で17位につけています。
ヒット53本は1年目フォワードの中で4位、テイクアウェイ7本で15位の24歳は、そのスピード、スキル、フィジカルで印象的な活躍をしています。
ボトム6あってのファースト&セカンド・ラインであることを分かっているチームほど、
いい若手が育つ傾向にあるにゃ。
フレームスは苦戦しているけど、若手の成長は順調なようだ。
ロシア人トリオでコロンバスを支える!
ドミトリ・ボロンコフ、F、コロンバス・ブルージャケッツ:
2019年のNHLドラフトで4巡目(全体114位)に指名されたボロンコフは、10アシストでNHLルーキーの中で7位、26試合・16ポイントで3位タイとなっています。
23歳(6フィート5インチ=約196センチ、240ポンド=約109キロ)は、対戦する両チーム同人数の時に獲得したポイント15(6ゴール)でルーキー選手中3位タイ、ヒット26本で13位につけており、同じロシア人のエゴール・チナホフとキリル・マルチェンコとともにセカンドラインのセンターを務めています。
12月1日に合流して以来、チナホフ、ボロンコフ、マルチェンコのラインは合わせて10ゴール、17ポイントを記録しています。ボロンコフは、ブルージャケッツの監督、パスカル・ヴィンセント7にとって嬉しい驚きでした。
「ボロンコフのラインは守備面で非常に信頼性が高く、スキルも高い」とヴィンセントは言いました。「彼らは氷上でお互いを見ているだけさ。かなり印象的だよね。しかし、彼らは一緒に試合を研究しているよ。彼らは一緒に試合映像を見たり、ベンチでずっと話しているんだ。
彼らは試合について学ぼうとしている生徒であり、正しいやり方でプレーしたいという情熱がある。そして、この3人のスキル・レベルのおかげで、これから長い間、チームにとって良いラインが形成される可能性を持つだろう」。
残念ながら負傷中…、今は治療に専念だ!
ジョセフ・ウォル、G、トロント・メープルリーフス:
ウォルは、現在足首のひどい捻挫でラインナップから外れているにもかかわらず、このリストに名を連ねています。
12月7日、オタワ・セネターズ戦(4-3で勝利)・第3ピリオドで負傷する前、カルダー・トロフィーの話題の中に入っていました。12月9日、負傷者リストに入ってからは、毎週、療養を続けながら調子を上げています。
「残念だろ?」トロントのコーチ、シェルドン・キーフ8はウォルの負傷時にこう語っていました。「彼はとても上手くプレーしているよ。彼はここで、シーズンと自身のキャリアにおける素晴らしい勢いを築きつつあるんだ」。
2016年のNHLドラフト3巡目(全体62位)で指名された25歳(6フィート3インチ=約191センチ、202ポンド=約92キロ)は、NHL新人ゴールキーパーの中で勝利(8勝)とセーブ率(.916)で1位、失点率(2.80;最低10試合出場した選手中)で4位となっています。
負傷前の直近4試合では2勝0敗1延長負け、平均失点率2.47、セーブ率.932を記録していました。
NHL Edge9によると、ウォルはミドルレンジやハイ・スロットエリア10からのシュートを阻止することに優れ、セーブ率.932を記録しており、これはリーグ平均(.898)を大きく上回っています。
まとめ
ミドルやロング・シュートのストップを得意とするゴールテンダーは、たくさんいるようで、実際なかなか見つけられません。たとえゴールテンダーがストップしても、こぼれパックを出す確率が高いので、確実にキャッチしておく必要があるからです。
好調なスタートを切ったトロントですが、ここに来て、やや順位を下げているのは、ウォルの不在をはじめとする守備の不安定さが原因かもしれません。彼はまだ25歳で焦る必要はなく、しっかりと捻挫を治して、前線に復帰してもらいたいものです。
ルーキーは張り切りすぎて、ケガをしやすいものです。いい意味でプレーを抑えさせるのも監督やスタッフの仕事、ケガをして消耗してしまっては何もなりません。シーズン終盤の順位争いの時、この5人が活躍していることを期待します。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- ロシア連邦中部の工業都市。ウラル山脈中部の東斜面、タギル河畔にある。人口約33万、スベルドロフスク州第2の都市。ウラル製鉄業の中心であり、鉄道車両工場もある。アジアとの境界線から25キロ程しか離れていない。
↩︎ - 正式名称はヘンダーソン・シルバーナイツ。創設は1971年、それ以降バージニア州、ニューヨーク州などを渡り歩き、2020年、ベガスの買収によりネバダ州に移転。ネバダ州の愛称「ザ・シルバー・ステート」が名称の由来。現在、パシフィック・ディビジョン10チーム中6位。
↩︎ - 2つの隣接自治体、チャタム・ボローとチャタム・タウンシップの共有サービスを指すために使われる用語。別々の自治体であるが、1つのコミュニティとして機能(よって、「チャタムズ」と呼ばれるのが正しい)。タウンシップとは、州特有の自治体政府の形態。
↩︎ - チェックイン(あるいはチェック)のこと。パックを保持している相手を妨害したり、相手をパックから完全に引き離したりすることを目的とした、数種類の防御テクニック。ほとんどの場合、ペナルティの対象にはならない。
例えば、スティックを使用して、相手のスティックの上部に圧力をかけることで、相手のスティックの動きを止めたり制御したりするプレス・チェックもこれに含まれる。つまり、ラフェリエールはウィングの選手でありながら、守備面でもチーム貢献度大と言える。
↩︎ - ブロックショットはゴール前でのシュートを打たせないように、リンク上で身体を投げ出してブロックするプレー。これも公式記録としてカウントされている。テイクアウェイは相手チームからパックを取り返すプレー。 ↩︎
- NHL所属チームと初契約を結んだ選手が対象(18歳以降)。ほとんどの選手は翌シーズン、マイナー又はジュニアへ過ごすこととなり、一応、形式的に「解雇」となる。
マイナー在籍中、他チームとの契約をさせないため、契約交渉禁止期間が設けられる。
期間は年齢とNHL出場試合数によって決定。18才の選手の場合、5年間あるいは160試合のどちらかを過ぎなければ、他チームとの契約は許されない。契約時の年齢が上がると期間が短縮される。
↩︎ - 監督就任時、このブログでも取り上げている。詳細はこちら→☆。
↩︎ - 監督としてのキーフについては、このブログでも取り上げている。詳細はこちら→☆。
↩︎ - NHL全チームと全選手のデータを集積している公式サイトで、このブログでも触れている。詳細はこちら→☆。 ↩︎
- スロットはアタッキング・ゾーン(又はディフェンス・ゾーン)にある2つのフェイスオフ・サークルの間にあるスペース。ハイ・スロットは、最もブルーラインに近いエリアのこと。
最もゴールに近いエリアがディープ・スロットで、これとハイ・スロッの中間のエリアがミドル・スロットとなる。 ↩︎