はじめに
現在32チームで盛り上がりを見せるNHLですが、さらなるリーグ拡張(チーム数の追加)に向けた検討が進められています🏒この動きに対して、ファンの間では賛否両論が巻き起こっており、意見が大きく割れている状況です✨
そこで本記事では、ディビジョン編成や戦力への影響、経済的メリットなど、反対派と賛成派双方の主な主張を分かりやすく整理しました💡記事を読み進めながら、あなた自身がどう考えるか判断材料にしてみてください。
参照記事:Deseret News「The NHL is considering another round of expansion. Is that a good thing?」
NHL拡張の歴史と現在の動き
NHLの歴史は変化の連続でした。1917〜1941年はチームの入れ替わりが激しく、顔ぶれが目まぐるしく変化しています。1942〜1966年は6チームで安定していました。そして1967年、すべてが一変するのです。1967年に12チームへ倍増すると、その後の33年間で、さらに1~2チームずつ増えていきました。
新規参入やワールド・ホッケー・アソシエーション(WHA)の崩壊を経て拡大が進み、世紀の変わり目には30チーム規模のリーグへと急成長を遂げたのです🏒
WHA破綻、NHLへの吸収合併の流れを40秒弱の映像でまとめています。いかにも混沌とした70年代!って感じがします。
【注釈:ワールド・ホッケー・アソシエーション(WHA)の崩壊】
1972年に設立された北米プロアイスホッケーリーグのWHAが、既存の最高峰リーグであるNHLとの激しい過当競争の末に経済的破綻を迎え、1979年に解散・NHLへ吸収統合された一連の歴史的経緯を指す。
1.WHAの設立と台頭:1970年代初頭まで、北米のプロアイスホッケー界はNHLによる一強独占状態にあった。これに対し、ゲイリー・デビッドソンらによって1972年に創設されたWHAは、NHLに対抗して新風を吹き込んだ。
当時NHLが保持していた強力な選手拘束権(保留条項)に対抗し、ボビー・ハル(ボストン・ブルインズから引き抜いた当時の史上最高額契約)をはじめとするトップ選手を高額な年俸で次々と引き抜いた。
さらに、ヨーロッパ出身選手の積極的な採用や、NHLが進出していなかったカナダ主要都市(エドモントン、ウィニペグ、ケベックシティなど)へのチーム配置など、独自の進歩的な戦略を展開した。
2.過当競争と激化する経営圧迫(崩壊への要因):両リーグによる熾烈なスタースカウト合戦は、選手の年俸水準を爆発的に跳ね上げさせた。この急激な人件費高騰と放映権収入・観客動員数の伸び悩みにより、双方のリーグ加盟球団は著しい経営不振に陥った。
特に資本力に乏しかったWHA側は影響が顕著であり、毎シーズンのようにフランチャイズの移転や球団の破産・解散が相次いだ。創設初期には最大15チームを擁したWHAだったが、1978-79シーズン終了時にはわずか6チームにまで落ち込み、リーグ自体の存続が不可能な状態へと追い込まれた。
3.1979年の吸収統合と結末:両リーグの共倒れを防ぐため、1970年代半ばから続けられていた統合交渉が1979年3月に妥結した。1979年6月22日をもってWHAは正式に解散(崩壊)し、7年間の歴史に幕を閉じた。
合意内容に基づき、WHA残存6チームのうち以下の4チームが1979-80シーズンよりNHLに参入した。
エドモントン・オイラーズ(Edmonton Oilers)
ウィニペグ・ジェッツ(Winnipeg Jets)
ケベック・ノルディクス(Quebec Nordiques)
ニューイングランド・ホエーラーズ(New England Whalers/NHL加入時にハートフォード・ホエーラーズに改称)
残る2チーム(シンシナティ・スティンガーズ、バーミングハム・ブルズ)は解散に伴う補償金を受け取って廃部となった。なお、NHL側はこれを対等合併とは認めず、WHAの過去の公式記録や成績を一切引き継がない姿勢を取り、形式上は新規加入金を支払った4チームを新加盟扱い(これによりNHLは17チームから21チームへ拡大)として処理した。
この一連の崩壊と再編こそが、北米アイスホッケー界における独占体制を再確立し、のちの30チームを超える大リーグ発展への基礎となった。
2017年のベガス・ゴールデンナイツ、2021年のシアトル・クラーケンの参入により、現在のNHLは32チーム体制となっています。しかし、リーグの拡大はここで止まる気配を見せていません。正式決定ではないものの、運営側はさらなるチーム数の追加、つまり、さらなる拡張に向けた検討をすでに進めているようです。✨
この拡張案に対し、ファンの意見は賛成から反対まで大きく割れています。どちらの立場にも理にかなった主張が存在しており、議論は尽きません。今回は自分自身の意見をまとめる判断材料として、双方の主なポイントを分かりやすく紹介していきます💡
100年を超えるNHLの歴史を、わずか15分弱で振り返った映像です。かなり省略してますが、大体の雰囲気は掴めます、多分。
NHLが再び拡張すべきではない理由
ディビジョン編成
中学生レベルの数学を少し考えれば、32という数字がさまざまな数で割り切れることが分かります。現在の32チーム体制は、16チームずつの2カンファレンス、さらに8チームずつの4ディビジョンにきれいに分けられます。
新たな84試合制のスケジュールでも、対戦回数が均等に収まり非常にスマートです。あるシーズンでは、各チームが同じディビジョンのライバルと4回、同じカンファレンスの残りのチームと3回、反対カンファレンスのチームと2回対戦できるからです。
33や34チームに増やすと、この美しい計算が崩れてしまいます。過去にも不均等な時期はありました、つい最近の2020年にも、クラーケンがプレーを始める直前まではそうでした。解決したばかりの編成を崩す必要はありません。規則性を取り戻したリーグの秩序を保つべきだという声は根強いです📊
優勝の希少性とプレーオフの構造
スタンレーカップは1つしかないため、チームが増えればそれだけ敗退して失望するファンの数も増加します。もし同じチームが2度優勝することがなければ、各ファンが生涯で自分のチームの優勝を見る機会は2~3回という計算になります。
しかし実際には同じチームが何度も優勝しているため、多くのファンにとって、自分たちのチームがトロフィーを掲げる姿を一度も見られない可能性が高くなります。かつての「オリジナル・シックス」時代は全チームが複数回優勝できましたが、チーム数が多い現在、一生愛するチームの優勝を見られないファンが増える計算になります。🏆
ただし、重要なのは優勝だけではありません。さらにプレーオフ進出のハードルも高くなります。2017年までは半数以上のチームが出場でき、現在はちょうど半分です。拡張後も同じ形式なら半数未満しか進出できず、ファンに「希望」を提供しにくくなります。
解決策としてNBAのようなプレーイン導入も考えられますが、NHLコミッショナーのゲイリー・ベットマンは現状反対しています。進出率低下で熱意を失うファンの出てくるリスクは、無視できません🏒しかし、さらなる拡張が行われれば、考えを変える可能性もあるかもしれませんが。
【讃岐猫😿の深掘りコラム】聖域を守るコミッショナーの意地:NHLがプレーイン導入を拒む「82試合の価値」と「氷上の残酷さ」
リーグの拡大に伴い、プレーオフ進出枠が相対的に狭まる問題は、ファンへ「希望」を提供し続けるプロスポーツ経営において極めて重大な課題である。
NBAがプレーイン・トーナメントを導入し、レギュラーシーズン終盤の消化試合を減らしつつ多くの都市にプレーオフへの望みを残す戦略で成功を収めた中、NHLのゲイリー・ベットマン・コミッショナーが同様の制度導入を一貫して拒絶している背景には、北米ホッケー界特有の構造と美学が存在する。
北米の主要メディアや評論家たちの分析によれば、ベットマンの反対理由は単なる保守的な姿勢ではなく、82試合(新シーズンより84試合)に及ぶ長丁場のレギュラーシーズンの尊厳と、ホッケーという競技の特殊性を守るための綿密な計算に基づいている。
第一に挙げられるのが、82試合という厳しいレギュラーシーズンそのものが、すでに「プレーイン」として機能しているという主張である。
ベットマン自身、スタンレーカップ・ファイナル直前の会見などで度々言及している通り、NHLでは毎シーズンのようにレギュラーシーズンの最終節までワイルドカード枠や上位シードを巡る熱戦が繰り広げられており、最後の1試合でプレーオフ進出の可否が決まる光景が常態化している。
北米メディア『OutKick』や『CTV News』などの報道によると、コミッショナーは既存の16チームによるプレーオフ形式が「全スポーツの中で最もスリリングな第1ラウンド」を生み出していると自負しており、安易なプレーイン導入は82試合を懸命に戦い抜いたチームの努力と成果を形骸化させる、「安易なギミック」に過ぎないと断じているのである。
第二の、そして最も実質的な理由は、アイスホッケーという競技が伴う過酷な身体的負担と怪我のリスクである。バスケットボールと異なり、超高速の接触プレーが連続するホッケーでは、16勝を積み重ねてスタンレーカップを掲げるまでの過程で、選手たちが骨折や重傷を抱えながら戦うことも珍しくない。
『The Hockey News』などの評論家筋が指摘するように、本戦前に一発勝負や短期のプレーイン戦を追加することは、選手を極限の疲労と故障リスクに晒すことを意味する。さらに、NHLは全プロスポーツの中で最も戦力均衡が保たれており、第8シードのチームが第1シードを撃破して決勝まで勝ち進むような波乱が日常茶飯事である。
このような高い実力拮抗下で、82試合で下位に沈んだチームが一発勝負で上位チームを叩いて本戦に出場する構図は、一貫して好成績を残したチームに対して不公平であり、リーグ全体の競技的公平性を損なうという懸念が強い。
ただし、メディアや評論家の間では、この「ベットマンの防波堤」がいつまで維持できるかについて懐疑的な見方も存在する。将来的にチーム数が34や36へと再拡張されれば、プレーオフ進出率は4割近くまで落ち込み、下位チームのファン離れやオーナー層からの収益拡大を求めるプレッシャーが一段と強まることは確実である。
現時点では、スタンレーカップの歴史的価値と競技の純粋性を第一に掲げるコミッショナーであるが、将来的なリーグ拡張という不可避な波が押し寄せた際、商業的需要と伝統のバランスをいかに取るのか、ホッケー界の議論は2025-26シーズンを終えた2026年夏のオフシーズンにおいても熱を帯び続けている。
出典リスト:
The Hockey News、「An NHL Play-In Round Would Guarantee More Meaningful Games Than The Current Playoff Format」、2025年6月7日
OutKick、「Bettman Pushes Back On NHL Playoff Complaints As Format Debate Heats Up」、2026年3月19日
CTV News、「NHL not considering new playoff format: commissioner Gary Bettman」、2022年5月4日
戦力の希薄化は問題になるのか?
1967年にチーム数が倍増した際、ロースター枠が一気に増え、能力的に厳しかった選手もレギュラーになりました。ウェイン・グレツキーやマリオ・ルミューの偉大な記録も、当時の対戦相手にAHLレベルの選手が多く含まれていた影響が指摘されます。
もしコナー・マクデイビッドやネイサン・マッキノンら現代のスターが当時プレーしていれば、同等の成績を残せたはずで、拡張はリーグ全体のレベル低下につながる懸念が存在します⚡
ただし、1〜2チームの追加なら、当時ほど激しい戦力低下は起きないという見方もあります。現在でもNHLレベルの力がありながら、契約のないフリーエージェントが多く存在しているためです。SNSでは「未契約選手だけでプレーオフを狙えるチームが作れる」と冗談が出るほどです。
彼らの多くは開幕前の契約や欧州移籍、早期引退を選びますが、アイスホッケー界の層の厚さは以前と異なります🏒
また、仮に戦力が多少希薄化したとしても、悪影響ばかりとは限りません。リーグはこれまでも試合を盛り上げてファンを引きつけるため、得点を増やせるようルール変更を行ってきた歴史があります。スーパースターたちが少し実力の劣る相手と戦うことでゴールシーンが増えれば、結果的に観客を楽しませる演出になり得ます。✨
【注釈:得点を増やせるようルール変更を行ってきた歴史】
NHLは、試合の興行価値や娯楽性を高める目的で、歴史的に「得点の増加」と「試合展開の高速化」を狙ったルール改定を繰り返し実施してきた。アイスホッケーは守備的な戦術やゴールテンダーの防具進化により得点が伸び悩む傾向があり、リーグはファンを惹きつける攻撃的な展開を生み出すための施策を講じてきた。
主な歴史的ルール変更の経緯は以下の通りである。
1. パス規制の緩和(1920年代~1940年代、および2005年)
フォワードパスの解禁(1929-30シーズン):創設初期のアイスホッケーはラグビーのように前方へのパスが禁止されていたが、アタッキングゾーン(攻撃陣地)での前方パスを解禁したことで得点数が急増した。
ツーラインパス(オフサイド)廃止(2005-06シーズン):自陣から中央の赤線(センターライン)を越えてアタッキングゾーンへ送るロングパスを反則(ツーラインパス)とする規制を廃止した。これにより、自陣からのカウンター攻撃や独走(ブレイクアウェイ)の場面が飛躍的に増加した。
2. 守備側・ゴールテンダーへの制限強化(2000年代以降)
ゴール裏の台形エリア(トラペゾイド)設置(2005-06シーズン):ゴールテンダーがゴール裏のコーナー部分でパックを処理することを禁止し、ゴール裏の台形部分のみに制限した。ゴールテンダーによるクリア(守備的処理)を妨げることで、攻撃側がゴール裏でパックを奪い返しチャンスを作る機会を増やす狙いがあった。
防具サイズの制限:技術進化に伴い巨大化していたゴールテンダーのレガース(足の防具)やチェストプロテクターの規定サイズを段階的に縮小・最適化し、ゴール枠内の隙間を広げた。
3. プレーの停滞防止とペナルティの厳格化
アイシング後のメンバーチェンジ禁止(2005-06シーズン):守備側がピンチを逃れるために自陣から相手陣へパックを打ち出す反則(アイシング)を犯した場合、守備チームは選手交代(ラインチェンジ)をできなくした。疲弊した守備陣に対して攻撃側が有利な状況でフェイスオフ(試合再開)を行える仕組みとなった。
フックやホールディング(反則)の厳格な取り締まり:2004-05シーズンのロックアウト(リーグ中断)明け以降、攻撃選手の動きをスティックで制限する悪質な守備行為へのペナルティを厳しく判定する方針に転換し、スキル重視のスピードあるプレーを後押しした。
これらの改革により、2005年以降のNHLでは1試合あたりの平均総得点数が大きく持ち直し、スピーディーでエキサイティングなゲーム展開が定着した。実力差のあるチーム同士の対戦においても、攻撃優位のルール設計によって派手なゴールシーンが生まれやすくなる効果をもたらしている。
アトランタ、テキサス南部、アリゾナはNHLチームを支えられるのか?
ベットマンは南フロリダ、アナハイム、ダラス、ローリー、ナッシュビル、ラスベガスなど温暖な地域での成功実績を築いてきましたが、アトランタやフェニックスでは撤退の憂き目にも遭いました。過去の失敗経験があるだけに、懐疑的な視点は存在します⚠️
候補都市の最大の魅力は、その巨大な人口規模にあります。例えば都市圏人口が780万人もいれば、18,000席のアリーナを埋めるホッケーファンを集めることは一見容易に思えます。しかし過去の苦い経験から、単に人口が多いだけで市場として成立するわけではないことも判明しています。🏟️
もしアトランタに再びチームが発足すれば、NHLにとって実に3度目の挑戦となります。優遇された拡張ドラフトルールを活用すれば、設立当初から競争力のある強いチームを作れる可能性は高まっています。初期の成績が良ければ新規ファンを獲得しやすくなり、定着の助けになる期待もあります。🔥
【注釈:優遇された拡張ドラフトルール】
拡張ドラフト(エクスパンション・ドラフト)とは、NHLに新たな新規参入チームが加わる際、新チームがリーグ内で戦える選手層を確保できるよう、既存の各チームから選手を1名ずつ指名してロースターを編成する特別制度である。
「優遇された拡張ドラフトルール」とは、2017年のラスベガス(ベガス・ゴールデンナイツ)および2021年のシアトル(シアトル・クラーケン)の新規参入時に導入された、既存チームの選手保護権を大幅に制限し、新チームが即戦力を獲得しやすくした新規格のルールを指す。
具体的には、過去のルールとの間に以下のような決定的な違いが存在する。
1. 既存チームによるプロテクト人数の大幅縮小
2000年までの旧ルール:既存チームは「フォワード9人・ディフェンス5人・ゴールテンダー1人(計15人)」などを保護(プロテクト)できた。そのため、既存チームは主力選手のほぼ全員を保持することができ、新チームに回されるのは実質的に「補欠選手」や「ベテランの余剰戦力」に限られていた。結果として初期の新規チームは参入から数年間、著しい苦戦を強いられた。
2017年以降の新ルール:既存チームがプロテクトできる人数が以下のどちらか一方のみに厳しく制限された。
「フォワード7人+ディフェンス3人+ゴールテンダー1人(計11人)」
「ポジションを問わないスケーター8人+ゴールテンダー1人(計9人)」
この人数の削減により、既存チームはチーム内4番目の優秀なディフェンスや、第2・第3ラインの主力フォワード、質の高い控えゴールテンダーをプロテクトしきれなくなり、新チームの指名対象(獲得可能プール)へ質の高い実力者が大量に並ぶこととなった。
2. 既存チームへの「即戦力選手」の露出義務(Exposure Requirements)
既存チームは、ただ若手や控え選手を差し出すだけでは済まされず、「前シーズンに一定数(40試合以上など)のNHL出場実績があり、翌シーズンの契約が残っている実力派選手」を最低でも数名、必ずプロテクト枠から外して、指名対象として差し出さなければならない義務が課された。
なお、プロ1~2年目の若手選手や未契約のドラフト指名選手は自動的に保護(免除)対象となり、既存チームの枠を圧迫しないよう配慮されている。
3. ルール変更がもたらした成果と影響
この優遇ルールの適用により、新チームは参入1年目から各チームの「上質な中堅・主力級」を集めた、強豪ロースターを組み上げることが可能となった。
ベガス・ゴールデンナイツ:参入1年目(2017-18シーズン)にして創設即スタンレー・カップ決勝進出という快挙を達成し、参入6年目の2023年には悲願の優勝を果たした。
シアトル・クラーケン:参入2年目でプレーオフ進出を果たした。
将来的にアトランタ等で新規参入が実現する場合も、この新規格ルールが適用される見込みであり、初期投資に対する見返り(=創設直後からの高い競争力と勝利)が保証されやすい環境が整っている。
「一度だまされたなら相手が悪いが、三度だまされたなら自分に責任がある」という格言の通り、同じ地域で何度も失敗を繰り返すことは避けなければなりません。もし3度目の挑戦もうまくいかなかった場合、「予想できた事態だった」と批判されるのは免れないでしょう。💡
NHLが再び拡張すべき理由
アメリカでホッケーがより一般的になる可能性
アメリカのスポーツファンはバスケットボールやフットボール、野球に大きな関心を寄せ、ホッケーは見過ごされがちです。しかし、競技自体は確実に成長しています。人々は身近に触れると夢中になる傾向があるため、何百万人もの人々に世界最高峰のリーグへ直接アクセスする機会を与えれば、自然とファン層の拡大につながります✨
また、アメリカを拠点とするホッケーファンからよく聞かれる、大手スポーツネットワークの報道が少ないという不満も解消される可能性があります。国内最大級のテレビ市場を持つ地域でホッケー熱が高まれば、メディアの露出機会が増え、スポーツ全体としての注目度も上がっていくでしょう📺
注)「大手スポーツネットワークの報道が少ないという不満」について
アメリカの北米4大プロスポーツリーグ(NFL、NBA、MLB、NHL)において、アイスホッケーの最高峰リーグであるNHLは、他の3競技に比べて大手全国メディアでの露出や報道量が著しく少ないと指摘されてきた。この状況に対するファンの不満には、歴史的背景やメディア構造に起因する明確な理由が存在する。
ESPN等による長年の「ホッケー冷遇」と放映権問題
アメリカ最大手のスポーツ専門ネットワークであるESPNは、2004年から2005年にかけてのNHL労使交渉による全シーズン中止(ロックアウト)をきっかけに、NHLの全国放映権を手放した。以降、2021年までの16年間にわたり、ESPNでNHLの試合が全米放送される機会は原則として消失した。
アメリカのスポーツメディアでは、自社が放映権を持たない競技の報道優先度を下げる傾向が強く、看板情報番組『SportsCenter』などにおいて、NHLのニュースやハイライトが極端に縮小・後回しにされたため、ファンからは「大手メディアから意図的に無視されている」という強い不満が生じた。
他競技との極端な露出格差
全米規模のスポーツ討論番組やハイライト番組では、シーズンオフ中であってもNFLやNBAの話題、あるいは大物スター選手の動向が番組の大半を占める。これに対し、シーズン真っ只中のNHLであっても、試合ハイライトは番組終盤に短時間放送されるのみにとどまり、主要コメンテーターがホッケーについて言及する機会自体が非常に少ない状態が続いた。
ローカル人気と全米メディアの温度差
アイスホッケーは、地元チームの地域スポーツネットワーク(RSN)を通じたローカル中継で熱狂的な視聴者を獲得しており、スタジアムの動員力も非常に高い。しかし、全国規模のネットワークがNBAやNFLを優先して大きく取り上げないため、「北米4大スポーツとして正当な評価や露出機会を与えられていない」という不満が、ファンや業界関係者の間で定着した。
近年の変化と残る課題
2021–22シーズンより、NHLはESPNおよびTNT(Turner Sports)と7年間で総額約45億ドルの新たな全米放映権契約を締結し、16年ぶりにESPNの放送枠へ復帰した。これにより全米露出自体は大きく増加したものの、長年の報道不足から生じた他競技との知名度格差や、中継・解説の質、放送枠の優先度に対する不満は現在も完全には解消されていない。
氷上でも、それ以外でも、より多くの仕事が生まれる
仮に2チーム増えれば毎晩40人の選手が夢を叶えられます。
さらにコーチやフロントオフィス、スカウト、広報担当者やコンテンツ制作者、用具担当者、アスレチックトレーナーや医療スタッフ、さまざまな業務を担うビジネス部門のスタッフ、記者、アイスメンテナンススタッフ、警備員やアリーナ内のホスピタリティスタッフ、売店など、さらに多くの人を雇う必要が生じます。🏒
また、地域社会や経済にも良い影響をもたらします。通常、プロスポーツチームは慈善団体へ多額の寄付を行い、地元のユーススポーツ支援やイベントのスポンサーを務めます。さらに、チームの存在によって、周囲の多くの企業が経済的な恩恵を受ける点も大きなメリットです。🤝

KHLや欧州各国のトップリーグへ、ベテラン選手の移籍という流れはできてはいるが、そこにも注目すべきだと思うんだにゃ。KHL等では安易にNHL経験者を獲得して、自国の若手育成が進まないという声も出ており、いずれ各国から北米選手規制ルールが突きつけられるだろう。ベテラン選手達の「次の就職先」確保のために、新チーム設立は一つの手ではあるが、無闇にチームを増やすより、そこから離れた部分のルール改正が必要だと思う。
一部のチームにとって、より良い移動スケジュール
ウェスタン・カンファレンスは北米の陸地の大部分をカバーしており、西に所属しながらも太平洋より大西洋に近いチームが存在します。西所属のナッシュビル・プレデターズは近隣チームの多くが東所属であるため、理想的な量を大幅に上回る長距離移動を強いられています。✈️特にプレーオフでカリフォルニアのチームと対戦するときは、なおさらです。
プレデターズは今季、太平洋時間帯で9試合戦い、うち7試合はナッシュビル時間の夜9時開始です。夜遅くの試合をファンに最後まで見てもらうのは容易ではありません。シカゴ・ブラックホークス、セントルイス・ブルース、ミネソタ・ワイルド、ウィニペグ・ジェッツ、ダラス・スターズも同様の悩みを抱えています。⏰
注)「西に所属しながらも太平洋より大西洋に近いチームが存在する理由」についての解説
NHLの「ウェスタン・カンファレンス」が北米大陸の広大な面積をカバーし、地理的には東海岸(大西洋)に近い都市のチームが含まれている背景には、地理的特性とリーグの歴史的構造が深く関係している。
南北アメリカ大陸の形状と地理的現実(大西洋との距離)
テネシー州ナッシュビル(ナッシュビル・プレデターズの本拠地)は、直線距離で大西洋(サウスカロライナ州やジョージア州の沿岸)まで約700~800km(約450~500マイル)ほどの位置にある。
一方で、太平洋沿岸(カリフォルニア州など)までは約3,000km(約1,800~2,000マイル)離れている。したがって、物理的・地理的事実として「太平洋よりもはるかに大西洋に近い」位置に存在する。
東西のチーム配置バランスとカンファレンス再編(2013年の再編)
NHL加盟チームの多くは、人口密度が高く、アイスホッケーの歴史が古い北米東部(米国東海岸・中西部、カナダ東部)に集中している。
全32チーム(現在)を東16チーム・西16チームと同数に分ける際、東部に密集するチームをイースタン・カンファレンスへ優先的に組み込んだ結果、中西部や南部中央に位置するチーム(ナッシュビル、シカゴ、セントルイス、ダラスなど)は地理的に東寄りの経度にありながらも、枠組み上ウェスタン・カンファレンスに分類されることとなった。
タイムゾーン(時差)による区分
NHLのウェスタン・カンファレンスは主に「セントラル・ディビジョン(中部地区)」と「パシフィック・ディビジョン(太平洋地区)」の2つで構成される。
ナッシュビルやシカゴ、ダラスなどは「中部時間(Central Time Zone)」に属しており、東部時間(Eastern Time Zone)の都市に隣接しているものの、リーグの均衡を保つためにウェスタン・カンファレンスの中部地区として編入されている。
広大な移動範囲とファンへの影響
イースタン・カンファレンスのチームが比較的狭い地域(東部標準時・大西洋側)に密集し、短時間の移動で遠征をこなせるのに対し、ウェスタン・カンファレンスは北米大陸の東経約87度(ナッシュビル付近)から太平洋沿岸、さらにはカナダ北西部に至るまでの広大な陸地をカバーしている。
このため、ナッシュビルのような最東端に位置する西側チームは、同地区内の試合やプレーオフで太平洋時間帯(時差2時間)のカリフォルニアやバンクーバーなどへ遠征する際、極端な長距離移動と深夜遅くの試合開始(現地時間夜7時開始=ナッシュビル時間夜9時開始)という構造的ハンデを抱えることになっている。
テキサス南部やアトランタの追加では解決しませんが、アリゾナにチームを復活させれば、該当チームのうち少なくとも1つをイースタン・カンファレンスへ移籍させられます。拡張は地理的な歪みを整え、移動負担を軽減する鍵となります。💡
ファン負担を抑えた収益増加とロックアウトの回避
『Deseret News』の報道の通り、観戦費用の高騰に伴いサラリーキャップが上昇することは、必ずしもファンに最善とは言えません。サラリーキャップはホッケー関連収益に基づき算出されるため、チームの拡張が実現すれば、チケットやグッズなどリーグ全体の需給が拡大し、さらなる収益増加が見込まれます。💰
また、拡張は将来的なロックアウトの発生リスクを下げる効果もあります。1チームあたり20億ドルの拡張料が既存の32オーナーに分配され、サラリーキャップも順調に上昇します。潤沢な資金が得られることで、リーグと選手側の双方が交渉を決裂させて長期化させる金銭的理由が乏しくなるためです。🤝
【讃岐猫😿の深掘りコラム】拡張による巨額資金の注入は、真にロックアウトの抑止力となり得るのか
「新規拡張チームが支払う巨額の拡張料や収益拡大が、将来的なロックアウト(労働争議によるリーグ中断)リスクを低下させる」という理論は、スポーツビジネスやメディア分析において一定の説得力を持つ一方で、より多角的な検証が必要である。
北米の主要スポーツメディアや評論家が指摘するように、新規参入料(参入金)はホッケー関連収益(HRR)に含まれない「純粋なオーナーへのキャッシュ分配」として扱われるため、既存32チームのオーナーにとっては即座に莫大なインセンティブとなる。
1チームあたり20億ドル規模に上る参入料が分配されれば、オーナー側の短期的な資金繰りや財務改善は劇的に進む。さらに、新たな大型市場の開拓によってチケットやマーチャンダイジング、地域放送権収入などのベースが増大し、HRRと連動するサラリーキャップ上限が大きく引き上げられることで、選手側の給与パイも確実に拡大する仕組みとなっている。
双方に潤沢な資金が行き渡る「パイの拡大」が、対立の先鋭化を回避させるという分析は、経済学的な理にかなっている。
しかし、専門家やスポーツ経済評論家の見解は、決して楽観論一色ではない。歴史的にNHLが引き起こしてきた複数回のロックアウトの根本原因は、単なる「資金不足」ではなく、「HRRの分配比率(オーナーと選手側のパイの奪い合い)」や「労使協定(CBA)における構造的条項」の対立に起因しているからである。
実際に、現在NHLと選手会(NHLPA)のパートナーシップは史上最も良好な関係にあると評されており、労使が協調姿勢を示した結果として労使協定の延長が合意に至った背景がある。
だが、拡張料という一過性の臨時収入が得られたとしても、労使間の根本的な構造問題――たとえばプレーオフでのサラリーキャップ適用規則や最長契約年数の制限、エスクロー(預託金)制度の運用といった制度面の攻防――が解決されなければ、争議のリスクを完全に消滅させることはできない。
さらに、北米の分析家たちが懸念を示すのが、「格差拡大によるオーナー間の内部対立」である。チーム拡張によって増える市場収益が一部の巨大市場に偏り、弱小市場や小規模都市チームとの間で収益格差が拡大した場合、リーグ全体の収益分配(レベニュー・シェアリング)を巡ってオーナー間で意見が割れ、CBA交渉が難航する要因となり得る。
すなわち、チームの拡張は単に「パイを大きくして争いを防ぐ防波堤」として機能する側面を持つと同時に、新たな市場構造の不均衡や制度的摩擦を生む両刃の剣であると捉えるのが、メディアおよび専門家による現代的な冷徹な分析である。
出典リスト
SportsPro, “Future NHL expansion team to cost ‘US$2bn’ as new CBA agreement nears”
SportsPro, “What the data says about the NHL’s US$6.5bn business”
Sportsnet, “NHL and NHLPA ratify CBA extension through 2030”
まとめ
NHLの再拡張には、美しい日程編成の崩壊や優勝難易度の上昇といった反対意見がある一方で、市場拡大や雇用の創出、チームの移動負担軽減といった明確なメリットも存在します✨
過去に失敗した地域への再挑戦など懸念点も残りますが、リーグの成長とファン層の拡大に向けた大きな一歩となる可能性も秘めています🏒双方の理由を踏まえたうえで、今後のNHLの決定や議論の行方を見守っていきましょう💡

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

