オリ・ヨキネン、ティムラIKでの熱烈ロッカールームスピーチが拡散!

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はじめに

 オリ・ヨキネンはNHLで活躍した後、コーチとしての新たな道を歩み始めました。現在、スウェーデンのティムラIKでヘッドコーチを務めるヨキネンが、ロッカールームで選手たちに送った熱烈なスピーチが注目を集めています。

 その内容は過激な表現も交えた激励で、ソーシャルメディアで急速に拡散されました。今回は、そのスピーチの背後にある意味と、ヨキネンのコーチングスタイルに迫ります。

讃岐猫
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引用元:thehockeynews.com(The Hockey News)「Former Panthers captain Olli Jokinen goes viral for profanity-laced locker room speech

オリ・ヨキネンのコーチングスタイルとは?

 元フロリダ・パンサーズのキャプテン、オリ・ヨキネン1はNHLで17シーズン(1,231試合)を過ごした後、第2のキャリアであるコーチングに転身し懸命に働いています。

ヨキネンは、どのチームでも平均点以上のプレーをするのですが、他の選手との合う・合わないが激しかったような…。

 彼はサウスフロリダ・ホッケーアカデミー2を創設し、その後フィンランドのエリートリーグ(英語圏では「リーガ」として知られる)に所属するミッケリン・ユクリット3で初めてプロのヘッドコーチに就任。

ティムラIKのロッカールームスピーチがSNSで話題に!

 ユクリットで3シーズンを過ごし、次にスウェーデン・ホッケーリーグのティムラIK4(トッププロリーグに所属)のヘッドコーチに就任しました。最近、ヨキネンがティムラのロッカールームで選手たちに厳しく注意する映像が話題になり、ソーシャルメディアで急速に拡散されました。

 このシーンでは選手たちが「ハードハット5」を忘れたことに対し、ヨキネンが罵詈雑言を交えたメッセージを送っています。

ヨキネンがもたらす変革とティムラIKの未来

 ヨキネンが新しい環境で活躍する姿を見るのはとても興味深いです。彼が海外でコーチング技術を磨き続ける中で、いつか再び北米に戻ることを考えるのは決して無理な話ではないでしょう。

 彼は北米のプロホッケー界で多くのコネクションと関係を築いており、戻ることはコーチングの階段を登り続けるための理にかなった次のステップとなるはずです。

 ヨキネンのロッカールームでの罵詈雑言スピーチのフルクリップ(13分25秒あたりから始まります)を下記で確認できますが(後述【付記】に全文掲載)、注意してください。若い耳には適していません。

【付記】

 ヨキネンのスピーチ、一応、できる限り原文に忠実に訳してみました…。こうして読んでみると、どこにでもありそうな激励の言葉っぽいんですが、スラングや過激な表現が多いため、「少し緩やかな言葉」を用いるのに相当苦労しました…。

おい、聞けよ。お前たちはもっと興奮して競争を始めろよ。エネルギーゼロ、情けない。ナンバーワンチームと対戦するのに興奮してるんだろ?今日は火曜日の夜だが、『あ、今日はただ試合をするだけだ』と思ってるんだろ。スケジュールにあるから試合をするんだって感じだろう。

 だが、これは意味のある試合だ。大事なポイントを取るために、チャンスを作れ。お前たちが準備できていないのが心配だよ。昨日の練習で、もっとハードに競争してたじゃないか。俺たちは(試合会場の)氷上にいるけど、まだ何か足りてないんだ。

 本当にプレーしているのか、全力を出しているのか、偽るなよ。もっとスケートして、バトルに勝て。試合で相手がどんどん進んでくるのを止めるんだ。何もかも中途半端でいる場合じゃない。今のままだと、試合に勝てるわけがない。相手は4連敗してて、5戦目で負けたくないんだ。

 今すぐにでも意識を切り替えて、全力でプレーしろ。今日の試合、一つ一つのシフトに意味を持たせろよ。今の状態だと、半分の選手はここにいる意味がわかっていないようだ。リラックスしすぎだ。これではダメだ。そんなに甘く見ているなら、何も進歩しないぞ。

 他のチームはしっかりとゲームを作っている。今夜はこのゲームを諦めず、戻ってきて試合を取り戻すチャンスだ。20分で一発逆転だ。集中しろよ。フィニッシュするんだ、今がその時だ。この試合、絶対に諦めるな。あと20分、全力でいけ。

 1点差でいいから、10分以内にゴールを決めろ。ネット前で1人は必ず立って、他の選手はそこに詰めろ。最初に1点を決めれば、流れが変わる。信じろ、絶対に逆転できる。

 準備をして、次のゲームに臨め。君たち一人ひとりが、この試合を取り戻す気持ちを持っていないとダメだ。だが、まだ間に合う。今すぐ反応しろ、やれるはずだ」。

ロッカールームでの叱咤激励映像です。入ってくる時から、俺は怒ってるんだぞ!感でいっぱい…。

讃岐猫
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 対戦相手のVaxjoは、2024年12月26日(木)から4連敗。順位も14チーム中8位とふるいません。ところが、このティムラ戦では第1&第2ピリオドで各1点ずつ取り、Vaxjoの連敗ストップ感濃厚。ところが、ティムラの監督のヤバいゲキが効いたのか、第3ピリオドにティムラは2点を取ってオーバータイムへ。

 なお、ティムラの1点目を取ったフィリップ・ホランダーは、2018年のNHLドラフト総合58位で、ピッツバーグ・ペンギンズから指名されているスウェーデン人選手です。しかし、ほとんどAHLでしかプレーしておらず、NHLでのプレー経験はわずか3試合…。

 ペナルティ・ショット対決となり、Vaxjoは最初のシューターが決め、あと2人は外したものの、ティムラは全員失敗…。Vaxjoの連敗ストップとなりました。その後、ティムラは連勝で4位、プレーオフ準々決勝からの出場圏内をキープ。

 Vaxjoも3連勝と波に乗ってきており、NHLで言えば、ワイルドカードでのプレーオフ出場権をキープしていきたいところです。

この試合のハイライト映像です。ペナルティ・ショット終了後のティムラの選手達の表情がうつろ…。

まとめ

 オリ・ヨキネンは、プロ選手として培った経験をもとに、スウェーデン・ホッケーリーグ(SHL)のティムラIKで新たな挑戦をしています。ロッカールームでの過激なスピーチは、ただの怒りの表現ではなく、選手たちに競争心を呼び起こし、チームの士気を高めるための彼なりの方法です。

 今後、彼のコーチングがどのようにチームを成長させるか、ますます注目されることでしょう。

讃岐猫
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【註釈】

  1. オリ・ヴェリ・ペッカ・ヨキネン(1978年生まれ)はフィンランド出身で、1997年のNHLエントリードラフトでロサンゼルス・キングスに総合3位で指名され、NHLデビューを果たす。

     ヨキネンは、ニューヨーク・アイランダーズ、フロリダ・パンサーズ、フェニックス・コヨーテズ、カルガリー・フレイムズ、ニューヨーク・レンジャーズ、ウィニペグ・ジェッツ、ナッシュビル・プレデターズ、トロント・メープルリーフス、セントルイス・ブルースなど、多くのNHLチームでプレー。

     彼はまた、フィンランドSM-liigaのKalPaとHIFK、スイスのEHCクロテン、スウェーデンのSödertälje SKでもプレー経験がある。

     ヨキネンは1996年にフィンランドでプロとしてのキャリアをスタートさせ、1997年にはSM-liigaのルーキーオブザイヤーを獲得。その後、フロリダ・パンサーズで活躍し、2003年から2008年までキャプテンを務め、2003年のオールスターゲームにも出場した。

     2009年にはカルガリー・フレイムズで初めてスタンレーカップ・プレーオフに出場し、2012年にはキャリア1,000試合に達した。

     国際舞台でも活躍し、1998年の世界ジュニア選手権でフィンランドを金メダルに導き、4度のオリンピックに出場。2006年のトリノオリンピックで銀メダルを獲得し、2010年と2014年には銅メダルを獲得。

     また、世界選手権では銀メダル2個、銅メダル3個を獲得し、2004年のホッケーワールドカップではカナダに次ぐ2位となった。
    ↩︎
  2. フロリダ州で若い選手たちにアイスホッケーの技術向上を目指したトレーニングを提供する施設。元NHL選手オリ・ヨキネンが設立し、地域のホッケー発展に貢献している。

     アカデミーでは、基本技術や戦術、体力作りに重点を置き、個別指導を行う。プロレベルの競技者を育成することを目指し、地域リーグや大会にも積極的に参加。フロリダでのホッケー文化の発展に重要な役割を果たしている。
    ↩︎
  3. Mikkelin Jukuritは、フィンランドのアイスホッケーチームで、1970年に設立。最初は2部リーグでプレーしていたが、1998-99シーズンに再建が始まり、2000年にSuomi-sarjaリーグで初のチャンピオンになり、メスティス(1部リーグ)に昇格。

     その後、7回のメスティス優勝を果たし、2016年にLiiga(トップ・リーグ)に昇格。最初の数シーズンは苦戦したが、オリ・ヨキネン指導のもと、2021-22シーズンにレギュラーシーズン2位となり、初のプレーオフ進出を達成。ユクリットは地域に根ざしたクラブで、安定した成績を収めている。
    ↩︎
  4. Timrå IKは、スウェーデンのスンドスヴァル北部にあるティムローを拠点とするプロアイスホッケーチームで、スウェーデンのトップリーグであるスウェーデン・ホッケーリーグ(SHL)に所属。2021年のSHL昇格予選を勝ち抜いて、SHLに昇格した(このリーグは昇降格あり)。

     これまでのトップディビジョンでのプレーシーズンには、1956–57から1975–76、1977–78、1981–82、2000–01から2012–13、2018–19が含まれる。チームのホームアリーナは、6,000人を収容できるNHCアリーナ。

     クラブは1928年5月11日にボクシングクラブとして創設され、1937年にアイスホッケー部門を開始した。ティムローは、モード・ホッケー(Modo。現在最下位!)との伝統的なライバル関係があり、両チームは共にヴェステルノールランド県に位置し、スウェーデンのプロアイスホッケーリーグで対戦している。
    ↩︎
  5. 選手の頭部を保護するために重要な装備。衝突や転倒、パックが頭に当たるリスクから守る役割がある。多くの選手は、顔を保護するフェイスガードやバイザーを付けて使用。

     ハードハットは、HECC(Hockey Equipment Certification Council)やCSA(Canadian Standards Association)などの安全基準を満たす必要があり、プロリーグでは必須の装備である。シェル型のヘルメットや、フルフェイスシールドが使われることも。

     ここでは、選手達にとって大事なはずの「試合に向けての準備」が疎かになっていることについて、大切な装備で喩えたものと思われる。 ↩︎
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