NYアイランダース新体制の注目ポイント4選【ドラフト・育成】

NHLチーム紹介

はじめに

 ニューヨーク・アイランダースが2025年NHLドラフトで全体1位指名権を獲得し、チームの未来が大きく動き出しました✨新GMのマチュー・ダルシュが掲げるビジョンや、ロワHCの続投、AHLチーム再建の動き、さらに他チームからのトレードの思惑まで、注目ポイントが満載です👀

 今回は記事4点です!ドラフトを巡る最新情報をギュッとまとめてお届けします📘

参照記事:Eyes on Isles1Mathieu Darche does not expect the NY Islanders to trade the first overall pick

アイランダースの未来が大きく動き出す!2025年ドラフト全体1位を手に入れた喜び🎉

 2025年5月5日、ニューヨーク・アイランダースはNHLドラフト・ロッタリーで見事に勝利し、今年のドラフトで全体1位指名権を獲得しました!これはチームにとって大きなターニングポイント。未来のスター選手を迎え入れる絶好のチャンスが訪れたわけです。

ドラフト・ロッタリーでアイランダースが全体1位指名権を獲得した経緯はこちらで。ジェームズ・ヘイゲンズについても書いてあります。

 でも、今回のドラフトには「これを指名すれば間違いなし!」と言えるような絶対的な超有望選手がいないと言われています。そんな中、アイランダースがこの指名権をどう活用するかについては疑問の声も上がっていて、ファンの間でも注目が集まっています。

 一番の有力候補はディフェンスのマシュー・シェイファー2。それとも指名順位を下げて、地元出身で人気のジェームズ・ヘイゲンズを狙うのか、あるいは別の選択をするか…悩ましいところです。

マシュー・シェイファーはこんな選手です!

 ドラフトまでまだ4週間あるものの、アイランダースの新GMマチュー・ダルシュ3は、6月27日に正式に指名を行う際、ある程度の方針を明らかにしました。「誰からの電話にも耳は傾けるが、よっぽどの魅力的なオファーがなければ、この1位指名権を手放すつもりはない」と就任会見でコメント。

 「特別な選手を手に入れるチャンスなんだ。ただし、徹底的にリサーチはするよ。でも最終的には、6月末に我々がこの指名を行うと見ている」。やはりチームの未来を担う特別な選手を獲得することに自信を持っているようです。

 こうした発言や会見の内容は、7年間にわたって一切の情報を外に出さなかったルー・ラモリエロ体制とは対照的で、ファンにとっては新鮮に映りました。

 アイランダースが壇上に上がって指名を行うその瞬間まで、ダルシュのもとには他チームからの電話が鳴り止まないでしょう。指名権をロングアイランドから引き離そうと、複数のオファーが舞い込むと見られています。

 もし取引に応じれば大きな見返りが期待できますが、新GMとして最初のドラフトで全体1位指名を手放す4のは、非常にリスクの高い決断となります。

 現在の見通しとしては、アイランダースがマシュー・シェイファーを指名するものと見られています。しかし、1位で指名されたディフェンス選手がフォワードほどの成功を収めることは少なく、ノリス・トロフィー(最優秀ディフェンスマン賞)を獲得した全体1位指名選手は、1976年のデニス・ポトヴィン5ただ一人です。

参照記事:同「New York Islanders make right call in bringing back Patrick Roy

新GMダルシュのリーダーシップに期待!ロワHC続投でチームに安定感⚓

 新GMマチュー・ダルシュは、ヘッドコーチのパトリック・ロワ6が来季もチームを率いることを正式に発表しました。

 アイランダース専門メディア「Eyes on Isles」の報道によると、ロワの契約は来季まで延長され、ダルシュとロワの両者でチームの方向性を評価していくことになるということです。正直に言えば、これはファンにとって安心材料になったはずです😊

 今オフシーズン、長年チームを支えたルー・ラモリエロ7GMが退任し、大きな変革がありました。

 今オフにおける重大な決断だったと言っていいでしょう。NHLのアイランダース、そしてAHLのブリッジポート・アイランダースの両チームが期待に応えられなかった今、チームの哲学を転換する時期に来ていたとはいえ、首脳陣の大幅な入れ替えに加えて、ヘッドコーチまで変わってしまうとチームが混乱してしまう可能性もありました。

 例えるなら、巨大企業が経営陣の体制を大幅に変更した際、投資家や顧客、業界関係者がその会社の行く末に不安を感じるのと同じです。大規模な人事異動は、通常はスキャンダルの後に行われるものです。

 だが、今季のアイランダースにスキャンダルがあったわけではないし、20年以上前のエンロン8のように、完全に崩壊したわけでもありません。

 ファンやメディアは、何らかの「安心材料」を求めていました。そして今回のロワ続投の決定は、その役割を果たしたようです。今季、ロワとラモリエロの間に明らかな意見の相違があったことは明白でした。ゆえに、ラモリエロ退任後にロワにもう一度チャンスを与えるのは理にかなっているのです。

 大きな変化はときに必要ですが、続投を決めたことで来季のチームには安定感が生まれ、選手たちも自信を持ってプレーできるはず。さらに、これによりロングアイランドに移籍を考えるフリーエージェントの選手たちも、何を期待すればいいかを明確に把握してアイランダースに加わることができますね。

 アイランダースに加わろうとする選手たちにとって、思いがけないサプライズはありません。少なくとも現時点では、再建もチーム解体も予定されてもいません。ただ、ダルシュGMとロワHCが同じ方向を向いてチームを作っていくことで、ファンもより未来に期待が持てる状況になりました。

参照記事:同「Mathieu Darche will make player development in Bridgeport a point of emphasis for the NY Islanders

AHL・ブリッジポートも本格再建へ!育成重視で勝てる環境作りを🌱

 昨シーズン、アイランダースの下部組織であるAHLのブリッジポート・アイランダース9には、ほとんど明るい話題がありませんでした。チームは歴史的な不振に陥り、72試合でわずか14勝という苦しい成績。特に衝撃的だったのは、ホームゲームでの勝利はリーグ史上最少の4試合という記録も残してしまい、ファンも寂しい思いをしたことでしょう。

ユニフォーム・ロゴだけで判断するのはあれですが、トップ・チームより強そうな感じするんですけど。

 そんな中、新GMのダルシュはブリッジポートを組織の大事な柱と位置づけ、育成に力を入れていく意向を示しています。初めてメディアとファンの前に姿を見せる前から、ダルシュはAHLレベルでの改革に向けてすでに動き始めていました。

 「勝てる環境の中で選手を育てることが重要」と就任会見の中で語るダルシュは、AHLレベルでの準備がNHLで活躍するためのカギになると考えています。実際、どのチームもシーズン中に選手を呼び上げる必要があり、その準備が整っていなければ意味がないと強調しました。

 そして、ブリッジポートのヘッドコーチを務めていたリック・コワルスキー10とコーチングスタッフは一新される予定。コーチ陣の刷新はすでに始まっており、新たな体制でチームの底上げを図ることになります。

 多くのファンや関係者が注目しているのは、ブリッジポートのGMであるクリス・ラモリエロ11の去就でしたが、ダルシュはまずコーチングスタッフの刷新を優先したと説明しました。というのも、この時期は各チームが新しいコーチを探しているタイミングであり、他の役職については今後数週間かけて検討していくということです。

 さらに、ドラフト後には育成キャンプも再開予定で、新人選手たちにプロの世界で求められる基準をしっかり伝えていくことも計画しています。

 「これは重要なことだと思っている」とダルシュは語る。「選手にとって最初の接点になる。ドラフトで選手を獲得し、プロとしての姿勢を示すんだ……ジムでの基準、NHLの基準、それらを教える。最初の接点で、彼らの意識を変えることができる」。

参照記事:同「The one team with the perfect trade package for New York Islanders’ top pick

ドラフト指名権を狙うライバルたちの動きにも注目👀

 全体1位指名権を手に入れたアイランダースですが、実はこの指名権を狙うチームも多いんです。ドラフト全体1位指名権をめぐって多くの電話が殺到することは間違いないでしょうし、他チームのオファーを少なくとも「聞く」ことをしなければ、それこそミスと言えます。

 実際、毎年のように、いくつかのチームはドラフトに臨む際、通常よりも大きなプレッシャーを背負っています。ファンから「結果が出ていない」と批判され、チームは現状打破のためにあらゆる手段を講じることになります。中でもピッツバーグ・ペンギンズは強い関心を寄せているようです。

 ペンギンズにはシドニー・クロスビーやエフゲニー・マルキンといったスター選手がまだ1年ずつ在籍しますが、クロスビーの去就が2027年に控えています。つまり、残された時間はわずか2シーズンで、この数年が「全力を尽くすべき時期」であり勝負どころ。

 さらに、2027年にはエリック・カールソンの巨額なキャップヒット12からも解放される見込みですが、それは同時に「スター選手がいなくなる」という現実を意味しています。次世代の競争力を担う人材がチーム内に存在しないため、新たなスター選手を迎える必要があります。

 そんな事情から、ペンギンズのGMカイル・デュバスは、若手有望株の獲得に強い意欲を持っており、“劇的な一手”として、アイランダースの全体1位指名権をトレードの材料にしようと考えるかもしれません。若手スター選手が不足する自チームの将来を見据え、デュバスは大きなトレードを模索するかもしれないのです。

カイル・デュバスとエリック・カールソンについては、こちらでどうぞ。

 ペンギンズのファンも、バッファロー・セイバーズのような長期にわたる再建を望んでいないため、GMには早急なチームの立て直しが求められている状況です。アイランダースにとっては、どんなオファーが来るのか、耳を傾ける価値は十分にありそうです。

まとめ

 新体制となったアイランダースは、ドラフト、育成、コーチングと多方面で変革を進行中🚀ただの再建ではなく、“勝つための再構築”に本気で取り組んでいる様子が伝わってきます💪ファンとしては、この変化がどう実を結ぶのか、ワクワクせずにはいられませんね👀

 次なる一手にも期待が高まります🔥

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. ニューヨーク・アイランダーズ専門のファン向けニュース&分析サイト。2009年に設立され、FanSidedネットワークに所属。チームの最新情報やポッドキャストを提供し、アイランダーズファンの交流の場としても機能している。
    ↩︎
  2. 2007年生まれ。カナダ出身の注目の若手アイスホッケーディフェンス・マン。オンタリオ・ホッケー・リーグ(OHL)のエリー・オッターズに所属し、2025年のNHLドラフトで最有力候補とされている。

     スケーティング技術と攻守のバランスに優れ、国際大会でもキャプテンとして活躍し金メダルを獲得。個人的な困難を乗り越えながら成長を続けている期待の選手。
    ↩︎
  3. 5月23日、新ゼネラルマネージャー兼エグゼクティブバイスプレジデントに就任。48歳の元NHLフォワードで、タンパベイ・ライトニングで2度のスタンレーカップ優勝に貢献した経験豊かなGM。アイランダースを「常連のプレーオフチーム」にし、「自分たちの成功とレガシーを築く」ことを目指すと表明した。
    ↩︎
  4. NHLドラフトにおける全体1位指名権のトレードは、単なる選手交換以上の、チームの未来を左右する戦略的な動きとなる。この指名権は、その年のドラフトで最も期待される将来のフランチャイズプレーヤーを獲得できる権利であり、チームの戦力、人気、収益に大きく貢献する可能性がある。

     トレードの主なメリットは、即戦力の獲得(ベテラン選手や複数の指名権との交換)、複数の有望な若手選手の獲得(将来の指名権や若手選手との交換によるチームの奥行き拡大)、サラリーキャップの柔軟性(ルーキー契約を資産として活用)、そして補強の選択肢の拡大など。

     しかし、同時に逸材の喪失(将来の殿堂入り選手を逃すリスク)、トレードの見返りが期待外れになるリスク、そしてファンからの反発というデメリットも伴う。最終的に、全体1位指名権のトレードは、チームの現在の状況と将来のビジョンに基づき、短期的な成功と長期的な再建のバランスを慎重に見極める重要な戦略的決断となる。
    ↩︎
  5. 1970~80年代に活躍したカナダ出身の名ディフェンスマン。ニューヨーク・アイランダーズで4連覇に貢献し、NHL初の1000ポイント超えディフェンス選手。1991年に殿堂入りし、引退後は長年解説者としても活躍した。攻守に優れ、ディフェンスの新たな基準を作ったレジェンド。
    ↩︎
  6. 2003年にNHLから引退後、キューバック・ランパールを所有し、ゼネラルマネージャーおよびヘッドコーチとしてチームを指導した。2006年と2023年にはメモリアルカップ(QMJHLの優勝トロフィー)を獲得し、13シーズンで524勝を挙げた。また、2022年にはGMオブ・ザ・イヤーにも選ばれている。

     2016年にはコロラド・アバランチのヘッドコーチを辞任し、その後はNHLのコーチングオファーを数度受けたが、いずれも断っている。特に西地区のチームからのオファーを断った理由として、長距離移動の負担を挙げている。

     2024年1月、ニューヨーク・アイランダーズのヘッドコーチに就任。ロワは初戦でダラス・スターズに3-2の延長戦で勝利。2024-25シーズンは35勝35敗12分けでプレーオフ進出を逃したが、新GMのマチュー・ダルシュはロワの指導力を評価し、2025-26シーズンも続投を決定。
    ↩︎
  7. NHL史上最も影響力のあるゼネラルマネージャーの一人。彼はニュージャージー・デビルズで3度のスタンレーカップ優勝(1995年、2000年、2003年)を達成し、チームをリーグ屈指の強豪へと育て上げた。

     その後、トロント・メープルリーフスで若手選手の育成に貢献し、ニューヨーク・アイランダースではジョン・タバレス退団後のチームを立て直し、2度のカンファレンスファイナル進出(2020年、2021年)を果たし、2度のGM・オブ・ザ・イヤーを受賞。

     規律を重んじ、情報の非公開を徹底する独特のリーダーシップスタイルで知られ、2009年にはホッケーの殿堂入りを果たした。アイランダースでの7年間の任期を終え、2025年4月22日付けでGM職を退任。
    ↩︎
  8. Enron Corporationは、かつてアメリカ合衆国テキサス州ヒューストンに存在した、巨大な総合エネルギー取引およびITビジネスを行っていた企業。1990年代以降、電力やガスなどのエネルギー分野の規制緩和を背景に急成長を遂げ、ピーク時には全米第7位の売上高を誇る大企業だった。

     しかし、2001年後半に、大規模な不正会計が明るみに出て、同年12月に破綻。これは「エンロン・ショック」と呼ばれ、当時アメリカ史上最大の企業破綻(後にワールドコム社に抜かれる)として世界中に大きな衝撃を与えた。

     アイランダーズは直接エンロンと関係している訳ではないが、1990年代後半から2000年代初頭まで、不正会計や金融詐欺事件に巻き込まれ、チーム財政に危機を及ぼし、著しく信用を落としたスキャンダラスな時期があった。
    ↩︎
  9. NHLのニューヨーク・アイランダース傘下にあるAHL(アメリカン・ホッケー・リーグ)のプロアイスホッケーチーム。コネチカット州ブリッジポートを本拠地とし、NHLを目指す若手選手の育成や、NHLロースター外の選手の調整を行う重要な役割を担っている。

     2001-02シーズンに「ブリッジポート・サウンドタイガース」としてAHLに加わり、2021-22シーズンから現在の名称に変更された。ニューヨーク・アイランダースが2004年にフランチャイズを所有して以来、一貫してそのファームチームとして機能している。
    ↩︎
  10. 元プロアイスホッケー選手で、現在はAHLのブリッジポート・アイランダースのヘッドコーチ。選手時代にはECHLで活躍し、ケリー・カップ優勝を経験。引退後はコーチとしても高い評価を受け、ECHL殿堂入りやAHL最優秀コーチ賞を受賞。2023年にブリッジポートのヘッドコーチに就任し、若手育成に力を入れている。
    ↩︎
  11. ニューヨーク・アイランダースのアシスタントGMおよびAHLブリッジポート・アイランダーズのGMを務めるホッケー運営のベテラン。父は名GMのルー・ラモリエロ。元選手としての経験に加え、スカウトやフロント業務を通じてチーム作りに深く関わってきた人物。
    ↩︎
  12. チームが抱える高額な選手のキャップヒットの負担が軽減され、財政的な柔軟性が高まることを指す。これは主に以下の状況で発生する。

    契約満了: 高額契約選手の契約期間が終了し、そのキャップヒットがチームから消滅する。
    バイアウト: チームが選手の契約を早期に解除する。これにより、直近のキャップヒットを減らせるが、将来的に少額の「デッドキャップ」が発生する。
    トレード: 高額なキャップヒットを持つ選手を他のチームにトレードすることで、その負担を完全に移転する。

     前後の文章から、ここではエリック・カールソンの契約満了の意味と思われ、ペンギンズは契約延長を考えていないことになる。 ↩︎

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