はじめに
タンパベイ・ライトニングの正GK、アンドレイ・バシレフスキーの長期離脱について、このブログでも触れましたが、NHLのGK職は身体にかなりの負担かかっていて、フルで試合を見ているとよく分かります。しかも彼をフォローする控えGKが心許ないのは、チームにとって頭痛の種でしょう。
さて、他のチームのGK状況はどうでしょうか。オーソドックスなのはGK2人制にして、場合に応じて、先発→リリーフのパターンを取っています。中には3人にしてローテで回したり、王者ベガス・ゴールデンナイツのように、5人を起用するチームもあります。
それだけGKの負担に気を配っている証ですね。
順位付け大好きなESPNがリリースしたのは、GKタンデムあれこれ編。ざっと順位を見渡すと、昨シーズン下位チームが、ここでもやはり順当に?下位を彷徨っているようです。
いつもなら、下位チームオタク?ぶりを発揮して、下位3チームをチョイスして記事にするのですが、今回は珍しく上位ベスト3のみをお送りします。
ペナルティでリンクに3人しかいなかったりしたら、
GKには相当なプレッシャーだと思うにゃ。
体力面だけでなく、精神面でもかなりのタフさを求められるポジションだ。
引用元:ESPN.com「Ranking all 32 NHL goalie tandems for the 2023-24 season」
ゴールキーパーのタンデムランキングとは?
確かに、ゴールキーパー・タンデム(先発GK、2番手GKのデュオ)というコンセプトは、NHLでどんどん古臭くなってきています。
例えば、スタンレーカップで優勝したベガス・ゴールデンナイツは昨シーズン5人のゴールキーパーを起用し、そのうち3人をプレーオフでも起用できました。「ゴールキーパー・クインテット・ランキング」とはいい響きです。
そのため、2023-24NHLシーズンのランキングを作成する際、GKタンデムのランキングでは、ロースターにもう一人ベテランがいるか、システムに有望株がいるかにかかわらず、3人体制で臨むチームもあることを考慮に入れています。
もちろん、選手層を示すチャート表で3番目に位置するネットマインダーが、主要なGKデュオの重みを背負うことのないのは明らかですが、ナイツが証言しているように、バックアップ要員と、常にバックアップの準備を考えているのは良いことです。
専門家にも入ってもらっています
これらのランキングは、コーチ、分析のプロ、元選手など、さまざまなゴールキーパーの専門家との議論や、Evolving Hockey、Money Puck、Hockey Reference1などのサイトの統計を通じて作成されています。ロースターは10月2日時点のものです。
今シーズン、元NHLのゴールキーパーで、現在MSG2のアナリストであるマーティ・ビロン3にもランキングへの意見を求めました。
これらは過去の実績と、2023-24シーズンの予測を組み合わせたものであることに留意してください。
ある重要な負傷者のいるチーム(タンパベイ?)の例を見ていただくとわかるように、開幕戦の夜、チームがどのようになるかでなく、今シーズンを通して、これらのタンデムがどのような姿になるかで判断されます。議論を始めましょう!
本文中に出てくるデータ分析サイトはまさに数字の嵐、「笑えない数字」だにゃ!
新シーズンは、これらのサイトを随時見ながら観戦してみようと思ってる。
昨季、ベジーナ獲ってもおかしくないキーパーのいるチーム!
3 ナッシュビル・プレデターズ
ジュウス・サロス、ケビン・ランキネン、ヤロスラフ・アスカロフ
NHLの周辺を回って、ゴールキーパーの選手層について尋ねてみたところ、1つだけ明らかになったことがあります。それは、ジュウス・サロスには多くのファンがいるということです。
「たとえ他のチームよりも悪いとしても、ナッシュビル(のゴールキーパー達)はもっと高いレベルのはずだと思うね。サロスはジェイク・オッティンガー(24歳。ダラス・スターズ所属)やコナー・ヘルビュイック(30歳。ウィニペグ・ジェッツ所属)と同じレベルのエリートさ」とゴールキーパーの専門家は述べました。
「彼はベジーナの投票で2位になるべきだった」。
昨シーズン、サロスは投票で4位でしたが、これは間違いなくナッシュビルがプレーオフ進出を逃したことによる副産物です。そうであることを、数字が物語っています:彼は出場試合数(64)でも、被シュート数(2,099)とセーブ数(1,928)でもリーグのトップに立ちました。
セーブ率.919、失点予測をされるシュート・ストップ率46.7もNHLトップでした。
ロマン・ジョシ(ディフェンス、33歳)、バリー・トロッツ(現ナッシュビルGM)、そしてブロードウェイ4の存在に敬意を表しつつ、サロス?はナッシュビル・プレデターズで最高の存在であり続けています。
控えのランキネンもイケてます
しかし、プレデターズが総合3位である理由は、彼の後ろで控えている選手にあります。ランキネンは昨シーズン、セーブ率.916、クオリティ・スタート率5.611を記録し、隠れた名バックアップ・プレーヤーでした。
別のGK専門家は「彼こそ、トレード期限までにコルピサロでなく、他のチームがターゲットにすべきだった男だ」と語っています。
プレデターズのゴールキーパーの選手層は、AHLでトップの有望株であるヤロスラフ・アスカロフ(21)に、腕を磨かせるという贅沢を許すことになっています。
2位はキーパーに投資するチーム!
2 ニューヨーク・アイランダーズ
イリヤ・ソロキン、セミヨン・ヴァルラモフ
ソロキンにとって、ベジーナ・トロフィーを獲得するかどうかは、「もし」ではなく「いつ」の問題なのです。
昨シーズン、NHL史上最高のレギュラーシーズン・チーム(ブルーインズのこと)の背後で、GKウルマークが気まぐれな大活躍をしていなければ、おそらくソロキンがその栄冠(ベジーナ・トロフィー)を手にしていたでしょう。
ソロキンは17票を獲得し、他の選手の3倍以上の票を集め、堂々の2位となりました。
ソロキンは、62試合出場で、失点予測をされるシュート・ストップ率38.7を記録したNHL3位の選手で、これは28歳のゴールキーパーにとって自己最高の仕事率でした。
また、6度の完封でNHLのトップです。アイランダーズで最も重要な選手であることは、このオフシーズンに結んだ6600万ドル(日本円で約98億円)・8年間の契約延長からも明らかです。
8年間契約延長は制限枠いっぱいなわけで、
それだけチームはソロキンに「最後の砦」を任せてきっていることだにゃ。
プレマッチではやや精彩を欠いているが、彼なら万全に仕上げてくるでしょう。
また、35歳の控えGKヴァルラモフも契約延長にサインしました。彼は元スターター(先発GK)であり、有能なバックアップであり、ソロキンに影響を与える重要なベテランです。
しかし、並外れて優れたラインナップを構成する裏で、一部のチームが安価にゴールキーピングを行おうとしていると指摘したのを覚えているでしょうか?
アイランダーズはその逆で、両GKがまだロースターに登録されていると仮定すると、ニューヨークは2024-25シーズンから、ゴールテンダーに合わせて1100万ドル(約16億円)を拠出することになっています。
無敵チームには、無敵のキーパー・タンデムが!
1 ボストン・ブルーインズ
ライナス・ウルマーク、ジェレミー・スウェイマン
ブルーインズがプレーオフ1回戦で逆転負けを喫し、パトリス・バージェロンとデビッド・クレチが現役引退を表明した後、ボストンはプレーオフ争いから脱落するのではないかという見方がありました。
「僕らのチームの層の厚さを見て、(優勝争いの)レーダーから外れるなんて言う人の気が知れないよ」とキャプテンのブラッド・マーチャンド(左ウィング、35歳)は反抗するかのように言っています。
「僕らは大きくて強いんだ。だって、僕らにはリーグ最高のGKコンビがいて、その中にはベジーナを獲得した選手もいるからね」と語りました。
移籍の噂もチラホラ、タンデム解散?
2022-23シーズンが混沌のうちに幕を閉じた後、ブルーインズが確かな足取りをつかむとすれば、それはウルマークとスウェイマンが築いた土台の上にあるでしょう。ボストンはチーム防御率.929でNHLのトップでした。
ウルマークは40-6-1、防御率.938、失点率1.89という驚異的な成績でベジーナを獲得しています。スウェイマンは37試合に出場して24-6-4、防御率.920、4完封でした。予想を上回るゴールセーブ数については、2人合わせて平均66.4ゴールをセーブしました。
ブルーインズが昨シーズンの偉業を再現できるかどうか、悲観的な見方があるのは理解できますが、ジム・モンゴメリー監督がボストンに着任した瞬間から、ウルマークとスウェイマンがキャリア最高の数字を残したことに注目してほしいものです。彼(モンゴメリー)はまだそこにいます。
ウルマークとスウェイマンのどちらかが、他のラインナップ(ブルーインズのGK以外のポジション)の助っ人とトレード6されるかもしれない、という憶測があったにせよ、彼ら(2人のGK)もまだそこにいます。
そうである限り、彼らはNHLのトップ・ゴールキーパー・タンデムというラベルを貼られたままでいるのです。
まとめ
引退やFA移籍で、昨シーズンの無敵ブルーインズのメンバーから何人かが抜けています。ベテラン依存度の高いチームでもあり、モンゴメリー監督としては、他チームの中堅どころを狙うのは仕方ないかもしれません。
ただ、スウェイマンを交換要員にするのは、かなりリスキーな気もするのですが。
なお、贔屓チームであるフライヤーズとアリゾナ・コヨーテズの順位は、それぞれ19位、18位と下半分のグループ。フライヤーズは復活傾向にあるカーター・ハートに、キングスから3者間トレードでやってきたカル・ピーターセンがどこまでやれるか。
コヨーテズは、ホームで無類の強さを発揮するチェコ出身のカレル・ヴァイメルカ次第です。27歳とキーパーとしてこれからの年齢な上に、セーブ率も.900に乗せ、まさに上り調子な選手。彼がアウェイでも活躍できれば、コヨーテズの順位はジャンプアップすると期待しています。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- Evolving Hockey=https://evolving-hockey.com/
Money Puck=https://moneypuck.com/
Hockey Reference=https://www.hockey-reference.com/
↩︎ - MSGネットワークのこと。米国の地域ケーブルおよび衛星テレビネットワーク、およびMSG Entertainment ,Inc.が所有するラジオサービス。これは、マディソン・スクエア・ガーデン・カンパニーの主要事業からスピンオフしたものとされる。
主に米国中部大西洋岸にサービスを提供しており、NBAのニューヨーク・ニックスや、NHLのニューヨーク・レンジャーズ、ニューヨーク・アイランダーズ、バッファロー・セイバーズ、ニュージャージー・デビルズの試合中継など、ニューヨーク市のスポーツチームに関するイベントやその他の番組を中心に放送。
このチャンネルは、ニックスとレンジャーズの本拠地、 マンハッタンのミッドタウンにあるマディソン・スクエア・ガーデンにちなんで名付けられた。
↩︎ - カナダ、ケベック州ラック・セント・チャールズ出身、46歳。ドラフト指名したのはバッファロー・セイバーズだが、プレーオフに進出できたのは、若手にポジションを奪われ、志願して移籍したフィラデルフィア・フライヤーズ時代のみである。
現在、セイバーズ傘下であるバッファロー・ハーバーセンターのアカデミー・オブ・ホッケーで、ゴールテンディング・ディレクターも務める。
↩︎ - テネシー州ナッシュビルのダウンタウンエリアの主要な大通りのこと。ホンキートンクとライブカントリーミュージックで有名なエンターテイメント地区、ローワーブロードウェイが含まれる。 ↩︎
- 定義付けが多岐にわたるため、いつ頃から言い始めたのかは不明だが、2009年説が有力。現在の定義はデータサイトHockey Referenceで入手でき、ロサンゼルス・キングスで働いているロブ・ヴォルマンによるものとされる。
少なくともそのシーズンのリーグ平均と同じくらい高いセーブ率を記録したゴールキーパー、または2失点以下で交代し、リリーフしたゴールキーパーよりも高いセーブ率を記録した、先発ゴールキーパーにクオリティ・スタートが与えられる。
↩︎ - 10月5日時点の情報では、シャークスのフォワード・グループにいるローガン・クートゥアとトーマス・ハートルのいずれかと(両方ともという噂も)、スウェイマン+ドラフト上位指名権のトレードが進行中とされている。詳細はこちら→☆。 ↩︎