はじめに
11月24日、日本では「サッカーW杯・カタール大会で、日本代表がドイツ代表に勝った次の日」、別名「サウジアラビア代表はアルゼンチン代表に勝った次の日、休日になったのに、日本ではどうしてならないの?」ですが(^^;、
アメリカやカナダでは、感謝祭またはサンクスギビングと言われる「祝日」です。七面鳥の日=「ターキー・デー」と呼んだりもしていますね。アメリカでは毎年11月の第4木曜日、カナダでは毎年10月の第2月曜日となっています。
もともとはイギリスからアメリカに渡ってきた人たちが、新しい土地での初収穫を神に感謝をしたことが起源とされています。
日本ではそれほど有名ではありませんが(ハロウィンはどうしてあんなに広まったのだろう?)、アメリカでは休業するお店等も多く、家族で感謝の祈りを捧げる日として広く認知されています。
この日を「一つの目安」とするのがNHLです。いつも通りのレギュラー・シーズン開幕から数えて、どのチームも20試合前後を消化している時期ですが、この時点での順位が一つの目安となり、「ウチはプレーオフ・トーナメントに進出できそうだな」とか「ちょっとヤバイかも…、監督代える?それともトレードする?」の判断材料となります。
ワイルド・カードを争っているチームが一番悩んでいて、その順位を維持するため、使える選手のみでメンバーを固定するか、育成と勝利の両方を狙うか、非常に判断が難しいです。
今回は、感謝祭の時、チーム内はどんな状況になるのか、またNHL現在の順位で危ないのはどこか、等を解説しています。
ホッケー界の迷信みたいに思えるけど、
意外と重要な日なんだにゃ!
引用元:NHL.com「Thanksgiving playoff position deadline real for NHL coaches」。
コーチズ・ルームの主旨
コーチズ・ルームは、NHLの元コーチやアシスタントが試合に批判的な視線を向け、教師のレンズを通して説明するというもので、2022-23年のレギュラーシーズンを通して恒例となっています。
マーク・レッキ、フィル・ハウスリー、マーク・クロフォードが交代で、自らの考えや意見を提供します。
※マーク・レッキ=現役時代は右ウィング。1980年代にNHLで活躍した選手の中で、最も引退するのが遅かった選手(2010‐2011まで)です。
その引退したシーズン、レッキは43歳ながらスタンレーカップ・ファイナルに出場(シカゴ・ブルーインズ在籍)、第2戦でゴールを決め、史上最年長の選手となりました。
このエディションでは、スタンレーカップで3回優勝し、ピッツバーグ・ペンギンズとニュージャージー・デビルズのアシスタントを務めた殿堂入り選手でもあるレッキが、米国の感謝祭がカレンダーに現れたとき、コーチ同士でなされる会話と、感謝祭がシーズンで非常に重要なベンチマークである理由について論じています。
重要な「感謝祭の日」
米国の感謝祭の週、NHLすべてのコーチング・スタッフが、順位表のどこに自チームがいるかを見ており、チームがスタンレーカップ・プレーオフに進出できる立場にない場合、一部のスタッフにはストレスを感じる人もいます。
米国のターキー・デーでプレーオフのポジションにいない場合、進出への勝算がないとよく言われますが、それは事実であり、コーチたちもそのことを話題にしています。
マジで議論してるんだにゃ…。
NHLの統計によると…
NHL Statsによりますと、2005-06シーズンに話を移すと、米国の感謝祭時点で、プレーオフ出場圏内のポジションにあったチームの76.3%がプレーオフに進出しました。
これには、COVID-19のために3月に一時停止し、カンファレンスごとに12チームがポストシーズンに参加するよう要請された2019-20シーズンは含まれていません。
また、2012-13シーズンと2020-21シーズンはどちらも米国の感謝祭の前にシーズン開幕を迎えていないため、カウントされません。
しかし、私が対象とする14シーズンでは、ポストシーズンに進出した224チームのうち171チームが、感謝祭の時点でプレーオフ進出圏内にいたのです。
マーク・レッキの経験談
ペンギンズにいたときにも話したのですが、プレーオフ進出は決まっていないけれども、感謝祭までにプレーオフ進出ができるように全力を尽くす必要があるということです。その統計がいかに重要かということについて、深く掘り下げたことを覚えています。
そして、最初にその話をしたとき、信じられないと思ったんです。その統計を見たときは、本当に驚きましたし、目から鱗が落ちました。
ピッツバーグで重要だったのは、スタンレーカップ進出の候補になることを期待されていて、それを私たちスタッフが理解していた、ということです。
だから、感謝祭後にプレーオフ進出の順位に留まれないようなチームにならないため、何を改善する必要があるかが重要でした。
ニュージャージー・デビルズ時代にはそれほど期待していませんでしたが、それでも前のシーズンの感謝祭が一つの基準になる話をしました。それよりも、(上の順位にいる)他のチームを捕まえられるか、もし捕まえたらどうなるか、という話をしていました。
デビルズでの最初のシーズンである2020-21シーズンは1月まで始まらなかったので、昨シーズンは、感謝祭の時、デビルズで迎えた唯一のシーズンとなりました。
今季のデビルズは破竹の快進撃!
こういう苦労の時期もあったんだにゃ。
2022年11月23日時点の順位
イースタン・カンファレンスの場合
15試合のスケジュールが入る11月23日(水曜日)時点での順位を見ると、ペンギンズ、フロリダ・パンサーズ、ワシントン・キャピタルズの3チームについて、我々は外部から検証しています。
(現在のチーム状況について)ピッツバーグでも話題になっていますが、それほど気にしてはいないと思います。そのグループにはチーム作りへの信念があり、ペンギンズも形を整え始めています。彼らは3連勝しました。
チームは安定してきており、木曜日までにあと1試合を残して、プレーオフ出場権獲得圏内までわずか1ポイントしか離れていません。
しかし、キャピタルズ(圏内まで5ポイント差)とパンサーズ(2ポイント差)の2チームについては、今後どうなるかを心配し始めるでしょう。
モントリオール・カナディアンズ(3ポイント差)やフィラデルフィア・フライヤーズ(4ポイント差)などは、期待値が低いので、また違う立場のチームだと思います。
キャピタルズとパンサーズは、長年プレーオフに出場しているチームです。特にパンサーズは、コーチを含む多くの変更を行ったため、順位表の真ん中で渋滞に巻き込まれています。
彼らは、どこかのチームが脱落するのではないか、と周囲を見回す必要があります。デトロイト・レッドウィングスに目をつけているのは間違いないし、あのチームは今シーズンも期待値が低いから理にかなっていますが、それでも仕事はこなしています。
脱落するのはニューヨーク・レンジャーズではないと思います、彼らは大丈夫でしょう。
そしてデビルズは素晴らしいホッケーをしていて、うまくチームの整備ができているので、少しペースを落としても順位を落とすことはないでしょう。でも、とにかく今のプレーのままならスピードが落ちないと思うんです。
したがって、ピッツバーグはデトロイトを捕まえるチームかもしれません。でも、それなら、ワシントンもあのチームを捕まえているのでしょうか?フロリダはあのチームを捕まえていますか?そういうチームのコーチング・ルームにいると、きっと心配になりますよ。
ウェスタンカン・ファレンスの場合
ウェスタンカン・ファレンスではさらにストレスがかかっていると思います。
カルガリー・フレームズは暑かったり寒かったりだが(調子が良かったり悪かったりだが)、あのチームには勝たなければならないプレッシャーがあります。
なぜなら、オフシーズンに彼らは大きな改革を行い、人々はその価値が何であれ、成果を勝ち取ったのだと言っていたからです。
しかし、火曜日に、カルガリー、ナッシュビル・プレデターズ、セントルイス・ブルース、エドモントン・オイラーズの4チームのポイントはタイで並んでおり(20ポイント)、ウェストの2つのワイルド・カード枠争いに入っています。
プレデターズには驚かされました。今シーズンはもっと強くなると思っていましたが、下位のチームに捕まるのではなく、上位のチームを捕まえることを考えなければならない立場です。ミネソタ・ワイルドも同じです(2ポイント差)。そこには間違いなくストレスがあります。
スターの多いオイラーズが、
意外と勝ち星伸びないんだにゃ。
この時期、どのチームもソワソワするのです
言いたくはないのですが、この時点で監督交代も気になり始めますし、(移籍)市場では懸念されることでしょう。ピッツバーグの時も、ニュージャージーの時も、再建中ということで(チームがピンチであるという)実感が湧きませんでした。
しかし、中には、このままではどうなってしまうかということについて、きちんと考えているチームもあるはずです。
フロリダは何かを変更したりしないでしょう、ポール・モーリスを雇ったばかりですから。フィラデルフィアには、ジョン・トルトレラ新監督が就任しました。ダリル・サッターはカルガリーで契約延長に署名したので、そこに何か変化が訪れるとは思えません。
ただ、プレーオフ進出を期待されているチームが、シーズンのこの時期にプレーオフの基準に達していないのかどうかは、わからないものです。GMはそれについて考えなければなりません。
彼やオーナーは、「ここで何かをしなければ、プレーオフには行けないかも…」と考えるかもしれません。願わくば、彼らがまずトレードに着手することを望みますが、それはどうなるか分かりません。
ですから、間違いなく、この感謝祭にまつわる統計を「デッドライン」と呼ぶのであれば、NHL全てのチームのコーチング・ルームで議論されているはずです。
私が参加した2つのチームでは、感謝祭にまつわる統計について話し、シーズンの残り期間で成功するために、チームはどのようなポジションにいるべきかを話しました。それが現実なのです。
まとめ
「20試合くらいで、そんなプレーオフのことが分かるものなのかな?」と思われた方も多いと思います。
「たかがシーズンの四分の一、されどシーズンの四分の一」で、上位集団から離されかけているチームはここで食らいついておかないと、ジワジワ差を拡げられて、年が明けた頃には取り返しのつかないことになっているかもしれません。
備えあれば憂いなし、今の内から準備をしておき、チームに体力を蓄えておいてから、第4コーナーで一気にまくってゴールイン!感謝祭の日は「決断の日」でもあるのです。
この記事の中に、全く名前の出てこないチームがあります。ベガスやシアトルのような新興チームは現在上位争いをしていますし、シカゴは連勝に次ぐ連勝で、よっぽどのことがない限り、今のポジションをキープし続けるでしょう。
コヨーテズやシャークスがなぁ…、プレーオフどころか、目先の一勝に四苦八苦している状態。この辺のチームが覚醒してリーグ戦を面白くしてくれないと、ますます差が開くばかりなのですが…。
ファンとしては、団子レースになって、毎日猫の目のように順位が入れ替わって欲しい!
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!