スタンレーカップ・プレーオフ開幕!注目点を徹底ガイド!【中編】

アイスホッケー名勝負

はじめに 

 毎日、NHLプレーオフで熱戦が続いています。ただ、ここに来て、上位チームが地力の差を見せているようにも思えるのですが…。おっと、これ以上はネタバレになるので、言ってはいけませんね。 

 最近、大学のアイスホッケーも楽しませてもらっていて、ホント「アイスホッケー漬け」です。 

 さて、今回は「スタンレーカップ・プレーオフ開幕!注目点を徹底ガイド!」【中編】です。お約束どおり(?)、前・中・後の三部作になる予定です。前編はこちら→

 2022−23シーズンを振り返りつつ、開催中のプレーオフの見どころを探るという、これからNHLを見ようとする方にはうってつけの記事ですから、それなりに役立つ部分も多いと思われます。今暫くお付き合いくださいね。 

讃岐猫
讃岐猫

今回の記事では、昔から因縁のあるチーム同士の対戦について、

ガイドしていくにゃ!

まずはニューヨークとニュージャージーから行ってみよう!

引用元:ESPN.com「Stanley Cup playoffs:Guide to top storylines, players to watch」。

ハドソン川の戦い 

 他の第1ラウンドシリーズでは、「ハドソン川の戦い(Battle of the Hudson)」という4つの単語があります。 

ハドソン川の戦い=ニューヨーク州とニュージャージー州は、ハドソン川を挟んで、隣同士の位置にある。ニューヨークのワールド・トレード・センター駅から電車に乗ると、ハドソン川を越え、わずか4分で隣のニュージャージー州に到着。両チームのファンがお互いのホーム・スタジアムへ行くことも、全く苦にならない。 

『デビルズvs.レンジャーズ』シリーズには何が期待できるでしょうか。 

 ニュージャージーでは青が多く、マディソン・スクエア・ガーデンでは赤が増えています。 

 2012年のイースタン・カンファレンス決勝、ニュージャージー・デビルズがニューヨーク・レンジャーズを破って以来(4勝2敗)初めて、あまり友好的でない近隣チームがプレーオフで対戦します。 

 昨シーズン、レンジャーズは、スターGKのイゴール・シェスターキン(27歳)、ノリス賞を受賞したディフェンスマンのアダム・フォックス(25歳)、スターフォワードのアルテミ・パナリン(左ウィング、31歳)、ミカ・ジバネジャド(センター、30歳)を擁して、カンファレンス・ファイナルに進出しました。 

 レンジャーズのスターパワーは、トレード期間の締め切り前にさらに強まりました:シカゴ・ブラックホークスのスーパースターであるパトリック・ケイン(右ウィング、34歳)、そしてセントルイス・ブルースのスコアラー、ウラジミール・タラセンコ(右ウィング、31歳)を獲得したのです。 

 スタンレーカップ通算4度目の優勝(過去3回は2010、2013、2015。いずれもブラックホークス時代)を狙うケインは、レンジャーズで19試合に出場して12ポイントを記録しています。 

デビルズ監督、踏ん張った! 

 一方、デビルズは2018年以来のプレーオフ出場権を獲得して、チーム再建を終えました。シーズンは、リンディ・ラフ監督(63歳)の解任を求めるファンの声で始まりました。 

リンディ・ラフ監督の解任を…=今シーズン開幕前、フロリダ・パンサーズの元監督であり、ジャック・アダムス賞のファイナリストである、アンドリュー・ブルネットをアシスタント・コーチに採用したことで、シーズン途中、ラフが彼と交代するのではないか、という声が挙がっていた。 

 しかしながら、シーズン勝ち点のフランチャイズ記録(112ポイント)とスターセンターのジャック・ヒューズ(センター、21歳)によるシーズン・ポイントのフランチャイズ新記録(99ポイント)を樹立して終了したのです。 

 ヒューズ、ニコ・ヒッシャー(センター、24歳)、ジェスパー・ブラット(左ウィング、24歳)、そしてディフェンスマンのドギー・ハミルトン(29歳)は、デビルズのハイテンポな攻撃とアグレッシブな守備を煽っています。 

 デビルスの前年から49ポイント増による順位上昇は、NHL史上最も劇的なものの一つで…、そして、ウェスタン・カンファレンスで2年目のシアトル・クラーケンによる逆転劇にほぼ匹敵しました。 

讃岐猫
讃岐猫

シーズン前半、ブルーインズ以上に、

その躍進ぶりを大いに取り上げられていたのが

デビルズだったにゃ。

途中やや失速気味の時期もあったけど、

いい形でフィニッシュできたチームの一つじゃないかな。

クラーケン、大躍進! 

クラーケンは、どうやってプレーオフに進出したのですか? 

 クラーケンが、拡大ドラフトでチームを作った、ベガス・ゴールデン・ナイツの1年目のような成功を再現できず、ベガスのようにスタンレーカップ決勝に進出するどころか、プレーオフにも進出できなかったことに多くの人が失望していました(昨シーズンのチーム成績:27-49-6、パシフィック・ディビジョン最下位)。 

 しかし、彼らは2年目に暗号を解読したおかげで、勝ち点100ポイントのシーズン記録を達成し、前年比で60ポイントも改善したのです(今シーズンのチーム成績:46-28-8、パシフィック・ディビジョン4位)。 

 昨シーズンとは異なり、最終的にクラーケンのチーム・セーブ率は30位に終わりましたが、ここぞという時に、ゴールテンディングが良かったと思います。 

 しかし、シアトルをプレーオフチームに押し上げたのは攻撃陣であり、ジャレッド・マッキャン(左ウィング、26歳)が40ゴールを記録したシーズン、ディフェンスのビンス・ダン(26歳)がキャリアハイのポイント(64)を記録したシーズン、 

そして最も重要なのは新人センターのマッティ・ベニアーズ(センター、20歳)が大活躍したシーズンのおかげで、NHLでは1試合あたりの平均ゴール数で4位につけることができました。カルダー・トロフィー(シーズン最優秀新人選手賞)の寵児は80試合で57ポイントをマークし、大活躍でした。 

 クラーケンは1番目のワイルドカード枠に入ってシーズンを終え、セントラル・ディビジョンのチャンピオンである、コロラド・アバランチとの1回戦の日程を獲得したのです。 

ケガ人が多くても… 

今年のアバランチってどうなんですか? 

 前回のスタンレーカップ優勝チームの状況は…昨シーズンと異なっています。 

 昨年夏には、得点ランキングのトップ5に名を連ねる、センターのナゼム・カドリ(フレームス所属、32歳)とアンドレ・ブラコフスキー(クラーケン所属、左ウィング、28歳)がチームを去り、先発GKのダーシー・クエンパー(キャピタルズ所属、32歳)を、レンジャーズのバックアップであるアレクサンドル・ゲオルギエフ(27歳)に代えてしまいました。 

 今シーズン、怪我という虫がアヴス(アバランチの愛称)をむしゃむしゃ食べ、70試合に出場できたのは8人だけでした。キャプテンのガブリエル・ランデスコグ(左ウィング、30歳)はシーズンを欠場し、ポストシーズンも欠場を余儀なくされています。 

 クラーケンにとって不幸なことに、いくつかの点で、アバランチは昨シーズンと同じ状況にあります。 

 例えば、今シーズン、キャリアハイとなる55ゴールを記録したウィンガーのミッコ・ランタネン(右ウィング、26歳)や、60試合で65ポイントを記録したディフェンダーのケイル・マカール(24歳)がそれです。111ポイントでポイント王に輝いたネイサン・マッキノン(センター、27歳)の意志も、昨年と何も変わっていません。 

 ダラスを抜いて、アバランチがセントラル・ディビジョンのタイトルを獲得した金曜日、ナッシュビルとの試合に勝利し、マッキノンは4つのゴールすべてに関与しました。昨年のポストシーズンで見たように(20試合、13ゴール・11アシスト)、マッキノンはチームをどこまでも押し上げていくでしょう。 

讃岐猫
讃岐猫

さすが昨シーズンのチャンピオン・チーム、

猛烈な追い上げでディビジョンのトップに立ったにゃ。

ケガ人続出で、満足に先発メンバーを組めない時期もあったのに、

トップに立つということは、それだけ選手層が厚いってことだ。

かつてはミネソタにいました 

スターズの対戦相手は? 

 ミネソタ・ワイルドです。元ノース・スターズ(ダラス・スターズの前身)が、史上2度目(2015-16シーズン・第1ラウンド以来。スターズの勝利)となる「元・ホッケーをしていた(本拠地としていた)州のチーム」と対戦することになりました。 

元ノース・スターズ…=80年代後半から90年代初頭にかけて、ミネソタ・ノース・スターズに移転の噂が絶えず、一時は、アナハイムへの移転が決まりかけていたが、これはアナハイム・ダックスの誕生によりご破算に。 

 結局、93−94シーズン前にダラスへの移転が決定、南部の州へ移るため、「ノース」が取れて「ダラス・スターズ」となったのである。スターズの所有権争いは移転後も続いたが、2000年に新チームをミネソタへ作ることで合意を得て、収束。それが「ミネソタ・ワイルド」である。 

 スターズは、2015-16シーズン以降で最高の得点率(.659)を記録しました。ジェイソン・ロバートソン(左ウィング、23歳)、ジョー・パベルスキー(センター、38歳)、ループ・ヒンツ(センター、26歳)のラインが相手チームを恐怖に陥れ、ダラスの大黒柱であるジェイミー・ベン(左ウィング、33歳。33ゴール)とタイラー・セギン(センター、31歳。50ポイント)は好調なシーズンを送りました。 

 ディフェンスのミロ・ハイスカネン(23歳)はシーズン73ポイントを記録し、これまでのキャリアの記録を打ち破りました。ゴールキーパーのジェイク・エッティンガー(24歳)は、昨シーズン、プレーオフでの輝かしい活躍でその期待に応えていました。 

 これらのすべては、デビルズとシャークスそれぞれの監督就任初年度に、スタンレーカップ・ファイナルに進出させたことで有名な、ピート・デボア新監督(54歳)がベンチにいることによるのです。 

ピート・デボア新監督…=決勝はどちらも敗退。また、この2チームでは、シーズン途中に解雇されている。2019−20シーズン、ベガス・ゴールデンナイツを率いてプレーオフに進出、カンファレンス・ファイナルで敗退しているが、その時の相手がダラス・スターズである。 

環境が変わると… 

 一方、ザ・ワイルドは、トレード実行前、決して勝手に判断してはならないことを私たちに思い出させました。昨年、マーク・アンドレ・フルーリー(38歳)と再契約したとき、同じミネソタのGKであるカム・タルボット(35歳)に対して、とても不幸にしてしまったことを思い出してください。 

 そこで、ワイルドはタルボットをオタワにトレードし、ゴールキーパーのフィリップ・グスタフソン(24歳)を獲得しましたが、これは、誰もが認めるくらいゴールキーパーの格下げとみなされていました。 

 82試合を早送りしてみたところ、「The Gus Bus(グスタフソンの愛称)」は22勝を挙げ、25試合以上出場したGKでは平均失点3位(2.10)、セーブ率2位(.931)となりました。 

 2022年のプレーオフでゴールテンディングに失敗したワイルド(第1ラウンド、ブルースに2勝4敗で敗退)は、このポストシーズンで起用するゴールキーパーをめぐり、いくつかの選択肢があります。 

 一方、スターウィンガーのキリル・カプリゾフ(左ウィング、25歳)は、ポイント王レースでコナー・マクデイビッドに78ポイント差をつけられましたが、67試合で40ゴール・75ポイントと再び素晴らしい成績を収めました。 

マクデイビッドはポケモン? 

今シーズンのコナー・マクデイビッドは、どれくらい凄かったのですか? 

 26歳のマクデイビッドはホッケーの神へとポケモンのように進化し、新たな姿に到達しました。 

 エドモントン・オイラーズのセンターは82試合で153ポイントを記録し、これはNHL史上15番目に高い合計ポイントであり、1995-96シーズンのマリオ・ルミューの161ポイント以来、最高のオフェンス・シーズンを送ったことになります。 

1995-96シーズンのマリオ・ルミュー…=詳細はこちら↓。

 マクデイビッドの64ゴールは、2007-08シーズン、アレックス・オベチキンの記録した65ゴール以来のものとなりました。 

  NHLポイント王2位であり、エドモントンのチームメート、レオン・ドレイサイトル(センター、27歳)を25ポイント上回ってフィニッシュした、マクデイビッドにとってキャリア最高の成績は、MVPと年間最優秀選手賞の受賞を予感させるものです。 

MVPと年間最優秀選手賞の受賞を…=どちらが、シーズンMVPに与えられるHart Memorial Trophyを言っているのか不明。おそらく前者はプレーオフのMVP、後者がHart Memorial Trophyと思われる。 

讃岐猫
讃岐猫

マクデイビッドが「優勝チーム以外から選ばれたMVP」になりそうだにゃ。

ただ、オイラーズはディビジョンで優勝していないし、

プレーオフで早期敗退となると、MVP争いも混沌としてくるかも。

次回・後編もお楽しみに!ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

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