はじめに
もう今週末にはクリスマスがやってきます。新型コロナ禍が落ち着いたのかどうか、何とも見解の分かれるところですが、おそらく昨年の今頃よりかは街中に活気が戻ってきているのではないでしょうか。
個人的には、「クリスマスキャロルの頃には」でお馴染の稲垣潤一の、一日も早い体調の回復を祈ってます。取り立てて好きなアーティストではないのですが、あの曲にはいろいろと思い出があり過ぎまして…。とにもかくにも、皆さん飲み過ぎには注意しましょう。
さて、NHLにもクリスマスはやってきます。普段、鉄の鎧を身にまとい、ドシン!ガツンとぶつかり合ってる選手達も、この日ばかりは「普通の青年」に戻るのです。今回は普通の青年に戻ったNHL選手の話を含め、短くても内容のある記事を3つお届けしましょう。
一つはNHL下部リーグで起きた珍プレー(これは選手に失礼か)・好プレー、もう一つは合衆国に横たわる人種問題を打破し、NHLトロント・メープルリーフスのコーチとして活躍する人物についてです。
毎週、毎日、NHLではいろんなことが起きていて、
追いかけるのに大変だにゃ。
サンタ・リーボとキリル・カプリテルフ
一本の電話から
サンタ・リーボとキリル・カプリテルフを紹介しましょう。
ミネソタ・ワイルドのフォワード、ライアン・リーブスとキリル・カプリゾフは、日曜日、エクセル・エナジー・センターでのオタワ・セネターズ戦の前、サンタクロースとエルフの衣装を身にまとい、完全なホリデー気分に浸っていました。
※エルフ=現代の米国、カナダ、英国における民間伝承では、サンタクロースの助手としてエルフが登場する。このエルフは緑色の服を着て、尖った耳と長い鼻を持つ。想像上の彼らはサンタクロースの工場でクリスマスのプレゼントになるおもちゃを作り、包装している。
リーブスは試合前に真っ赤なサンタクロースのスーツとひげを生やし、カプリゾフは緑の服を着ていて、ワイルドのホーム・セーターとは程遠いいで立ちでした。
「リーボは数日前に僕に電話をかけてきて、エルフになりたいかどうか尋ねてきたんだ。彼はサンタ希望だ」とカプリゾフは語りました。「僕はこう答えたよ、『ああ、いいよ。それで行こうよ」ってね。全部リーボのアイディアだよ」。
来年もやる…かもね
ウォーミングアップ中、リーブスとカプリゾフはクリスマスをテーマにした帽子をかぶったまま、参加者にパックやミニスティックを配りました。
この試合はワイルドにとって2022年最後のホームゲームでした。4対2で勝った後、彼らはSNSでフォトショップを使い楽しんでいました。
サンタ・リーボとカプリテルフは、路上で何かしたりはしません。しかし、決して心配する事はありません、少年少女たちよ、2023年にまた彼らに会えるかもしれないから。
「多分、来年会えるかもしれないね」とカプリゾフは語りました。
クリスマス・ファッションの
2人のスター選手からプレゼントもらったら、
子供達は大喜びだろうにゃ。
※すっかり「クリスマスのスター」になった2人の映像は、以下の引用元で見られます。
引用元:NHL.com「Reaves, Kaprizov get Wild in holiday spirit」。
チーム史上初のゴールキーパー・ゴール!
ボストン・ブルーインズのマイナーリーガー、フランソワ・ブラッサードは、メイン・マリナーズの名を歴史に刻むため、長距離からダイヤルアップで「1本」を打ちました。
※メイン・マリナーズ =メイン州ポートランドをホームとする、ECHL(イーストコースト・ホッケー・リーグ)に所属するチーム。現在、イースタン・カンファレンスの第9位。プレーオフ圏内まであと一歩。
この28歳のゴールキーパーは、日曜日のアディロンダック・サンダー戦に5-2で勝利した際、氷の向こう側からゴールを決めました。
※アディロンダック・サンダー=ニューヨーク州グレンズフォールズをホームとする、 ECHLに所属するチーム。NHLのニュージャージーデビルズと提携。
ブラッサードは残り24秒で、ゴールクリーズ(ゴールの前にある半円状のマーク)のすぐ左にあったルーズ・パックを拾い、狙いを定めて発砲しました。
彼の打ったパックは自陣前にいる10人のスケーターを空中でクリアし、レッドライン付近でパックが氷に当たる頃には、サンダー側の最後尾のディフェンダーが追いつけないほどの速さで動いていました。
これはマリナーズ史上初のゴールキーパーゴールです。
※ブラッサードのスーパーゴール映像は、以下の引用元で見られます。
引用元:NHL.com「Bruins minor leaguer scores goalie goal for ECHL’s Maine Mariners」。
アバクロンビーの帰郷
ホーム・アリーナ全体での祝福
デュアンテ・アバクロンビーは土曜日にキャピタル・ワン・アリーナに帰郷しました。
※デュアンテ・アバクロンビーは、ニュージーランドのオークランド、ペンシルバニア州ピッツバーグ、ニューヨーク州ブリュースターでプロとしてプレーしたがNHLでのプレー経験はない。しかし、以下に示す通り、コーチとして抜群の仕事をしてきたのである。
ワシントンD.C.の由緒あるフォート・デュポン・アイスホッケー・クラブの35歳の卒業生が、トロント・メープルリーフスのコーチ育成アソシエイトとして、初めて故郷の街に戻ってきたのです。
※フォート・デュポン・アイスホッケー・クラブ=1978年、ニール・ヘンダーソンにより設立。組織化されたアイスホッケー・プログラムに参加する機会を、地元および都心の若者に提供する育成プログラムを持つ。
南北戦争の海軍の英雄であるサミュエル・フランシス・デュポンにちなんで名付けられたフォートデュポンは、ワシントンDCの南北戦争防御として知られている砦の1つ。
トロントがワシントン・キャピタルズと対戦する前のウォームアップ中、アバクロンビーはベンチの後ろに立ち、彼の家族、フォートデュポンのコーチで創設者のニール・ヘンダーソン、そしてキャピタルズのブラックホッケー委員会のメンバーが彼の真後ろにあるガラス越しに見守っていました。
※ニール・ヘンダーソン=メリーランド州アッパーマールボロ出身。過去40年以上にわたり、ホッケーのゲームを広め、スポーツを利用して、アメリカの若者に生涯にわたる教訓を提供することに人生を捧げてきた人物。
※キャピタルズのブラックホッケー委員会=2021年1月、キャピタルズは、コミュニティと組織のリーダーで構成されるブラックホッケー委員会設立を発表。この委員会は、人種差別を根絶する方法に取り組み、十分なサービスを受けていないコミュニティについて、ゲーム等により成長を促す方法について話し合うもの。
キャピタルズはまた、キャピタル・ワン・アリーナの巨大なセンター・アイス・スコアボードでアバクロンビーに敬意を表しました。
苦難の道の末に、輝かしい未来が
1978年に北米で最も古いマイノリティー向けのユースホッケー・プログラムを設立し、2019年に米国ホッケーの殿堂入りを果たしたヘンダーソンは 「涙が出そうになりますよ。彼がどんな経験を積んで今の地位を築いたのか、驚くばかりです。
どんなところから来たとしても、そこに至るまで何が起こるかわからないということを証明しています」。
ヘンダーソンの言葉にジンと来てしまったにゃ…。
アバクロンビーは、メンターであり父親でもあるヘンダーソンの後を追ってコーチの地位に就き、いつかNHLチームで働くことを切望していました。
※メンター=信頼できる相談相手、良き指導者のこと。
彼とナサニエル・ブルックスは、2021年9月、アリゾナ・コヨーテズ初のコーチング・インターンシップ・プログラムに参加した2人の黒人コーチを記録した、NHL制作の4部構成のドキュメンタリー番組「NHLバウンド」の題材となったのです。
※ナサニエル・ブルックス=トロントのスポーツ学校であるライアソン大学のアシスタント、2020年に作成されたブラックラン・プログラムである、シーサイドホッケー(オンタリオ州スカボローの一部でホッケーを復活をさせるプロジェクト)の共同創設者を歴任。
多くの黒人NHLプレーヤーを育成し、輩出してきたことでも有名。
アリゾナ州は、2022年7月、ライアソン大学男子ホッケーコーチを務めていたブルックスを能力開発コーチとして採用しました。
9月、メイプルリーフスは、ボルチモア近郊のNCAAディビジョン3のスティーブンソン大学からアバクロンビーを採用しました。アバクロンビーは、2019年から22年まで、そこでアシスタントコーチを務めていました。
※スティーブンソン大学=1947年創立。メリーランド州スティーブンソンにあるリベラルアーツの男女共学校。職業教育に焦点を当てたリベラルアーツ教育が行われており。卒業後、実社会で活躍するための準備となるカリキュラムが組まれている。
また、ワシントン・リトル・キャップスのコーチ兼選手強化部長、ジョージタウン予備校のコーチ、メイン州の引退したNHLフォワード、グレアム・タウンゼントのホッケー・スクールにてインストラクター、個人的なスキルコーチも務めました。
※ワシントン・リトル・キャップス=キャピタルズの下部組織であり、U-18をはじめとする青少年世代選手の育成組織。
※ジョージタウン予備校=1789年創立。アメリカで最古の男子校であり、また唯一のキリスト教カトリック系イエズス会の全寮制寄宿学校でもある。
名門ジョージタウン大学の予備校として設立され、創立来、名門校として長くその地位を保っている。スポーツの強豪校としても有名。
※グレアム・タウンゼント=ジャマイカ生まれのカナダ人プレーヤー。ポジションは右ウィング。NHLでプレーした最初のジャマイカ生まれの選手であり、1990~1993年の間にNHLで45試合をプレー。
※アバクロンビーの喜びの映像は、以下の引用元で見られます。
引用元:NHL.com「Capitals welcome home Abercrombie with tribute」。
まとめ
アバクロンビーの記事から、NHLが独自の情報網を駆使して、選手だけでなく、コーチとしての逸材を探しているのがよく分かりました。
日本人がもっと「NHLバウンド」のような番組を見て、合衆国の抱える問題を知ると同時に、他人に何かを伝える・教えることの大切さを学んでほしいと思います。さすがに、日本アイスホッケー界では見てると思いますが…。
メイン・マリナーズのブラッサードのプレーは、有りそうで無さそうなプレーといった感じがします。
NHL.TVを見てても、「ゴールテンダーがあの位置から力いっぱい打ったら、入りそうなのに…」と思わないでもないのですが、実際はものすごく離れていますし、そもそも敵味方合わせて10人の人間が散らばってますから、誰かに当たってしまう可能性もあります。
それが、まるでゴルフのホールインワンのように、何の邪魔もなく入っちゃったわけですから、ブラッサードはもしかしたら密かにゴルフ打ちっぱなしで練習してるかもしれませんよ…。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!