レンジャーズ、まさかの監督解任!後釜は「いわくつきの名将」か?

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はじめに 

 このオフ、プレーオフ1回戦敗退チームがどう立て直していくか、を記事にしてきましたが、そんな中、ニューヨーク・レンジャーズがジェラルド・ギャラン監督解任の荒療治に出ました。 

 ギャランと言えば、できたばかりの新興チームだったベガス・ゴールデンナイツを、スタンレーカップ決勝にまで導いた辣腕で知られています。 

 元々スター選手の多いレンジャーズはトレードで更に大型補強をし、攻撃面の充実度から、プレーオフも順調に勝ち進むのではないかと予想されていました。しかし、フタを開けてみると、1回戦途中からまさかの失速。ニュージャージー・デビルズにまさかの敗北を喫したのです。 

 チーム内もかなり混乱しているのか、いろいろとお騒がせした「あの名将」を引っ張り出そうとしているようです。これにはかなりの労力が必要らしく、「何で俺がクビなの?」と、ギャランが不平不満を口にするのも無理ないところです。 

讃岐猫
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トレードの2人もスター選手ではあるけど、

いかにも付け焼刃的な補強なんだにゃ。

誰がこのトレードの指示を出したのか、それも気になる。

引用元:ESPN.com「Gallant out as coach of Rangers after first-round elimination」。

名監督、なぜか(?)解任! 

 5月6日(土曜日)、ニューヨーク・レンジャーズとジェラルド・ギャラン監督は「双方が別れることで合意した」と発表しました。 

ジェラルド・ギャラン=カナダ、プリンスエドワード島サマーサイド出身、59歳。現役時のポジションは左ウィング。80年代後半から90年代初頭まで、デトロイト・レッドウィングスの主力として活躍するも、背中のケガなどで引退。 

 創設間もないベガス・ゴールデンナイツをスタンレーカップ決勝まで導く(2017-18)手腕を見せる反面、プレーオフ1回戦負けも多い。 

 59歳のギャランはレンジャーズでの2年目を迎え、レギュラー・シーズン通算99-46-19の成績を残しています。2022年のイースタン・カンファレンス決勝では監督を務め、タンパベイ・ライトニングに敗れました。 

 しかし、2023年のポストシーズンでは、レンジャーズはシリーズの最初の2試合に勝利したにもかかわらず、ライバルのニュージャージー・デビルズに7試合で敗れ、失望を味わっているところです。 

 レンジャーズのGM、クリス・ドルーリーは「まずジェラルド監督の仕事ぶりと、チームへの献身に感謝したい」とコメントしました。 

クリス・ドルーリー=米国、コネチカット州トランブル出身、46歳。現役時のポジションはセンター。ニューヨーク・レンジャーズ25代目キャプテン。キャンプテンシーに溢れ、かつここぞという時にゴールを決める選手として有名。 

 コロラド・アバランチ時代、4季連続のプレーオフで合計11にも及ぶ決勝ゴールを挙げている。 

 「シーズンを評価し、ジェラルドと話し合った結果、お互いに変化していくことが、双方にとって有益であるという結論に達した。彼と彼の家族がこれからも幸せでありますように。新監督探しはすぐに始める」と述べています。 

トレード、結局うまく行かず! 

 レンジャーズの(第1ラウンド)敗退後、ギャランが2024-25シーズンまでの契約を結んでいるにもかかわらず、彼の仕事の継続が危ぶまれるのではないかという話がありました。 

 トレード期限時、チームはスター選手のパトリック・ケイン(右ウィング、34歳)とウラジミール・タラセンコ(右ウィング、31歳)を獲得し、プレーオフに向けて大きな期待を寄せていました。この夏、2人とも自由契約選手となります。 

讃岐猫
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2人ともベテランな上に高給取りすぎて、

元所属チームでは浮いていた存在だったにゃ。

それを根こそぎぶん取ったレンジャーズ、あまりにも短絡的だったか…。

GMと監督の心はバラバラ… 

 5月3日(水曜日)、レンジャーズのオフの日、ドルーリーはメディアに会いませんでした。ギャラン対しても同様に会っておらず、自分の監督としての地位について、ギャランはドルーリーとまだ会って話し合っていないと述べています。 

 自分の雇用保障が問題になっていることに、彼は不満を持っていました。 

 「この2年間について成功したと思っているから、私はここ(メディアとの会見場)にやってきた。1週間だけチームの調子が悪かったので、それが仇となったようだ。 

 もし、今まで打ち立てた自分の記録や、やってきたこと(ここ〈レンジャーズ〉での記録だけでなく)について支持されないとしたら、それは何か間違っているんじゃないか。なかなかいいものだと思ってるけどね。 

 しかし、ここはニューヨークだからね、人々は適当な感じで解雇しようしているんだ。それで構わないさ」と彼は言いました。 

 ギャランはさらに、「メディアに取り上げられた挙げ句、解雇されたとか、クビになったとか、そんな質問に答えなければならないなんて信じられないよ。残念だ」と付け加えています。 

チーム内から監督への不満も… 

 NHL関係者がESPNに語ったところによると、ベンチの後ろから「新しい声(新しい監督の声)」を出していく必要性が明らかとなり、そのようなレンジャーズの選手たちからの意見が、(5月6日の)退団会見におけるギャランとの決別を決定する要因になったと言われています。 

 「豊かな歴史と信じられないほど情熱的なファン層を持つ、オリジナル・シックスのフランチャイズを指導した経験は、決して忘れられないものだ。 

 家族やクリスと話し合った結果、これが自分にとっても、現時点でのレンジャーズにとっても、正しい判断だったことが明らかになった」とギャランはコメントしています。 

 レンジャーズは、ギャランのアシスタントコーチであるゴード・マーフィー、マイク・ケリー、ジム・ミジリーについてまだ決定を下していません。 

ゴード・マーフィー=カナダ、オンタリオ州ウィローデール出身、56歳。現役時のポジションはディフェンス。フライヤーズ(ドラフト指名)、ブルーインズ、パンサーズそれぞれでプレーオフ出場歴を持つ。 

マイク・ケリー=カナダ、オークビル出身、63歳。パンサーズ、ゴールデンナイツ、そしてレンジャーズと、ギャランが監督を務めるチームで、必ず補佐役として入閣している。NHLでのプレー歴はない。 

ジム・ミジリー=カナダ、オンタリオ州タウンゼント出身、45歳。彼もNHLでのプレー歴はなく、オーストラリアの大学で4年間のプレー経験がある。カナダのケベック・メジャー・ジュニア・ホッケーリーグでアシスタント・コーチ及び監督を長く務めていた。 

讃岐猫
讃岐猫

まあ、選手達からも不満の声が出ては、

さすがのギャランも踏ん切ったわけだにゃ。

3人のアシスタントは、みんなギャランの懐刀。一緒に退団でしょう。

あの「名将」を引っ張り出そうとしているのだが… 

 ギャランは、コロンバスブルージャケッツ(2003-2007)、フロリダパンサーズ(2014-2017)、ベガスゴールデンナイツ(2017-2019)に在籍し、(ゴールデンナイツ就任)初年度にスタンレーカップ決勝に導いた後、今回(レンジャーズ)がNHL4度目の監督業となりました。 

 ギャランの退団は、スタンレーカップ優勝経験を持つジョエル・ケネビル監督について、レンジャーズが関心を持っていると、プレーオフ期間中に憶測が飛び交ったことによります。レンジャーズが彼を雇うためには、NHLへ請願する必要が出てきます。 

ジョエル・ケネビル=カナダ、オンタリオ州ウィンザー出身、64歳。現役時のポジションはディフェンス。プレーオフ出場20回、スタンレーカップ優勝3回を誇り、歴代2位の969勝を記録している名将。 

 2000年代後半から2010年代半ばまで、1961年以来、スタンレーカップから遠ざかっていたシカゴ・ブラックホークスに黄金時代をもたらした。 

 シカゴ・ブラックホークスが2010年のスタンレーカップに出場した際、アシスタント・コーチの一人が選手に性的虐待を加えたとの疑惑について、いかに誤って処理したかを詳細に報じられ、2021年10月、ケネビルはフロリダのコーチを辞任しました。 

 2010年当時、シカゴのコーチを務めていたのはケネビルだったのです。 

いかに誤って処理したか=チームが被害者から訴えられる前、ケネビルは、アシスタント・コーチの暴行について「知らない」とコメントしていた。しかし、複数の関係者から、2010年スタンレーカップ決勝進出直後、暴行についての会議にケネビルの招集が判明。 

 その会議では、決勝終了まで本件を表沙汰にしないこと、決勝終了後、該当コーチは速やかに辞任すること、等が話し合われたとされている。事態を重く見たNHLは、話し合いの中で、ケネビルの即時辞任を求めたのである。 

コミッショナーが立ちはだかる! 

 NHLのコミッショナーであるゲイリー・ベットマンとの会談後、彼は辞任しましたが、ベットマンは、ケネビルが別のNHLの職に就くのであれば、その前に承認を得る必要があると述べています。 

 2022年5月、ベットマンは「彼が適切な時期だと考え、復帰する準備ができていると感じ、今がチャンスであると判断した場合、コーチ業への復帰はジョエルによって開始されると考えている」と述べ、「しかし、繰り返しになるが、その時点で評価しなければならない」と続けました。

まとめ 

 ジョエル・ケネビルは誰もが認める名監督で、その実績に疑いの余地なしですが、いかんせんリーグ全体の許可をもらわないと、監督就任は実現しないという高い壁が存在しています。これをいかにしてクリアするか、レンジャーズGMの腕の見せ所でしょう。 

 しかし、ギャランからしてみれば、そんな手間ひまかけなくても、もう1シーズン、チャンスをくれれば(契約期間も残っていたし)、選手と話し合って、チームを再び高みへ導いていけるのに…という思いは当然あるはずです。 

 ドラフトまでに新監督を決めなければ、チーム編成にも支障が出てきます。伝統のオリジナル・シックスであるレンジャーズが、どういった手を打ってくるか。そして、この監督解任が、他のチームの人事にも影響しそうな予感がします。 

讃岐猫
讃岐猫

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

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