NHLニューヨークのパナリン、今季100ポイント以上稼ぐか?

現役スター選手紹介

はじめに

 NHL.comの名物コーナー「State Your Case」は公式サイト専属のライターや評論家による討論会であり、選手やチーム、あるいはNHLの未来について、熱く語り合っています。

 とても分かりやすく解説してくれているし(熱くなり過ぎて、日本人には分かりづらい表現も出てきますが)、過去の記録や名選手・名勝負を紹介してくれるので、現在だけでなく歴史も勉強したいと思っている自分にはありがたい限りです。

 さて、今回採り上げられているのは、ニューヨーク・レンジャーズのアルテミ・パナリン(左ウィング、30歳)です。年齢的にも脂の乗り切ったパナリンは、ここ数年、パンデミック禍にもかかわらず、とてもいいプレーを連発してくれています。

 日本で紹介されたら、必ずや人気の出そうなスター選手の一人でもあります。そんなパナリンが100ポイント以上を達成できるか?が討論のお題、2人のライターはいろんな記録を持ち出して検証してくれていますが、果たしてどうなることでしょう。

讃岐猫
讃岐猫

伝統あるレンジャーズを引っ張るパナリン、

今シーズンは若手との連携をさらに深めているようだにゃ。

引用元:NHL.com「State Your Case: Can Panarin get 100 points for Rangers this season?」。

パナリンは100ポイントを達成するか?

 ニューヨーク・レンジャーズのアルテミ・パナリンは、6試合で12ポイント(4ゴール・8アシスト)と好調なスタートを切りました。

 このフォワードは164ポイントを獲得しそうなペースで、これ(164)を上回るポイントを挙げた選手は、ウェイン・グレツキー(8回、元レンジャーズ等でセンター)とマリオ・ルミュー(2回、ペンギンズ一筋のセンター)だけです。

 パナリンは昨シーズン、75試合でNHLキャリアハイの96ポイント(22ゴール・74アシスト)を記録しており、新型コロナウイルスのパンデミックによって、2019-20シーズンが短縮されなければ、おそらく100ポイントに達していたでしょう。ちなみに、69試合で95ポイント(32ゴール・63アシスト)でした。

 この高度な技術を持つパサーは、今季6試合に出場して4ポイントを獲得したのが2試合、それ以外の試合でも1ポイント以上を獲得しています。彼は、火曜日(東部標準時午後8時)にレンジャーズ(3勝2敗1分け)がコロラド・アバランチ(3勝2敗1分け)とのホームゲームを開催する時、さらにその数を増やそうとするでしょう。

 しかし、パナリンは本当に今シーズン100ポイントを達成するでしょうか。

 NHL.comのライターであるマイク・モレアーレ氏とダン・ローゼン氏は、今回の「State Your Case(討論会)」の中で次のように述べています。

討論の内容

スタミナが続くか?

モレアーレ:この議論を免責事項から始めさせてください:パナリンはNHLで最高のプレイメーカーかもしれません。見るのがとても楽しいプレイヤーです。

 また、彼は30日(日曜日)に31歳になり、NHLで8回目のシーズンを迎えているため、82試合のシーズンが進むにつれて、彼がキャリアを通じて維持してきた巧みな動きとペースが追いつかなくなるかもしれません。つまり、彼が現在の得点シーンを続けていく可能性は低いので、今シーズンは100ポイントには届かないでしょう。

 確かに、彼は昨シーズンのポイントでNHLのキャリアハイを更新していますが、今のニューヨークでは、もっと多くの選手にパックが回ってくるようになっています。

 凄い選手と言えば、センターのミカ・ジバネジャド(センター、29歳)も100ポイントでフィニッシュするには十分な力を持っています。

 フォワードのクリス・クライダー(左ウィング、31歳)、アレクシス・ラフレニエール(左ウィング、21歳)、カーポ・カッコ(右ウィング、21歳)、ヴィンセント・トロチェック(センター、29歳。カロライナ・ハリケーンズから新加入)も同等の強さを持っています。

 パワープレーでも大きな力を発揮するから、彼らが攻撃側に立った時、(パナリンより)たくさんプレイすることを忘れないでほしいですね(それだけパナリンのプレイ時間が減る)。

 さらに、ニューヨークはタフなメトロポリタン・ディビジョンのチームと25試合を戦うため、(パナリンのプレイする)時間とスペースは、彼からパックを奪うために構成されたチームによって制限されるはずです。

讃岐猫
讃岐猫

うーん、他のチームを見ても、

31歳でバリバリ動けている選手は多いけどにゃあ…。

コンディション、チーム内の役割分担共に万全!

ローゼン:パナリンは今シーズン100ポイントを確実に達成します。マイクが鋭く指摘したように、昨シーズンの96ポイントは、75試合で達成されたものでした。実際、パナリンが82試合のシーズンで7試合欠場することは稀でした。

 彼は最初の4シーズンで合計6試合を欠場したが、そのすべてが82試合でした。その後、短縮された2019-20シーズンはレンジャーズで全69試合に出場し、2020-21年は14試合を欠場したが、うち9試合は個人的な理由で休んだ結果でした。

 実際のところ、彼は素晴らしいコンディションを維持しており、年を取っておらず、NHLで最高のプレイメーカーの1人です。

 レンジャーズのパワープレイは優れた選手揃いであり、パナリンはそれについて最高のビジョンを持っています。オフシーズンにフリーエージェントで契約したトロチェックと相性が良くなってきており、ラフレニエールを右ウイングとして起用することはうまくいっているようです。

 パナリンは6試合で12ポイントを挙げていても、そのペースは落ちるでしょうし、シーズンを通して164ポイントのペースを維持することはできません。しかし、100ポイントの大台は楽勝でしょう。

監督が100ポイント稼ぐのを許すだろうか?

モレアーレ:ダンは有効なポイントを稼いでいますが、レンジャーズのジェラルド・ギャラント監督がNHLコーチとしての10シーズン過した中で、(自分の率いた)チームに100ポイントのスコアラーがいなかったことに留意しなければなりません。これには、リック・ナッシュ(現・コロンバスブルージャケッツの選手育成ディレクター)とセルゲイ・フェドロフ(現・CSKAモスクワのヘッドコーチ)が攻撃の起爆剤となったコロンバス・ブルージャケッツでの仕事も含まれます。

 ジョナサン・ヒューバードー(現カルガリー・フレイムズ、センター、29歳)、アレクサンダー・バルコフ(センター、27歳)、さらにはヤロミール・ヤーガー(母国チェコのチームで現役続行中?)がいた時代のフロリダ・パンサーズ;そして、マックス・パシオレッティ(現カロライナ・ハリケーンズ、左ウィング、33歳)、マーク・ストーン(右ウィング、30歳)、ジョナサン・マルチェソー(センター、31歳)が攻撃の主導権を握った時のベガス・ゴールデンナイツ。

 私がここで言いたいのは、パナリンは攻撃のダイナモだが、ギャラントのコーチとしての要求は、特にニューヨークに若く、成長している守備の中核的選手がいる場合、パナリンの100ポイントの大台達成を許さないかもしれないということです。

 ギャラントはチームの全体像を見ているわけであって、レンジャーズにとって大事なのは、パナリンを100ポイントに近づけることではありません。まずはチームディフェンス優先で、次に試合に勝つために必要なオフェンスを生み出します。こうやって、ギャラントはニューヨークのスタンレーカップ・プレーオフ進出の準備を整えるわけであり、59歳の監督にとってそれが最も重要なのです。

讃岐猫
讃岐猫

戦術フェチの監督さんだと、

パナリンタイプの選手は厳しいかもにゃあ…。

監督の過去の仕事との比較はナンセンス!

ローゼン:今シーズンのパナリンの能力を測る尺度として、ギャラントの過去のチームを見ることは納得できません。というか、昨シーズン、彼は75試合で96ポイントを獲得したのは、これまでギャラントが指導した中で最高のポイント・プロデューサーと言えます。

 ナッシュがNHLで100ポイントプレーヤーに近づいたことは、一度もありませんでした(彼の最高は2008-09の79)。フェドロフは36歳で全盛期をはるかに過ぎていましたが、ギャラントはコロンバスに彼を迎え入れました。

 ギャラントがフロリダにいた頃、フーベルドーとバルコフは今のようなタイプの選手ではありませんでした。ヤーガー?私はその選手について考えもしませんでした。ギャラントがコーチをしていた時、彼はすでに40代でした。

 そして、パシオレッティ、ストーンとマルチェソーは100ポイントを稼ぐタイプのプレーヤーではないし、これからもそうなることはないでしょう。しかし、パナリンはリンクをよく見ているし、パワープレー(12ゴールのうち6ゴールはパナリン)で成果を出しており、昨シーズンよりも多くのシュートを打つことに前向きなようです。

 彼の総シュート数は16本で、そのうち3試合では最低でも4本打っていて、彼が出場した試合の半分に相当します。ちなみに、昨シーズンは約25%の試合(75試合中19試合)で4発以上を打っています。シュートへの心構えが、パナリンにとって鍵となるでしょう。

 パナリンのパスだけでなく、相手選手が彼のシュートに対して防御しなければならない場合、より危険なプレーヤーとなります。それによって彼は予測不可能な存在となるわけで、この論争の決着とは正反対のものと言えるでしょう。私の勝つのは予測可能だったし、今、私が勝ったと思っている。これで一件落着ですね。

まとめ

 2人の丁々発止のやり取りも面白いけど、50歳を過ぎても、母国チェコで現役を続けているらしいヤロミール・ヤーガーの存在も気になる…。

 それはさておき、若手が伸びてくれば、いくら好調のパナリンとはいえ、休んでもらわなければならないのがチーム・マネージメントの難しいところ。厳格にサラリー・キャップが決められていて、フリー・エージェントの制度とかもあれば、サラリーに余裕があって、確実に使ってもらえるチームに若手が流れてしまっては元も子もありませんから。

 要はパナリンの記録について、監督も含めチームメイトがどれだけ理解してくれるかだと思うのです。その上で勝ち続けられれば、パナリンは記録を達成するでしょうし、機能不全を起こすようでは、彼に諦めてもらうしかありません。シーズンはまだ序盤、監督は暫く様子を見るんじゃないですかね。

讃岐猫
讃岐猫

2人のライターの細かい指摘にビックリ(_;!
彼らのデータベースを見たいもんだにゃ!
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

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