NHL各チーム、オフシーズンの過ごし方を考える(パート5)

NHLチーム紹介

はじめに 

 ベガス・ゴールデンナイツ、スタンレーカップ優勝、おめでとう!最終ゲームは9ゴールを挙げて、リンク上をお祭り騒ぎにするという、ベガスを本拠地にするチームらしい勝ち方で白銀のカップを頭上に掲げました。最後まで速攻の冴えが錆びつかなかったのが凄いです。 

 さて、プレーオフ・セカンド・ラウンドで敗れた各チームの今シーズン点検、初回となります。

 前回のブログ記事はこちら→

 発展途上のチームながら、破竹の13連勝を記録し、レギュラー・シーズン中、驚きを以て迎えられたニュージャージー・デビルズと、先頃、若きイケイケGMを電撃解任したトロント・メープルリーフスをお届けします。 

 リーフスのGM解任劇については、このブログでも取り上げました。こちらをどうぞ→(その1)、(その2)。

讃岐猫
讃岐猫

デビルズはチーム構築中、片やリーフスはできあがってるチームって印象だにゃ。

リーフスは今の主力をキープできれば、来季はもっと上へ行きそうな予感。

引用元:ESPN.com「Keys to the offseason for NHL teams, including free agency plans」。

第2ラウンドで敗退チームを分析する!

5月11日:ニュージャージー・デビルズ 

ハリケーンズと6試合戦い、敗退

2023-24シーズンの予想キャップスペース:34,705,000ドル(日本円で約49億円)

2023年のドラフト指名:2位、4位、5位、6位、7位

若さを露呈

何が悪かったのですか? 
  
 デビルズは今季最高のカムバック・ストーリーの一つでした。最初、彼らはゲートで少しつまずいた後、活気を取り戻し、フランチャイズ記録の13連勝を達成し、110ポイントでシーズンを終えました。 
  
 その後、ニュージャージーはシリーズ0勝2敗の劣勢を覆し、ニューヨーク・レンジャーズを1回戦で下したのです。驚異的なものと言えます。 
  
 しかし、デビルズはまだ若いチームであり、その若さは、カロライナ・ハリケーンズとの2回戦で実際に現れ始めました。 
  
 ニュージャージーで、ジャック・ヒューズ(センター、22歳)とその弟のルーク(ディフェンス、19歳)が、衝撃的で印象的なプレーを見せてくれましたが、プレーオフのプレッシャーに、チームは必ずしもうまく対処できていませんでした。勝つための学習はプロセスであり、デビルズはまだその中にいます。 
  
 ニュージャージーの反則が多すぎたため、チームは調子を落としてしまったのです。 
  
 ポスト・シーズンでも、デビルズは、先発ヴィテック・ヴァネチェック(27歳)による漏れの多いゴールテンディングに悩まされました。 
  
 一時期、ニュージャージーはアキラ・シュミット(ニューヨーク戦で真のゲーム・チェンジャーでした〈23歳〉)に頼ることに成功しましたが、ヴァネチェックとシュミットの2人がハリケーンズのベテラン・シューター相手に大苦戦したため、ゴール・ネットでのデビルズの運は尽きてしまったのです。 
  
 ニュージャージーの魔法のような快進撃が不満足な結果に終わった理由は1つではありません;それは、これからのシーズン、デビルズをより良いクラブにするためのプロセスの一部なのです。 
  

マイヤーの契約をどうするか

オフシーズンの鍵 
  
 デビルズにとって大きな問題の1つは、2月にサンノゼ・シャークスから選手、若手有望株、ドラフト1巡目指名権を一括した上で獲得したティモ・マイヤー(センター、26歳)が、この先も活躍できるかどうかです。それは、チームの長期的な未来につながるものでなのです。 
  
 彼は、(デビルズからの)条件付き(1年契約)オファー(クオリファイング・オファー)に対して、900万ドル(日本円で約13億円)の借金(マイヤーの前所属チーム、サンノゼ・シャークスへの支払い分)がある制限付きフリー・エージェントで、現在保留中です。

 もう1年使えるのに、この値段は高いのですが、ニュージャージーは、より長期的な(そしてより経済的な)契約でマイヤーを引き留めようとするかもしれません。 
  
 マイヤーはデビルズでレギュラーシーズン21試合に出場して9ゴール・14ポイントを記録しており、明らかにこのクラブが上昇気流に乗っていることがわかります。 
  

讃岐猫
讃岐猫

うーん、マイヤーって期待されたほど活躍したかにゃ?

鳴り物入りで移籍してきた割には、あまり目立たなかったような…。

 マイヤーの契約をどう進めるかは、大きなポイントです。それは、デビルズにとって、来シーズンに向けてのロースター改善策を左右するような決断が迫っていることなのです。 

 73ポイントで、レギュラー・シーズンのポイント部門4位だったイェスパー・ブラット(左ウィング、24歳)もこの夏に制限付きフリー・エージェントとなり、大幅な昇給が見込まれています。 

 ニュージャージーでは、他の契約交渉も間近に迫っています。 

 マイルズ・ウッド(左ウィング、27歳)、デイモン・セバーソン(ディフェンス、28歳。すでにコロンバス・ブルージャケッツに移籍決定)、ライアン・グレイヴス(ディフェンス、28歳)などが無制限のフリーエージェントとなり、GMのトム・フィッツジェラルドは、急成長するコアを中心にデビルズを構築する方法において、戦略的でありたいと思うでしょう。 

 ニュージャージーは今シーズン、大きな一歩を踏み出し、誰も一歩後退したくありません。 

 フィッツジェラルドとフロントは、デビルズのアイデンティティが前進していることを評価し、それを最大限にサポートしなければなりません。 

 ニュージャージーの復活はまた、フリーエージェント(FA)候補者にとってより望ましい着地点となり、来シーズンの(潜在的な)プレーオフ進出にふさわしい選手層の厚みをを加えることに関して、さらに多くの可能性への扉を開くかもしれません。 

才能は豊富

2023-24シーズンの現実的な期待 

 デビルズは素晴らしい場所にいます。今後数ヶ月、それをどれだけ改善できるでしょうか。多分たくさんできます。そう、彼らは来シーズン、この圧倒的なキャンペーンが、一過性のものでなかったことを証明しなければならないのです。

 しかし、すでに手元にある「才能」と、今後の見通しからすると、デビルズはまた秋にイースタン・カンファレンスのトップ・クラブの仲間入りを果たしているはずです。 

5月12日:トロント・メープルリーフス 

パンサーズと5試合戦い、敗退 

2023-24シーズンの予想キャップスペース:7,456,050ドル(日本円で約10億5千万円) 

2023年のドラフト指名:1位(BOS)、5位、6位

※BOS=ボストン・ブルーインズから指名権獲得。

ペース配分を間違えたのか?

何が悪かったのですか? 

 トロントがスター選手を最も必要としていた時、彼らはどこにもいませんでした。その状況こそが、フロリダ・パンサーズとの対戦で、リーフスがわずか5試合で見事に、無残に燃え尽きたことを説明する最善の方法です。 

 リーフスはタンパベイ・ライトニングを撃破し、約20年ぶりにポストシーズン・シリーズで前進しました。しかし、その勢いは全く第2ラウンドに持ち込まれず、フロリダは何度もトロントの腹部を殴り、リーフスはそれを許し続けたのです。 

讃岐猫
讃岐猫

総合力のリーフスに、攻撃力のみ?のパンサーズがどう挑むかって感じだったけど、

フタを開けてみると、あっさりパンサーズが勝っちゃったにゃ。

 オーストン・マシューズ(センター、25歳)、ミッチ・マーナー(右ウィング、26歳)、ジョン・タバレス(センター、32歳)、ウィリアム・ナイランダー(右ウィング、27歳)は、対フロリダ戦の最初の3試合で得点できず、トロントは3勝0敗と遅れをとってしまいました。 

 ナイランダーとマーナーのペースが第4戦で上がった時、リーフスのポストシーズンを救うには、すでに遅すぎたのです。 

 第1ラウンドでトロントが見せたエネルギー、情熱、相手を倒そうとする本能は、第2ラウンドではほとんど忘れ去られていました。リーフスは疲れているように見え、しばしば無気力で、自分達を信じてさえいなかったのかもしれません。 

 結局、トロントはポスト・シーズンに向けて最後の力を振り絞ったような結果となりました。 

GM解任劇が大きく影響しそう…

オフシーズンの鍵 

 今年の夏は、トロントにとって、悲惨なことになるかもしれません。 

 ゼネラルマネージャーのカイル・デュバスは契約満了と迎えています。それについて何をすべきかを決めることは、チーム社長のブレンダン・シャナハンの最優先事項です。リーフスがまたもや萎えるようなシーズンの終わりを迎えても、デュバスは戻ってきたいと考えているのでしょうか? 

 シャナハンはデュバスの契約延長を申し出るでしょうか?もしそうなら、どのくらいの期間になるでしょうか?デュバスとシャナハンは、最も重要な時(つまりプレーオフ)に何度も失望させたコアを中心に、このチームを一緒になって作り上げました。 

 経営上の結婚生活を維持することを約束する前に、この問題の解決方法について同じ考えを持つ必要があるでしょう。 

 デュバスの将来がトロントにない場合、誰がデュバスの後任になるのかが本格的に模索されることになり、そして、それはリーフスにとってさらに多くの変化への扉を開くでしょう。 

 氷上での人事についても多くの決定が必要です。 

 トロントにはアレックス・カーフット(センター、28歳)、デイビッド・カンプフ(センター、28歳)、ライアン・オライリー(センター、32歳)、マイケル・バンティング(左ウィング、27歳)を含む重要な保留中の無制限フリーエージェント選手が何人かおり、さらに先発ゴールテンダーのイリヤ・サムソノフ(26歳)が制限付きフリーエージェント選手となっています。 

 リーフスのミックスから誰が残り、誰が去るのでしょうか?またしてもシーズンが崩壊して終わった後、このチームはどの方向に向かっていくのでしょうか。選手にも発言権があります。結果が出ない状態が続く中で、リーフスは何人のフリーエージェントを維持できるでしょうか。 

 そして最大の疑問は、リーフスのコア(・メンバー)を使って、何ができるのかということです。彼らは紛れもなく優れたレギュラー・シーズンのパフォーマーです。トロントは、いつまで「それでいい」というフリができるのでしょうか。また投資収益率の欠如をどう説明するのでしょうか。 

 その4つから離れる時が来たのでしょうか。簡単な答えはありませんが、何週間も何カ月も先に選択肢を検討する必要があります。 

讃岐猫
讃岐猫

記事自体が少し古いので、ディバスの件はもう解決してるんだにゃ。

ただ、新GMの統率力というか、監督との折り合い次第では、

何人か主力が抜けるかもしれん。

現有戦力のままで行くかどうか

2023-24シーズンの現実的な期待 

 トロントは来季もプレーオフに出場するはずです。最終的にどのような変更が行われるかにかかわらず、リーフスをポストシーズンに復帰させる核がそこにあるからです。 

 フランチャイズをひっくり返すようなトレードが相次いで起きない限り、トロントは、今全盛期を迎えている主要なプレーヤーに依存しているので、それ以下の能力の選手を受け入れることはできないはずです。 

まとめ 

 リーフスが現有戦力のままで行くかどうかは、もう少し時間が経過してみないと分かりません。他チームの制限なしFA選手に目をつけるほど、リーフスは困ってないので、ドラフトが終わり、若手選手の陣容が決まったあたりから、何らかの動きが出てくるのではないでしょうか。 

 それに最も影響を与えるのが、リーフスの持つ1位指名権の存在。これをどう使ってくるかでしょう。トレードの駒に使う可能性も無くはないですが、デュバスならともかく、新GMは冒険しなさそう。うーん、がぜんこのチームのドラフト指名が面白くなってきました! 

讃岐猫
讃岐猫

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

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