元NHLゴーリー、スタンドアップコメディアンになる!

アイスホッケー名選手

はじめに

 プロ・スポーツ選手が引退後、芸能界で活躍する例は日本でも多いですね。あまりにも成功しすぎちゃって、「昔、凄い選手だったんだよ」って話になると、ものすごく驚かれる方もいらっしゃるようですが…。

 その反面、スポーツ界で成し遂げた多大なる業績と現在の自分を比較して、「自分は何をやってるんだろう?」と後悔の念を抱かれる方も。このまま妥協してしまうのか、さらに新たな道を模索していくのか。人の考え方はそれぞれ違いますから、信じた道を歩んでいってほしいものです。

 さて、今回はNHL引退後、自分の好きな道に歩もうとしている元シカゴ・ブラックホークスのゴーリー(ゴールキーパー)、スコット・ダーリング元選手(33歳)のお話です。

 彼の目指す「スタンドアップコメディ」は、日本であまり馴染みなくて、ウーマンラッシュアワーの村本さんが武者修行で渡米した話題くらいしか耳にしません。

 コメディアンとして、ステージに上がるダーリングの心境が切々と語られているのですが、どこか迷っているようにも感じました。

 これを読んで、皆さんはどう感じられるでしょうか。

※本記事は、NHL.com「Former NHL goalie Darling finds new career in stand-up comedy」などを参照して、編集・作成したものです。

ダーリングの選手時代について

 ダーリングがNHLでプレーしたのは5シーズン、最後のチームとなったカロライナ・ハリケーンズを退団したのは、2018-19シーズンでした。その後、翌シーズンにはオーストリアのインスブルックHCで、2020-21シーズンにはアメリカンホッケーリーグのロックフォード・アイスホッグスでプレーをしました。

※ダーリング、NHLでの5シーズンについて…2014年7月1日、シカゴ・ブラックホークスと1年間の契約で加入。貴重なサブ・メンバーだった彼の名を一躍有名にしたのが、2015年4月15日、ウェスタン・カンファレンス・ファースト・ラウンド、ナッシュビル・プレデターズとの一戦でした。

 第1戦ではコーリー・クロフォードのリリーフとして42本のシュートをすべて止め、ブラックホークスを4-3のダブルオーバータイム勝利に導き、第4戦では50セーブで3-2のトリプルオーバータイム勝利に貢献しました。一躍、シカゴのフォークヒーローに躍り出たのです。

讃岐猫
讃岐猫

そうでなくても緊張するプレイオフの舞台で、

これだけスーパーセーブを連発するんだから、

ダーリングは凄い選手だにゃ!

 しかし、2017年4月、ドラフト指名権と交換でカロライナ・ハリケーンズに移籍。4年契約を結んだのですが、シカゴ時代ほど起用されず、2年後にフロリダ・パンサーズへトレード。

 ここではNHLのリンクにすら上がれず、系列チーム等でのプレーの後、トライアウトを受けましたが、いい返事は届かず…。ついに引退の道を選んだのです。

スタンドアップコメディアンになるまで

悩みの日々…。 

 ダーリングにとって、NHL選手引退後、簡単に気持ちの切り替えはできなかったようです。SiriusXM NHLネットワークラジオで次のように語っています。

「私は引退した直後、落ち込んでいました。6ヶ月間落ち込んでいたかな、自分の人生で何をすべきか、全く分かりませんでした。長い間、NHL選手として規則正しい生活をしていたのに、それがなくなって、〈いったい何をすればいいんだ?〉という感じでした」

NHL.com「Former NHL goalie Darling finds new career in stand-up comedy」より

 しかし、最近、ダーリングは「自分のなるべきもの」を見つけました。2015年、シカゴ・ブラックホークスのスタンレーカップ優勝に貢献したダーリングが、見つけたものとは…。

 意外かもしれませんが、選手生活の終焉によってできた自分の心の空白を埋めるもの、新たな情熱を向けるもの、それがスタンドアップコメディなのです!

※SiriusXM NHLネットワークラジオ…SiriusXMラジオは、米国とカナダで放送されている通信衛星デジタルラジオ放送のこと。主に自動車向けに有料会員放送とインターネット放送を行なっていて、たまにAmazonなどで車両用チューナー販売を見かけます。

 NHLネットワークラジオは、昼間にトーク、夕方以降に試合実況というのが基本的番組プログラム。今回のダーリングのインタビューも9月8日(木曜)昼間に放送されたものです。

「私がこんなことをしていると聞いて、一番驚くのは誰でしょう?一緒にホッケーをした仲間、元チームメイトの誰もが驚くとはっきり言えます。(現役時代)私は静かで、靴ひもを見つめて、自分の中に閉じこもっていましたからね。

 引退してからは、自分らしくいられるようになりましたし、自分がおっちょこちょいだということにも気づきました」

NHL.com「Former NHL goalie Darling finds new career in stand-up comedy」より

偶然、お笑いの世界へ!

 スタンドアップコメディの世界への入り口は、ほとんど偶然の産物で起きました。

「実際にやるとは思わなかったが、シカゴのラフ・ファクトリーでレイ・ウィスブロックという男が出演し、彼はとても陽気に見えました。私(ダーリング)のユーモアはとてもダークで、自分の人生についての実話なのです。

 この人も同じタイプのユーモアで、私より年配の方で、ロビーで話してみたら、ブラックホークスでプレーしていた私を知っていてくれたんです!私達は大の仲良しになり、〈一度だけオープニングをやってみてくれないか?もし嫌なら、二度と頼まないから〉と言われたんです。それでやってみて、すごく下手だったんですけど、そのスリルがたまらなく好きになっちゃって……」

NHL.com「Former NHL goalie Darling finds new career in stand-up comedy」より

 突然にNHLを引退して以来、ダーリンの人生に忘れかけていたアドレナリンが、再び体内を駆け巡ったのです。

「正直言うと、NHLの試合に出ている時の感覚を思い出したのです、あの興奮をね。ホッケーをやっていた時と同じように、今はコメディをやることに夢中なのです」

NHL.com「Former NHL goalie Darling finds new career in stand-up comedy」より
讃岐猫
讃岐猫

ダーリングの闘志に火が点いたわけだにゃ!

※ラフ・ファクトリー…1979年、ハリウッドに設立された米国のコメディクラブのチェーンのこと。コメディアンがお笑いネタをやり続けるノンストップ記録を、店の売りの一つにしています。

※レイ・ウィスブロック(Ray Wisbrock)…経歴は調べきれませんでしたが(ごめんなさい😞)、Facebook等を見る限り、インテリジェントなダーク・コメディをネタにしています。現在も絶賛活動中!

現在のお笑い活動は…。

 今夏、ダーリングはコメディアンのイアン・バグと共にツアーに出ており、かつて彼がプレーしたことのあるノースカロライナ州ローリーで公演を行ったのです。

 「ローリーの街とノースカロライナ州を笑わせようと思って行ったら、観客から『ああ、君はそんなこと言ってはいけない』と言われたんだ」とダーリングは語っています。

 これまでのところ、観客からの罵声に悩まされることはあまりないそうですが、批判的な言葉を投げかけてくる人は、もちろん「自己責任」(←誰も助けてくれないよ!覚悟しな!って意味かな?)で歓迎するとのことです。

「私はヘルズ・エンジェルズの一員に見えるので、あまり人からとやかく干渉されません。しかし、私は罵声を浴びるのが大好きです。ステージ上にいる時、誰かが私に話しかけてくると、私はとても興奮してしまうのです」

NHL.com「Former NHL goalie Darling finds new career in stand-up comedy」より

※イアン・バグ(Ian Bagg)…カナダ出身のコメディアン、俳優、作家。ダーリングがインタビュー中に観客から話しかけられる件でコメントしていますが、バグはその観客をいじるのを芸とするスタンドアップコメディアンです。

 映画やテレビでも活躍していますが、最近はポッドキャストを活用して、犯罪をネタにしたブラック・ユーモア(かなり過激かも)を連発しています。

「というのも、私はそのような人達から罵声を浴びるのが大好きなんです。私は実際に観客を魅了するのが好きで、(彼らを)怒らせることさえも、ちょっと好きかな。

 実生活では、私は非常に良い人ですが、傲慢で自惚れているように見える架空の人物像を持っていますので、私はステージ上でわざとそれをしているんですよ」

NHL.com「Former NHL goalie Darling finds new career in stand-up comedy」より

 ダーリングは、トム・セグラ、クリス・ディステファノ、バート・クライシャー、アンドリュー・サンティノを、彼が影響を受けた最高のコメディアンとして挙げています。

 ダーリングが現役NHLプレーヤーだった時、尊敬するゴールキーパーはキャリー・プライス、ペッカ・リンネ、ベン・ビショップと言っていました。今、彼がステージ上で架空人物の性格になると、〈自分こそがスタンレーカップを獲得した唯一の人間だ〉とうそぶいています

讃岐猫
讃岐猫

尊敬する先輩ゴールキーパーも笑いのネタに。

ダーリングの芸人魂、大したもんだにゃ。

※トム・セグラ・・・ネットフリックスで「ただの話」、「トム・セグラの恥さらし」等の日本語版も配信されているので、まずはそこから!

クリス・ディステファノ・・・MTVで放送されていたコメディ番組『ガイコード』でデビュー以来、スタンドアップコメディアンとして、第一線で活躍中。理学療法の博士号を持っており、デビュー前は小児理学療法の仕事に従事していました。

バート・クライシャー・・・とんでもない酒豪であることと、毎週配信されているポッドキャストの内容の面白さで有名なスタンドアップコメディアン。

アンドリュー・サンティノ・・・架空のラッパー、リル・ディッキーの物語『Dave』をはじめ、テレビや映画での活躍が多いコメディアン。

キャリー・プライス・・・モントリオール・カナディアンズ所属のゴールキーパー、35歳。背番号は31。The Hockey News、EA Sports から世界最高のゴールキーパーの1人であるとされています。

ペッカ・リンネ・・・フィンランド出身のゴールキーパー。39歳。残念ながら、昨シーズンを最後に引退しました。最終在籍チームはナッシュビル・プレデターズ、背番号は35。

ベン・ビショップ・・・ビッグ・ベンの愛称で親しまれる35歳。NHL史上最も背の高いゴールキーパー(2メートル1センチ)とされています。右ひざ半月板手術のリハビリから立ち直れるか。引退のうわさも流れていますが、今年6月、ダラススターズからバッファローセイバーズにトレードされ、現役続行のようです。

今のダーリングにとって「NHL優勝」とは?

 ダーリングは優勝カップについて語っています。

「(優勝は)これまでの人生で最もクールなことでした。お世辞を言うつもりじゃないよ、私はシカゴで育ち、ずっとホークスファンで、今でもそうなんだ。私にとって、それはとても大切なことです。

 2010年のパレードには家族で行ったし、2013年は母のソファで一緒に見たし、2015年のチームに私自身がチームに参加して皆なを助けた。

 今日まで街を歩いていて一番耳にするのは、次の言葉だと思います。つまり、(大柄な)私は目立つし、それをうまく隠せないし、6フィート6インチ(約1メートル98センチ)で髭を生やしてタトゥーだらけだからね。

 でも、人々が私に向かって『ナッシュビル2015!』と叫んでいるのを聞くんだ。たぶん、これからの人生でも一番聞かされる言葉になるでしょう。『そうだよ、俺だ、俺がそこにいたんだ!』って思いながらね」

NHL.com「Former NHL goalie Darling finds new career in stand-up comedy」より

※ダーリングの発言中にある「2010年・2013年・2015年」は、すべてスタンレーカップ優勝年です。

まとめ

 ダーリングのインタビューを読んでいて、ポッドキャスト中心に流れているスタンドアップ・コメディを聴いてみたいと思いました。もっと語学力があれば…の話ですがね(^^;。深く米国の文化を知らないと、分からない物も多そうな感じです。

 ダーリングの心中、まだNHLプレーヤーとしてのプライドが邪魔をしてる部分もあるようです。その壁を超えた時、新しいコメディアンとしての彼が誕生するような気がします。NHLをネタにするのは難しいのかな?

 いずれにせよ、異色の経歴には変わりないので、それを思う存分利用して、トップ・コメディアンになって欲しいです。ネトフリとかで番組を持てるよう期待してます!

讃岐猫
讃岐猫

オイラもお笑い好きだから、期待してるにゃ!

その前に英語の勉強をしないと…。

ここまで読んでくれて、

サンキュー、じゃあね!

 

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