はじめに
負けに負けを重ねる我らがフライヤーズ、遂にGMの交代に踏み切りました。現監督であるトルトレラの首が先に飛ぶかな、と予想していたのですが、これは意外な展開です。
ドラフト一巡目指名順が早いものになりそうと分かった時点で、スパッとGMを切ったのはたまたまなのか、意図的だったのかは判断の難しいところです。
前GMのチャック・フレッチャーの下で、アシスタントとして働いていたダニエル・ブリエールの今の肩書は一応「暫定GM」です。
とはいえ、記事を見ていただければ一目瞭然、彼は来シーズン以降の展望を持っているようですし、トルトレラの育てた若手をベースにチームを作ると言っています。「暫定」の文字が消えるのは、時間の問題でしょう。
得点力も守備力もかなり減退しているフライヤーズ。
相当テコ入れしないと、来季も厳しい感じがしてるんだにゃ。
引用元:NHL.com「Briere confident he can lead Flyers rebuild after being named interim GM」。
GM、遂に交代!
ダニエル・ブリエールは、フィラデルフィア・フライヤーズを率いるのにふさわしい人物であり、複数年にわたる再建努力が予想されると確信しています。
※ダニエル・ブリエール=カナダのケベック州ガティノー出身の45歳。
1996年のNHLドラフト一巡目でフェニックス・コヨーテズからドラフト指名(全体24位)。NHLでは、バッファロー・セイバーズ、フィラデルフィア・フライヤーズ、モントリオール・カナディアンズ、コロラド・アバランチでもプレー。
NHL史上 最高のスタンレーカップ・プレーオフ・パフォーマーの1人として知られており、通算124試合出場・116ポイントを獲得。1994年の世界U18選手権、1997年の世界ジュニア選手権、2003年と2004年の世界選手権で代表としてプレー、4つの金メダルを獲得。
引退後、現役時に最も長く在籍したフライヤーズのフロントに入り、活躍。
ブリエールは、GM兼社長のチャック・フレッチャーが解雇された後、3月10日(金曜日)、暫定ゼネラル・マネージャーに任命されました。
12日(日曜日)、ブリエールは「(フライヤーズで)仕事のできることは間違いありません」と述べました。「私の周りにも素晴らしい人達がいます。私一人でやる仕事ではありません」。
フライヤーズ会長のデイブ・スコットは、ホッケー事業を担当する社長と、専任のゼネラル・マネージャー採用のための検討がなされるとコメントしています。
※デイブ・スコット=フィラデルフィアに本拠を置く、アメリカのスポーツおよびエンターテイメント企業Comcast Spectacor会長。
同地にあるウェルズ・ファーゴ・センターを複合施設として成功させ、NBAのセブンティシクサーズ、フライヤーズ、ラクロスのウィングスの本拠地として使用中。近年はeスポーツにも活動の幅を拡げている。
公式HPに画像がアップされているけど、
若々しくてハツラツとした感じがするにゃ。
若返りを図ろうとしているチームに、
いい影響があるんじゃなかろうか。
暫定でも仕事はします!
ブリエールは、延長された就職面接のように現在の状況を捉えています。「〈暫定〉というタグ付けに問題はないです」と述べました。
「デイブと彼のスタッフによって、どの選手がそのポジションでフルタイムに働くべきかを、適切な時間をかけて評価しようとしていることに好感を持っています。自分はここ(フライヤーズ)にいて、(チームの)未来の一員であることを実感しています。
彼らも私を信じてくれることを願っています」。
「私はここにいて、このポジションにいることを光栄に思っており、今の時点で、このフランチャイズを正しい軌道に乗せるため、可能な限りのことをしたいと思っています」。
フライヤーズ(24-31-11)は3連敗しており、過去15試合中12敗(3-10-2)で、イースタン・カンファレンス14位に沈んでいます。3シーズン連続で、スタンレーカップのプレーオフを逃す可能性が高くなっています。
若手は意外と育っています!
こうした苦戦にもかかわらず、ブリエールはジョン・トルトレラ監督とスタッフが築いた文化の成長を目の当たりにしており、フォワードのオーウェン・ティペット(右ウィング、24歳)、ノア・ケイツ(左ウィング、24歳)、モーガン・フロスト(センター、23歳)、
ディフェンスのカム・ヨーク(22歳)など、氷上での時間を増やした若手選手の成長も見てきました。
また、ベテラン・フォワードのショーン・クチュリエ(背中の負傷。センター、30歳)とキャム・アトキンソン(首の負傷。右ウィング、33歳)が、今シーズン、どちらも出場できなかったため、今後、元気になるだろうという期待もあります。
チーム解体はしない
そのため、ブリエールのアプローチは、登録メンバーを完全に削除するのではなく、現状の一部を中心に構築していくことになりそうです。
「”再建”が”投げ売り”を意味しないことを確認したい。両者には大きな違いがある」と述べています。
「それを明確にしたいし、全員を排除するつもりはない。ここには何人かの良い選手がいて、何人かの選手は特定の役割を担っていて、私達はそれを維持するつもりです。チームを改善するために、考えられるすべての選択肢を検討します」。
「これは簡単な解決策でないと思います。それが私の信念であり、だからこそ再構築という言葉を使うことを恐れないのです。しかし、皆さんがそれらの小さな特記事項を理解してくれている限り、それ(移籍交渉)は私にとって投げ売りを意味するものではありません」。
シーズンを終えるために、トルトレラと彼のスタッフへ必要なものを与えることは、ブリエールの短期的な焦点であり、選手だけでなく、フロントの他のメンバーに対するより深い評価でもあるのです。
とはいえ、トルトレラはベテランを切りたがってるからにゃ。
シーズン終了後、何人かの選手は移籍するんじゃないかな。
ドラフトは頑張る!
しかし、2022年NHLドラフト5位でフォワードのカッター・ゴーティエを指名したことを受けて、フライヤーズは、2023年のUpper Deck NHL Draftにも多くの時間を割くことになるでしょうし、そこでフライヤーズの2シーズン連続トップ10入りの可能性が高いのです。
※カッター・ゴーティエ=現在、NCAAのボストン大学でプレー中。センターもウィンガーもできるマルチ・プレーヤー。2022IIHF世界U18選手権で米国代表となり、6試合で3ゴール・6アシストを記録し、銀メダル獲得に貢献。
父は、サンノゼ・シャークス等でゴールテンダーとして活躍したショーン・ゴーティエ。
「ドラフトは、将来に向けてチームを向上させる重要な機会になるだろう」とブリエールは述べています。
「現実には、残念ながら、今シーズンのプレーオフに進出する可能性はあまり高くなく、このフランチャイズの将来のために重要で質の高い選手を加えるために、(ドラフトで)かなり良い位置につけそうです。
だから、この2、3カ月は、適切な場所に適切な人材を送り込み、そこに誰がいるべきなのかを確認することが重要になるのです。正しい選択をすること、それも私の仕事の重要な責任になるでしょう」。
ブリエールに影響を与えた人達
2022年2月8日、ブリエールはフライヤーズに採用されて以来、フレッチャーの特別アシスタントを務めていました。しかし、現在のポジションへの道のりは現役時代に始まり、氷上で彼が対戦相手とプレーしたのと同じくらい、時間をかけてGMの勉強に費やしました。
2002-03シーズン、ダーシー・レジエがバッファロー・セイバーズを構築したのを見て、参考になったと元フォワード(ブリエールのこと)は語っています。
※ダーシー・レジエ=1997〜2013年までバッファロー・セイバーズのGMを、2014〜2016年まで、コヨーテズのシニア・バイス・プレジデント兼アシスタント・ゼネラル・マネージャーをそれぞれ務めている。セイバーズの歴史の中で最も長く務め、優勝したGMである。
2007-08シーズンにフライヤーズと契約し、2006-07シーズンのNHL最下位から、2008年にはイースタン・カンファレンス決勝に進出したポール・ホルムグレンを見ていた時も同じでした。
※ポール・ホルムグレン=元フライヤーズのゼネラル・マネージャー。プレーヤーとして、フライヤーズ在籍時の1980年のスタンレーカップ・ファイナルに出場。監督としても活躍。現在、前述デイブ・スコットのシニア・アドバイザーを務める。
彼はまた、モントリオール・カナディアンズ(2013-14)でのシーズン中にマーク・ベルジュバンから学んだことや、
※マーク・ベルジュバン=現役時はディフェンスとして、1191試合に出場。引退後はシカゴ・ブラックホークスのスカウト、アシスタント・コーチを務める。2011年、ブラックホークスのアシスタント・ゼネラルマネージャーに昇格。後にゼネラルマネージャーへ。
2012年、モントリオール・カナディアンズのゼネラルマネージャーに就任し、2013–14シーズンには、最優秀ゼネラルマネージャー賞の投票で2位にランキングされる。
同様に、昨シーズンのスタンレーカップ・チャンピオンになるべく、チームを構築中だった2014-15シーズン、コロラド・アバランチでプレーしていた時にジョー・サキックから学んだことにも言及しました。
※ジョー・サキック=現役時のポジションはセンター。19年の選手生活を、ほぼアバランチのために尽くしたキャプテン。スタンレーカップ2度獲得をはじめ、数々の賞を手中に収める。
オールスターゲームにも13回、オリンピックにも3回それぞれ出場。2012年、ホッケーの殿堂入り。
ブリエールの決意
「チャックの下で正式に雇われたのはこの1年間かもしれないが、私の旅はずっと前に始まっていました」とブリエールはそう言っています。
「私は常に、何が起こっているのか、プロセスがどのように行われているのか、いつか自分がその立場になった時、それをどう使えるかに注意を払っていました」。
「嘘をつくつもりはありません。自分がプレーしていた頃から見ていて、いつの日かこのポジションに立つことができると常に信じていたのです。だから、私にとってとても特別でエキサイティングなのです」。
まとめ
とにかくケガ人の多かったシーズン、大事な時期にボコボコ抜けていったし、記事中にもあるように、完全にシーズンを棒に振った選手もいます。今回のブリエールの発言中、選手のケガ対策や健康管理への言及がなかったのは気がかりな点です。
現役時から、今のポジションに就くことを考えていたというブリエール。それが社交辞令なのか、真実なのかはまだはっきりと分かりません。とりあえず、シーズン終了後のドラフトと移籍交渉が彼の手腕を試す場となるでしょう。
ここまであまり冴えなかったフライヤーズに、「超特大の当たりくじ」が来ますように…。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!