はじめに
スタンレーカップ決勝が大きな話題を振りまく裏で、他の30チームは来季以降に向けて戦力補強・人事異動を進めています。
ナッシュビル・プレデターズも、その中の1チームです。チームができて24年、スタンレーカップ決勝はないものの、カンファレンス決勝進出経験もあり、決して弱いチームではありません。
そんなナッシュビルが遂にGM交代に踏み切りました。チーム創立からずっと務めてきたデビッド・ポイルが勇退し、かつて監督だったバリー・トロッツが後任となります(7月1日から)。より現場に近い目線を持つトロッツに、さらなるチーム強化のバトンを渡したと言えるでしょう。
今年のドラフトのホストでもあるナッシュビル。選手強化やドラフト戦略を中心に、新GMの頭の中でどんな計画が立てられ、それが実行されようとしているのでしょうか。
トロッツ期待の若手選手紹介も含め、今回も前後編でお届けするにゃ。
ナッシュビル、意外と一巡目指名を上手に使ってる印象だ。
引用元:NHL.com「Trotz talks making exciting contender with Predators in Q&A with NHL.com」。
新GM登場!
バリー・トロッツは、華やかさを受け入れることで知られるこの街に、もっと華やかさをもたらそうとしています。
※バリー・トロッツ=カナダ、マニトバ州、ドーフィン出身、60歳。守備重視のコーチング・スタイルで知られ、NHLコーチング勝利数で歴代3位。レギュラー・シーズンの指揮1,196試合は、歴代監督リストで14位にランクインしている。
ナッシュビル・プレデターズの24年の歴史の中で、100ポイントを記録した選手は1人もおらず、1シーズンで50ゴールを記録した選手もいません。40ゴール以上を記録した選手は2人しかいません。
※40ゴール以上を記録した選手=マット・デュシェン(センター/右ウィング、32歳)の43が最多(2021-22)。2位はフィリップ・フォースバーグ(左ウィング、28歳)の42(同)。
1シーズンでのポイントのチーム記録(96)は、2021-22シーズン、ディフェンスマンのロマン・ジョシ(33歳)が持っています。
最近開催されたNHLスカウティング・コンバインで、プレデターズのゼネラルマネージャーはNHL.comに対し、「このチームは、NHLの歴史上、ゴール(テンダー)とディフェンスで知られている」と語りました。
※NHLスカウティング・コンバイン=ドラフト前に対象選手が面接と体力テストを受け、指名に足りうるかどうかを、各チームの関係者が判定する場。
今年は6月5〜10日に行われ、面接はニューヨーク州バッファローにあるキーバンク・センター(セイバーズの本拠地)で、体力テストはレコム・ハーバーセンター(セイバーズの練習場)でそれぞれ行われた。
「ゴールにはペッカ・リネ、バックエンドにはシェイ・ウェーバー(ディフェンス、37歳。現在、アリゾナ・コヨーテズ所属)、ジョシなどがいる。良いフォワードもたくさんいたね」。
※ペッカ・リネ=フィンランド、北ポフヤンマー県ケンペレ出身、40歳。ドラフト全体258位指名ながら、プレデターズ一筋、20年間ゴールを守り続けた。2010-11シーズンは2度の負傷に見舞われながらも、それまでのキャリアで最高の防御率をマークした魂の男。
「しかし今、私たちは他と差をつけるため、前線の選手獲得を検討しています。つまり、私たちはナッシュビルにいるんだ、エンターテインメント業界にいるんだよ?私たちは、それで知られている町でプレイしているんだからね」。
ドラフト指名権、大量ゲットだぜ!
「私は公然と言ってきたよ:私たちのスカウトには、堅実じゃなくていいから、成功すれば大きい利益をもたらす方向を選択するように、と言っています。ファンを沸かせる可能性を秘めた選手にチャンスを与えてほしい。
もちろん、第1巡目指名では第3ラインの選手を見つけることができます。それは、私たちの探しているものではありません」。
プレデターズは、6月28日から29日にかけて、ナッシュビルのブリヂストン・アリーナで、2023年のアッパーデッキNHLドラフトを主催します。
チームは2日間にわたって非常に活発に動く予定で、第1巡目指名で2つ、第2巡目指名で2つ、第3巡目指名で3つを含む13の指名権を持っています。
トロッツは「これだけ多くの指名権があれば、間違いなくファンを楽しませてくれるはずだ」と語りました。
この7つの指名権をそのまま使うのか、
それともトレードの駒に使うのかにゃ。
ドラフトまでの2週間、この新GMの心中やいかに!
新GM就任までの流れ
2月27日、トロッツが7月1日からデビッド・ポイルの後任として史上2人目のゼネラルマネージャーになると、プレデターズは発表しました。
※デビッド・ポイル=カナダ、オンタリオ州トロント出身、73歳。2018年3月1日、ナッシュビルがエドモントン・オイラーズを4-2で破り、ゼネラルマネージャーとして1,320勝目を挙げ、最多勝GMとなる。今年2月、6月30日に引退すると発表。
60歳の彼はもともと1997年8月6日にプレデターズの初代コーチ(監督)としてポイルに雇われ、1,196試合で557勝-479敗-(60分け)-100延長戦負けの成績を残しています。
その後、彼は2014〜18年までワシントン・キャピタルズでコーチを務め、そこでの最終シーズンにスタンレーカップ・チャンピオンシップに導き、2018〜22年までニューヨーク・アイランダースの監督を務めました。
ナッシュビルに戻って4ヶ月も経たないうちに、トロッツは1対1の席に着き、自分の新しい役割、それに伴ういくつかの必要事項、チームを前進させるためのビジョンについて話し合っています。
メープルリーフスと違い、前GM引退に伴う交代なので、
引き継ぎはとてもスムーズに思えるにゃ。
60歳、まだまだこれから!
引き継ぎはスムーズ
(問)デビッドが正式に退任するのは今月末ですが、実質的にはこの14週間、あなたがいろいろと決定していたことになります。あなたのような生涯現役のコーチが、どうやってこの新しい役割へと成長していったのでしょうか?今度のポジションについて、何を学びましたか?
「そうですね、デビッドが長年にわたって行ってきたすべての仕事に、改めて感謝しています。明らかに、私はいろいろなことを変えようとしているし、自分なりの作品を作っている、と思うのです。
でも、最初の90日間はみんなの仕事を知り、チームであれ、スカウト部門であれ、ビジネスのあらゆる側面を評価し、組織的にもあらゆることがどのように動くかを評価し、スピードを上げるために、あるいはスピードに追いついていなかった分野でも、とにかく自分の目で見て、いくつかの変更を加えました。
そして、トレードの期限に向けた難しい決断の一端を担うことになるのは明らかです。トレード期限直前にやってきて、意見を求められました。もちろん、トレード期限に、私たちが何をしたかは見ての通りです。
マティアス・エクホルム(ディフェンス、33歳。現在、エドモントン・オイラーズ所属)、ニーノ・ニーダーライター(右ウィング、30歳。現在、ウィニペグ・ジェッツ所属)、タナー・ジャノット(左ウィング、26歳。現在、タンパベイ・ライトニング所属)、
ミカエル・グランランド(センター/右ウィング、31歳。現在、ピッツバーグ・ペンギンズ所属)など、4、5人のチーム内存在の大きかった選手を移籍させました。
私たちは目標達成を決め、スタンレーカップを勝ち取るために、一歩後退しなければなりませんでした。中途半端なところにいると勝つのは難しいし、そこが私たちの今までの居場所でもあったんです」と語りました。
上を目指すためには、我慢も大事
(問)中途半端なところ?いい言葉ですね。
「だろう?前にも言ったように、我々の目はスタンレーカップに向けられている。それが私たちの目標であり、どのチームもそうさ。そして、ただ一歩一歩前進するために、1〜2年は一歩後退しなければならないかもしれないね。
だから、私たちはトレード・デッドラインで本当によくやったと思うし、多額の資金を動かすために、多くのドラフト資本(指名権)を得たんだよ。今、ドラフト資本が手元にあるおかげで、今年、最初から83人目までの指名で、7人の指名権を得ることができたのさ。来年も似たような状況になってるよ。
そして、私たちは(NHLサラリー)キャップ・スペースを持っている。これは、ご存知のように、非常に、非常に価値のあるものなんだ」。
北米四大スポーツには降格がないから、
あえて勝敗度外視のシーズンを設けられるんだにゃ。
チームを一歩後退させるなんて、なかなか言えないよ。
いい若手、揃ってますよぉ〜!
(問)「我慢する」ことと「すぐに勝つ」ことの、そのもろもろのバランスをどう取るつもりですか。結局、また中途半端な所に行くのは嫌なんですよね。
「かなり早く一歩を踏み出せるように足並みを揃えていますが、同時に、人間的な要素も知っておかなければならない。私たちは18歳の子供たちをドラフトしていて、それを忘れてはならない。
選手として本当に活躍するのは、22〜24歳だと思う。彼らが選手として軌道に乗ったとき、22〜26歳くらいかな、全員が含まれるようなロースターを作ろうとしているんだ。ここ3年間、チームは本当に良い指名をしていて、子供たちは成長し、トレーニングに励んでいるところです。
もちろん、できる限り、ミルウォーキーのファーム・チーム(ミルウォーキー・アドミラルズ。AHL=アメリカン・ホッケー・リーグ所属)でプレーさせたいと思っています。来年、ミルウォーキーで6人の1巡目指名選手がプレーするかもしれないが、これは最近では前代未聞のことさ。
そしてうまくいけば、その場(NHL)で何人かの子供を育てることもできるけど、それは少し難しいことだ。しかし、全体的に若いチームであれば、もう少し簡単になるかもしれないと思うよ」。
まとめ
次回は、記事中にある「来年、ミルウォーキーで6人の1巡目指名選手がプレーするかもしれない」について、少し触れてから【後編】本文に入ろうと思っています。アドミラルズ以外のチーム(ロシアのチーム等)でプレーしてる若手選手も戻ってくるみたいです。
ミルウォーキーで連携を深め、一気にトップ・チームに上げて、さらに腕を磨く…そんな青写真が新GMの頭の中にあるのでしょう。You Tubeには彼らの映像もいくつかアップされているので、次回の記事には、それをいくつか貼り付けていく予定です。
将来のプレデターズのスターを、今のうちから知っておいても損ではありませんよ!
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!