2024年1月、女子プロホッケーリーグが6チームでフェイスオフ!

その他のNHLネタ

はじめに 

  先日、女子サッカー日本代表がW杯にて下馬評を覆す活躍を見せ、注目を集めました。その勢いが、11月開幕のプロリーグ=WEリーグへの追い風になればいいのですが、熱しやすく冷めやすい日本人気質のこと、11月になったら、すっかり忘れているかもしれません…。 

 ところ変わって、北米で、念願の女子アイスホッケーの本格的なプロリーグがいよいよ発足します。これまでプロリーグは活動を続けていて、それが代表の力にもなっていたものの、リーグ自体の経済力はあまりいい状態にありませんでした。団体間の協力関係も今ひとつ。 

 それが、心ある人々の尽力によって、遂に一つとなり、来年早々に花開くこととなりました。9月以降にスタートするドラフト等も、どういう展開になるのか、今から楽しみです。 

讃岐猫
讃岐猫

引用元:NHL.com「Professional Women’s Hockey League to launch with 6 teams in January 2024」。

夢は必ず実現する!念じて動けば、花開く!

 ジェイナ・ヘフォードは、この瞬間の訪れることを考えもしなかったと語りました。

ジェイナ・ヘフォード=カナダの元アイスホッケー選手であり、現在女子プロホッケー選手協会の会長。冬季オリンピックとIIHF世界女子選手権で複数のメダルを獲得したほか、全米女子ホッケーリーグやカナダ女子ホッケーリーグでもタイトルを獲得。

 2002〜2014年まで、カナダのオリンピック4連覇に貢献し、2002年の冬季オリンピックでは金メダルを獲得するゴールを決めている。3つの女子ホッケーリーグに参加し、公式戦418試合で439ゴールを記録。2008-09シーズンのCWHL(カナダ女子ホッケーリーグ)記録となる44ゴールも含まれている。

 2018年6月26日、ホッケーの殿堂入り。

 「私は(アイスホッケーの)ゲームをするごく少数の女の子の一人として育ち、カナダ代表として17年間競技を続け、オリンピックに5回出場する機会がありましたが、こんなことは夢にも思いませんでした」と彼女は語っています。

 彼女の言及しているのは、8月29日(火曜日)に発表されたプロ女子ホッケーリーグ(PWHL=Professional Womens Hockey League)です。

プロ女子ホッケーリーグ=2023年6月29日、後述マーク・ウォルター・グループとキング所有のBJKエンタープライズは、米国とカナダの女子プロホッケーリーグであるプレミアホッケー連盟(PHF=Premier Hockey Federation)の知的財産などを購入。

 また両企業によって、北米に新たな女子プロアイスホッケーリーグを設立する目的で、2022年5月に女子プロホッケー選手協会(PWHPA)と提携が結ばれていた。この買収などにより、PHFとPWHPAの両方の意見が一致し、新リーグ誕生の運びとなったのである。

 なお、PHFの前身であるNWHL(National Women’s Hockey League)の運営基盤は弱く、特に2019-20シーズン、所属チームによるボイコット等もあった。これには、2019年に解散したカナダ女子ホッケーリーグ(CWHL=Canadian Women’s Hockey League)の影響もあり、選手達は絶えず不安定な状況下で試合をし続けていたのである。

 女子アイスホッケーについては、こちらも参照↓。

 PWHLは、モントリオール、オタワ、トロント、ニューヨーク、ボストン、ミネアポリス-セントポールの北米6都市のチームにより、1月に発足します。

 「私がずっと夢見ていたもの、それがNHLだったのよ」とヘフォードは語りました。「だから、今日このような組織を立ち上げるということは、私たちのスポーツにとってとても意義深いことだし、私より前、多くの女性プレーヤーたちが同じようなものを夢見ていたことも知っています」。

讃岐猫
讃岐猫

バックアップ体制は万全! 

 4度のオリンピック(2002、2006、2010、2014)で金メダル、1998年に銀メダルを獲得し、2018年にホッケーの殿堂入りを果たしたヘフォードは、リーグのホッケー運営担当上級副社長です。 

 「ここにたどり着くまでの道のりは長く、紆余曲折があり、それが力を与えてくれました。成功が一直線にやってくるとは思えないから、みんなで一緒に前進することに胸をワクワクさせていると思います」。 

 PWHLはロサンゼルス・ドジャースのオーナーであるマークとキンブラ・ウォルターによって財政的に支えられています。 

マークとキンブラ・ウォルター=マーク・ウォルターは、米国アイオワ州シーダーラピッズ出身、63歳。アメリカの実業家であり、シカゴとニューヨークに本社を置き、世界的金融サービス会社であるグッゲンハイム・パートナーズの最高経営責任者。 

 メジャーリーグベースボールのロサンゼルス・ドジャースの共同所有者兼会長であり、プレミアリーグのチェルシーFCの共同所有者でもある。 

 弁護士でもあるキンブラ・ウォルターは、リンカーン・パーク動物園、グッドマン・シアターの理事を務め、夫妻で長年ノースウェスタン大学を支援する著名な慈善家である。ノースウェスタン大学法学部に、ウォルター・ファミリー財団奨学金基金を設立している。 

 取締役会には、女子テニス界のレジェンドであるビリー・ジーン・キング、スポーツ界の実力者であるイラナ・クロス、ドジャースのスタン・カステン社長、ビジネス戦略担当のロイス・コーエン上級副社長らが名を連ねています。 

ビリー・ジーン・キング=シングルスで12回、女子ダブルスで16回、混合ダブルスで11回、計39回のグランドスラムタイトルを獲得。フェデレーション・カップで7回、ワイトマン・カップで9回優勝した米国チームのメンバーでもあった。 

 3年間、フェデレーション・カップで米国のキャプテンを務めている。男女平等の提唱者であり、女子テニス協会と女子スポーツ財団の創設者でもある。 

イラナ・クロス=1976年にダブルスで世界1位、1979年にはシングルスで世界19位の選手であり、1973年に創設された男女混合のプロテニス・リーグであるワールドチームテニスのコミッショナーを、2001〜21年まで務めている。 

スタン・カステン=アトランタ・ブレーブスとワシントン・ナショナルズの元会長であり、現在はロサンゼルス・ドジャースの社長兼共同オーナー。 

 アトランタのプロスポーツに長く関わってきた経験を持ち、NBAのアトランタ・ホークスのゼネラルマネージャーや、NHLのアトランタ・スラッシャーズの社長も務めている。 

ロイス・コーエン=ドジャースの組織内で多方面にわたり活躍。例えば、新部門ビジネス・エンタープライズにて、スタジアムのレンタル、ツアー、チケット制のイベント、ライフスタイルへの取り組みなど、野球以外のあらゆるビジネス分野を管理している。 

 NHLは声明で「ナショナルホッケーリーグは、本日の発表でプロフェッショナル女子ホッケーリーグを祝福する」と述べました。「我々は女子の試合を支援することに引き続き取り組んでおり、PWHLと協力して、我々のスポーツの成長を楽しみにしている」。 

「キング」がみんなを支えている 

 カステンが語ったように、PWHLが発表されたのは、全米オープンテニス大会が男女の競技者に平等な賞金を提供する最初のスポーツ・イベントとなってから50周年を迎えた翌日のことなのです。それは「偶然」でした。 

カステンが語ったように、…=NHLの公式サイト・上記引用元には、カステンのインタビュー映像がアップされており、それを承けたものである。 

 キングは女性選手を組織し、女性が男性と同じ報酬を得ない限り、1972年大会をボイコットすると迫ったのです。 

 キングについて、カステンは「彼女が人生で成し遂げ、成功したすべてのことと同様に、このプロジェクトにも同じエネルギーをもたらしたと言えるね」と述べました。 

 「彼女は私たちの精神的支柱です。私たち関係者は皆、彼女の指導と、これをやり遂げ、正しいものにしていこうという励ましに助けられてきたんだ」。 

 リーグは9月1日から10日間のフリーエージェント期間を設けます。初回のPWHLドラフトは9月18日に開催されます。 

 11月のトレーニングキャンプ開始時、各チームは20人の契約選手を受け入れることができます。 

讃岐猫
讃岐猫

もっと恵まれた環境でプレーを!

 この日は、PWHL選手会の事務局長に指名されたブライアン・バークを含め、関係者全員にとって感動的な日となりました。彼は、女子チームの耐えてきた苦闘を心に留めています。

ブライアン・バーク=詳しくはこちら→

 ハートフォード・ホエーラーズ、バンクーバー・カナックス、アナハイム・ダックス、トロント・メープルリーフスの元ゼネラルマネージャーで、カルガリー・フレームスとピッツバーグ・ペンギンズのホッケー運営部門の社長を務めたバークは、

 「プレーしているチームに資金がないとき、選手がテープや靴紐を借りたりしているのを見たことがある」と言っています。

 「カルガリー・インフェルノ(カナダ女子ホッケーリーグ)の試合を見ていて、選手たちが(テーピング用の)テープを回しているのを見たんだ。何ということだ、テープ一巻すら満足に持っていないのか。

 だから、彼女たちがプレーするために、そしてこのリーグを組み立てていくために、どのような苦労をし、どのようなチャレンジを繰り返してきたかを、ずっと見守ってきたんだ」。

 「参加できることをとても誇りに思っているよ。みんなが仕事をオファーしてくれた時、私にとって非常に感動的な瞬間だったね」。

現役NHLプレーヤーからも賛辞が!

 ケイル・マカーは、PWHLの創設について「素晴らしい」と述べました。

 「今、(リーグが)固まったんだね」とコロラド・アバランチのディフェンスマンは言っています。「ホッケーにとても適した6つの都市があるのだから、うまく引っ張ってくれるだろうね。男子ホッケーであれ女子ホッケーであれ、ただ見ている人たちを興奮させてくれるはずだ。

 ホッケーを見るのは素晴らしいことさ」。

讃岐猫
讃岐猫

力強く前進あるのみ!

 チームの命名からロゴの作成まで、まだやるべきことはたくさんあります。各チームのゼネラルマネージャーは今週中に発表される予定です。しかし、ヘフォードをはじめとする女子ホッケー選手たちが夢見てきたリーグが現実のものとなりました。

 「今日、選手たちが参加してくれることをとても楽しみにしています」と彼女は語りました。「このリーグは以前から我々の目指してきたものであり、彼女たちはこの特別な瞬間に参加する機会を得るでしょう。

 私と同世代の選手たちや、私より先にこの世界に飛び込んだ選手たちが、このリーグに多くの力を注ぎ込んでくれたことに感激しているわ」。

 「そして、男女を問わず、少年少女を問わず、このリーグで氷上に立つ女性たちから刺激を受けるだろうし、このリーグのゲームによって、新しいファンになった人たちも同じようにワクワクしてくれると思うの。

 強くあること、力強くあること、決意を固めることの意味を、私たちは表現するつもりです。私たちはまだここから始まったばかりです」。

 NHL.comのシニア・ライター、ダン・ローゼンがこのレポートを寄稿しました。

まとめ

 ヘフォードの締めくくりの言葉からも、その決意と意志の強さが感じられます。やはり、何事も力強く積極的に前進しないといけませんね。アイスホッケー、テニス、野球、バスケでフロントを務めた方々の参加は、いろんな考えを吸収していこうとする柔軟性もうかがえます。

 成功する・しないは、新加入する選手たちの顔ぶれ、開幕以降の試合の面白さにかかっているのは言うまでもありませんが、宣伝方法やメディアへの露出がどうなるかにもよります。日本以上に配信文化の進んでいる米国のこと、こちらに力を入れてくるでしょう。

 遠く離れた日本のアイスホッケー・ファンからすれば、「DAZN、頑張ろうや」と言いたいところ。 真面目な話、DAZNはテニス・トーナメントの放映権を持っており、この新リーグにテニス界の重鎮が関わっていることから、DAZNへの働きかけはあると思うのですが…。

讃岐猫
讃岐猫
タイトルとURLをコピーしました