ハリケーンズのスラビンの守備で、カンファレンス・ファイナル進出!

現役スター選手紹介

はじめに

 プレーオフのセカンド・ラウンドも白熱した試合が続いていますが、最後は安定した守備と、確実にチャンスをモノにできる攻撃、この二つのバランス取れたチームが勝ち残っているように思います。

 守備から攻撃に転じる時のスピードが命のアイスホッケー、リンク全体を見渡せる守備的選手のセンスが光ります。

 そのセンスを持つ選手の一人として、カロライナ・ハリケーンズのジャコブ・スラビンがいます。レギュラー・シーズン中、それほど目立つ選手ではないのですが、それだけ堅実で、しっかりとチームの土台を支えている存在と言えるのです。そんな彼の声を聞いてみましょう。

讃岐猫
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ハリケーンズvs.デビルズはもう少しもつれると思ったんだけど、

終始、スラビンを中心とした守備の安定していたハリケーンズに

凱歌が上がったにゃ。

引用元:NHL.com「Slavin praised by Hurricanes for defensive effort in Eastern 2nd Round」。

ハリケーンズ監督、絶賛!

 ジャコブ・スラビン(ディフェンス、29歳)は、カロライナ・ハリケーンズ監督として5シーズン務めている、ロッド・ブリンダムール(52歳)に多くの感動を与えてきました。

ロッド・ブリンダムール=カナダ、オンタリオ州オタワ出身、現役時のポジションはセンター。2006年、ハリケーンズ初のスタンレーカップ・チャンピオンシップ出場時、同チームのキャプテン。

 フィラデルフィア・フライヤーズ時代に、同チームの連続試合出場記録を塗り替え、「アイアン・マン」と呼ばれる。

 が、イースタン・カンファレンス第2ラウンドで、ニュージャージー・デビルズの強力なオフェンスを封じ込めたスラビンの見事なディフェンスは、コーチの賞賛を今まで以上に高めるものとなっています。

 5月11日(木曜日)の第5戦でカロライナが延長戦の末3-2で勝利し、イースタン・カンファレンス決勝に進出した後、ブリンダムールは「私は彼を長年見てきましたが、彼はそのポジションを自分なりのやり方でプレーする、史上最高のディフェンスマンの一人かもしれない」と語っています。

 「誰もが私に目を向けてくれてます。毎晩、私は選手を見ていますが、守備でこれ以上の選手を見たことがないね」と語りました。

 カロライナは、フロリダ・パンサーズかトロント・メープルリーフスとのカンファレンス決勝で、スラビンにもっと今回と同様の力を必要とするでしょう。しかし、ニュージャージー戦で見せたような守備の威力を発揮するのは、難しいかもしれません。

デビルズのキーマンを完封!

 デビルズのトップの攻撃陣、特にセンターのジャック・ヒューズ(22歳)と対戦することが多かったにもかかわらず、スラビンは、カロライナの13ゴールと1失点(木曜日第1ピリオドにドーソン・マーサー〈センター、21歳〉がゴール)に氷上に関わり、5試合でチーム最多のプラス12の評価(ディフェンス力の高さを示している)を得ました。

 レギュラーシーズン99ポイント(43ゴール、56アシスト)でデビルズの新記録を樹立したヒューズは、このシリーズで6ポイント(3ゴール3アシスト)を挙げましたが、スラビンとの対戦ではゼロに終わっています。

 NHL Stats(公式サイト中、シーズンの記録を分析したページ)によると、シリーズ中のヒューズの出場時間87分54秒のうち、スラビンも32分49秒出場していて、この間、ポイントを与えず、ゴールショット3本に抑えることに貢献しました。

 彼の攻撃力はあまり知られていませんが、スラビンもシリーズで4ポイントを挙げ(1ゴール、3アシスト)、彼とヒューズが一緒に氷上にいるとき、カロライナはニュージャージーを4-0で圧倒していることになります。

 全体的に、このシリーズでスラビンが氷上にいたとき、ハリケーンズは5on5のショット数でプラス25(攻撃力アップ)でした。

讃岐猫
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ヒューズと言えば、オイラーズのマクデイビッドの後を追いかける

スター候補生の一番手だにゃ。

交代制のアイスホッケーの中で、出場した時は必ず彼を抑え込んでいるスラビン、

うーむ、只者ではない。

チームメイトあってこそのディフェンス

 「正直なところ、これは5人の努力の賜物さ」とスラビンは述べています。「しかし、氷の上にいるときは、フォワードが僕らのために戻ってくる必要があるんだ。

 ディフェンスとして、(相手に有利な)スペースを狭まくしなければならないので、ということで、ただひたすら相手選手をマークして、彼らの時間や空間を奪っていくだけです。

 陳腐な表現だけど、しかし、あのような(ヒューズのような)一流のスキルがあれば、相手の時間とスペースを奪わなければならないんだ。そうでなければ、(こっちが)お金を払わされることになる」。

 ハリケーンズのホームゲームにチェンジした時(第5戦。第3・4戦はデビルズのホーム)、スラビンは、昨オフシーズン、サンノゼ・シャークスとのトレードで獲得したディフェンス・パートナー、ブレント・バーンズ(38歳)と助け合い、ジャック・ドルーリー(センター、23歳)、ジョーダン・スタール(センター、34歳)、マーティン・ネカス(センター、24歳)のフォワード・ラインと通常プレーしていました。

讃岐猫
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前線から守備に戻ってくるフォワード達の負担を減らすには、

どうしたらいいんだろ?を、

ずっと考え続けてるスラビンはチームプレー主義者の鏡だにゃ。

ヒューズの活躍は限定的

 第5戦で上半身を負傷したヒューズは、5月7日(日曜日)の第3戦、ニュージャージーがホームで8-4の勝利を収めた試合で、シリーズ合計6ポイントのうち4ポイント(2ゴール、2アシスト)を獲得しました。

 ハリケーンズのホームであるカロライナでの3試合(第1・2・5戦)で、最終の第5戦・第2ピリオド、ヒューズはティモ・マイヤー(右ウィング、26歳)のパワープレイ・ゴールを2次アシストする1点を挙げています。

 スラビンは、その体格(6フィート3=191センチ、207ポンド=94キロ)を生かし、左サイド・ディフェンスのポジションからゲームをコントロールし、ラッシュや得点チャンスを封じることに長けていました。(スラビンの)長いリーチとスケーティングは、カロライナの成功に不可欠でした。

評論家から見たスラビンとは

 NHLの元選手で、コーチでもあったターナー・スポーツ(ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーの一部門)のアナリスト、エディ・オルチクは「彼のスケート能力、スティック(を扱うテクニック)、クロージング(相手の攻撃を遮断)の能力を見ると、まさにそれは驚異的なものなのだ」と語っています。

エディ・オルチク=米国、イリノイ州シカゴ出身、56歳。現役時のポジションはセンター。現在は評論家として、主にシアトル・クラーケンを担当。競馬にも精通しており、そちらでも評論家業を務める。米国で評論家として著名だが、2013年2月22日、米国ホッケー殿堂入りしている名選手でもある。

 「自分に時間とスペースがあると相手選手は思っていたのに、突然それがなくなってしまうのは、スラビンが相手選手をマークする角度のつけ方を熟知しているからだ。上から見ていても、彼のプレーはわかりやすいんだ。

 彼がいろんなプレーやコーチングを経験したことにより、そのプレーの良さがわかってきたのでしょう、彼がそこにいるだけでいいんだ。相手選手が右サイドに行こうとするなら、正しいプレーをしなければならない、スラビンがただシャットアウトするだけだから」。

スラビンの印象的なプレー

 その最たる例が、火曜日の第4戦、6-1で勝利したハリケーンズの最初のゴールでした。

 デビルズが自陣から前進しようとしているとき、スラビンはプレーの流れを読み、ニュートラル・ゾーンでステップ・アップして、ルーク・ヒューズ(ディフェンス、19歳)のアウトレットパスを受けたマイケル・マクラウド(センター、25歳)から、ほとんど瞬時にパックを剥奪していったのです。

アウトレットパス=シュート等が外れた後、そのパックのリバウンドを取った選手が、その位置からサイドへとパックをパスすること。

 このターンオーバーをきっかけに、逆にネカスがラッシュを仕掛け、第1ピリオド残り2分20秒で1-1の同点に追いつきました。

 第3戦に敗れ、第4戦も1-0とリードされたまま、第1ピリオド終了後の休憩を迎えるのではなく、同点にした上、第2ピリオドで5得点し、シリーズを3勝1敗とリードすることになったのです。

讃岐猫
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第4戦のダイジェスト動画を見ても、スラビンの守備の上手さがよく分かるにゃ。

1-1のタイに持ち込んだ時間帯も良かった、リードされたまま、

守りを固められる前だったから。

スラビン自身の分析

 「デビルズが、ニュートラルゾーンで真ん中を使いたがると僕たちは知っているので、真ん中からさらに高い位置、ハリケーンズのゴール寄りにポジショニングしている相手選手を見かけなかったので、真ん中にいる選手、それが自分のマークすべき奴だと分かったのさ」とスラビンは語っています。

 「….プレーの展開がなんとなくわかったし、何か起きるか、あるいは何も起こらないか、オール・オア・ナッシングのようなプレーだ。彼に抜かれたら、そのまま逃げ切られてしまう。

 抜かれなければ、僕たちは明らかに逆方向へ行ってゴールを決められる、だから、僕はパックを取りに行ったんだよ」と述べました。

まさにいぶし銀、縁の下の力持ち

 スラビンの安定した守備的なプレーは、2012年のNHLドラフト第4ラウンド(全体120位)、彼を指名したハリケーンズに在籍して以来、NHLでの8シーズンを通して彼のトレードマークとなっています。

 しかし、この29歳は、レギュラーシーズンで、しばしば目立たない存在になってしまいます。

 スタンレーカップのプレーオフでは、全7試合のシリーズにおける対戦内容に焦点が集まりますが、そんな時、スラビンの守備技術がより注目され、ハリケーンズのロッカールームにおいて、シーズンを通して評価されるようになるのです。

 「彼と僕は、いつも似たような感じでプレーするんだ」とバーンズは言いました。「彼はいつも非常にバランスを取れていて、非常に繊細で熟練している。それが彼をエリートにしているのだと思うね」。

讃岐猫
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ドラフト指名・全体120位でも、

スラビンのように、これだけの名選手になれるんだにゃ。

いいコーチ、いいチームメイトとの巡り合いがあったんだと思うなぁ。

次は難敵、フロリダ・パンサーズ

 スラビンは、毎試合トップ・レベルの攻撃的選手と直接対決し、長いシリーズの間に調整しなければならないという課題を受け入れています。ジャック・ヒューズとデビルズとの戦いの後、パンサーズのマシュー・トカチュクとの戦いが、彼の次の任務になるかもしれません。

 「守備的に難しい試合になることが、最初からわかっているような試合こそ好みなんだ、特にマシューみたいな熟練選手に対してはね」と彼は言いました。「こんな戦いの夜が嫌だったら、誰もリンクに来ないんじゃないかな。…試合はただの1回じゃない。

 ある晩ベストを尽くせなかったら、次の晩にはもっと良い状態になって、リンクに戻ってきた方がいいと思うだろうし、チームの他の連中も同じことを考えている。最高の試合をしていなかったら、次の試合ではもっと良くなりたいと思って戻ってくるだろう」。

 「だから、確かに長い戦いだけど、楽しいよ」。

まとめ

 パンサーズもハリケーンズも、どちらかと言えば、攻撃的なチーム。パンサーズは、昨シーズンのプレジデンツ・トロフィー受賞チームであり、多く勝ち星を積み重ねられるということは、実力的に非常に安定したものを持っていると考えていいと思います。

 そうなると、ハリケーンズはなかなか崩すの難しいわけで、お互い得点できない我慢の時間帯が長くなると予想します。スラビンやバーンズが持ち味を発揮し続けられるかどうか、相棒・バーンズの年齢的なものを考えると、スタミナ面が弱点になるような気もするのですが…。

讃岐猫
讃岐猫

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

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