アトランティック・ディビジョンのゴーリー評価と大型トレードの展望

現役スター選手紹介

はじめに 

 NHLも御多分に洩れず、引退選手があちこちでコメンテーターやアナリストとして活躍しています。その中の一人、元NHLゴーリーであり、現在はアナリストとして活躍するマーチン・ビロンが、プレシーズン時のゴーリーランキングを発表しました。 

 このランキングはファンや専門家の間で多くの議論を呼び、評価の基準や選手の実力についての見解が分かれています。「おらが町のチームのゴールキーパーが一番やで」というのは米国にもあるわけで、下位にランキングされたチームのファンはあまり納得していないようです。 

 さらに、最近、ボストン・ブルーインズとシアトル・クラーケンの間で、ジェレミー・スウェイマンとマッティ・ベニアーズに関するトレードの噂が浮上しましたが、結局、ガセネタだったことが、この記事を最後まで読むと分かります^^;。いくら何でもこれは無いですよね。 

讃岐猫
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引用元:nhltraderumor.com(NHL TRADE RUMOR)「Atlantic Division Goalie Rankings Spark Debate

再び激戦区となるアトランティック・ディビジョン

 アトランティック・ディビジョンは再び激戦区になりそうで、ゴールキーパーの状況も例外ではありません。

 NHLアナリストで元ゴーリーのマーチン・ビロン1が最近、TSNでプレシーズン時における、同ディビジョンのゴーリー・ランキングを発表し、そのリストはファンや専門家の間で多くの議論を呼んでいます。

ビロンのゴーリー・ランキング発表

ビロンのNHLアトランティック・ディビジョンのゴーリー評価

1.セルゲイ・ボブロフスキー(フロリダ・パンサーズ):ボブロフスキーはパンサーズのスタンレーカップ決勝進出時にベジーナ・トロフィー級のパフォーマンスを見せ、彼のトップの座は確固たるものとなりました。ビロンは、彼が今後もその力を持ち続けると信じています。

2.ジェレミー・スウェイマン(ボストン・ブルーインズ):スウェイマンは信頼できる先発ゴーリーとしての地位を確立し、ブルーインズにとっては素晴らしい守備システムとともに堅実な先発ゴーリーを手に入れました。ビロンは彼を未来が明るい成長株と見ています。

3.アンドレイ・ヴァシレフスキー(タンパベイ・ライトニング):わずかに低調なシーズンがあったものの、ヴァシレフスキーの実績は自明です。ビロンは、今シーズン、元コン・スマイス受賞者の復活を期待しています。

4.ライナス・ウルマーク(オタワ・セネターズ):ウルマークのオタワ移籍は、ディビジョンにもう一人のエリートゴーリーを加えることになります。ビロンは彼が新しい環境で成功すると確信しています。

5.ウッコ=ペッカ・ルッコネン(バッファロー・セイバーズ):ルッコネンのこれから発達していく才能と可能性により、彼はトップ5にランクインしました。ビロンは彼をバッファロー復活の鍵を握るピースと見ています。

6.サム・モンテムボール(モントリオール・カナディアンズ):昨シーズン、モンテムボールの安定したプレーは多くの人を驚かせました。ビロンは彼の改善を認めつつも、安定性についてはまだ疑問が残るとしています。

7.ジョセフ・ウォール(トロント・メープルリーフス):ウォールの健康状態と経験不足がビロンの主な懸念材料です。しかし、ビロンはウォールが健康であれば、ランキングを急速に上げる可能性があると考えています。

8.キャム・タルボット(デトロイト・レッドウィングス):タルボットのベテランとしての存在感は、レッドウィングスに安定性をもたらします。ビロンは彼を堅実なゴーリー・オプションと見ているものの、ゲーム・チェンジャーとは考えていません。

ファンの反応と分析

 ビロンのランキングは、ネット上で多くの反応を巻き起こしています。多くのファンはウォールの評価に賛同し、彼の可能性を認めつつも、NHLレベルで自らを証明する必要があると強調しています。

 一方で、タルボットの選出には困惑する声もあり、ヴィル・フッソが先発と目されるチームにおいて、タルボットの役割に疑問を呈する者もいます。

 最大の論争点は、ヴァシレフスキーのランキングのようです。複数のファンは彼がより高い位置で評価されるべきだと考え、その印象的なキャリア統計と重要な瞬間に対し、彼のゲームを向上させる能力を挙げて説明しています。

ゴーリー限定サマーキャンプに参加中のヴァシレフスキー

 (パンサーズの)ボブロフスキーの最近の成功にもかかわらず、彼がまだディビジョンで最高のゴーリーであると主張する人さえいます。

ビロンのリストに対する個人的見解

 個人的には、ビロンのリストはよく考えられており、洞察力に富んでいると感じます。彼はゴーリーのニュアンスを明確に理解しており、新進気鋭の才能を見出すセンスを持っています。

 いくつかの選択には異論があるかもしれませんが、全体として彼のランキングはアトランティック・ディビジョンのゴーリーの現状を正確に反映していると思います。

讃岐猫
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NHLトレードの噂:ブルーインズとクラーケンの注目取引

引用元:nhltraderumor.com「Bruins-Kraken Trade Rumors: Swayman For Beniers In Blockbuster Player Swap?

トレードの可能性と内容

 NHLのトレードの噂が絶え間なく飛び交う中、ボストン・ブルーインズとシアトル・クラーケンに関する新たな興味深い憶測が浮上しています。

 最近の噂によると、両チームはジェレミー・スウェイマンとマッティ・ベニアーズとの長期契約という課題に直面しており、大規模なトレードの可能性が浮上しています。

 その内容は、ジェレミー・スウェイマンがクラーケンに移籍し、マッティ・ベニアーズがブルーインズに移るというものです。

トレードが、両チームにとって都合の良い理由

ボストン・ブルーインズの視点

 ボストン・ブルーインズにとって、このトレードは、ブルーインズにとって攻撃力の強化を図るための戦略的な動きとなる可能性があります。

 ブルーインズは堅実な守備システムを持っており、ヨーナス・コルピサロとブランドン・ブッシのゴールテンダー・コンビにプレーオフ進出を託すことができるでしょう。

 25歳のスウェイマンはゴールネットで信頼できる存在ですが、ブルーインズは21歳の若く才能あるセンター、ベニアーズ獲得のチャンスを見逃すわけにはいかないかもしれません。

 ベニアーズは年間約666万ドルで7年または8年の契約を結ぶと予想されており、ブルーインズにとって、(このトレードは)長期的なセンターのポジションの人材に関する解決策を提供し、(トレード成立となれば)パトリス・ベルジェロンの穴を埋めることはできます。

シアトル・クラーケンの視点

 一方、シアトル・クラーケンはゴールテンダーの現状に苦しんでいます。現在の先発ゴールテンダーであるフィリップ・グルバウアーは期待に応えられていません。

 平均年俸643万3000ドルの5年契約を結んでいるジェレミー・スウェイマンを獲得することで、クラーケンのゴールテンダー問題に対する答えを見つけることができるかもしれません。

 スウェイマンの安定したパフォーマンスと長期的な先発ゴールテンダーとしての可能性が、プレーオフ常連チームとしての地位確立を目指すクラーケンにとって魅力的なオプションとなっています。

 しかし、クラーケンはグルバウアーのトレード相手を見つける必要があり、移籍を促進するために、彼のサラリーの一部を保持する必要があるかもしれません。

トレードの全体的な影響

 スウェイマンとベニアーズのトレードは両チームの差し迫ったニーズに対応するものであり、ブルーインズはフォワード・ラインを強化し、クラーケンは信頼できるゴールテンダーを確保することができます。

 これらの噂はあくまで憶測に過ぎませんが、その根底にある論理から考えると、NHLのトレード・シーンにおいて、このトレードが現実的なシナリオであることを示しています。

スウェイマンとベニアーズの現状

※2024年8月21日、マッティ・ベニアーズはシアトル・クラーケンと7年契約を結び、制限付きフリーエージェントではなくなっている。

 マッティ・ベニアーズはシアトル・クラーケンと7年4998万ドルの契約を結んだ。契約の平均年俸は714万ドルである。21歳のベニアーズは、昨シーズン77試合で37ポイントを記録し、2022-23シーズンにはカルダー賞を受賞した実力者である。

 クラーケンのGMロン・フランシスは、ベニアーズがチームの中心選手であり、今後の成長を期待していると述べている。ベニアーズは2021年のドラフトで全体2位指名を受け、これまでに167試合で103ポイント(42ゴール、61アシスト)を挙げている(プレーオフは14試合出場、7ポイント〈3ゴール、4アシスト〉を記録)。

 GMロン・フランシスの談話「マッティはNHLデビュー以来、チームの中心選手であり、氷上だけでなくコミュニティやファンへの貢献でも重要な存在だ。マッティとの新契約は今オフシーズンの最優先事項であり、契約が結ばれてとても嬉しく思っている。

 マッティが選手として次のステップを踏み、我々のフランチャイズのためにさらに多くの記憶に残る瞬間を作り出す姿を見るのを楽しみにしている」。

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逆に、ジェレミー・スウェイマンは未だ制限付きフリーエージェントのままであり(8月22日現在)、下記の記事は3日前のもので、順調ではあるが、契約合意までに時間がかかるとしている。NHL情報サイトの中には、「トレーニング・キャンプまでに間に合わないのではないか」の声も出ている。

ジェレミー・スウェイマン、ブルーインズの先発ゴーリーに昇格

 ボストン・ブルーインズは、3年間ライナス・ウルマークと共同でゴールを守ってきた後、25歳のジェレミー・スウェイマンをフルタイムの先発ゴーリーとして起用する準備が整った。

 オフシーズン初期には、ウルマークをオタワ・セネターズにトレードし、スウェイマンに先発の役割を与える見込みである。

 ただし、スウェイマンはまだ制限付きフリーエージェントであり、2024-25シーズンの開始前に新しい契約に合意する必要がある。昨年は年俸調停を経験し、そのプロセスを繰り返したくないと語っている。

 現在、調停申請はなく、スウェイマンとブルーインズは自力で契約に合意する必要がある。報道によれば、契約合意にはまだ時間がかかるかもしれないが、希望は残っている。

 スウェイマンは交渉について「今年はビジネスとして通常通りに取り組んでいる」と自信を見せており、「時間が経てばうまくいく」と考えている。また、今年はより良いゴーリーになることに集中している。

 昨年の調停では、スウェイマンに1年・347万5000ドルの契約内容が示された。新しい契約では、サラリーキャップに対して600万ドル以上になる可能性があり、これによりNHLでトップ10の高給ゴーリーとなる見込みである。

 スウェイマンはブルーインズの新シーズンに対して興奮しており、チームの強化と特別な成果を期待している。「ブルーインズの一員であることが、これ以上ないくらい幸せです」と語っている。

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NHL公式をはじめ、スウェイマンの動向に注目が集まっています。

まとめ

 アトランティック・ディビジョンのゴールキーパー状況は、今シーズンも注目の的となりそうです。ボブロフスキー、スウェイマン、ヴァシレフスキーがトップ3だと思いますが、セネターズに移籍したウルマークがフル出場して、存在感を示しそうな気もします。

 一方、ブルーインズとクラーケンの間での「トレードに関する噂」は、ベニアーズの契約成立により「何だったんだ、あれ」感は漂っていますが、弱点を補いたい両チームの戦略的な動きは止まったわけではありません。特にクラーケンは信頼できるゴーリー確保こそ急務です。

 9月になると、さすがにトレーニング・キャンプやプレシーズン・マッチも始まりますので、移籍市場が動くとすれば、8月最終週に集中するのではないでしょうか。それによっては、今後のシーズンにおける戦力図を大きく変える可能性があり、これからの展開にますます目が離せません。

讃岐猫
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【註釈】

  1. 1977年8月5日生まれ。出身はカナダ・ケベック州シャーブルック。1996年のNHLドラフトで、バッファロー・セイバーズから1巡目(16位)指名。NHL5チームでプレー。力強いスケーティングと冷静なプレーで知られ、特にショットの反応が良いと評価された。

     現役引退後、アイスホッケーの解説者やアナリストとして活動。特に、TSNやその他のスポーツメディアでその知識と経験を生かしている。選手としての経験に基づき、ゴールテンダーやゲームの戦術に関する深い洞察を提供し、ファンや視聴者から高く評価されている。 ↩︎
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