はじめに
いよいよ今週末からNHL各チームが本格的にトレーニング・キャンプに入ります。ところが、キャンプ中、若手以外に試される選手達がいます。いまだに所属先の決まっていないフリーエージェントの選手もプロ・トライアウト(PTO)契約を結び、参加しているのです。
そんな中、元ニューヨーク・レンジャーズのゴールテンダー、アンティ・ランタがフィンランドのメディアとのインタビューで、今シーズンNHLでプレーしないことを明かしました。ランタは35歳で引退を考えていないとし、今後はヨーロッパでのプレーを検討しているものの、具体的な計画はまだ決まっていないとしています。
ランタ以外のベテランで、プロ・トライアウト(PTO)契約を結んだ選手たちも注目を集めています。これらの選手たちは、今シーズンのチーム契約を勝ち取るためにキャンプでパフォーマンスを披露するはずです。10月4日のレギュラーシーズン開始に向けて、彼らがどのようなプレーを見せるのでしょうか。
ランタのように北米に見切りをつけて、ややレベルの落ちるヨーロッパに渡る選手は、他にも出てくると思うにゃ。それとは逆に、ヨーロッパでプレーしていたが、最後にもうひと花咲かせるべく、NHLに舞い戻ってきた選手もいるんだな。
引用元:foreverblueshirts.com(FOREVER BLUESHIRTS=ニューヨーク・レンジャーズのファンサイト)「Former Rangers goalie Antti Raanta leaving NHL, not retiring」
ヨーロッパでの将来と引退の可能性
元ニューヨーク・レンジャーズのゴーリー、アンティ・ランタが最近、フィンランドのメディアとの最新インタビューで、今シーズンはNHLでプレーしないことを明かしました。しかし、35歳のランタはまだ引退するつもりはないとしています。
ランタはヨーロッパでプレーしたいと考えているものの、具体的な計画はまだ決まっていないとのことです。
「NHLで11年間プレーした。今は家族と一緒にヨーロッパに戻る良い時期だと思っている」と、ランタはイルタ=サノマット1に語りました。
「毎日のように、妻が、スイスでプレーしている選手の奥さんのInstagramで更新されている写真を見て、その風景がとても素晴らしいと感じているみたいだ」。
スイスについて話題になりましたが、新シーズン、どの国でプレーしたいかについて、ランタは具体的に言及しませんでした。税金の理由から2母国フィンランドでプレーする可能性は低いと考えられます。
「シーズンの終わりや夏にはいろいろなことを考えたけど、夏が進むにつれて体調も良くなり、ヨーロッパがさらに魅力的に感じられるようになったんだ」とランタは述べています。
NHLでの活躍とキャリアのピーク
ランタはNHLでの11シーズンのうち2シーズンをレンジャーズで過ごし、2015-16シーズンおよび16-17シーズンにはヘンリック・ルンドクヴィストのバックアップを務めました。
その2シーズンで55試合(44試合先発)に出場し、27勝14敗4延長戦負け、失点平均2.25、セーブ率.921、5完封という堅実な成績を残しています。16-17シーズンには26試合先発でキャリアハイの4完封を達成しました。
愛されるキャラクターのランタは、2015年10月19日のレンジャーズでのデビュー戦で、サンノゼ・シャークス相手に22セーブの完封を達成し、4-0で勝利しています。そのシーズンにレンジャーズで初めての4連勝を記録し、2015-16シーズンの最後の9試合では7勝2敗でした。
2016-17シーズンには、ホームで最初の5試合を連勝し、その後も9試合中8試合に勝利し、再び好調なスタートを切りました。そのシーズン、30試合で3ゴール以上を許したのはわずか3回でした。
アリゾナ・コヨーテズとカロライナ・ハリケーンズでのプレー
レンジャーズを離れた後、ランタは数シーズンにわたり好成績を収めました。
2シーズンでレンジャーズを退団後、ランタはアリゾナ・コヨーテズと3年総額1275万ドル(約1億9,125万円)の契約を結び、4シーズンを過ごした後、カロライナ・ハリケーンズに加入しました。
ハリケーンズでの初シーズンである21-22シーズンには、NHLで最も失点が少ない(ゴールテンダー個人あるいはコンビに贈られる)ウィリアム・ジェニングス・トロフィー獲得に貢献しました(フレデリック・アンデルセンとのコンビで獲得)。
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2023年のスタジアムシリーズのリンクに入ったランタ、カメラとマイクを身につけて練習中。
ハリケーンズ在籍中のランタは怪我と戦う日々3だったようで、結局、昨シーズン、24試合(20試合先発)で平均失点2.99、セーブ率.872と苦戦してしまいます。ピョートル・コチェトコフにスタメンを譲る形になり、最終的にはマイナーリーグ(AHLシカゴ・ウルブズ)に落ちました。
ランタは今シーズン、いくつかのNHLチームがPTO(プロフェッショナル・トライアウト契約)4で招こうとしたり、ゴールテンダーの選手層に第3の選択肢として考えたりしていること、そのどれにも興味を持っていないと語っています。
バンクーバー・カナックスもその中の1つでした。
上り調子のチームだし、なんでランタはカナックスに行かなかったんだろうにゃ?まあ、先発→救援ゴールテンダーのコンビのしっかりしたチームだから、たとえ正式契約できても、「契約しただけ、試合には出れず」で終わると考えたのかもしれん。
「すぐに断り、もうそこには行かないと決めたことを発表したんだ」とランタは説明しました。
ランタはNHLで277試合(251試合先発)に出場し、キャリア通算で平均失点2.48、セーブ率.915、完封20回を記録しています。シカゴ・ブラックホークス、5レンジャーズ、コヨーテズ、ハリケーンズでプレーしました。
【追記】
ランタと同世代のゴールテンダーで、トライアウト契約を結び、チームのキャンプに帯同している選手は以下の3人である。
引用元:nhl.com(NHL公式サイト)「Players signed to professional tryouts for NHL training camps」
ジョン・ギリーズ、トロント・メープルリーフス
30歳の彼は、2022-23シーズン、コロンバス・ブルージャケッツでNHLに出場したのが最後となっていて、1勝1敗で平均失点4.57、セーブ率.864でした。
ギリーズは、ブルージャケッツ、ニュージャージー・デビルズ、カルガリー・フレームスでの35試合(27先発)で8勝16敗3延長負け、平均失点3.39、セーブ率.891を記録しています。
カルガリー時代は、こんなアクロバティックなプレーをしてました!
マイケル・ハッチンソン、ニュージャージー・デビルズ
34歳のハッチンソンは、昨シーズン、デトロイト・レッドウィングスで1試合に出場し、アメリカン・ホッケー・リーグ(AHL)のグランド・ラピッズで32試合に出場して14勝14敗3延長負け、平均失点2.89、セーブ率.892、2回の完封を記録しました。
ハッチンソンはレッドウィングス、コロンバス・ブルージャケッツ、メープルリーフス、アバランチ、フロリダ・パンサーズ、ウィニペグ・ジェッツで154試合に出場し、57勝62敗18延長負け、平均失点2.94、セーブ率.903、6回の完封を記録しています。
3人目として登場したのに、ハッチンソン大活躍!
プレーオフでは4試合に出場し、2勝1敗の成績を残しています。
キース・キンケイド、ゴールテンダー、ニューヨーク・アイランダーズ
35歳のキンケイドは、2022-23シーズン、ボストン・ブルーインズとアバランチで2試合に出場したのがNHLでの最後のプレーです。昨シーズン、AHLのシカゴで24試合に出場し、8勝14敗2延長負け、平均失点3.54、セーブ率.880を記録しました。
キンケイドはアバランチ、ブルーインズ、レンジャーズ、モントリオール・カナディアンズ、ニュージャージー・デビルズで169試合に出場し、70勝58敗21延長負け、平均失点2.91、セーブ率.905、8回の完封を記録しています。プレーオフでは2試合に出場し、0勝2敗の成績です。
レンジャーズ時代の映像、ジェフ・スキナーを二度ストップし、驚異的なセーブ連発!
まとめ
アンティ・ランタが今シーズンNHLでのプレーを見送る決断をしたことは、彼のキャリアに新たな章を開く可能性を示唆しています。ヨーロッパでのプレーが見込まれる中、ランタがどのチームで活躍するのか、今後の動向に注目です。日本に来ないかなぁ。
NHLのプロ・トライアウト(PTO)契約を結んだ選手たちが、トレーニングキャンプでどのようなパフォーマンスを見せ、誰が正式契約を勝ち取るかも注目です。場合によっては、シーズン開幕以降にチームと契約を結ぶ可能性もあるので、望みは捨てずに頑張って欲しいです。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- フィンランドの大手タブロイド紙。1932年創刊。幅広いトピックを取り上げているが、特にエンターテインメントやセレブリティ・ニュース、スポーツの報道に力を入れている。フィンランドのメディア・グループ「Sanoma」の関連会社。
↩︎ - フィンランドの税制は、一般的に高い税率とされている。個人所得税には国税と地方税があり、地方税は住んでいる自治体によって異なり、国税の税率は約6%から31.25%の範囲となっている。
標準の付加価値税率は24%で、これは商品やサービスのほとんどに適用される。また特定の必需品やサービスには軽減税率が適用されることがあり、例えば、食品や医薬品には14%、出版物や交通機関には10%となっている。
↩︎ - 2022年5月2日、ランタは先発ゴールテンダーのアンダーセンが怪我をしたため、ボストン・ブルーインズとのプレーオフ・ファーストラウンドに先発し、ゲーム1で5–1の勝利を収め、これが彼のキャリア初のプレーオフ勝利となる。
しかし、5月4日、ランタはゲーム2でブルーインズのフォワード、デビッド・パストルナックと衝突し、退場。結局、この時の怪我が以降のシーズンに影響を及ぼすこととなる。
↩︎ - チームが選手にPTOのオファーを出すと、選手はそのオファーを受け入れ、短期間契約により、トレーニングキャンプやシーズン前の練習に参加できる。
選手はチームの練習やプレシーズンゲームでプレーし、自身のスキル、フィット感、体調などを評価される。トライアウト期間終了前、チームは選手のパフォーマンスを基に判断し、選手に対して正式な契約をオファーするかどうかを決定する。
契約に至らなかった場合、選手はフリーエージェントとなって、別なオファーを待つこととなる。
↩︎ - 2013〜2015年にかけて所属。特に13-14シーズンには、チームの主要なゴールテンダーとして25試合に出場し、平均失点2.71、セーブ率.897を記録。
このシーズン、キャリア初のシャットアウト達成や、2013年12月、ルーキー・オブ・ザ・マンスに選出、翌年1月には、チームの連敗ストッパーになるなど、数字以上の働きをしている。
しかし、翌シーズンはルーキーに押され気味で、出場機会は激減。2015年のプレーオフに呼ばれたものの、試合には出場せず。
ブラックホークスはスタンレーカップを獲得して、ランタもスタンレーカップリングを受け取ったが、カップに名前が刻まれるための最低試合数を満たしておらず、プレーオフにも出場していなかったため、スタンレーカップには名前が載らなかった。 ↩︎