はじめに
今、巷で大学生の大麻使用のニュースが飛び交っています。まだ、事がどのように進展していくか分からないので、詳細なコメントは差し控えますが、これまで不法薬物関連のニュースがあれだけネットを騒がせていたのに、若い方々はご覧になっていないのでしょうか。
スマホが最も手放せない世代のはずなのに…。
今回の記事は、そんな彼らにぜひ読んでほしい内容です。NHLで功なり名遂げた一選手が薬物依存から脱却し、家族や仲間とともに新たな人生の目標を見つけ、歩みを進めている…というものです。多くは語られていませんが、筆舌に尽くしがたい苦労をしてきたと思われます。
若い人には、ホント自分を大切にしてもらいたいです。
アメフトもボクシングも大好きなスポーツだから、
よけいにあのニュースはつらかったにゃ。
まだまだ先が見えない状況、重苦しい気分だ…。
引用元:NHL.com「Stevens, former NHL forward, continuing to give back in sobriety」。
幸運をつかんだケヴィン・スティーブンス
ケヴィン・スティーブンスは自分が幸運だったことを知っています。
※ケヴィン・スティーブンス=米国、マサチューセッツ州ブロックトン出身、58歳。現役時のポジションは左ウィング。ペンギンズのレジェンド、マリオ・レミューとラインメイトを務め、一時代を築く。
1991-92シーズンの123ポイントは、その当時、米国生まれの左ウィング選手として最多記録であった。
1991年と1992年、ピッツバーグ・ペンギンズでスタンレーカップを制したNHLの元フォワードが、長年続いた薬物中毒と闘った時、彼の側にまだ家族や友人がいて、まだ希望がありました。
彼は誰もがそうではないことを知っています。
スティーブンスが妹のケリー・ウィルソンと共に、教育、エンパワーメント、イノベーションを通じて依存症との闘いを支援する財団「パワー・フォワード」を立ち上げ、依存症の汚名を取り除くために活動を行っているのも、そのためです。
※ケリー・ウィルソン=アレルギーおよび免疫学の分野でキャリアを積んだ後、依存症回復へと研究分野を拡大したのは、やはり、兄からの影響が強かったと思われる。
それ以来、彼女は兄と協力してパワーフォワードの社長/CEO兼共同創設者を務め、依存症の汚名を終わらせる手助けをしてきたのである。
それは、スティーブンスの経験したことを通して、他の人々を助ける方法でした。彼がまだ経験していることを。
「治療を受けたとき、そして依存症と闘っていたとき、一番つらかったのは、治療を終えたときです。たとえば、どこに行くのかということでした」スティーブンスは言います。「僕に家族がいるから、いつも行く場所があったけど、行く場所のない人がたくさんいるんだよ」。
パワーフォワードの活動
そこで、パワーフォワードが支援するのです。この財団は、回復過程にある人々に最大6週間の薬物リハビリ用住居を提供し、回復支援金を支給できます。
「何も持っていない人もいるんです。彼らは車中で暮らしていて、帰る家を持っていない」とパワーフォワード社長のウィルソンは語りました。「我々は彼らを安全な環境で、落ち着いた家に連れて行きたい」。
その目的のために、8月7日(月曜日)、インディアン・ポンド・カントリー・クラブ(マサチューセッツ州キングストン)で、ウォルシュ兄弟(マサチューセッツ州出身のコメディコンビ)の発表したケビン・スティーブンス・パワーフォワード・有名人ゴルフトーナメント(毎年開催予定)を、財団は初開催しました。
マーク・レッキ、クリス・ニラン、デレク・サンダーソン、ランディ・ヒリアー、テッド・ドナートなど元NHL選手を多数集めた豪華なイベントとなっています。NHLPAのマーティ・ウォルシュ事務局長とニューイングランド・ペイトリオッツ(NFL)の元ラインバッカー、テッド・ジョンソンも出席しました。
※マーク・レッキ=詳しくはこちら→☆。
※クリス・ニラン=米国、マサチューセッツ州ボストン出身、65歳。現役時のポジションは右ウィング。ナック、ナックルズの愛称で呼ばれ、血気盛んなのか、NHLペナルティ関係の記録を多数保持。
現役時代から非常に弁の立つ人物でもあり、引退後もラジオ番組の司会、ポッドキャストを主催している。
※デレク・サンダーソン=カナダ、オンタリオ州ナイアガラフォール出身、77歳。現役時のポジションはセンター。自チームがペナルティで人数少ない時に滅法強く、ゴールを量産。アメリカで最もセクシーな男性の1人とされ、ゴシップ欄を賑わせた時期も。
※ランディ・ヒリアー=カナダ、オンタリオ州トロント出身、63歳。現役時のポジションはディフェンス。1991年、ペンギンズのスタンレーカップ優勝メンバー。1998年と2002-04シーズンにペンギンズのアシスタントコーチを務めている。
※テッド・ドナート=米国、マサチューセッツ州ボストン出身、54歳。現役時のポジションは左ウィング。現在、母校でもあるハーバード大学のヘッドコーチ。商品の価格を当てるTV番組「The Price Is Right」に、NHL選手として初出場している。
※マーティ・ウォルシュ=2023年2月、バイデン政権下初の閣僚辞任者となる(当時の役職は労働長官)。NHLPA(選手組合)事務局長のオファーを受けた直後、辞任したとされている。
過去にアルコール依存症だったことを公表し、労働長官就任後、依存症からの脱却プログラムについて省庁横断的な議論を進めていた。
※テッド・ジョンソン=米国、カリフォルニア州アラメダ出身、50歳。2007年2月1日、ニューヨークタイムズに、脳震盪後症候群とセカンドインパクト症候群に関連するアンフェタミン中毒、うつ病、頭痛に苦しんでいると語っている。
日本のプロスポーツ界ではどう考えているんだろうにゃ。
アマチュア選手の薬物依存が進むと、
プロスポーツ界にも影響は確実に出てくると思うんだけど。
アマとプロの間に隔たりとかあるのかな。
ホッケーコミュニティの仲間も参加
「自分にとっても助けになると思うよ」。
ペンギンズ、ボストン・ブルーインズ、ロサンゼルス・キングス、ニューヨーク・レンジャーズ、フィラデルフィア・フライヤーズでプレーし、NHLでの15シーズンにわたる874試合で726ポイントを記録したスティーブンスは、(329ゴール、397アシスト)と語っています。
「同じことだよ、みんな同じなんだ。僕の脳は、あそこの通りに座っている男の脳のように機能しています。違いはありません。僕たちは皆薬物に依存している。このままでは人生を台無しにするか、命を落とすことになる。それは自分を殺すことさ。そうなるだろうね」と述べました。
この取り組みにおいて、スティーブンスは、ホッケーコミュニティの非常に多くの人々からのサポートを感じています。
ウェイン・グレツキーは、フロリダのマイケル・ジョーダンのプライベートゴルフコースで、彼とスティーブンスと一緒にフォーサムをプレーし、レッキ、マリオ・ルミュー、マイク・エルジオーネ、そしてレイ・ボークからのサイン入りジャージがありました。
彼のホッケー選手時代に始まった人間関係が、現在まで続いていることは明らかです。
※フォーサム=ゴルフのゲーム方式のことであり、4人が2組に分かれ,各組が1個ずつのボールを使って交互に打つ。
※マイク・エルジオーネ=米国、マサチューセッツ州ウィンスロップ出身、68歳。現役時のポジションは左ウィング。現役時代は短かったが、1980年のレークプラシッドオリンピックで米国代表キャプテン。
チェコスロバキア戦、ノルウェー戦で連続ゴール、そして当時世界最強と言われたソビエト連邦戦で第3ピリオド10分に決勝ゴールを決め、チームを勝利に導き、最終的に金メダル獲得となる。
※レイ・ボーク=カナダ、ケベック州モントリオール出身、62歳。現役時のポジションはディフェンス。ボストン・ブルーインズで21シーズンを過ごし、キャリア通算成績も上位にあるにもかかわらず、一度もスタンレーカップを獲得していない。
セラピー犬の導入
回復支援金に加えて、パワー・フォワードは薬物リハビリ用住居でセラピー犬を使用する先駆者であり、D.O.E.R.(Dog Ownership Enhancing Recovery=回復を促す犬を飼う)と呼ばれるプロジェクトでもあります。
1年前、ソーヤーという名のゴールデンレトリバーが、マサチューセッツ州トーントンの「バラックス22」というリハビリ用住居に住むことになりました。
スティーブンスの背番号にちなみ、25まで拡大する意向です。
「犬の治癒力について、誰もが本当に学ぶ機会を得られるようになるのは確実です」と、バイオテクノロジーの仕事を経て、同財団の設立に携わったウィルソンは述べました。「誰もがそう信じているんだけど、セラピー犬をリハビリの施設に入れる人はいないんです」。
ウィルソンは、警察犬や学校犬と同じ訓練を受けていると付け加えています。
ウチのご主人様も、オイラと一緒にいると、
いつも心が和むと言ってるにゃ。
(飼い主=ブログ執筆者談)癒し効果だけじゃなく、
動物の命を思うと、責任感も湧いてくるのです。
医学的にも大きな効果が
「トーントンのバラックス22に、最初のソーヤーを住まわせたとき、父親の一人がすぐに電話をかけてきて、『ケリー、息子が戻ってきた』と言ってくれたんです」と彼女(ウィルソン)は言いました。「父親はこう言いました:
『彼は自分の部屋から出てこなかった。そこへソーヤーがやってきた。今、(ソーヤーは)1日に息子を5マイル歩かせ、(息子は)近所の人のことを知り、再び社交的になり、落ち込んでなんかいないよ。彼(息子)には責任、説明責任、そして無条件の愛があるんだ』」。
MITの神経科学者であるジョン・ガブリエリ博士と提携して、ウィルソンは、セラピー犬への反応を記録するために、到着前と到着後30日のリハビリ用住居の住人の脳を画像化すると述べました。
※ジョン・ガブリエリ=マサチューセッツ工科大学マクガバン脳研究所イメージングセンターのセンター長。ハーバード大学・マサチューセッツ工科大学健康科学・技術プログラムでグローバー・ハーマン記念教授を兼任。
彼らはまた、マサチューセッツ総合病院の依存症医療センターの所長であるエデン・エビンズ博士と協力しています。
「一人ずつ」とウィルソンは言いました。「彼らの命を救うことができれば、それだけの価値はあります」。
スティーブンスはそう感じています。
現在のスティーブンスの心境
1993年5月14日、パワーフォワードのスティーブンスは、ニューヨーク・アイランダースのディフェンスマン、リッチ・ピロンと衝突して顔を潰され、脳を損傷した後、薬物依存症となりました。
※リッチ・ピロン=カナダ、サスカチュワン州サスカトゥーン出身、55歳。ピロン自身も薬物やアルコールと戦った経験を持ち、薬物乱用を避けるため、8歳から14歳の子供たちへのホッケー指導ボランティアをしている。
スティーブンスは2回逮捕されましたが、2016年、オキシコドンの取引で逮捕されて以来、7年間、薬物を断っています。
現在もスティーブンスはペンギンズの特別任務スカウトとして、ホッケーに取り組んでいます。
6月1日、ホッケー運営部門の社長に就任し、今シーズンからゼネラルマネージャーの役割を担うカイル・デュバスの下での新体制に乗り気ですが、彼の一番の仕事は、節制であることに変わりはありません。
あのやり手・デュバスも、きっと彼の活動に理解を示していると思うにゃ。
そうじゃなきゃ、スティーブンスのやる気みなぎる姿勢は生まれないはずだから。
上に立つ人間はそうじゃなきゃ。
「治療は大変さ。回復するのは難しいよ。人生で一番大変だったね」と語りました。「僕にたくさんの良いことが起こったんだ。スタンレーカップで優勝した。いや、回復したことかな?(そうならなかったら、)僕はここにいないだろう。
それだ、それが僕の人生におけるNo.1のものでなければならないね。回復していることが僕の人生の最優先事項であり、それが僕の毎日しなければならないことなのさ。そうしなければ、今のようなことはできないよ」。
あるいは、ウィルソンが言ったように、「彼が氷の上でやってきたことを見て、今の彼がやっていることと比べると見劣りはします。そして、彼はとてつもないホッケー選手だったと感じるのです」。
まとめ
アメフト大好きだった亡き父が、今、世間を騒がせている薬物に関するニュースを見たら、何て言うだろう…なんて思ったりしてます。スポーツって、プレーヤーだけでなく、観てる人間の元気を喚起するものであり、勝負の結果以外で、その逆、元気を損ねちゃダメだと思うのです。
自分だけでなく、周りの元気も奪ってしまって、一体、彼は何のために楕円を追いかけていたのでしょうか。きっと、スティーブンスはパックを追いかけていた自分の原点を思い出し、それに向けて歩む方向を変えたのでしょう。絶対、後戻りしない勇気を持つと誓って。
アメフトやボクシングの彼らに、また持つべき勇気を思い出してほしいと切に願っています。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!