はじめに
プレーオフ進出決定チームが続々と出てくる中、関係ない?フライヤーズ・ファンの楽しみはNHLドラフト。
わざと負けて、ドラフトの一巡目指名順を早くしようとするチームがある(下位チームほど早い)、なんて噂が飛び交う中、フライヤーズは現時点で7番目辺りと予想されています。
今回は、「この時期の下位チームの悲しい現実」をお届けしましょう。勝てば勝つほど指名順は遅くなるし、負ければ負けたで、ファンからの突き上げがあるし。
しかも、フライヤーズの場合、このブログでも触れましたように、チーム再建に着手し、人事一新が発表されたばかりです。
そんな難しいチーム状況の中、現場をあずかるトルトレラ監督の心中や、いかに…。厳格を売りにする監督の最新インタビューも、どうぞ。
このブログ記事作成中、最新の試合結果が入り、
フライヤーズはセネターズに5-4で敗戦したにゃ…。
5連勝ならず。
よく追い上げたんだけど、あと一歩及ばず。
引用元:ESPN.com「Frost scores 2 goals, leads Flyers to 4th straight win」。
勝利もほしいが、ドラフト全体1位指名権もほしい!
パール・ジャムのトリビュートバンド(フライヤーズはグランジ・バンドに敬意を表して、プロモーション・ナイトを開催)のリード・シンガーが、試合前にアリーナのバーに詰めかけたホームチームのファンに「Given to Fly」を捧げました。
※プロモーション・ナイトを開催=詳細はこちら→☆ 。
※「Given to Fly」=米国のロックバンド、パールジャムの曲。作詞はボーカリストのエディ・ヴェダー、作曲はギタリストのマイク・マクレディ。5枚目のスタジオ・アルバム、『イールド』(1998)からの1stシングルでもある。
米国のビルボード・メインストリーム・ロック・トラック・チャートでトップになり、最終的にはビルボード・ホット100で21位。イギリスでもトップ20を果たす。
パールジャムの2004年のグレイテスト・ヒッツ・アルバム、『グレイテスト・ヒッツ1991–2003』にも収録。
「今夜のフライヤーズはどうして勝てないんだろう」と彼は言いました。
一部のフライヤーズ・ファンは「ノー!」と叫んだのです。あるファンが「そうでないことを願っているよ」と叫んだ時、レッドベターズのリード・シンガーの目に留まってしまいました。
※レッドベターズ=公式HP参照のこと。バンド名は、パール・ジャムの曲名から。レッドベターズのYou Tubeは、こちら↓。
「ああ、あのドラフト・ピック(指名権)が欲しいんだね」と、シンガーのジェイミー・ステムが言いました。
フライヤーズ・ファンは全体1位指名権を強く望んでおり、シーズン終盤に突然の連勝で、(最初に選手を指名できる)「全体1位指名」から遠ざかっています。
噂のコナー・ベダードは、
どこのチームも欲しがってるからにゃ。
でも、他のチームが全体1位指名権を
持っていったとしても、
必ずしも彼を指名するとは限らないんだが…。
試合経過
第3ピリオド・残り2分15秒、モーガン・フロスト(センター、23歳)がこの試合2点目を決め、3月28日(火曜日)の夜、フィラデルフィア・フライヤーズは3-2でモントリオール・カナディアンズを破りました。
第2ピリオド、パワープレー終了直後、フロストはゴールを決めて、フライヤーズは1-0とリード。さらに(第3ピリオド)2on1(オフェンス2名に対してディフェンス1名になっている状況)から(フロストが)今季16点目のゴールを決め、2-1とリードして4連勝を飾りました。
オーウェン・ティペット(右ウィング、24歳)がエンプティ・ネッター(6人攻撃を仕掛けてきた相手の無人ゴールへ得点した選手)となり、追加点を決めています。
4連勝は今シーズン最長となり、トラッカーのタンカソンによると、フライヤーズがドラフト全体1位指名権に当選する確率はわずか6.5%となりました。
※トラッカーのタンカソン=本来は、追跡者、動物を追う猟師の意味であるが、ここでは、変動する情報を監視して、最新情報を伝えるプログラムのこと。
タンカソンとは、NBA、NHL、NFL、MLBのドラフト順位と抽選シミュレーターによるモックドラフト(ドラフト予想)をライブで更新するサイト。
※わずか6.5%=カナディアンズ戦終了時点での「2023 NHL Draft Lottery Simulator」によると、現在の全32チームの順位から出されたフライヤーズの一巡目指名順は7番目。
フライヤーズはトレード等で他チームの一巡目指名権を入手していないため、一巡目はこの1回のみとなる。今のチーム成績のままで行くと、噂のコナー・ベダードを指名権獲得チームは、全体順位最下位のコロンバス・ブルージャケットとなる。
「僕達は一年中浮き沈みがあったけど、シーズン終盤、このようなゲームでまとめていくのは、いつだっていいことさ」とティペットは語っています。
フィラデルフィアの誰に聞くかによるようですね…。
カナディアンズでは、ブレンダン・ギャラガー(右ウィング、30歳)とラファエル・ハーヴェイ・ピナード(左ウィング、24歳)が得点し、カナディアンズは敗れたことにより、プレーオフ争いから脱落してしまいました。
フライヤーズは7試合のホームゲームを5-1-1で終え、シーズン終了までに、あと3試合のホームゲームを行います。
冒頭にも書いたように、5連勝ならなかったにゃ。
アウェイで1-4と劣勢だったのに、
第3ピリオドで怒涛の3連続得点で延長線へ。
しかし、力尽きてしまった…。
トルトレラ監督の現在の心境
今シーズン、キャリア通算700勝目を挙げたジョン・トルトレラ監督は、フライヤーズを勝者に変える使命を担っています。後半のホームゲームで追い込んだにもかかわらず、彼の最初のシーズンはほぼすべての面で大失敗でした。
※キャリア通算700勝目を挙げたジョン・トルトレラ監督=米国生まれのNHL監督として初めて500勝以上を達成しており、過去、NHLのトップコーチとして、ジャック・アダムス賞を2回受賞している。
タンパベイ監督時代から始めた、ゴールテンダーのローテーションをするシステムを採用した監督としても知られている。
フライヤーズは主力選手の負傷で大打撃を受け、フロントは大改造の最中のようで、その代償を払わざるをえませんでした。
トルトレラは、この週末に行われたフライヤーズ慈善カーニバルで、ファンに温かく迎えられたと語っています。
※フライヤーズ慈善カーニバル=3月26日(日曜日)午前11時より、ホームアリーナで開催されたイベント。毎年開催されていたが、パンデミックの影響もあり、観客を入れての通常開催は4年ぶりとなる。
オークションやロッカールーム・ツアー、推し選手との写真撮影(監督とも!)、シュート・オン・ゴール等が行われた。
その中でもユニークなのは、チーム・マスコット=グリッティと朝食を取るイベント。チームカラーの黒とオレンジをテーマにした、ビュッフェ式朝食って何?
しかし、フライヤーズのファンは、もっと良い結果を望んでいます-すぐにでも。
トルトレラは試合前に「彼らはただ正しい方向に進み、我われ全員が望む場所に戻ることを切望しているだけだ」とコメント。「確かに『我慢しなきゃいけないな』と思いながら、一日の多くを過ごしていた。それを聞いて、嫌な思いをした人も多かったと思う。
しかし、望む場所に戻るには、ある程度の忍耐とプロセスが必要なんだ」。
フライヤーズの改革は進行中
期限を過ぎてはいるが、自分達が再び勝者になるために必要な難しいステップを踏んでいると、フライヤーズは信じています。ゼネラル・マネージャーのチャック・フレッチャーを今月初めに解雇し、ダニー・ブリエールを後任に据えています。
フライヤーズの親会社コムキャスト・スペクタコールにて、長年、会長を務めてきたデイブ・スコットは月曜日、引退すると発表しました。4月17日、ダン・ヒルファーティはスコットの後任として同社の会長に就任し、7月1日にチームの総裁に就任する予定です。
フライヤーズは、ホッケー社長の市場にいるかのようです。
※ダニー・ブリエール、フライヤーズの親会社、デイブ・スコットについては、こちらの記事を参照のこと→☆。
※ダン・ヒルファーティ=ニュージャージー州オーシャンシティ育ちの66歳。フィラデルフィア州ペンシルバニアに本拠を置く健康保険会社、インディペンデンス・ブルー・クロスの元最高経営責任者。同社は全米で900万人の顧客にサービスを提供。
2020年12月31日に退職後、2022年末まで顧問として関与。2023年2月、コムキャスト・スペクタコールのCEOに任命された。
「私にとって、正しい方向と異なっているものが、他にもたくさんあるということだ」とトルトレラは言いました。「氷上のことだけでなく、他に多くのことを整理する必要がある。ただ、私にはちょっとグレーすぎる。
あまりにもグレーな部分が多いので、組織全体の中で整理する必要があるんじゃないだろうか。これは、私達のプロセスの中で、非常に大きな部分だと思うね」。
これ、チームの体制批判じゃないのかにゃ…。
歯に衣着せぬトルとレラらしいと言えばらしいんだけど…。
この試合に関する話題あれこれ
モントリオールでは、ケイデン・プリモーが今季初先発で24本のシュートを止めました。23歳のゴールキーパーは、元フライヤーズのスター選手であった、キース・プリモーの息子です。
※キース・プリモー=カナダ・オンタリオ州トロント出身の51歳。現役時代のポジションはセンター。
2004年、フライヤーズ在籍時のスタンレーカップ・プレーオフで、プリモーは9ゴールと7アシストを記録し、合計16ポイントと大活躍。チームを決勝まで導く(タンパベイに敗戦)。翌シーズン、数試合出場後、脳震盪のため現役引退を余儀なくされた。
フライヤーズでは負傷したカーター・ハート(ゴールキーパー、24歳)の代わりに、フェリックス・サンドストロム(26歳)が27セーブを挙げました。
ファレルのデビュー
フォワードのショーン・ファレル(センター、21歳)は、ハーバード大学で2シーズンを過ごした後、モントリオールでNHLデビューを果たしました。ファレルは、2022年の北京大会でアメリカ代表としてオリンピックに出場しています。
※ショーン・ファレル=2020年のドラフトで全体順位124位でカナディアンズから指名。wiki等でのポジション記載は「左ウィング」となっているが、カナディアンズではセンター登録。
名門ハーバード大学クリムゾンの中心メンバーとして活躍、今年3月26日、カナディアンズと3年間のエントリーレベルの契約を結んだばかり。
モントリオールのマーティン・セントルイス監督は「攻撃的な才能、ダイナミックな選手だ」と語っています。「彼はあらゆるレベルでそれを成し遂げてきたね。彼くらいのレベルなら、まだやれるということを示さないといけない」。
※マーティン・セントルイス=カナダ・ケベック州ラヴァル出身の47歳。ドラフト外入団にもかかわらず、17年にわたるNHLでのキャリアの中で、1,134試合に出場し、391ゴールと1,033ポイントを獲得。カナディアンズ監督には昨年就任。
試合前、同じマサチューセッツ州出身で、フライヤーズのフォワード、ケビン・ヘイズ(センター、30歳)から、ファレルはサイン入りのスティックを受け取りました。
「NHL入り、おめでとう!!まだまだ試合はたくさんあるよ!」とヘイズはスティックに書いています。
ああ、キャプテン!キャプテンはいらないんだ!
今年同様、フライヤーズに来季キャプテンがいない、とトルトレラは述べています。今シーズンより前、1992-93年を除くフランチャイズ史上、全てのシーズンでフライヤーズはキャプテンを指名しています。
トルトレラは、「これこそが、まさに我われのチームでやろうとしていることなんだ」と述べています。
まとめ
キャプテンを置くと、一人の選手に権力が集中すると考えるトルトレラは、一部のベテラン選手も嫌いみたいです。上下関係なく、全選手を対等に見ようとする姿勢は分かりますし、記事中にもあるゴールキーパーのローテーション制も、彼のそんな考え方の一環だと思います。
ただ、厳格で冷徹なトルトレラが、彼らのメンタル面までフォローできているかどうかは疑問と言わざるを得ません。
とはいえ、セネターズ戦で驚異の粘り腰を見せたフライヤーズ、トルトレラのチーム体質改善は徐々に進んでいるのは確かです。それが長続きするかどうか、フロント人事が刷新されたことにより、彼のチーム再建哲学が新フロントとマッチすればいいのですが。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!