プレシーズンでのブルージャケッツ、圧巻の8ゴールの内幕を探る!

アイスホッケー名勝負

はじめに

 まもなく開幕を迎えるNHL、プレシーズン・マッチも次第に熱を帯びてきています。不幸な事故でこの世を去ってしまったジョニー・ゴードローに良い知らせを届けるべく、彼の所属したコロンバス・ブルージャケッツの仕上がりのピッチが上がっています。

 9月23日(月)にバッファローでのプレシーズン開幕戦で苦戦したブルージャケッツが、27日(金)のワシントン・キャピタルズ戦で大逆転!期待の若手アダム・ファンティリやマチュー・オリヴィエがゴールを決めて、チームを8-4の勝利に導きました。

 この試合、ハリケーン・ヘレンの影響で開始が遅れたものの、選手たちの熱い戦いは試合開始早々に訪れました。第1ピリオドからスコアが動き、両チームの戦術や個々のプレイが光る中、試合は白熱の展開を見せてくれたのです!

讃岐猫
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引用元:dispatch.com(The Columbus Dispatch)「Columbus Blue Jackets preseason: Fantilli, Olivier lead the way past Washington Capitals

プレシーズンの波乱〜チャーター機が飛ばない!

 月曜日(9月23日)にバッファローで行われたブルージャケッツのプレシーズン開幕戦でタイミングに苦しみ、6-1で敗れましたが、高い才能を持つ2年目のセンターは、金曜日(9月27日)にキャピタル・ワン・アリーナでワシントン・キャピタルズ相手にハットトリックを決め、8-4の勝利を収めました。

 マチュー・オリヴィエは、ブルージャケッツ(ここまで2勝1敗0分)にさらに2ゴールを追加しています。この試合の前、チームはコロンバスでチャーター機に3時間座って待たされることを余儀なくされ、試合は2度も遅延した末に開始されました。

 「ちょっと変な感じだったけど、僕らはすごく楽しかったよ」とファンティリは言いました。「みんなでで集まって、『最後に試合のためにバッグから服を出したのはいつだっけ?』って話し合ったりしてたんだ。だから、すごく楽しんだよ」。

 オリヴィエのゴールはプレシーズンでの2点目と3点目(2試合出場)であり、コール・シリンジャー、ジェームズ・マラテスタ、ミカエル・ピュティアが他の3点を決めました。

 ピュティアはアシストも加え、2ポイントを記録し、ルーキーのギャビン・ブリンドリー(2023年ドラフト全体34位。昨シーズン1試合のみ出場)は2アシストで2ポイントを挙げています。

 ブルージャケッツの9人の選手がバランスの取れた攻撃パフォーマンスで少なくとも1ポイントを記録し、ゴールキーパーのダニール・タラソフとパベル・カヤンは26本中22本のシュートを止めました。

 この試合の開始はブルージャケッツの移動問題によって遅れています。元々の開始時間は午後7時でしたが、最初は午後8時15分に、次に午後8時39分に延期され、ようやくパックが氷上に落ちました。

 ブルージャケッツは土曜日(9月28日)にネイションワイド・アリーナでバッファロー・セイバースを相手にプレシーズン4試合目(6-3でブルージャケッツの勝利!)を行います。

 セイバーズのNHLトップチームはNHLグローバルシリーズ(10月4日、チェコで開催。レギュラーシーズン開幕)のためにヨーロッパに滞在している都合上、バッファローが連れてくるチームは期待の若手選手とAHL選手で構成されます。

ハットトリックの興奮〜ファンティリ大活躍の試合経過

少し長めのハイライト映像。なぜ、昨シーズンの画像が最初に使用されてる?

 キャピタルズはNHLゴールキーパーのチャーリー・リンドグレンを起用し、8人のNHL選手をロースターに揃えました。アレクス・オベチキンもその一人で、試合開始6分58秒でワシントンに1-0のリードをもたらしています。

 しかし、それがキャピタルズの唯一のリードであり、長続きしませんでした。

 第1ピリオド・10分47秒、ファンティリは3ゴールのうちの最初のゴールを決めて1-1の同点に追いつくと、その3分後にジェームズ・マラテスタがブルージャケッツを2-1にしました。

 第1ピリオド・残り5分59秒、ヤクブ・ヴラナがでキャピタルズの同点ゴールを決めましたが、第2ピリオド、オリヴィエとファンティリがブレイクアウェイ(攻撃側の選手がディフェンスをかわして、ゴールキーパーと1対1の状況になるプレー)から続けて2ゴールを決め、4-2でリードとなります。

エンプティネットでの勝利

 第2ピリオド、(ワシントンの)ディラン・ストロームとピュティアがゴールを奪い合い、ブルージャケッツが5-3とリードしました。その後、第3ピリオド中盤、キャピタルズはヤコブ・チクルンのゴールで5-4と詰め寄ります。

 ファンティリの3ゴール目に加え、シリンジャーとオリヴィエのエンプティネット・ゴール1がブルージャケッツの勝利を決定づけました。

詳細な試合経過はこちら

引用元:jacketscannon.com(THE CANNON)「Preseason Game #3 Recap: Worth the wait, Fantilli powers the Jackets past the Caps

※略称:ブ=ブルージャケッツ、キャ=キャピタルズ。

NHL公式サイトでのダイジェスト映像です!

第1ピリオド

 ハリケーン・ヘレン2の影響によるジャケッツの移動問題のため、試合開始は大幅に遅れました。しかし、氷上での(選手の)アクションは遅れて始まることなどありません。

 数分の落ち着いた展開の後、キャピタルズはパックをオフェンスゾーンに持ち込み、ガンブレル(ブ、センター)のパックを壁際に運ぼうとする消極的なプレーの時、マンジャパネ(キャ、左ウィング)がそれを奪いました。

 彼はその後、1人フリーになっていたアレックス・オベチキン(キャ、左ウィング)にパスを送り、オベチキンは素早くタラソフ(ブ、ゴーリー)を抜いて、試合の最初のゴールを決めています。

 数分後、ファンティリ(ブ、センター)がディフェンスゾーンでパックを奪い、ボロンコフ(ブ、左ウィング)にパスを出して上がっていきました。

 ボロンコフは見事な動きでパックをスロット3に運び、ファンティリにセットアップして、リンドグレン(キャ、ゴーリー)をきれいに抜いて左ドット(氷上に描かれた円形のマーク)からシュートを決めました(スコア1-1)。

 これこそ、ファンティリから頻繁に見たいプレーです。ディフェンスゾーンのプレー、トランジション4(攻撃と守備の切り替え)、フィニッシュ…。

 ピリオドの後半(13分49秒)、オベチキンへのワンタッチパスが失敗し、パックが攻撃ゾーンから出てしまい、その恩恵を受けたマラテスタ(ブ、左ウィング)はブレイクアウェイを狙うのに完璧な位置にいて、(ゴールキーパーの)グローブ側にクリーンにシュートを決めました(スコア:ブ2-1キャ)。

 しかし、お祝いの時間は短かったようです。12秒後、キャピタルズがボールを保持してゾーンに入ると、ヴラナ(キャ、左ウィング)がタラソフの隙を突いてゴールを決めました(スコア:2-2)(スコア)。ヴラナは良いシュートを放ちますが、こういったゴールがタラソフを苦しめる要因なのです。

讃岐猫
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第2ピリオド

 第2ピリオドは、第1ピリオドと同じ展開となりました。

 開始から2分経ったところで、ジャケッツはクリーンなブレイクアウト(ディフェンスから攻撃への切り替えを迅速に行い、得点チャンスを作り出すこと)を仕掛け、マッカウン(ブ、センター)がスロットで完全にフリーのオリヴィエ(ブ、右ウィング)にパスを送り、オリヴィエはリンドグレンを抜いてプレシーズン2点目を決めました(スコア:ブ3-2キャ)。

 素晴らしいパスでしたが、キャピタルズのコーチングスタッフは、ラインチェンジやバックチェックの不十分さに不満を感じるでしょう。

 ファンティリはディフェンスゾーンで再び素晴らしいプレーを見せ、キャピタルズからのD-Dパス(ディフェンス選手同士のパス)をティップ(スティックのわずかな動きでパックを別の方向に行かせる)してブリンドリー(ブ、センター)のスティックに渡しました。

 ギャビン(・ブリンドリー)は、アダム(・ファンティリ)をパーシャル・ブレイクアウェイ5(partial breakaway)のシチュエーションに送り出す素晴らしいパスを出し、アダムはバックチェックをしてくるアレクセイエフ(キャ、ディフェンス)からパックを守るための素晴らしい動きを見せ、リンドグレンを抜いて試合2点目を決めました。

 ミシガンの選手たち(ファンティリもブリンドリーもミシガン大学ホッケー部に在籍、ドラフトも同期)は相性抜群です。

 9分経過したところで、ジョーダン・ハリス(ブ、ディフェンス)がディフェンスゾーンでホールディングの反則を犯し、試合最初の反則となりました(2分間退場)。

 (ブルージャケッツの)ペナルティキル・ユニット6は良いスタートでしたが、エントリー時にディフェンスが少なかったため、7キャピタルズのクリスタル(キャ、左ウィング)にチャンスを与え、ゴール前を横切る素晴らしいパスを決められました。

 ストローム(キャ、センター)は簡単にタップインゴール(パックを軽く押し込むシュート)でプレシーズン3点目を決め、ワシントンにとってこの試合で3点目となりました。

 この時点から試合内容に差が付き始めます。両チームが速攻のチャンスを狙いながら一進一退の攻防を繰り広げ、マクマイケル(キャ、センター)がパックをガラス越しに放ち、CBJ(ブルージャケッツの略称)に残り6分39秒で初のパワープレイのチャンスが与えられました。

 イリチェク(ブ、ディフェンス)とトップユニット(パワープレイ用の攻撃的布陣。その中で最も優れた布陣)にとってあまり良いスタートではなく、2度のオッドマンラッシュ(攻撃側の選手がディフェンス側の選手よりも多くいる状況)を許しました(数的有利になりながら、ブルージャケッツは優位に立てなかったが、キャピタルズにあまり成果はありませんでした)。

 しかし、セカンドユニット(メンバー:ハリス=ディフェンス、マッカウン、ブリンドリー、ピュティア、フィックス=ウォランスキー=フォワード)が登場すると、すぐにゾーンに侵入し、ピュティア(ブ、左ウィング)が高い位置からリンドグレンを抜くシュートを決めました。スコアは5-3となります。

 まもなくして、ハイスティック(スティックが腰の高さを超えている状態でパックを扱う行為)の反則が、コロンバスにもう一度パワープレーのチャンスを与えました。その後のパワープレーで特別な瞬間はなく、セカンドユニットが再びゾーン内でパックをキープするべく良い仕事をしていました。

 ジャケッツが良いゾーンタイム(この場合、ジャケッツが相手のディフェンスゾーン内でパックを保持している状態。パスやシュートを繰り返し、得点チャンスを狙う)を持ったまま、ピリオドは終了しました。

第3ピリオド

 タラソフは今夜のプレーを終え、カヤンがCBJのゴールを守ることになりましたが、リンドグレンは変わりませんでした。

 ジャケッツはピリオドの中頃に再びパワープレーに入りましたが(8分11秒、相手選手がスティックで引っ掛ける反則)、特別なプレーは見せませんでした。

 まもなく、カヤンがキャピタルズからのロングシュートを処理するため、ゴール前のスペースから少し離れすぎていました。パックはゴールの後ろで跳ね回り、チクルン(キャ、ディフェンス)はそれを拾って、カヤンが再び位置を整える前にゴールを決めました。スコアは5-4です。

 キャピタルズがゾーンで攻撃を続けた後、ファンティリが再びブレイクアウトパスを出し、ブリンドリーはパックを前に運び、シュートを試みた際にキャピタルズのディフェンスに偶然ティップされ、そのパックがアダム・ファンティリのところへ転がりました。

 ファンティリはパックをネットに沈め、ハットトリックを達成しました。

 残り1分39秒で、シリンジャー(ブ、センター)がエンプティネットに1点を決め、リードを3点に広げました。ピリオド終盤(19分24秒、スティックで引っ掛ける反則)、ジャケッツへのペナルティにより、キャピタルズは再びリンドグレンをベンチに下げて、相手より2人多い有利な状況を得ました。

 しかし、キャピタルズにとって不運なことに、(ブルージャケッツのゴール前、)オリヴィエのクリアが(キャピタルズの)エンプティネットに突き刺さり、最終スコアは8-4となりました。

まとめ

 ブルージャケッツのプレシーズンでの立ち直りとファンティリのハットトリック、オリヴィエの2ゴールは、今後のシーズンへの期待感を高めてくれます。移動のトラブルにへこたれることないチームの団結力、これからの試合も楽しみです!

 試合を通じて、ブルージャケッツとキャピタルズの攻防が繰り広げられ、特にブルージャケッツの攻撃力が際立つ結果となりました。最終的には、ブルージャケッツがエンプティネットからの得点を含め、8-4で勝利を収め、ファンは期待を膨らませているのではないでしょうか。

 両チームの戦術や個々の選手のパフォーマンスが見どころだったこの試合は、アイスホッケーの魅力を再確認させるものとなりました。

讃岐猫
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【註釈】

  1. 相手チームがゴールキーパーをベンチに下げてゴールを空にした状態で、攻撃側の選手が得点を狙うプレーです。通常、試合の終盤で、追い上げを試みるチームがこの戦術を採用。
    ↩︎
  2. 日本時間の9月27日(金)12時過ぎ、フロリダ州のビッグベンド地区に上陸。上陸時の中心気圧は938ヘクトパスカルで、5段階ある強さのランクで上から2番目のカテゴリー4の勢力だった。ジョージア州やサウスカロライナ州など少なくとも5つの州で大きな被害をもたらした。
    ↩︎
  3. ゴール前のエリアのことで、ゴールから約1.5メートルから3メートルの間に位置し、センターラインとサイドラインの間に広がっている。スロットはシュートチャンスが非常に高い場所で、攻撃側選手が得点を狙うために重要とする位置である。
    ↩︎
  4. 今回の場合、パックを保持しつつ、素早く攻撃の形を作ることが求められるため、選手たちは連携してスピード感ある攻撃を展開し、相手ディフェンスが整う前にシュートを狙うことになる。ファンティリはその一連の動きの中心としてプレーできたことになる。
    ↩︎
  5. 攻撃側選手が相手チームのディフェンスをかわし、ゴールキーパーとの1対1の状況になるものの、完全にフリーな状態ではないシチュエーションのこと。
    ↩︎
  6. 相手チームがパワープレーを行っている際に、自チームが数的不利な状況で守備を担当する選手たちのこと。通常、ペナルティキルでは、守備的な役割を果たすために、特に守備力の高い選手やスピードのある選手を選ぶ。
    ↩︎
  7. 氷上でプレーしていたブルージャケッツの選手は、ディフェンス2名とフォワード2名。フォワードはファンティリとマラテスタで、どちらも守備にやや難のある選手。人選ミスか。 ↩︎
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