第7戦で前年度チャンピオン敗退!スターズ、第2ラウンド進出決定!

アイスホッケー名勝負

はじめに 

 アイスホッケー男子日本代表が出場した2024男子世界選手権の結果…、残念ではありましたが、現段階での世界レベルを認識できたのは良いことです。オーバータイムまでもつれ込んだイタリア戦はナイス・ゲームでしたし、決して悲観していません。 

 さて、NBAのプレーオフも白熱していますが、NHLもやっています!北米では盛り上がっていますよ!今のところ、ニューヨーク・レンジャーズのデキの良さが目立ち、現地マスコミが絶賛するフロリダ・パンサーズも依然として好調キープ、穴は無いようです。 

 この2チームほど目立ちませんが、名将ピーター・デボア監督率いるダラス・スターズも侮れません。昨シーズンのチャンピオン、ベガス・ゴールデンナイツと第7戦までもつれ込む死闘を繰り広げ、2回戦進出最後の椅子を射止めました! 

讃岐猫
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引用元:ESPN.com「Dallas Stars eliminate Vegas Golden Knights in Game 7

復帰試合で、息子にゴールをプレゼント

 ラデク・ファクサは1、ダラス・スターズが第7戦に臨む前に、2歳半の息子に約束しました。

 ファクサは、非公開の怪我のために4試合を欠場した後、ラインナップへの復帰戦でゴールを決めました。

 彼の勝ち越しゴールは、息子が家に連れて帰られた後、第3ピリオド44秒にバックハンドで決めたものであり、日曜日(5月5日)の夜、ダラスはディフェンディング・チャンピオンのラスベガス・ゴールデンナイツを2-1で破り、第1ラウンド・シリーズを締めくくりました。

 「やってよかった」とファクサは言います。「プレーできたから、朝に彼と一緒にビデオを見ることができるからね」。

 ファクサよりも長くスターズでプレーしたのは、キャプテンのジェイミー・ベンとタイラー・セギンだけです。(ダラスで)9シーズン目を迎える、4番目のライナーであるファクサは、サークルから(ベガスの)ゴールキーパー、アディン・ヒルの左にゴールを決めました。

 ダラスでは、第7戦、20歳のワイアット・ジョンストンもゴールを決めています。

この試合のハイライト映像です!

ダラスの守護神、安定のプレー

 ダラスのゴールキーパー、ジェイク・オッティンガーは21セーブを記録し、自身2度目の第7戦勝利を挙げています。

 また、彼は第7戦でスターズ唯一のペナルティを受けましたが、これは第3ピリオドの途中、彼がネット前でイワン・バルバシェフをトリッピングした(故意につまずかせた)ために宣告されたものでした。

 「最後のピリオドはとても良いプレーができた2。僕らがどのように対応できていたか、それを誇りに思っているよ」とオッティンガーは述べています。

 「プレーオフは長いし、いろいろな選手がいろいろなタイミングでステップアップする必要がある。ホッケーできる時間はたくさん残っているから、ヒーローがもっとたくさん出てくることを期待しているよ。これからも(チームは)走り続けることになるんじゃないかな」。

 ウェスタン・カンファレンス第1シードのスターズは、十分に休んだコロラドと2回戦で対戦します。アバランチが第5戦の勝利でウィニペグとのシリーズを終えてから1週間後、第1戦は火曜日(5月7日、日本時間では8日午前中)の夜にダラスで行われます。

讃岐猫
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ディフェンディング・チャンピオン、早々と散る!

 ブレット・ハウデンはラスベガスで唯一の得点を挙げましたが、昨シーズン、ナイツがウェスタン・カンファレンス決勝第6戦に勝利したダラスで(その時はナイツの4勝2敗)、再びシリーズの勝ち上がりを決めることはできませんでした。

 ローガン・トンプソンがシリーズ最初の4試合に先発した後、ヒルはこのシリーズ出場3試合目で22セーブを挙げています。

 このシリーズでは、最初の4試合はビジターチームが勝っていましたが、最後の3試合はホームチームが勝利しました。

 「世の中には懐疑的な人もたくさんいるだろう。第2戦の後、おそらく僕らが戻れないと思ったんじゃないかな」と(ダラスの)ベンは言っています。「このロッカー・ルーム、このチームには多くの僕らを信じてくれる人達がいる。そして、僕らはみんなに力を示せたんだ」。

 ピーター・デボア監督の下、就任から2年間のポストシーズンで、ダラスはそれぞれ第7戦に勝利しており、この監督のキャリアを見ると、同様のシチュエーションの試合において、4つのチームで8勝0敗3の成績を残しています。

 その中に、彼が監督を務めていた2020年(対バンクーバー・カナックス)と2021年(対ミネソタ・ワイルド)の各1回ずつ、ナイツの第7戦勝利も含まれています。

ダラスの若武者が躍動!

 第1ピリオド残り5分26秒、(ベガスの)トーマス・ヘルトルが体をねじりながらシュートを狙ったが外れ、ヘルトルのチームメイトであるシア・セオドアのクリアパスを、

 (ダラスの)ジョンストンが拾った後、スロット上部からリストショットで、シリーズ最多の4点目を決めました。

 「とても楽しかったよ」と、ジョンストンは試合後のバリー・スポーツ・サウスウエスト(テキサスを本拠地とするスポーツ・ネットワーク。米国中南部全体のプロ、大学、高校のスポーツを放送)のインタビューで語っています。

 「僕ら全員、あの舞台で得点することを夢見て育ったからね。ホッケー選手であれば、シリーズを決める第7戦に出てプレーしたいものさ。そして、あのアリーナにはたくさんのエネルギーがあった」。

 昨年、20歳の誕生日の翌日、ジョンストンは第7戦で試合を決定づけるゴールを挙げ、NHL史上最年少の選手になりました。スターズがシアトルに2-1で勝利した第2ラウンド・シリーズ第3ピリオド、彼はバックボードから跳ね返ったパックを拾って決めています。

讃岐猫
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「ちょっとしたホッケーの違いが…」

 日曜日のダラスのゴールは、ラスベガスが立て続けに2つの得点チャンスを得た後、生まれました。

 オッティンガーはタフなセーブでジャック・アイシェルとジョナサン・マルシェソーを阻み、約10秒後、ダラスの若者、ジョンストンが逆サイドまでスケートし、左ポストからリバウンドをシュートして得点したのです。

 「何人かの選手はおそらく今夜は眠れないと思う。試合で何が起こったかを見ればわかるからね」とベガスのブルース・キャシディ監督は語りました。「我々はポストを叩いて、相手チームを脅かしたつもりが、10秒後、向こうがゴールを決めた。

 第2ピリオドの終了間際にネットを揺らされ、第3ピリオド、(ダラスの)最初のシフトで得点された。…2つの実力の接近したチームがプレーする時、ちょっとしたホッケーの違いが差となることもある」。

 両チームとも、16ゴールを挙げてシリーズを終えています。

 スタンレーカップ優勝のロースターから27人中22人が同じメンバーのベガスは、第2ピリオド、マイケル・アマディオがハウデンにクロスパスを出し、オッティンガーの背後、開いていた左サイドへ、ハウデンがパックを突き刺して(1-1の)同点に追いつきました。

ダラスのデボア監督の記録あれこれ

 デボア以外で第7戦を8勝した唯一の監督はダリル・サッター4で、4チームで15のポストシーズンを過ごし、プレーオフ182試合で8勝3敗となっています。

 ナイツの第7戦の成績は(今回の負けを含めて)2勝2敗でした。2019年、サンノゼにナイツが敗れたときの相手監督も、デボアだったのです。

 スターズが最初の2試合で敗れた後、7試合のシリーズを制したのは、(前身のミネソタ・ノーススターズ時代を含め7試合まで進んだ)16回中、2回ありました。

 もう一つは、1968年のプレーオフの第1ラウンド、ミネソタ・ノーススターズが0勝2敗と劣勢であったのに、ロサンゼルス・キングスを7試合で破ったフランチャイズ史上初のプレーオフ・シリーズでした。

まとめ

 レギュラー・シーズン中、全く危なげなく上位に留まり、すんなりプレーオフ進出を決めたピーター・デボア監督は、記事中の記録を見ても、「何か持っている監督」だと思います。プレーオフ・シリーズ第7戦で8勝しているということは、それだけ勝負強いのです。

 逆に、ベガスの敗戦は何となく予想できていました。シーズン中盤からやや失速気味になったのは、どう考えても、チームのスタミナ切れ。どうにか帳尻を合わせてプレーオフ進出を決めたものの、ベガスに戦い抜く余力が残っていなかったと見ていいでしょう。

 ダラスと対戦するコロラドは、ウィニペグ戦に続き、またもリーグを代表するゴールテンダーのいるチームとのシリーズになります。シーズン中、取りこぼしが多かったのは、前線に人を裂く分、その反動による守備の脆さが原因。ここがシリーズの分岐点になると予想します。

讃岐猫
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【註釈】

  1. この記事の初出は、ファクサの息子への言及が少ないものとなっていた。以下にそれを示す。

    「ラデク・ファクサがダラスの戦列に復帰し、20歳のワイアット・ジョンストンが第7戦でも得点を決め、スターズは日曜日(5月5日)の夜、(昨シーズンの)スタンレー・カップ覇者のベガス・ゴールデンナイツを2-1で破り、第1ラウンド・シリーズを締めくくりました。

     第2戦終盤にベンチを離れて以来、負傷のため欠場していたファクサは、第3ピリオド開始44秒、サークルからのバックハンドで、相手ゴールキーパーのアディン・ヒルの左を射抜いたのです。

     「とても安心したよ」とファクサはTNTの試合後のショー番組で語りました。「あれは今までの僕のキャリアの中で、最大最高のゴールだった。…今夜はゴールを決めると(息子に)約束したし、決めてよかったよ」。」 ↩︎
  2. 原文では「clinic」の単語を使用していて、おそらく“put on a clinic”から来ているものと思われる。スポーツ関係の記事に見られる慣用句で、いいパフォーマンスをしたこと表す言い方である。
    ↩︎
  3. ニュージャージー・デビルズ時代に1勝(2012年)、サンノゼ・シャークス時代に3勝(2016、2019年に2勝)、ベガス・ゴールデンナイツ時代に2勝(2020年、2021年)、ダラス・スターズ時代に2勝(2023、2024年)。
    ↩︎
  4. 2011〜14年までのロサンゼルス・キングス黄金時代(スタンレーカップ2回獲得)をはじめ、数多くのチームをプレーオフに導いた名将。厳しい指導法が評判で、選手との衝突も多い。

     70年代後半、日本で1シーズンのみプレーした後、シカゴ・ブラックホークスの主要メンバーになった経歴もあってか、日本のホッケーファンにも知られている。 ↩︎
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